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馬の文献:喉嚢真菌症(Dobesova et al. 2012)

「馬の喉嚢真菌症:28症例の回顧的解析」
Dobesova O, Schwarz B, Velde K, Jahn P, Zert Z, Bezdekova B. Guttural pouch mycosis in horses: a retrospective study of 28 cases. Vet Rec. 2012; 171(22): 561.

この症例論文では、馬の喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)の病態、有用な治療法、および、予後を解明するため、1999~2011年にかけて、二箇所の二次診療施設において、内視鏡検査(Endoscopy)での喉嚢真菌症の確定診断(Definitive diagnosis)が下された28症例における、医療記録(Medical records)の回顧的解析(Retrospective study)が行われました。

結果としては、安楽死(Euthanasia)または斃死した馬の割合は50%(14/28頭)に及んでいましたが、内科的治療が行われた馬(3頭)、外科的治療が行われた馬(11頭)、および、両方が行われた馬(7頭)のあいだで、生存率(Survival rate)には有意差は認められませんでした。一方、死亡の原因で最も多かったのは嚥下障害(Dysphagia)で、非生存率とのあいだにも有意な相関(Significant correlation)が存在していました。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、適切な治療が施されることで、致死的出血(Fatal hemorrhage)は未然に防げるものの、脳神経損傷(Cranial nerve disorders)による嚥下障害を継発してしまうと、二次的に予後が大きく悪化することが示唆されました。

この研究では、喉嚢真菌症の罹患馬に認められた病歴としては、鼻汁排出(Nasal discharge)が最も多かったのに対して、鼻出血(Epistaxis)を呈した馬は半数に留まっていました。しかし、他の文献では、喉嚢真菌症の罹患馬では、そのうち七割以上に鼻出血が見られるという知見もあります(Lepage et al. 2005)。この研究では、初診までの病歴の長さに幅が大きかった事から、血を伴わない鼻汁排出は、喉嚢真菌症の初期徴候である可能性が示唆されており、病態の早期発見のために喉嚢の精密検査を実施する所見として重要であると指摘されています。一方で、血液検査において貧血(Anemia)や白血球増加症(Leukocytosis)が認められた馬は、いずれも14%(3/21頭)のみでした。

この研究では、28頭の全症例で内視鏡検査が実施され、そのうち96%(27/28頭)において、罹患側の喉嚢における内側区画の背内側部(Dorsomedial aspect of the medial compartment)に、真菌プラーク(Mycotic plaque)の形成が確認され、側頭舌骨関節(Temporohyoid joint)と内頚動脈(Internal carotid artery)が覆われている所見が見られました。また、28頭のうち、左側の喉嚢が罹患していた馬は68%(19/28頭)で、右側は32%(9/28頭)となっていましたが、この左右差の原因については、明確には結論付けられていませんでした。

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馬の文献:喉嚢真菌症(Benredouane et al. 2012)

「起立位手術での馬の内頚動脈に対する経動脈的コイル塞栓形成術」
Benredouane K, Lepage O. Trans-Arterial Coil Embolization of the Internal Carotid Artery in Standing Horses. Vet Surg. 2012; 41(3): 404-409.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に有用な外科的療法を検討するため、八頭の健常な実験馬、および、内視鏡検査(Endoscopy)によって喉嚢真菌症の診断が下された五頭の症例馬に対して、起立位手術(Standing surgery)での内頚動脈(Internal carotid artery)に対する経動脈的コイル塞栓形成術(Trans-arterial coil embolization)が行われました。

この研究の術式では、枠場のなかで鎮静(Sedation)および局所麻酔(Local anesthesia)をした馬において、首の近位~中央部の三分の一における頚静脈(Jugular vein)の背方に10cmの皮膚切開創を設け、腕頭筋(Brachiocephalicus muscle)および肩甲舌骨筋(Omohyoideus muscle)を切開することで総頚動脈(Common carotid artery)へとアプローチされました。次に、動脈内に挿入したカテーテルを介して、蛍光透視装置(Fluoroscopy)を用いた血管造影(Angiogram)をすることで、内頚動脈および外頚動脈(External carotid artery)の走行具合の確認、異常分枝(Aberrant branches)の除外診断、および、動脈内径の計測(Measurment of inner diameter)が行われました。そして、動脈内径よりもやや太いコイルを、喉嚢の近位側と遠位側に挿入することで塞栓形成が施され、血管造影によって血流が完全遮断(Complete obstruction of blood flow)されている事を確認してから、血管切開部、筋切開部、および、皮膚切開創が縫合閉鎖されました。

結果としては、実験馬に対する試験的手術では、コイル塞栓形成術の実施や、30mLまでの造影剤の使用に起因する術後合併症(Post-operative complications)は認められず、全ての馬において動脈血流の完全遮断が達成され、周囲の他の動脈に対する血流動態の変化(Alteration of local hemodynamics)も生じていませんでした。そして、起立位手術から二週間目の剖検(Necropsy)では、成熟した血栓の形成(Mature thrombus formation)によって、処置箇所の動脈の完全閉塞(Complete embolization)が達成され、挿入されたコイルの変位(Displacement)も生じていなかった事が確認されました。

