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タグ:手術 のエントリー一覧

  • 馬の管骨外顆骨折での螺子配列の影響

    話題 - 2024/03/27

    馬における管骨の外顆骨折(Lateral condylar fracture)は、競走馬の運動器に起こる重篤損傷の約三割を占めており、螺子固定術によって骨片安定化が達成されない場合には、球節の変性関節疾患を続発して予後不良になることが知られています[1,2]。ここでは、管骨外顆骨折に対するラグスクリュー固定術(Lag-screw fixation)での、螺子配列の影響について評価した知見を紹介します。下記の研究では、18本の馬の屠体肢に管骨の外顆...

  • 疝痛馬の血液ガス/電解質による開腹術の予後判定

    話題 - 2024/03/17

    馬の疝痛においては、その多くが内科的治療によって回復しますが、開腹術などの外科的治療を要するような重度の症例では、手術適応を早期判断したり、手術が選択肢で無いときには、アグレッシブな保存療法を初期段階で開始することが重要となります。このため、外科的疝痛の診断指標や、予後判定のための指標を確立させることが、馬の疝痛を診察する際に有益であると言えます。ここでは、疝痛馬の血液ガスや電解質の測定値によって...

  • 関節鏡による馬の頚椎の骨片摘出

    話題 - 2024/03/12

    一般的に、関節鏡手術(Arthroscopic surgery)は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、馬の頚椎の関節突起間関節(Cervical articular process joint)での関節鏡治療を評価した知見を紹介します。この研究では、ドイツのベルリン大学の獣医病院において、頚椎関節突起間関節の骨片形成の治療のために関節鏡が実施された...

  • 有棘縫合糸による馬の直腸裂傷の縫合

    話題 - 2024/02/21

    一般的に、馬の直腸裂傷(Rectal tear)は、直腸検査や繁殖関連事故(交配や難産)によって発症し、憩室や蜂窩織炎(直腸の尾側部)、もしくは、感染性腹膜炎を続発することから(直腸の頭側部)、極めて深刻な疾患であることが知られています。直腸裂傷の病態は、粘膜/粘膜下層のみの裂傷(グレード1)、筋層のみの裂傷(グレード2)、奨膜層のみ無傷の裂傷(グレード3)、腸壁全層の裂傷(グレード4)に類別されますが、特に...

  • 馬の開腹術での長期的予後と馬主満足度

    話題 - 2024/02/13

    馬の疝痛治療での開腹術は、侵襲性や合併症の危険も大きく、施術を判断する際には、術後にパフォーマンスを維持できるか否かも、重要な判断要因であると言えます。そこで、下記の研究では、疝痛馬の開腹術後における長期的な予後、および、馬主の満足度を評価するため、米国のワシントン州立大学の獣医病院にて、2014〜2021年にかけて、消化器疾患の治療のために開腹術が実施された馬における、退院後の一年間以上にわたる経過追跡...

  • 馬の角膜潰瘍に対する大腿筋膜移植術

    話題 - 2024/01/16

    競走馬に好発する潰瘍性角膜炎(Ulcerative keratitis)は、眼疾患全体の約半数を占めており、重篤になった場合には視力障害の原因となり、長期的な休養と治療が必要になってきます。また、日本国内の競馬では、失明馬の出走が制限されているため、経済的な側面から見ても、角膜潰瘍を適切に治療して視力を維持することが重要であると言えます[1]。一般的に、点眼療法に不応性を示した潰瘍性角膜炎に対しては、潰瘍が深刻な深さに...

  • 馬の切腱術における最小侵襲性手法

    話題 - 2024/01/03

    馬の蹄葉炎の外科的治療では、深屈腱の切断術(切腱術)が行なわれますが、一般的には、全身麻酔を避けて、立位でのフィールド手術として実施されます。このため、下記の研究では、フィールド手術としての侵襲性を抑えるために、エコー誘導を介した最小侵襲性の術式が検証されています。参考文献:Lalanne C, Bonilla AG. Minimally invasive ultrasound-assisted cutting thread tenotomy of the deep digital flexor tendon in h...

