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タグ:サイエンス のエントリー一覧

  • 競走馬のプアパフォーマンスの原因疾患と運動能力指標との関連性

    話題 - 2023/08/21

    競馬のレースにおいて、人気馬が惨敗した時には、その理由がハッキリとは分からない事も多々あります。一般的に、競走馬のプアパフォーマンスの要因としては、運動器系、呼吸器系、心脈管系などの疾患が関与していると言われていますが、それらの複合性については詳細には解明されていません。ここでは、スタンダードブレッドの競走馬におけるプアパフォーマンスについて調査した知見を紹介します。参考文献:Lo Feudo CM, Stucchi...

  • 馬の息労では口蓋病が続発する?

    話題 - 2023/08/14

    近年、馬の呼吸器疾患に関する獣医学領域では、「統合気道疾患(Unified airway disease)」という理論が提唱されています。これは、上部気道と下部気道は、生理学的および機能的に同じユニットを形成しているのだから、上下気道の病気も一緒に発症するものである、という仮説に基づいています。ここでは、下部気道疾患である息労(喘息)と、上部気道疾患である口蓋病の関連性について調査した知見を紹介します。この研究では、ポ...

  • 電磁波馬着で馬の背筋痛を改善

    馬の飼養管理 - 2023/06/28

    近年の研究では、電磁波を出す馬着を用いることで、運動神経制御や脊椎柔軟性を向上させて、馬の背筋痛を緩和できることが示されており、炎症や硬化などの副作用も無いと言われています。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Bio-Electromagnetic Blanket Can Help Horses With Back Pain. The Horse, Article, Back and Spine, Horse Care, Pain Management, Sports Medicine, Tack: Jan 31, 2023. 先端技術を応用したこの馬着...

  • 馬に対するセフチオフルの使い方

    話題 - 2023/04/29

    セファロスポリン系の抗生物質は、1964年に初めて市販されるようになって以降、ヒト医療と獣医療の両方でポピュラーになってきました。世界的に見ても、その使用は2000~2015年にかけて著しく増加し、発展途上国でのセファロスポリンの使用量が399%も増加したことが知られています。セフチオフルは、第三世代のセフェロスポリンであり、多くのグラム陰性菌および陽性菌に効くことから、全身投与薬として馬の治療にも一般的に使用さ...

  • 馬の虚血再灌流障害における空腸の虚弱性

    話題 - 2023/01/18

    馬の小腸の絞扼性疾患(空腸捻転や有茎性脂肪腫、網嚢孔捕捉など)では、絞扼を整復して虚血していた箇所に血流を回復させると、その再灌流が原因で組織損傷が起こってしまうという現象が知られており、また、その際に流出する炎症性物質によって、他の部位の腸管が通過障害(術後イレウス)を続発したり、全身の多臓器が損傷を受けるという危険性が指摘されています。ここでは、そのような虚血再灌流障害(Ischemia-reperfusion i...

  • 調馬索と直線での馬の歩様対称性の変化

    話題 - 2023/01/10

    一般的に、馬の歩様検査では、軽度な跛行ほど評価が難しいことが知られており、被験馬に調馬索運動をさせることで、跛行症状を明瞭化させる手法が用いられています。しかし、回転運動における馬体動作の非対称性が、歩様評価の正確性を下げてしまう懸念もあります。この問題を検証するため、下記の研究では、201頭の健常馬を用いて、直線運動および調馬索運動における頭頂部/仙骨部の動きを加速度センサーで計測して、直線と左右の...

  • 馬の深屈腱の“半切断術”

    話題 - 2022/11/08

    馬の蹄葉炎の外科的治療では、深屈腱の切断術(切腱術)が行なわれますが、腱の機能が完全に損失することで、運動能力低下や蹄関節不安定性などの副作用があります。ここでは、切腱術の変法として、深屈腱の“半切断術”(Hemitenotomy)をしたときの効果を評価した知見を紹介します。この研究では、屠体肢を用いた実験によって(15対の深屈腱、16対の前肢)、深屈腱を二箇所で半切断(背側半分と掌側半分を切断、3cm間隔)または完...