そして、起立位手術での経動脈的コイル塞栓形成術が応用された五頭の臨床症例では、二頭の患馬が横隔膜ヘルニア(Diaphragmatic hernia)および心筋梗塞(Myocardiac infarction)によって斃死したものの(いずれもコイル塞栓形成術とは無関係と判断された)、他の三頭においては、真菌病巣の消失(Resolution of mycotic lesions)が見られ、鼻出血(Epistaxis)を再発(Recurrence)することなく、意図した用途への運動復帰を果たした事が報告されています。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、起立位手術での内頚動脈に対する経動脈的コイル塞栓形成術によって、致死的出血(Fatal hemorrhage)の予防と、原発病巣の治癒が達成され、良好な予後を示す馬の割合が高いことが示唆されました。

一般的に、馬の喉嚢真菌症に対する外科的療法では、全身麻酔下(Under general anesthesia)での横臥位(Lateral recumbency)における手術によって、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)を用いた動脈結紮術&遮閉術(Arterial ligation and occlusion)(Freeman and Donawick. JAVMA. 1980;176:236)、または、マイクロコイルを用いた動脈塞栓形成術が行われ(Lepage and Piccot-Crezollet. EVJ. 2005;37:430)、良好な治療成績を収めています。今回の研究で試験された、起立位手術での内頚動脈に対する経動脈的コイル塞栓形成術では、麻酔覚醒(Anesthesia recovery)の際の事故の危険を避けられ、手術時間も三分の一程度で済むという利点が挙げられています。しかし、頚部にある重要な動脈を操作するという事を考えれば、起立位手術の最中に馬が暴れて動脈組織を医原性損傷(Iatrogenic damage)させる危険がある以上、敢えて起立位での手術を選択するメリットは低いのかもしれません。

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馬の文献:喉嚢真菌症(Archer et al. 2012)

「ニュージーランドで六頭の馬に発症した喉嚢真菌症」
Archer RM, Knight CG, Bishop WJ. Guttural pouch mycosis in six horses in New Zealand. N Z Vet J. 2012; 60(3): 203-209.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に起因する致死的出血(Fatal hemorrhage)の有用な予防法を検討するため、内視鏡検査(Endoscopy)によって喉嚢真菌症の診断が下され、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)による動脈遮閉術(Arterial occlusion)が応用された馬の六症例が報告されています。

この研究では、手術応用のまえに斃死した一頭を除いた、五頭の症例に対して、バルーンカテーテルを用いた内頚動脈(Internal carotid artery)の結紮術(Ligation)および遮閉術が実施されました。この五頭の患馬のうち三頭は、鼻出血(Epistaxis)の再発(Recurrence)を示すことなく、手術から一年以上にわたって生存していましたが(長期生存率:60%)、残りの二頭は、真菌病巣部からの出血のため、手術から八週間以内に斃死したことが報告されています。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、バルーンカテーテルを介した動脈遮閉によって、致死的出血の予防、および、原発病巣の治癒(Primary lesion healing)が期待され、良好な予後を示す馬の割合が比較的に高いことが示唆されました。

この研究では、術後に斃死した一頭では、剖検(Necropsy)において上顎動脈(Maxillary artery)にも真菌病変が浸潤しており、この箇所からの出血が死因となった可能性が示唆されています。このため、喉嚢内の血液貯留(Blood accumulation)のため、術前の内視鏡検査によって正確な罹患部位が特定できない場合には、内頚動脈だけでなく、外頚動脈(External carotid artery)や上顎動脈の血流遮断も併用すべきである事を、再確認するデータが示されたと言えるかもしれません。また、今回の研究の術式では、蛍光透視装置(Fluoroscopy)を持っていない施設での治療であったため、コイル塞栓形成術(Coil embolization)などは選択肢とはなっておらず、術中の血管造影術(Angiogram)は実施されていませんでした。

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馬の文献:喉嚢真菌症(Delfs et al. 2009)

「三頭の馬の喉嚢真菌症による急性鼻出血に対する経動脈的なニチノール血管遮閉プラグによる治療」
Delfs KC, Hawkins JF, Hogan DF. Treatment of acute epistaxis secondary to guttural pouch mycosis with transarterial nitinol vascular occlusion plugs in three equids. J Am Vet Med Assoc. 2009; 235(2): 189-193.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に起因する急性鼻出血(Acute epistaxis)に対して、経動脈的なニチノール血管遮閉プラグ(Transarterial nitinol vascular occlusion plugs)による治療が応用された、馬の三症例が報告されています。

この研究の術式では、全身麻酔下(Under general anesthesia)での横臥位(Lateral recumbency)において、総頚動脈(Common carotid artery)に穿刺した血管接続針(Vascular-access needle: 18G)を介して、イントロデューサと血管拡張セットが挿入されました。次に、蛍光透視装置(Fluoroscopy)を用いての血管造影(Angiogram)によって、内頚動脈や外頚動脈(Internal/External caroid arteries)の走行を確認してから、ニチノール製の血管遮閉プラグを挿入することで動脈遮閉が行われ、上顎動脈(Maxillary artery)からの出血を生じた場合には、上顎動脈と大口蓋動脈(Major palatine artery)にも動脈遮閉が施されました。

結果としては、三頭の患馬の全てが、手術から一年以上の生存を果たし、意図した用途への運動復帰を果たしていました(長期生存率および運動復帰率は100%)。また、術後合併症(Post-operative complications)や鼻出血の再発(Recurrence)は認められず、また、三頭の症例すべてにおいて、真菌病巣の完全な消失(Complete resolution of fungal lesion)が達成された事が報告されています。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、ニチノール血管遮閉プラグを介した動脈遮閉術(Arterial occlusion)によって、致死的出血(Fatal hemorrhage)の予防と、原発病巣の治癒(Healing of primary lesions)が期待され、良好な予後を示す馬の割合が高いことが示唆されました。