  • 疝痛馬の開腹術後に起こる大腸炎の危険因子

    話題 - 2023/12/27

    一般的に、馬という動物は、開腹術での予後が悪くなりやすいことが知られており、その要因となる術後合併症としては、術創感染、イレウス、内毒素血症、静脈炎、腹膜炎、下痢症、および、大腸炎が挙げられています。また、馬が二次病院で術後入院しているときに起こる大腸炎(Post-operative colitis)は、その発症率が9〜13%に達して[1]、生存率の低下と治療費の高騰に繋がることが知られています。ここでは、疝痛馬の開腹術のあ...

  • 乗用馬の腱鞘炎に対する腱鞘鏡手術

    話題 - 2023/12/26

    一般的に、非感染性の腱鞘炎(Non-septic tenosynovitis)は、腱鞘と呼ばれる、腱組織を包んでいる袋状の滑膜組織に、細菌感染を伴わない炎症を生じる病態を指し、馬の球節〜繋ぎの後面にある指屈筋腱鞘(Digital flexor tendon sheath)に好発することが知られています。この疾患では、腱鞘壁そのものの損傷のほか、深屈腱炎、屈腱袖の裂傷、輪状靭帯炎、および、浅屈腱炎を伴うことが多く、このうち、前者2つにおいては、乗用馬...

  • 馬の舟状骨の嚢胞に対するドリル掻爬術

    話題 - 2023/12/06

    馬の舟状骨症候群(Navicular syndrome:ナビキュラー病)は、乗用馬の前肢に好発し、慢性進行性の蹄踵疼痛を起こす疾患です。この症候群は、舟状骨そのものに退行性変化を起こす場合だけでなく、舟状骨の周囲にある軟部組織(舟嚢、深屈腱、舟状骨繋靭帯、不対靭帯)の炎症や変性を起こす場合が含まれます。ここでは、舟状骨症候群のなかでも、舟状骨に嚢胞様病変を生じた際の治療法として、ドリル穿孔による嚢胞組織の掻爬術を応...

  • 腸間膜憩室ヒモによる馬の疝痛

    話題 - 2023/11/29

    一般的に、腸間膜憩室ヒモ(Mesodiverticular band)は卵黄奇形に分類され、胎生期に腸管と卵黄包を繋いでいる組織が遺残することで発生します。卵黄奇形を分類すると、胎生期腸管の一部が袋状に残ったものをメッケル憩室と呼び、胎生期腸管膜のみが残ってしまうと腸間膜憩室ヒモになります。馬では、このヒモが腸管と干渉して、小腸の捻転・絞扼・捕捉・圧迫などを生じて、疝痛の原因になることが知られています。馬における腸間...

  • 若齢馬の変位疝における手術後の競走成績

    話題 - 2023/11/20

    馬の疝痛治療での開腹術は、侵襲性や合併症の危険も大きく、施術を判断する際には、術後にパフォーマンスを維持できるか否かも、重要な判断要因であると言えます。ここでは、若齢馬の変位疝での開腹術と、その後のセリ価格や競走成績への影響を調査した知見を紹介します。この研究では、米国の二箇所の馬病院において、1998~2016年にかけて、大結腸変位(Large colon displacement)の治療のために開腹術が実施された110頭のサラ...

  • 立位で整復された骨折馬の競走成績

    話題 - 2023/11/18

    一般的に、競走馬に起こる骨折の中でも、基節骨の矢状骨折や、管骨の内顆/外顆の縦骨折では、不完全骨折(亀裂骨折)で骨片変位が無ければ、立位での骨折整復(螺子固定術)が可能であることが知られています。この場合、鎮静と局所麻酔での内固定と、キャスト装着による外固定が併用され、麻酔覚醒時の事故リスクが無いという利点があります。そこで、下記の研究では、骨折馬の立位手術での治療効果を検証するため、英国の馬病院...