  • 競走馬の不整脈とプアパフォーマンスの関連性

    話題 - 2022/10/21

    一般的に、馬のプアパフォーマンスでは、運動器系および呼吸器系に次いで、心脈管系の疾患が、三番目に多い原因であることが知られていますが、その発生率や、他病態との相互作用については不明な点が多いと言えます。ここでは、競走馬のプアパフォーマンスと不整脈の関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、イタリアのミラノ大学の獣医大学病院において、2005~2015年にかけて、プアパフォーマンスの症状を呈した158頭...

  • 馬の心調律障害とプアパフォーマンスの関連性

    話題 - 2022/10/21

    レース中の競走馬がプアパフォーマンスを示したときに、その原因として、心臓の調律障害があるのかもしれない、という研究が行なわれています。参考文献:Marr CM, Franklin S, Garrod G, Wylie C, Smith L, Dukes-McEwan J, Bright J, Allen K. Exercise-associated rhythm disturbances in poorly performing Thoroughbreds: risk factors and association with racing performance. J Vet Cardiol. 2021 Jun;35:14-24.この研究...

  • 外傷の滑膜侵襲での造影検査

    話題 - 2022/10/20

    一般的に、馬が四肢に外傷を負ったときに、滑膜組織(関節、腱鞘、滑液嚢など)に侵襲が及んでしまうと、難治性の細菌性滑膜炎を続発して、予後不良になる危険性が高いことが知られています。このため、特に関節や腱鞘に近い箇所に切り傷を負った馬においては、その外傷が滑膜侵襲を伴っているか否かを、初診の段階で確定診断しておくのが極めて重要となります。たとえ、見た目が小さなキズでも、それが深部に及んで、関節腔や腱鞘...

  • 馬の小腸絞扼は切除しなくても治る?

    話題 - 2022/10/19

    一般的に、馬の疝痛の原因となる小腸疾患は、絞扼性の病態を呈することが多く、開腹術による外科的療法を要することが殆どですが、虚血性損傷を起こしている小腸を、切除・吻合するか、それとも、そのまま閉腹して自然治癒を待つかは、執刀医にとって迷い処だと言えます。虚血性損傷を起こした小腸を、体内に残したままにしておくと、癒着、再灌流障害、術後イレウス、蹄葉炎などを続発する危険性があり、2回目の開腹術を要するケ...

  • 肥満の馬での術創感染のリスク

    話題 - 2022/10/19

    馬の疝痛治療のための開腹術において、肥満であることの危険性が調査されています。参考文献:Hill JA, Tyma JF, Hayes GM, Radcliffe R, Fubini SL. Higher body mass index may increase the risk for the development of incisional complications in horses following emergency ventral midline celiotomy. Equine Vet J. 2020 Nov;52(6):799-804.ヒト医療では、肥満体型であることが手術後の死亡率や合併症の発症率の高さに...

  • 2回目の疝痛手術のリスクは?

    話題 - 2022/10/18

    馬の開腹術のあとに疝痛症状が再発した場合、もう一度、お腹を開けるか否かは、ホースマンにとっても獣医師にとっても、かなりの迷い処かもしれません。ここでは、疝痛馬での2回目の開腹術において、生存率に関わる因子を調査した論文を紹介します。この研究では、英国のリバプール大学の獣医病院において、2002~2012年にかけて、疝痛治療のための開腹術のあとに、八週間以内に“再開腹術”(Relaparotomy)が実施された症例馬にお...