一般的に、馬の喉嚢真菌症における外科的療法に際しては、罹患した動脈を近位部で結紮(Ligation)しただけでは、大脳動脈環(Cerebral arterial circle:いわゆるウィリス動脈輪)からの血液逆流(Retrograde blood flow)が起こり、致死的出血の予防はできないため、真菌病巣の近位側と遠位側の両方で動脈遮閉する必要があることが知られています(Church et al. EVJ. 1986;18:362, Owen et al. EVJ. 1974;6:143)。そのための術式としては、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)やコイル塞栓形成術(Coil embolization)などが応用されていますが(Lane. EVJ. 1989;21:321, Leveille et al. Vet Surg. 2000;29:389, Lepage and Piccot-Crezollet. EVJ. 2005;37:430)、このうち、バルーンカテーテルを用いた術式では、カテーテルの外端が皮下組織内に残存するため、細菌感染(Bacterial infection)を続発する危険性があります。

この研究で試験されたニチノール製の血管遮閉プラグは、コイル塞栓形成術と同様な手技で動脈遮閉できますが、コイルは血管内に挿入した後には操作が効かないのに対して、プラグは太さ(血管内径の130~150%が最適)を伸縮自在に変えられるので、(1)一箇所の処置箇所には一つのプラグがあれば良い(コイルは複数個を要する場合も多い)、(2)血管造影の所見に基づいて、プラグの位置を変更できる、(3)血管内腔に堅固にフィットするので、処置箇所から流れ出てしまう危険性が非常に少ない、などの利点が挙げられています。また、インプラントのコストは、血管遮閉プラグは一つ300ドル程度なのに対して、塞栓コイルは一つ50~100ドルで(コイルは二つ~三つ要ることも多い)、大きな差はないと提唱されています(いずれも論文発表時点での価格)。

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馬の文献:喉嚢真菌症(Ernst et al. 2006)

「反対側の側頭舌骨変形性関節症によって動脈遮閉術後に喉嚢真菌症が進行した馬の一症例」
Ernst NS, Freeman DE, Mackay RJ. Progression of mycosis of the auditory tube diverticulum (guttural pouch) after arterial occlusion in a horse with contralateral temporohyoid osteoarthropathy. J Am Vet Med Assoc. 2006; 229(12): 1945-1948.

この研究論文では、側頭舌骨変形性関節症(Temporohyoid osteoarthropathy)と喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)を併発して、鼻出血(Epistaxis)の予防のため動脈遮閉術(Arterial occlusion)が実施されたものの、真菌症の進行(Progression of mycosis)を起こした馬の一症例が報告されています。

患馬は、六歳齢のアラビアン牝馬で、食欲不振(Inappetence)と摂食困難(Difficulty eating)の病歴で来院し、眼科検査(Ophthalmologic examination)では右眼の浅部角膜潰瘍(Superficial corneal ulcer)が認められました。また、内視鏡検査(Endoscopy)では右側の耳管憩室(Auditory tube diverticula)(=喉嚢)における茎突舌骨(Stylohyoid bone)の肥厚化(Thickening)が見られた事から、側頭舌骨変形性関節症の確定診断(Definitive diagnosis)が下され、レントゲン検査(Radiography)では中耳炎(Otitis media)の併発が示されました。一方、左側喉嚢の内視鏡検査では、内頚動脈(Internal carotid artery)の箇所に黄色~白色の真菌プラーク(Yellow to white mycotic plaque)が発見され、喉嚢真菌症を併発した事が確定診断されました。

治療としては、右側喉嚢の側頭舌骨変形性関節症による脳神経圧迫(Cranial nerve compression)を改善するため、角舌骨切除術(Ceratohyoidectomy)が実施され、また、左側喉嚢の真菌症による致死性出血(Fatal hemorrhage)を予防するため、内頚動脈のコイル塞栓療法(Coil embolisation)が実施されました。患馬は、問題なく麻酔覚醒(Anesthesia recovery)して、三日後に退院し、その後の三週間にわたって症状改善を示しましたが、手術から53日後に嚥下障害(Dysphagia)と体重減少(Weight loss)の病歴で再入院しました。内視鏡検査では、左側の喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplasia)と軟口蓋背方変位(Dorsal displacement of soft palate)が示され、左側喉嚢の真菌病巣はより広範囲に拡大していました。また、患馬は、左側のホーナー症候群(Horner syndrome)と、舌の右側半分の萎縮(Atrophy of the right side of the tongue)を呈しており、神経症状の進行度合いから予後不良(Poor prognosis)であると判断され、残念ながら安楽死(Euthanasia)となりました。