  • 馬の球節固定術ではテンションバンドは不要?

    話題 - 2023/11/13

    馬に対する球節固定術は、懸垂装置の破損によって球節の掌側支持機能が失われた場合や(繋靭帯や種子骨靭帯の断裂)、球節の重篤な関節疾患などによって疼痛管理が困難な場合(球節の変性関節疾患)に適応されます。このうち、前者では、球節の懸垂装置の機能を回復させる外科的措置(テンションバンドワイヤーの設置)が必要になるのに対して、後者では、その必要性が低いというのが、これまでの術式選択の指針とされてきました。...

  • 腹腔鏡と自動ロックループを用いた馬の陰睾の手術

    話題 - 2023/10/23

    一般的に、停留精巣(いわゆる陰睾)とは、オス馬の精巣が、正常位置まで下降していない発生学的な病態を指します。馬の陰睾は、幾つかの病態に分類され、① 精巣が鼠径管の内部に位置している病態を鼠径停留精巣(いわゆるハイフランカー)、② 精巣が腹腔内に存在して精巣上体のみが内鼠径輪を通過している病態を不完全腹腔停留精巣、③ 精巣と精巣上体の両方が腹腔内に存在する病態を完全腹腔停留精巣と呼びます。近年では、馬の陰...

  • 馬の鼠径ヘルニアでの予後不良の因子

    話題 - 2023/10/18

    後天性の鼠径ヘルニア(Acquired inguinal hernia)は、内鼠径輪から鼠径管に入り込んだ消化管が絞扼を起こす疾患です。馬においては、最も発生率の高い外ヘルニアであることが知られていますが、小腸絞扼が重篤になると、予後不良になることもあり、意外に怖い病気であると言えます。下記の研究では、馬の鼠径ヘルニアにおける、予後を悪化させる因子を解明するため、ベルギーとフランスの二つの獣医大学病院において、2005〜2020...

  • 双方向の有棘縫合糸による馬の開腹術の縫合

    話題 - 2023/10/14

    馬は、他の動物と異なり、開腹術の術創における合併症を起こし易いことが知られており、その発生率は四割に上ることが報告されています。そこで、下記の研究では、縫合糸の緩みによる術創裂開を抑える手法を検証するため、24頭の馬の屠体に正中切開術(25cm長)を施して、それを、双方向の有棘縫合糸(Bidirectional barbed suture)、または、通常の吸収糸で閉鎖した後(単純連続縫合、糸の太さはUSP2/EP5)、腹腔内部に入れた風...

  • 馬の球節の骨片は無跛行でも摘出すべきか?

    話題 - 2023/10/09

    一般的に、馬の球節(中手/中足指節間関節)に生じる骨片は、骨折または骨軟骨症に起因しており、関節鏡による外科的摘出が行なわれます。しかし、跛行や屈曲痛などの臨床症状を伴っていない場合、骨片をそのまま残しておいても良いかどうかは、賛否両論があります。そこで、下記の研究では、球節の骨片による弊害を検証するため、ドイツの二箇所の馬病院において、球節の骨片摘出のために実施された823箇所(640頭)の関節鏡手術...

  • 馬の開腹術の縫合における非侵襲性の閉創装置

    話題 - 2023/10/07

    馬は、他の動物と異なり、開腹術の術創における合併症を起こし易いことが知られており、その発生率は四割に上ることが報告されています。そこで、下記の研究では、ジップ皮膚閉鎖システム(ZSCS: Zip skin closure system)という新しい閉創デバイスの有用性が、八頭の実験馬に作成した開腹術の模倣術創を用いて試験されました。参考文献:Klein CE, Engiles JB, Roessner HA, Hopster K, Hurcombe SD. Comparison of the zip skin...