  • COX-2限定阻害薬:馬の小腸絞扼での効能

    話題 - 2022/10/15

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • COX-2限定阻害薬:馬の内臓疼痛での効能

    話題 - 2022/10/15

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • COX-2限定阻害薬:馬の去勢手術での効能

    話題 - 2022/10/14

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • 競走馬の故障と落馬との関連性

    話題 - 2022/10/13

    一般的に、競走馬がレース中に重篤な故障を発生した場合、乗っている騎手にも危険が及ぶと推測されます。ここでは、競走馬の致死的故障(安楽殺となるような重度骨折や心臓疾患による突然死など)の発生が、騎手の落馬や怪我にどの程度影響しているのかを調査した研究を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア州の競馬場において、2007~2012年に起こった競走馬の致死的故障、および、騎手の落馬や怪我のデータが収集され...

  • 馬の骨折と蹴傷の関連性

    馬の飼養管理 - 2022/10/13

    馬の骨折が発症する原因は、馬の用途によって多様ですが、全般的な馬の骨折の発症要因を解明しようとする試みも成されています。下記の研究では、スイスの二箇所の獣医大学病院において、1990~2014年にかけて、骨折の診断や治療のために来院した1,144頭の馬における、医療記録の解析が行なわれました。参考文献:Donati B, Furst AE, Hassig M, Jackson MA. Epidemiology of fractures: The role of kick injuries in equine frac...

  • 競走馬の関節注射と骨折の関連性

    話題 - 2022/10/12

    馬の健康問題の八割は運動器疾患であり、そのうち最も多いのは関節疾患であることが知られています。そのような関節疾患の内科的治療としては、抗炎症剤やヒアルロン酸の関節注射が実施されることがありますが、疼痛を緩和するメリットに併せて、一次病態を悪化させたり、軟骨変性を進行させるなどのデメリットも指摘されています。ここでは、競走馬の関節注射と骨折との関連性について調査した知見を紹介します。この研究では、英...

  • 馬の管部への診断麻酔の手法

    話題 - 2022/10/11

    馬の跛行検査における神経ブロックは、疼痛の限局化および原因疾患の確定診断のために必須の手法ですが、前肢の近位管部における診断麻酔では、その反応性や検査結果の解釈の難易度が高いと言われています。その要因としては、高四点神経ブロックで麻酔される掌側神経と掌側中手神経が、軟部組織の深部を走行しており、注射した局所麻酔薬が近位または遠位に浸潤して、無痛化される領域が紛らわしくなること、管骨の近位掌側部(繋...

  • 馬の圧迫バンによる神経ブロックへの影響

    話題 - 2022/10/11

    馬の跛行検査における神経ブロックは、疼痛を限局化するのに有用であり、原因疾患の確定診断には必須の手順であると言われています。しかし、神経ブロックで投与された局所麻酔薬は、時間が経つと注射箇所よりも近位側に浸潤されることから、無痛化領域が予測以上に拡大してしまい、診断麻酔に対する反応性の解釈が難しくなり、疼痛箇所を誤診するリスクが指摘されています(上図の青色領域が予測される無痛化領域です)。ここでは...

  • エコーでの馬の肩関節注射

    話題 - 2022/10/10

    エコーを使った馬の肩跛行の診断麻酔が試みられています。参考文献:Schneeweiss W, Puggioni A, David F. Comparison of ultrasound-guided vs. 'blind' techniques for intra-synovial injections of the shoulder area in horses: scapulohumeral joint, bicipital and infraspinatus bursae. Equine Vet J. 2012 Nov;44(6):674-8.この研究では、超音波誘導または盲目的注射法を介して、造影剤と染色剤(メチレンブルー)の混合...

  • 膝関節の診断麻酔で蹄跛行が消える?

    話題 - 2022/10/10

    馬の跛行検査において、疼痛箇所を限局するための診断麻酔は重要な手技であり、原因病態を確定診断するには必須であると言われています。しかし、馬の後肢の解剖学では、遠位肢の疼痛を支配する神経は、その近位部では膝関節包の尾側を走行しているため、局所麻酔薬の浸潤度合いによっては、疼痛緩和の領域が混同されて、原因疾患を誤診してしまう危険性が指摘されています。この現象を評価するため、下記の研究では、蹄部クランプ...