この症例では、動脈遮閉術の後に、予期していなかった真菌病巣の拡大と、神経症状の悪化が認められ、罹患した神経組織としては、交感神経幹(Sympathetic nerve trunk)もしくは頭側頚椎神経節(Cranial cervical ganglion)(=ホーナー症候群を引き起こす)、迷走神経とその枝部(Vagus nerve and branches)(=咽頭・喉頭神経の機能障害を引き起こす)、舌下神経(Hypoglossal nerve)(=舌萎縮を引き起こす)、舌咽神経(Glossopharyngeal nerve)(=喉頭神経の機能障害を引き起こす)等が挙げられました。今回の症例では、初診時の主病歴は、側頭舌骨変形性関節症に起因すると予測された神経症状で、喉嚢真菌症は偶発的な所見(Incidental finding)であった事から(=初診時の症状は全て右側の神経損傷に由来していたため)、真菌病巣の浸潤は血管組織よりも神経組織に波及していた可能性があり、このため、動脈遮閉によっても真菌プラークの退縮効果はあまり示されず、病巣が拡大していた結果、重篤な神経症状の発現につながった、という考察がなされています。

この症例では、右側の角舌骨切除術の際に、右側の舌下神経が医原性損傷(Iatrogenic damage)を受けた結果、術後に舌の右側半分の萎縮を引き起こしたと推測されています。一方、喉嚢真菌症に対して動脈遮閉術が奏功しなかった事と、側頭舌骨変形性関節症の併発(もしくは角舌骨切除術の実施)が、どのような因果関係(Causality)を持っていたかについては、明瞭な論理立てや、潜在的な仮説はなされておらず、症例報告としては考察が不十分であったという印象を持たざるを得ません。例えば、片方の角舌骨が切除された結果、左右の舌骨合同装置(Hyoid apparatus)の協調的動作(Synchronized motion)が妨げられ、茎突舌骨の周辺にある神経組織への力学的負荷(Mechanical load)が増加して、神経症状の悪化につながった可能性も否定できないのではないでしょうか。また、右側の角舌骨による支持機能が無くなり、舌を後方に引っ張る筋肉から左側の角舌骨に掛かる緊張が増せば、左側の喉嚢内がより陰圧になり、粘膜損傷に伴う真菌病巣の拡大が生じた(=神経組織への真菌の浸潤も悪化)、という仮説も成り立つのかもしれません。

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馬の文献:喉嚢真菌症(Lepage et al. 2005)

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「馬の喉嚢真菌症に対する経動脈的コイル塞栓形成術(1999~2002年):二年間の経過追跡」
Lepage OM, Piccot-Crezollet C. Transarterial coil embolisation in 31 horses (1999-2002) with guttural pouch mycosis: a 2-year follow-up. Equine Vet J. 2005; 37(5): 430-434.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に有用な外科的療法を検討するため、1999~2002年にかけて、内視鏡検査(Endoscopy)によって喉嚢真菌症の診断が下され、経動脈的コイル塞栓形成術(Transarterial coil embolization)が応用された31頭の患馬における、医療記録(Medical records)の回顧的解析(Retrospective analysis)が行われました。

この研究の術式では、全身麻酔下(Under general anesthesia)での横臥位(Lateral recumbency)において、まず、血管造影カテーテル(Angiogram catheter)を総頚動脈(Common carotid artery)に穿刺して、蛍光透視装置(Fluoroscopy)を用いての血管造影によって、内頚や外頚動脈(Internal/External caroid arteries)の走行が確認されました。そして、カテーテルを通して塞栓療法コイルを動脈内に挿入して、造影剤が塞き止められている蛍光透視所見によって、完全な血流遮断(Complete obstruction of blood circulation)を確かめ、両側性の症例に対しては、患馬を反対の横臥位にしてから、同様の塞栓形成術が施されました。

結果としては、31頭の患馬のうち、鼻出血(Epistaxis)や嚥下障害(Dysphagia)によって安楽死(Euthanasia)となったのは五頭で、生存率(Survival rate)は84%(26/31頭)でした。このうち、鼻出血の病歴で治療を受けた23頭では、症状完治を示したのは87%(20/23頭)であったのに対して、神経症状の病歴で治療を受けた19頭では、鼻出血で安楽死となった一頭を除けば、症状完治を示したのは50%(9/18頭)に過ぎませんでした。そして、長期的な経過追跡(Long-term follow-up)において、意図した用途への使役復帰を果たした馬は71%(22/31頭)であった事が報告されています。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、経動脈的なコイル塞栓形成術によって、致死的出血(Fatal hemorrhage)の予防効果が期待され、良好な予後を示す馬の割合が高いものの、初診時に嚥下障害や喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplasia)などを併発していた場合には、神経組織の損傷(Damage to neurologic tissue)への治癒効果は、それほど高くないことが示唆されました。

一般的に、馬の喉嚢真菌症に対する治療では、抗真菌剤の全身&局所投与(Systemic/Local administrations of anti-fungal agents)による原発病巣(Primary lesions)の治療よりも、罹患箇所の動脈閉鎖による出血防止処置のほうが、重要な治療指針であることが知られており、さまざまな動脈遮閉の術式が試みられています。過去の文献では、内科的療法では34%の馬が鼻出血を続発したのに対して(Cook et al. Vet Rec. 1968;83:422)、外科的療法における鼻出血の再発率(Recurrence rate)は、内頚動脈の結紮術(Ligation)では20%で(Church et al. EVJ. 1986;18:362)、バルーンカテーテルによる遮閉術では11%であった事が報告されています(Freeman and Donawick. JAVMA. 1980;176:232, Caron et al. JAVMA. 1987;191:345, Freeman et al. Vet Surg. 1989;18:39)。そして、過去の文献(Leveille et al. Vet Surg. 2000;29:389)と今回の研究を合わせた場合、経動脈的なコイル塞栓形成術における鼻出血の再発率は、6%に留まるという結果が示されました。