  • 馬の開腹術の縫合におけるセルフロック結び

    話題 - 2023/09/30

    一般的に、外科手術における連続縫合では、その開始と終了の箇所を、外科結び(Surgeon's knot)を使って留める方法(S-S法)を用いることが多いですが、近年では、セルフロック結び(Self-locking knot)というタイプの糸の結び方が提唱されてきています。そこで、下記の研究では、馬の開腹術における腹壁(白帯)の閉鎖法として、連続縫合をフォワーダー結び(Forwarder knot)で開始して、アバディーン結び(Aberdeen knot)で...

  • 乗馬の後膝跛行での関節鏡の有用性

    話題 - 2023/09/27

    一般的に、乗馬の競技馬における後膝跛行は、散発的に見られる後肢の歩様以上の原因であり、比較的に重度な跛行を呈して、競技能力の低下を招くケースが多いことが知られています。しかし、後膝に発生する疾患のうち、関節軟骨や半月板、十字靭帯、側副靭帯などの損傷では、診断麻酔や画像検査による確定診断が難しい症例も多く、難治性の経過を取ることがあると言われています。下記の研究では、英国のロスデイル馬病院において、...

  • 内視鏡誘導による馬の鼻中隔の切除術

    話題 - 2023/09/25

    一般的に、馬の鼻中隔の疾患は稀ですが、シスト変性、過誤腫、膿瘍、外傷性肥厚、骨折性壊死、長軸性変形、腫瘍、真菌性鼻炎などによって、鼻中隔の肥厚や変形を生じて、通気障害や気道閉塞、呼吸雑音、鼻汁排出、顔面変形等の症状を呈することがあります。そのような症例では、鼻中隔を切除することで症状改善が見られることがあります。そこで、下記の研究では、13頭の鼻中隔疾患の罹患馬に対して、内視鏡誘導を介した鼻中隔の3...

  • 馬の開腹術の縫合での糸とステープルの違い

    話題 - 2023/09/23

    馬は、他の動物と異なり、開腹術の術創における合併症を起こし易いことが知られており、その発生率は四割以上に上ることが報告されています。そこで、下記の研究では、エルサレム大学の獣医病院にて、2012〜2014年にかけて、開腹術が適応された123頭の疝痛馬に対して、ナイロン製の縫合糸(No.0、連続かがり縫合)または金属製のステープル(6.5x4.7mm)を用いた皮膚縫合が実施され、医療記録の解析が行なわれました。参考文献:Ha...

  • 馬の円鋸術における立位CTの有用性

    話題 - 2023/09/16

    馬の副鼻腔炎において、抗生剤投与でも蓄膿が治癒しない場合には、立位での円鋸術(Standing sinus trephination)によって副鼻腔の洗浄、病巣掻爬、排液路形成、コンドロイド除去などが行なわれる事もあります。一方、近年では、立位でCT検査する技術も発達してきており、X線では分かりにくい副鼻腔の三次元構造を、CT画像で評価しながら円鋸術を実施することが可能になっています。そこで、下記の研究では、馬の円鋸術における立...

  • 馬の皮膚での新しい減張縫合法

    話題 - 2023/09/02

    一般的に、馬は他の動物に比べて、競走や競技などの強運動に用いられるという特性から、皮膚の外傷を起こし易いことが知られています。一方で、馬の皮膚は、体格の割には薄く、強いテンションが掛かると裂けたり、血流が阻害され易いという特徴があります。このため、馬の外傷を外科的に縫合する際に、皮膚が広範に欠損した場合や、もともと皮膚の緊張度が強い箇所においては、糸や皮膚に掛かる緊張を緩和させるための減張縫合法が...

  • 馬の流産における切胎術の影響

    話題 - 2023/08/12

    馬の流産は、繁殖及び生産の産業において、非常に大きな経済的損失を生み出すと同時に、母馬の健康と福祉にも多大な悪影響を及ぼします。ここでは、胎児が死亡していた場合に適応される切胎術(Fetotomy)における、母馬の生存率に関して調査した知見を紹介します。この研究では、イタリアの二箇所の獣医病院において、1991〜2005年にかけて、流産の治療として切胎術が実施された72頭の牝馬における医療記録の回顧的調査が行なわれ...