  • 疝痛手術後の牝馬での出産率

    話題 - 2022/10/05

    妊娠牝馬に対する疝痛手術後の、出産率が検証されています。参考文献:Drumm NJ, Embertson RM, Woodie JB, Ruggles AJ, Hopper SA, Fimmers R, Handler J. Factors influencing foaling rate following colic surgery in pregnant Thoroughbred mares in Central Kentucky. Equine Vet J. 2013 May;45(3):346-9.もし、妊娠中の繁殖牝馬が疝痛になってしまった場合、全身麻酔を要する開腹手術をすると、流産してしまうのではないか...

  • 馬の抗真菌剤の局所灌流

    話題 - 2022/10/03

    抗真菌剤の局所灌流によるカビ症の治療例が報告されています。参考文献:Doria RG, Freitas SH, Linardi RL, Mendonça Fde S, Arruda LP, Boabaid FM, Valadao CA. Treatment of pythiosis in equine limbs using intravenous regional perfusion of amphotericin B. Vet Surg. 2012 Aug;41(6):759-65.この研究では、遠位肢のPythium insidiosum感染によるフハイカビ症の診断が下された12頭の患馬に対して、抗真菌剤(=アンフォテ...

  • 抗生物質による馬の下痢症

    話題 - 2022/10/01

    馬の抗生物質に起因する下痢症の実態が調査されています。参考文献:Barr BS, Waldridge BM, Morresey PR, Reed SM, Clark C, Belgrave R, Donecker JM, Weigel DJ. Antimicrobial-associated diarrhoea in three equine referral practices. Equine Vet J. 2013 Mar;45(2):154-8.この研究では、米国の三つの州の馬の紹介診療施設における、5,251頭の馬症例の医療記録が解析され、抗生物質の投与に起因する下痢症を発症したのは32...

  • 馬における破骨細胞抑制剤の安全性

    話題 - 2022/09/30

    近年、馬に対して頻繁に用いられるようになってきた薬剤として、破骨細胞の抑制剤であるビスホスホネート(Bisphosphonates)があります。ここでは、このビスホスホネートの安全性に関する知見を紹介します。参考文献:Vergara-Hernandez FB, Nielsen BD, Colbath AC. Is the Use of Bisphosphonates Putting Horses at Risk? An Osteoclast Perspective. Animals (Basel). 2022 Jul 3;12(13):1722.破骨細胞とは、単球系の前駆細胞...

  • 牝馬の帝王切開後の繁殖能力

    話題 - 2022/09/29

    繁殖牝馬における帝王切開の後の繁殖能力が調査されています。参考文献:Abernathy-Young KK, LeBlanc MM, Embertson RM, Pierce SW, Stromberg AJ. Survival rates of mares and foals and postoperative complications and fertility of mares after cesarean section: 95 cases (1986-2000). J Am Vet Med Assoc. 2012 Oct 1;241(7):927-34.一般的に、馬の難産の症例では、15~25%に対して帝王切開が適応され、母体の生存率は81...

  • 手術スキルは覚えにくく忘れやすい

    話題 - 2022/09/29

    海外では、獣医師の手術スキルに関して、どのような手法で学んでいくのが良いのか、という研究が行なわれています。米国のアーバン大学の研究[1]では、獣医学生に手術の縫合方法(外科結び、締め結び、ミラー結び)を習得させるため、二週間にわたる集中的講習、または、八週間にわたる持続的講習を実施して、その直後、その翌月、および、三ヶ月後における縫合手技の正確さが評価されました。その結果、集中的講習を受けた場合よ...

  • 厩舎に音楽を流すことの効能

    馬の飼養管理 - 2022/09/28

    馬が飼養されている厩舎では、BGMとしてクラシック音楽を流されている事がありますが、実際に馬に対してどのような効果がもたらされているのか、という研究も実施されています。参考資料:Classical Music Could Help Your Horse De-stress. Horse Illustrated: Nov7, 20116.Why You Should Play Music for Your Horse. I love horses: Aug28, 2020.Barn Beat: What Music Style is Best for Horses? EquiNews: May13, 2013.タイ国...