この研究では、内視鏡検査(Endoscopy)を介して真菌病巣(Mycotic lesion)を発見することで、喉嚢真菌症の確定診断(Definitive diagnosis)が下されましたが、喉嚢内への血液貯留(Blood accumulation)の所見のみによって喉嚢真菌症の推定診断(Presumptive diagnosis)が下された馬(内視鏡による喉嚢内の視診は困難であった馬)もありました。このため、後者の場合には、罹患している動脈の部位を特定するのは困難であるため、内頚動脈の吻側および尾側部(Rostral and caudal aspects of internal carotid artery)、外頚動脈(External carotid artery)、上顎動脈(Maxillary artery)のすべてに対して、コイル塞栓形成術を施すことが推奨されています(=不必要な箇所を遮閉する危険性より、潜在的な出血箇所を残しておく方が、リスクは大きいため)。

一般的に、馬の喉嚢真菌症に対する外科的療法において、処置箇所の動脈に異常分枝(Aberrant branches)が存在していた場合には、血流遮断が不十分になり、術後に致死的出血を続発したり、誤った箇所の動脈(脳底動脈、ウィリス動脈輪、etc)が遮断されて、重篤な神経症状を起こすなどの、術後合併症(Post-operative complications)の危険性があることが報告されています(Leveille et al. Vet Surg. 2000;29:389, Freeman et al. Vet Surg. 1993;22:531)。今回の研究でも、31頭の患馬のうち二頭(6%の症例)において、内頚動脈の異常分枝が発見されており、蛍光透視装置を介した血管造影によって術中画像診断(Intra-operative diagnostic imaging)を行う術式の有用性を、再確認させるデータが示されたと言えます。

この研究では、31頭の患馬のうち、五ヶ月齢の子馬一頭を除けば、他のすべてが三歳齢以上の馬であったことが報告されています。このデータは、喉嚢真菌症は成馬に好発するという過去の文献の知見とも合致していましたが(Cook et al. Vet Rec. 1968;83:422)、その一方で、動脈の先天性異常(Congenital abnormalities)が発症素因(Predisposing factor)になっている可能性がある、という他の文献の知見を裏付けるものではありませんでした(Greet. EVJ. 1987;19:483)。また、来院時の主要な臨床症状は、鼻出血を呈していた馬は74%であったのに対して、神経症状を呈していた馬は26%に留まり、これも、過去の文献のデータと合致するものでした(Church et al. EVJ. 1986;18:362, Caron et al. JAVMA. 1987;191:345, Leveille et al. Vet Surg. 2000;29:389)。

この研究では、術後に内視鏡による再検査が行われた17頭を見ると、真菌プラークの消失(Resolution of fungal plaque)には15~269日間を要していましたが、この期間の長さは、臨床症状の回復度合いとはあまり相関していませんでした。また、難治性の嚥下障害のため安楽死となった一頭では、真菌プラークの消失に要した期間が15日間と最も短かった事が報告されています。このため、馬の喉嚢真菌症に対する外科的療法では、術前の内視鏡検査での真菌病巣の大きさや、術後の内視鏡検査での真菌病巣の退縮度合いなどは、必ずしも有用な予後判定指標(Prognostic indicator)にはならない、という考察がなされています。

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馬の病気:喉嚢真菌症


馬の文献:喉嚢真菌症(Leveille et al. 2000)

「馬の喉嚢真菌症に起因する出血を予防するための内頚動脈、外頚動脈、上顎動脈の経動脈コイル塞栓療法」
Leveille R, Hardy J, Robertson JT, Willis AM, Beard WL, Weisbrode SE, Lepage OM. Transarterial coil embolization of the internal and external carotid and maxillary arteries for prevention of hemorrhage from guttural pouch mycosis in horses. Vet Surg. 2000; 29(5): 389-397.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に起因する鼻出血(Epistaxis)の有用な予防法を検討するため、十頭の健常な実験馬、および、内視鏡検査(Endoscopy)によって喉嚢真菌症の確定診断(Definitive diagnosis)が下された四頭の症例馬に対して、内頚動脈(Internal carotid artery)、外頚動脈(External carotid artery)、および、上顎動脈(Maxillary artery)における、経動脈コイル塞栓療法(Transarterial coil embolization)が行われました。

この研究の術式では、総頚動脈(Common carotid artery)に穿刺した血管造影カテーテル(Angiogram catheter)を進展させて、造影剤注入および蛍光透視装置(Fluoroscopy)を介した術中画像診断によって、内頚&外頚動脈および後頭動脈(Occipital artery)の走行を視認することで、異常分枝(Aberrant branch)が存在しないことが確認されました。次に、内頚動脈に進展させたカテーテルを通して、塞栓療法コイル(血管内径よりもやや大きいサイズ)を動脈内に挿入することで、塞栓形成が施され、造影剤が塞き止められている所見によって、血流遮断(Obstruction of blood circulation)の確認が行われました。そして、カテーテルを尾側へと引き戻して、同様の塞栓形成を実施した後、必要に応じて、外頚動脈および上顎動脈へもカテーテルを進展させて、同じ要領でコイル挿入および塞栓形成が施されました。