  • 馬の難産手術での予後に関する危険因子

    話題 - 2023/08/05

    馬の流産は、繁殖及び生産の産業において、非常に大きな経済的損失を生み出すと同時に、母馬の健康と福祉にも多大な悪影響を及ぼします。ここでは、難産の外科的手術における、予後に関わる因子を解析した知見を紹介します。参考文献:Rioja E, Cernicchiaro N, Costa MC, Valverde A. Perioperative risk factors for mortality and length of hospitalization in mares with dystocia undergoing general anesthesia: a retrospe...

  • 馬の疝痛:持久戦がもたらす悲劇

    馬の飼養管理 - 2023/08/02

    馬の疝痛に対する開腹術では、早期に手術を決断することが、治療成功率や生存率を高めるのに重要であることが知られています。馬の疝痛治療の第一人者である、フロリダ大学のデイビッド・フリーマン博士は、2022年の全米馬臨床医協会(AAEP)の学会において、疝痛馬に対する「持久戦がもたらす悲劇」(Tragedy of the Waiting Game)について警鐘を鳴らしています。参考資料:Christa Leste-Lassiter, MA. Colic Referral: The Tra...

  • 麻酔中の馬での抗生物質の動態

    話題 - 2023/07/15

    一般的に、馬は細菌感染に弱い動物であることが知られており、開腹術や骨折の内固定など、侵襲性の高い外科手術においては、抗生物質の全身投与による感染予防が重要となります。ただ、全身麻酔下にある手術中の馬における、抗生物質の体内動態は明らかにされていません。それを評価するため、下記の研究では、六頭の健常馬を用いて、Kペニシリン(22,000IU/kg)とゲンタマイシン(6.6mg/kg)の静脈内投与を行なった後に全身麻酔を...

  • 馬の骨折整復におけるインターロッキングスレッド螺子の効能

    話題 - 2023/07/01

    近年、ヒト医療の整形外科分野では、インターロッキング・スレッド・スクリュー(ITS: Interlocking thread screw)というインプラントが開発されて、従来の螺子に比較して、強度の高い骨折の内固定が実施できることが示されています。ここでは、馬の骨に対するITS螺子の作用を評価した知見を紹介します。参考文献:Pye JL, Garcia TC, Kapatkin AS, Samol MA, Stover S. Biomechanical comparison of compact versus standard flu...

  • 馬の開腹術での抗生物質投与の傾向

    話題 - 2023/06/26

    一般的に、馬は細菌感染に弱い動物であることが知られており、疝痛の開腹術においては、術創感染や腹膜炎を抑えるため、術前および術中の抗生物質投与が重要な要素を占めています。ここでは、馬の開腹術での抗生物質投与に関して、米国の内科および外科の専門医資格を持った113名の獣医師に対して、聞き取り調査を行なった知見を紹介します。参考文献:Rockow M, Griffenhagen G, Landolt G, Hendrickson D, Pezzanite L. Current ...

  • 疝痛の獣医療での地域差:ノルウェー

    話題 - 2023/06/24

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、北欧のノルウェーにおける、馬の疝痛の獣...

  • 熱融着を用いた馬の空腸盲腸吻合術

    話題 - 2023/05/29

    一般的に、馬の空腸を盲腸に吻合する治療法は、空腸・回腸・盲腸などが絞扼壊死または機能不全を呈したときに、健常な部位同士を吻合して、空腸または盲腸の異常個所を迂回させる目的で実施されます。この際には、用手縫合または腸管ステープルを用いて、側々で吻合することで、十分に広い開口部を形成する術式が選択されることが多いと言えます(空腸と盲腸では内径が大きく違うため)。ここでは、この空腸盲腸吻合術において、高...