  • 障害飛越の反抗や落下を科学する

    話題 - 2022/09/27

    乗馬における障害飛越競技は、馬術競技の一つで、障害物が設置されたコースを、乗馬して通過する技術を競う競技です。障害飛越の採点は、基本的に減点方式で行なわれ、障害物を逃避したり拒止した場合を反抗、バーを落下させたり障害を壊した場合を落下として、いずれも減点行為となりますが、反抗を二回繰り返したり、落馬や経路違反した場合などでは失権となります。今回は、障害飛越における減点(主に反抗や落下)が起こる要因...

  • 馬の行動と腸内細菌叢の関連性

    話題 - 2022/09/27

    馬の行動と腸内細菌叢の関連性について、徐々に新たな知見が示されています。参考資料:Stacey Oke, DVM, MSc. Horse Behavior and the Microbiome: What’s the Connection? The Horse, Topics, Behavior, Digestive System, Digestive Tract Problems, Horse Care, Nutrition, Vet and Professional: Nov27, 2021.近年、ヒト医療の分野において、脳の状態が腸に影響を及ぼし、逆に、腸の状態も脳に影響を及ぼす現象が研究されてお...

  • 馬の疼痛エソグラムの有用性

    話題 - 2022/09/23

    馬の健康問題で最も多く見られるのが運動器疾患であり、運動器の疼痛によって歩様の左右対称性が失われた状態を、一般的には「跛行」と呼んでおり、点頭運動やヒップボブ動作によって跛行の存在が視認されてきました。しかし、近年では、騎乗時の馬の行動様式から、運動器の疼痛を検知しようという試みがあり、幾つかの馬の行動パターンが、疼痛の存在と相関することが分かってきました。もし、馬が疼痛を感じているか否かを、微妙...

  • 馬のリハビリ療法:10個の重要事項

    馬の飼養管理 - 2022/09/22

    馬の運動器疾患のなかでも、腱や靭帯、関節組織の損傷は、治癒に長期間を要することが多く、その治療期間中には、筋委縮によるパフォーマンスの低下を起こすことが一般的です。近年、馬の獣医療においては、ヒト医療におけるリハビリ療法と同様に、長期間の病気療養で下がってしまった馬の競技能力を、如何に短期間かつ有効に回復させていくか、という理念が生まれ、その技術や知見が深まってきています。ここでは、そのような馬の...

  • 馬の跛行をスマホで見つける?

    話題 - 2022/09/22

    馬に起こる健康問題で最も多いのは、運動器疾患に起因する跛行であることが知られています。その中でも、特に後肢の軽度跛行は、前肢の跛行に比べて、ホースマン自身で気付くのが難しいことがあるため、獣医師への相談が遅れるケースもあると考えられます。一方、近年は、スマホ機器の発達によって、様々な測定機能が付与された結果、垂直または水平方向への加速度をスマホで計測できるようになってきました。ここでは、スマホ機器...

  • 馬の整体は背筋痛に効く?

    話題 - 2022/09/21

    馬の整体(Chiropractic)の効き目について疑問を持たれているホースマンの方もいらっしゃるようです。ここでは、馬の背筋痛に対する整体の効能を評価した知見を紹介します。オランダのユトレヒト大学の研究[1]では、背部に問題があると診断された10頭の温血馬に対して、整体処置(背部、頚部、骨盤領域の用手操作)が施され、処置前、処置一時間後、および、処置三週間後における運動学的歩様解析が実施されました。その結果、処...

  • 馬のメラノーマは予防接種で防げるのか?

    話題 - 2022/09/19

    馬のメラノーマ(別名:黒色腫)は、最も多く見られる皮膚の腫瘍の一つで、15歳以上の芦毛馬における有望率は八割にのぼると言われています。幸いにも、悪性の病態を示すものは少ないものの、肛門やノドの周りにできると、排便障害や呼吸困難を呈することもあります。ここでは、馬のメラノーマの予防接種に関する現状を紹介します。参考資料:Nancy S Loving. Equine Melanoma Vaccines. The Horse, Topics: jan19, 2018.New Treat...