結果としては、十頭の健常馬においては、術後の血管造影レントゲン検査(Contrast radiography)によって、処置した全ての脈管が完全遮閉(Complete occlusion)されて、全てのコイルが挿入箇所に残存している所見が認められました。これらの健常馬の剖検(Necropsy)では、成熟した連続性血栓形成(Mature continuous thrombus formation)によって、処置部の動脈が遮閉されている事が確認されました。一方、四頭の症例馬においては、術後に鼻出血を再発(Recurrence)した馬は一頭もなく、手術から六十日目までには、罹患部位の真菌プラークが消失(Resolution of mycotic plaques)していました。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、罹患箇所の動脈に対するコイル塞栓療法によって、致死的出血(Fatal hemorrhage)の予防と真菌病巣の治癒が達成され、良好な予後を示す馬の割合が高いことが示唆されました。

一般的に、馬の喉嚢真菌症に対する外科的療法では、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)による動脈遮閉術が応用される場合もあり、比較的に良好な治療成績が報告されています(Freeman and Donawick. JAVMA. 1980;176:232, Freeman and Donawick. JAVMA. 1980;176:236, Lepage. Prat Vet Equine. 1994;24:255)。術中レントゲン(Intra-operative radiography)およびバルーンカテーテルを用いた術式における、潜在的な欠点(Potential disadvantages)としては、(1)異常分枝の存在を確認しにくい場合があること、(2)カテーテル先端のバルーンが破損したり、膨満が不十分になる事で、鼻出血を再発する危険性があること(Greet. EVJ. 1987;19:483)、(3)カテーテル端は皮下に埋没させるため、外観的損失(Cosmetic blemish)や逆流性細菌感染(Retrograde bacterial infection)などの合併症につながる場合もあること、などが挙げられています。

この研究では、術中の血管造影の際に、空気や血栓破片を誤って注入してしまう危険を避けるため、二重洗浄手法(Double flush technique)を用いて、まず処置箇所の血管内の血液を吸入して、その後に造影剤を注入する術式が推奨されています。また、血管内にコイルを挿入する際には、コイルが短すぎると塞栓形成が不十分になる反面、コイルが長すぎるとうまく丸まらず、挿入箇所から流入してしまう可能性があるため、処置部位の造影所見(血管内径)に基づいて、適切なサイズのコイルを選択することが重要であると指摘されています。一方、コイルの挿入箇所が遠位すぎると、内頚動脈だけでなくウィリス動脈輪(Willis’s circle)も塞栓してしまう危険がある(今回の研究でも、一頭の実験馬に見られた)、という警鐘も鳴らされています。

この研究では、経動脈コイル塞栓療法の後には、出血再発、失明(Blindness)、皮膚切開創感染(Skin incisional infection)などの術後合併症(Post-operative complications)は認められませんでした。一方、四頭の症例のうち一頭では、術後に喉頭片麻痺(Laryngeal hemiplegia)を続発しましたが、これは真菌病変の侵食に伴う進行性神経症状(Progressive neurologic signs)の一つであると推測され、コイル塞栓療法の結果として生じた合併症ではないと考えられました。しかし、軟部組織切開(Soft tissue dissection)の際には、頚動脈鞘(Carotid sheath)を慎重に操作することで、喉頭神経障害(Laryngeal neuropathy)の予防に努めることが重要であると推測されています。

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新型コロナの感染者数は水増しされている?

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新型コロナウイルスの感染者数は本当に正確なのでしょうか?

いま世界中では、新型コロナの検査法としてPCRが実施されています。しかし、このPCR検査には大きな欠点があり、それはサイクル数によって、検査の信頼性が著しく低下してしまうことです。PCRとは、遺伝子と合成酵素を混ぜて、94℃→60℃→72℃と温度変化させることで遺伝子を二倍に増幅させる手法であり、新型コロナの遺伝子1本が、1サイクルで2本に、2サイクルで4本に、3サイクルでは8本というふうに増加していきます。これを続けると、10サイクルで約千本、20サイクルで約百万本、30サイクルで約十億本、40サイクルで約一兆本と対数的に増えてしまいます。つまり、実施するサイクル数が多すぎると、感染を起こさないような微量のウイルスでも陽性が出てしまうことになります。

徳島大学の大橋教授によると、新型コロナの場合、感染して発熱などの症状が出るには、少なくとも十万個程度のウイルスが必要であるため、20~25サイクルで検査するのが適切なのだそうです。しかし、日本の国立感染症研究所のマニュアルが示すPCRは45サイクルであり、国内メーカーのキットでも40~45サイクルとなっています。つまり、国内でPCR陽性とされている人の殆どは、ノドに十個程度のウイルスが付着していただけであり、新型コロナ感染とは呼べません。そして、もしPCRを20サイクルで検査すれば、陽性者は現在の100分の一になると言われています。

海外でも同様のことが指摘されています。マサチューセッツ州の検査施設の専門家によると、米国のPCR検査も40サイクル程度で実施されていますが、このような検査で陽性となった人の約九割は、30サイクルの検査では陰性になるのだそうです。このため、米国のCDCは、PCR検査のサイクル数について基準を作ることを検討中であると述べています。また、英国のオックスフォード大学の研究でも、PCR検査に関わる多数のデータを解析した結果、パンデミックの規模が過大に評価されている可能性が示唆されました。このため、同大学のカール・ヘネガン教授は、ごく少量のウイルスで陽性判定が出ないように、サイクル数の基準を設けるべきだと指摘しています。