  • 馬のタイバック手術での二重ループ法

    話題 - 2023/05/15

    一般的に、競走馬の喉頭片麻痺(反回神経麻痺)に対する外科的治療としては、披裂軟骨を外方へと糸で引っ張ることで、通気に必要な広さの声門域(気道内径)を維持するという喉頭形成術(タイバック手術)が行なわれます。しかし、この手術の成功率は、50〜70%に過ぎないことが報告されており、その理由は多様ではあるものの、設置した糸が緩んでしまうことが一因であると考えられています。このため、馬の喉頭形成術では、糸を2本...

  • 馬の麻酔後肺水腫の危険因子

    話題 - 2023/05/13

    一般的に、馬という動物は、全身麻酔による合併症を起こし易く、獣医師が取り扱う動物種のなかでも、最も麻酔を掛けるのが難しい動物の一つだと言われています。ここでは、そのような合併症の中で、発生率こそ低いものの、致死率が高いと言われている、麻酔後の肺水腫(Post-anesthetic pulmonary edema)に関する知見を紹介します。参考文献:Shnaiderman-Torban A, Steinman A, Ahmad WA, Kushnir Y, Sutton GA, Epstein A, Kelm...

  • 馬の食道粘膜反転術

    診療 - 2023/02/21

    一般的に、食道(Esophagus)という組織に対する手術では、重篤な雑菌混入(Severe bacterial contamination)が起きやすく、複数の筋層の機能回復を要するという特徴から、外科的手技の難易度が高いことが知られています。以下は、食道粘膜反転術(Esophageal mucosal inversion)についての概要解説です。馬における食道粘膜反転術は、圧出性食道憩室(Pulsion esophageal diverticula)の外科的整復のために実施されます。頚部...

  • 馬の食道切除術

    診療 - 2023/02/20

    一般的に、食道(Esophagus)という組織に対する手術では、重篤な雑菌混入(Severe bacterial contamination)が起きやすく、複数の筋層の機能回復を要するという特徴から、外科的手技の難易度が高いことが知られています。以下は、食道切除および吻合術(Esophageal resection and anastomosis)についての概要解説です。馬における食道の部分切除術(Partial resection)および吻合術は、難治性の食道狭窄(Refractory esophagea...

  • 馬の食道筋切開術

    診療 - 2023/02/19

    一般的に、食道(Esophagus)という組織に対する手術では、重篤な雑菌混入(Severe bacterial contamination)が起きやすく、複数の筋層の機能回復を要するという特徴から、外科的手技の難易度が高いことが知られています。以下は、食道筋切開術(Esophagomyotomy)についての概要解説です。馬における食道筋切開術は、食道狭窄(Esophageal stricture)における内腔拡張のために実施されます。しかし、食道閉塞に続発する狭窄症は...

  • 馬の食道切開術

    診療 - 2023/02/18

    一般的に、食道(Esophagus)という組織に対する手術では、重篤な雑菌混入(Severe bacterial contamination)が起きやすく、複数の筋層の機能回復を要するという特徴から、外科的手技の難易度が高いことが知られています。以下は、食道切開術(Esophagotomy)についての概要解説です。馬における食道切開術は、難治性の食道閉塞(Refractory esophageal obstruction)の遊離、嚥下した異物の除去(Foreign body removal)、管腔内...

  • 疝痛の獣医療での地域差:デンマーク

    話題 - 2023/02/10

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、北欧のデンマークにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:イスラエル

    話題 - 2023/02/09

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、中東のイスラエルにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:カナダ

    話題 - 2023/02/08

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、カナダの大西洋側地域における、馬の疝痛...

  • 疝痛の開腹術での予後判定指標:スペイン

    話題 - 2023/02/06

    馬の重度疝痛に対する開腹術では、予後不良となるケースも少なくなく、費用も高額になり易いことから、予後を的確に推測する指標が有用となります。ここでは、疝痛馬の開腹術における予後判定の指標を調査した知見を紹介します。この研究では、2006〜2011年にかけて、スペインの二箇所の獣医大学病院において、疝痛の外科治療のために実施された566頭の開腹術における医療記録の回顧的解析、および、オッズ比(OR)の算出による予後...