  • 馬装で不機嫌になる馬

    馬の飼養管理 - 2022/09/18

    馬が馬装されるときに不機嫌になるのは、一般的なことだと思われているかもしれません。しかし、英国の跛行研究者であるスー・ダイソン博士によると、馬の疼痛を上手に管理してあげることで、そのような行動が改善されることも多いと言います。参考資料:Betsy Lynch. Grumpy Horse While Tacking and Mounting? That’s Not Normal. The Horse, Topics, Behavior, Pain Managemen: Jan 29, 2022.Millares-Ramirez EM, Le Jeune SS....

  • 馬の便秘疝の治療によって腸捻転が起きる?

    話題 - 2022/09/18

    馬の結腸食滞(いわゆる便秘疝)は、最も発症率の高い消化器疾患の一つであることが知られています。便秘疝の治療では、経静脈補液によって脱水を改善しながら、経鼻チューブを通して、下剤(硫酸マグネシウム)や流動パラフィンを投与する方針が古典的ですが、近年では、経鼻チューブを通して多量(8~10L)の電解質液を投与するという経腸補液療法が実施されています。この手法では、食滞物を直接的に軟化および遊離させることか...

  • 馬のボーンシストの螺子はラグ固定しなくても良い?

    話題 - 2022/09/16

    馬のボーンシストの螺子固定術馬のボーンシスト(軟骨下骨嚢胞)は、大腿骨の内顆に好発し、関節鏡での掻把術や抗炎症剤のシスト内投与等で治療されますが、近年では、シストを貫通するように螺子固定する外科的療法が行なわれています。螺子固定によってボーンシストが治癒する理由としては、螺子が嚢胞内腔に圧迫負荷を加えることで、骨造成を刺激することが挙げられており、このため、ボーンシストの螺子固定術では、ラグスクリ...

  • 手術手袋は二重に着けよう

    話題 - 2022/09/14

    近年のヒトの医療では、外科医が手術手袋を二重に装着することはスタンダードとなっており、その理由は、手術手袋の穿孔が意外に頻繁に起こっているエビデンスが示されてきたからです。馬の手術では、ヒトの手術と異なって、患者の血液に触れることでエイズやB型肝炎などが伝搬するリスクは無いものの、一方で、馬はヒトよりも感染に弱いため、外科医の手指に存在する細菌を術創に移してしまわないように(いくら手指をスクラブし...

  • 馬の関節鏡でも局所麻酔を

    話題 - 2022/09/13

    馬の手根関節の関節鏡手術は、小片骨折片の摘出、および、変性関節疾患のクリーニング手術(軟骨病巣掻把や滑膜切除術)などの目的で実施されることが多く、競走馬の臨床において、最も頻繁に行なわれる手術の一つです。今回は、局所麻酔薬の関節内投与によって、関節鏡手術中の疼痛管理を行なった知見を紹介します。参考文献:Gaesser AM, Varner KM, Douglas HF, Barr CA, Hopster K, Levine DG. The effect of intra-articular ...

  • 馬の月盲をスマホアプリで診断?

    話題 - 2022/09/11

    馬の月盲とは、ブドウ膜炎が一定期間おきに繰り返し発症する疾患で、馬回帰性ブドウ膜炎とも呼ばれます。この病気は、慢性になると難治性で、馬の失明の最も多い原因となっており、早期診断と早期治療が重要であると言われています。このため、獣医師の眼科検査に依存しなくても、馬主や飼養管理者が、馬の眼をカメラで撮影して、人工知能が画像解析することで月盲の診断を自動で下せる、というシステムが検討されています。参考文...

  • キネシオテープは馬の腹筋に効く?