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実は私自身も、研究でPCRを行っていますが、40サイクル以上で認められた陽性反応は殆ど無意味である、というのは実験者の常識です。実際のところ、遺伝子やプライマーの種類に関わらず、40サイクルにもなれば、たとえ水道水を使っても陽性になることがあります。だからこそ、検査の陰性対照となる「テンプレート無しコントロール(NTC)」には超純水を使いますし、海外における新型コロナのPCRでも、パパイヤの果汁で陽性が出たという笑い話も耳にします。もちろん、この話の真偽は分かりませんが、サイクル数が多すぎると感染拡大を正しく評価できないという事実を鑑みれば、日本でも、早急にPCR検査におけるサイクル数の基準を設けて、新型コロナの感染者数を正確に把握できるよう努めていくのが重要だと考えます。

もうひとつの問題として、PCR検査はウイルスの死骸でも陽性になってしまうことが挙げられています。たとえば、ある方がウイルスに接触したものの、自然免疫力によって粘膜表面でウイルスを撃退して、発症に至らなかった場合には、本来それは感染とは呼べないのですが、新型コロナにおいては、そのようなウイルス撃退者(=PCR検査では陽性)も感染者と呼ばれてしまっています。理論的に考えれば、仮にPCRで陽性反応が出たケースでも、二週間経って症状が出なければ(潜伏期であった場合を考慮して)、それは感染者ではなくウイルス撃退者であると定義して、累積の感染者数に含めないようにすべきだと思います。そうしないと、感染者数が無意味に水増しされてしまい、ひいては、ウイルスの感染力の強さを正しく評価できない結果につながってしまいます。

さらに、新型コロナでは、「無症状感染」という言葉まで出ていますが、そもそも無症状感染者(いわゆる不顕性キャリア)というのは、臨床症状は無いが体内でウイルスが増殖して体外に排出されている状態を指します。ですので、新型コロナにおけるPCR陽性者のように、単にノドの粘膜にウイルスの死骸が付着していただけの人を無症状感染者と呼ぶのは、医学的にはナンセンスですし、不必要な恐怖を煽ることになりかねません。インフルエンザ等の他のウイルス疾患においても、発熱などの症状が出ていて、なおかつ検査で陽性のときのみ感染者(患者)として扱われていますので、新型コロナの感染者も同様の定義にすべきなのかもしれません。

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以上をまとめると、日本でも諸外国でも、新型コロナの感染者数が大幅に水増しされている可能性は否定できないと思われます。また、自然免疫力でウイルスを退けた健常者でも、PCRでウイルスの死骸が検出されたというだけで、「無症状感染者」という名前の病人にされてしまっているのかもしれません。PCR検査の限界点を踏まえれば、早急にサイクル数の基準を世界的に定めて、新型コロナの感染拡大を正確に評価することで、社会的距離政策やワクチン接種の必要性を正しく判断するべき段階にきているのかもしれません。

新型コロナを正しく恐れるためには、感染状況を正しく把握することが必須ですので、そのためには、PCR検査の基準を改善して、正しい情報を得られるように取り組んでいくべきではないでしょうか。

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関連サイト:
新型コロナ感染者数「大幅水増し」疑惑報道は本当か
新型コロナウイルス検査、「死んだウイルスを検知」か=英研究
Your Coronavirus Test Is Positive. Maybe It Shouldn’t Be.


馬の文献:喉嚢真菌症(Matsuda et al. 1999)

「馬の喉嚢真菌症に起因する鼻出血を予防するためのマイクロコイルを用いた内頚動脈遮閉術」
Matsuda Y, Nakanishi Y, Mizuno Y. Occlusion of the internal carotid artery by means of microcoils for preventing epistaxis caused by guttural pouch mycosis in horses. J Vet Med Sci. 1999; 61(3): 221-225.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に起因する鼻出血(Epistaxis)の有用な予防法を検討するため、九頭の健常な実験馬を用いて、マイクロコイル(Microcoils)を用いた内頚動脈(Internal carotid artery)の遮閉術(Occlusion)が試験されました。この研究の術式では、まず内頚動脈をその起始部(Origin)で結紮(Ligation)してから、その上流部から挿入したカテーテルを13cmの位置まで進展させ、脈管造影(Angiogram)を介して動脈の走行具合が確認されました。そして、カテーテルを通してマイクロコイル(太さ0.46mm、長さ70mm)を血管内に押し入れることで、動脈遮閉が施され(マイクロコイルは、血管内で長さ約6mmの竜巻状に丸まり、内腔を閉鎖する)、脈管造影によって血流遮断が達成されている事を確認してから、切開創が縫合閉鎖されました。

結果としては、1~2個のマイクロコイルを用いた動脈遮閉術によって、内頚動脈血流の完全な遮断が達成され、術後合併症(Post-operative complications)や異常臨床所見を呈した馬は一頭もありませんでした。また、この動脈遮閉の結果、反対側の内頚動脈への血流量が約58%増加(血圧50mmHgの場合)したことが確認され、剖検(Necropsy)では、血栓形成(Thrombus formation)によって動脈腔の完全閉鎖(Complete obstruction)が生じていました。さらに、この術式が応用された二頭の臨床症例では、合併症や鼻出血の再発(Recurrence)は認められませんでした(術後の内視鏡検査は実施されていない)。このため、喉嚢真菌症の罹患馬に対しては、マイクロコイルを使用した内頚動脈の遮閉術によって、充分な病巣部治癒と、致死的出血(Fatal hemorrhage)の予防が達成され、良好な予後を示す馬の割合が高いことが示唆されました。