  • 馬の喉頭片麻痺での外科的治療法の比較

    話題 - 2023/01/08

    一般的に、馬の喉頭片麻痺に対する外科的治療では、治療成功率は60~80%と多様であることが知られており[1,2]、内視鏡で観察される披裂軟骨の外転や声門の断面積などで、治療効果が推測されてきました[3,4]。しかし、近年の研究では、喉頭から気管開口部までの構造を三次元的に解析することで、通気のメカニズムを評価できるようになってきました[5]。そこで、下記の研究では、馬の屠体から採取した喉頭軟骨(10個)を用いて、喉頭...

  • 馬の喉頭片麻痺に対する披裂角切除術

    話題 - 2023/01/08

    一般的に、馬の喉頭片麻痺に対する外科的治療では、喉頭形成術(タイバック手術)に声嚢声帯切除術を併用する術式が選択肢の一つとされていますが、長期経過を評価した研究では、八割近い症例において、披裂軟骨炎や軟部組織虚脱などの異常所見が認められています[1,2]。このため、喉頭形成術が失敗した場合には、披裂軟骨を部分切除または亜全切除する術式が提唱されており、インプラントを使わないメリットと(感染リスクが低い...

  • 馬の声帯切除術による経喉頭抵抗の緩和

    話題 - 2023/01/07

    一般的に、馬の喉頭片麻痺において、運動中に披裂軟骨の部分的外転(RakestrawグレードB)を維持する機能が残っていれば、喉頭形成術(タイバック手術)は必須ではないと考えられています。しかし、その場合でも、運動中に片側の声帯虚脱を起こす症例が散見され、22%の症例では披裂軟骨と声帯の虚脱が併発し、5%の症例では声帯虚脱だけ起こることが報告されています[1]。このような症例に対しては、喉頭形成術よりも侵襲性が低い声...

  • 疝痛の手術後での平地レースへの復帰率

    話題 - 2023/01/04

    馬の疝痛治療での開腹術は、侵襲性や合併症の危険も大きく、施術を判断する際には、術後にパフォーマンスを維持できるか否かも、重要な判断要因であると言えます。ここでは、競走馬における疝痛手術と、その後のレース復帰率や競走成績を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア州の馬病院において、1996~2010年にかけて、疝痛治療のために開腹術が実施された85頭のサラブレッド競走馬における、医療記録の...

  • 疝痛の手術後での乗馬競技への復帰率

    話題 - 2023/01/03

    馬の疝痛治療での開腹術は、侵襲性や合併症の危険も大きく、施術を判断する際には、術後にパフォーマンスを維持できるか否かも、重要な判断要因であると言えます。ここでは、疝痛の手術と、その後の乗馬競技への復帰率を調査した知見を紹介します。この研究では、デンマークのコペンハーゲン大学の大動物病院において、2005~2010年にかけて、疝痛の治療のために開腹術が実施された88頭の症例馬における、医療記録の回顧的解析、長...

  • 馬の滑膜感染の関節鏡での予後指標

    話題 - 2022/12/27

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、滑膜感染を起こした214頭の症例(六ヶ月齢以上)での関節鏡の治療成績、および、オッズ比(OR)の算出による予後指標に関する知見を紹介します。参考文献:Milner PI, Bardell DA, Warner L, Packer MJ, Senior JM, Singer ER, Archer DC. Factors associated with survi...

  • 蹄骨の裏側の骨片での関節鏡

    話題 - 2022/12/27

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、蹄骨の裏側(掌側または底側)に骨軟骨片を発生した四頭の跛行馬に対して、関節鏡手術を実施した知見を紹介します。参考文献:Lloyd KA, Smith MR, Whitton RC, Stent AW, Steel CM. Osteochondral fragmentation of the palmarolateral/plantarolateral aspect of the d...

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Author:Rowdy Pony
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職業: 獣医師・獣医学博士
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