    話題 - 2022/09/10

    キネシオテープとは、正式名をキネシオロジーテープ(Kinesiology taping)と言い、伸縮性のある綿やアクリル製のテープに接着剤がついているもので、筋肉と同じ伸縮率を持ったテープだと言われています。このテープを筋肉の走行に沿って、緊張を掛けるように皮膚に貼り付けることで、体内に隙間が出来てリンパ液の流れが良くなり、新陳代謝の改善および自然治癒力の向上を誘導して、筋肉の痛みを取り除くと言われています。キネシ...

  • 馬の幹細胞治療は本当に効くのか?

    話題 - 2022/09/09

    馬の運動器疾患には、屈腱炎や繋靭帯炎、関節炎などの難治性の病気も多く、抗炎症剤やヒアルロン酸の全身又は局所投与、ショックウェーブ治療、多血小板血漿の局所投与などの治療法が実施されています。また、近年では、間葉系間質細胞(Mesenchymal stromal cells)などの幹細胞を局所投与する再生医療も、様々な疾患に応用されて、良好な治療成績も報告されています。その一方で、幹細胞治療における有効投与量(注射する細胞数...

  • 競走馬は故障前に歩幅が狭くなる?

    話題 - 2022/09/08

    一般的に、競走馬の故障(運動器疾患)は、突発的に発生するのではなく、骨や腱、関節などへの微細損傷が蓄積することによって発症に至ることが知られています。つまり、強度運動による組織損傷の度合いが、組織修復の度合いを上回ってしまうと、故障を起こし易い肢の状態になると考えられています。このため、そのような微細損傷が蓄積している状態を未然に検知して、故障の前兆として認識することが出来れば、レース前の運動強度...

  • 「青い光」で馬のクッシング病対策

    話題 - 2022/09/07

    馬のブルーライトマスクとクッシング病についてブルーライトマスクとは、馬に装着させる面子(マスク)の眼の部分に、青い光を発する電球が取り付けられている馬具を指します。これまで繁殖馬においては、夜間に馬房の証明を灯すことで概日リズムを調整して、繁殖期の初回排卵を早めるというライトコントロールという管理法が実践されてきましたが、ブルーライトマスクを装着させることで、屋内照明を同じように作用して、放牧場で...

  • マイクロチップで馬の検温

    話題 - 2022/09/07

    馬の体温を測るために、体内に埋め込んだマイクロチップを使う方法が検討されています。馬の体温は、様々な病気で上がり、その診断や経過観察に必要であるのみならず、暑熱環境での運動後のクールダウンの目安としたり(熱射病予防のため)、妊娠牝馬の分娩タイミングを事前に知るためにも応用されています(分娩の数時間前から体温低下するため)。一般的に、馬の体温は直腸で測られますが、手間が掛かったり、馬に蹴られるリスク...

  • りんご味のハミで疝痛治療?

    話題 - 2022/09/04

    りんご味のハミを着けることで、疝痛の治療に役立つという知見が報告されています。馬の疝痛のなかでも、特に小腸疾患で開腹術を行なった後には、術後腸閉塞(POI: Postoperative ileus)という合併症を起こすことが知られています。過去の知見では、馬のPOIの致死率は八割以上に上ることが報告されています[1]。POIの発症馬には、蠕動促進剤や抗炎症剤が投与されますが、難治性の経過を取り、蹄葉炎を続発して予後不良となる症例...

  • 馬のアイラップ治療と運動の関連性

    話題 - 2022/09/03

    馬のアイラップ治療と運動の関連性について検証が行なわれています。馬の運動器疾患のうち、最も発症率が高いのは関節炎であると言われており、抗炎症剤の関節内投与が行なわれていますが、副作用の懸念があることに加えて、禁止薬物であるため競走馬に使用できないという制約があります。その代わりとして、近年では、馬自身の血液を処理した自己調整血清(ACS: Autologous conditioned serum)を関節内に注射する療法が応用され...

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プロフィール

Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: アラフィフ
住所: 北関東
職業: 獣医師・獣医学博士
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