一般的に、マイクロコイルによる動脈遮閉術では、陰性帯電(Negatively charged)されたコイルが陽性帯電(Positively charged)している血液と触れることで、赤血球の凝集と粘着(Agglutination and adherence)を引き起こす事が知られています。その結果、血管内凝固(Intra-vascular coagulation)を誘導させ、マイクロコイルの挿入から数分以内で、血栓形成に至ると考えられています。馬の内頚動脈に対するマイクロコイル挿入時には、血流を完全に塞き止めるために、複数のコイル挿入を要する馬もあった事から、一つ目のマイクロコイルは出来るだけ遠位部に挿入して、二つ目または三つ目のコイルを挿入する余裕を残しておく事が望ましい、という提唱がなされています。

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馬の病気:喉嚢真菌症


馬の文献:喉嚢真菌症(Bacon-Miller et al. 1998)

「喉嚢真菌症に対するバルーンカテーテル治療において大脳動脈の解剖学的異常に起因する合併症を生じた馬の一症例」
Bacon-Miller C, Wilson DA, Martin DD, Pace LW, Constantinescu GM. Complications of balloon catheterization associated with aberrant cerebral arterial anatomy in a horse with guttural pouch mycosis. Vet Surg. 1998; 27(5): 450-453.

この研究論文では、喉嚢真菌症(Guttural pouch mycosis)に対するバルーンカテーテル治療(Balloon catheterization)において、大脳動脈の解剖学的異常(Aberrant cerebral arterial anatomy)に起因する合併症(Complications)を生じた馬の一症例が報告されています。

患馬は、三歳齢のクォーターホース去勢馬(Gelding)で、一ヶ月間にわたる間欠性鼻出血(Intermittent epistaxis)の病歴で来院し、内視鏡検査(Endoscopy)で真菌病巣を視認することで、喉嚢真菌症の確定診断(Definitive diagnosis)が下されました。治療としては、致死的出血(Fatal hemorrhage)を予防するため、バルーンカテーテル(Balloon-tipped catheter)による内頚動脈遮閉術(Occlusion of internal carotid artery)が選択されました。

手術では、全身麻酔下(Under general anesthesia)での横臥位(Lateral recumbency)において、総頚動脈(Common carotid artery)からの内頚動脈起始部を結紮(Ligation)して、その下流部に設けた動脈切開術(Arteriotomy)からバルーンカテーテルが挿入されました。しかし、このカテーテルは、10cm以上進展させることが出来ず、その時点で麻酔下の患馬が無呼吸状態(Apnetic)になったため、機械的補助呼吸(Mechanical ventilation)が行われ、カテーテルを3~4cm引き戻し、再び推し進めた箇所でバルーンが膨らまされました。

患馬は、自発呼吸(Spontaneous ventilation)を取り戻したものの、ビオー呼吸(Biot’s breathing)(無呼吸状態から1~2回の深い呼吸を繰り返す)のパターンを示し、眼瞼反射および角膜反射(Palpebral/Corneal responses)は消失していました。覚醒室(Recovery stall)に移動させた後は、ドキサプラムとプレドニゾロンが投与されましたが、起立しようとする仕草は弱々しく不協調的(Attempts to raise were feeble and uncoordinated)で、瞳孔反射および疼痛反射(Pupillary and pain responses)は徐々に損失していきました。そして、肺水腫(Pulmonary edema)を示す血様泡沫(Blood-tinged froth)を鼻孔から排出し、手術から一時間後に斃死しました。

剖検(Necropsy)では、罹患側の後頭動脈(Occipital artery)は見当たらず、内頚動脈(もしくは、そうと思われた動脈)は異常分枝(Aberrant branch)となって、正常よりもやや内側方向(More medial course of the internal carotid artery)へと走行しており、バルーンカテーテルの先端は、脳底動脈(Basilar artery)と尾側大脳動脈(Caudal cerebellar artery)の連結部位まで達していました。罹患側の内頚動脈は、S字状湾曲(Sigmoid flexures)は認められず、舌下管(Hypoglossal canal)から頭蓋(Cranium)へと進入していました。このため、今回の症例では、異常分枝の存在に起因して、誤った箇所にバルーンカテーテルが作用された結果、脳組織への血流障害および脳浮腫(Cerebral edema)を引き起こして、重篤な神経症状(Severe neurologic signs)を呈したものと推測されました。

この研究では、手術の際の切開時において、内頚動脈の頭側部から起始しているハズの後頭動脈は見当たりませんでしたが、内頚動脈(もしくは、そうと思われた動脈)の中をカテーテルが通過していくのを内視鏡下で観察した後で、バルーンが膨らまされました。このため、術中の内視鏡所見は、異常分枝の有無を見極める指標としては信頼性が低いことが示唆され、十分な広さの軟部組織切開(Adequate soft tissue dissection)を施したり、動脈造影レントゲン検査(Angiogram)を併用することで、内頚動脈の走行を視認することの重要性を、再確認させるデータが示されたと言えます。また、馬によっては、内頚動脈の第二S字状湾曲部(second curve of the sigmoid)に起始した小さな分枝が、脳底動脈と連結している解剖学的異常もある事から(Freeman et al. Vet Surg. 1993;22:531)、内頚動脈の異常分枝の存在を完全に除外診断するためには、蛍光透視装置(Fluoroscopy)などによる術中モニタリングも有用であると考察されています。

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