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タグ:検査 のエントリー一覧

  • 馬の胃潰瘍発症と胃粘膜治癒における唾液マーカー

    話題 - 2024/04/09

    馬における胃潰瘍症候群(Equine gastric ulcer syndrome)は、有病率の高い消化器疾患であることが知られていますが、特異的な臨床症状に乏しいことから、確定診断のためには内視鏡検査を要します。しかし、胃の内視鏡では、長時間の絶食を要するなど、煩雑さと馬体の負担が大きいという問題があります。ここでは、唾液バイオマーカーによる胃潰瘍の診断、および、薬物療法による胃粘膜治癒の経過評価を試みた知見を紹介します。...

  • 加速度計による馬の疝痛症状の検知

    話題 - 2024/04/03

    現代においても、馬の死因の第一は疝痛(消化器疾患)であり、腹痛症状を早期発見して、遅延なく疝痛の治療を施すことが重要になってきます。近年では、動物の体に取り付けた加速度計(Accelerometer devices)を用いて普段とは異なる行動を探知することで、牛の摂食行動の変化(諸疾患の初期徴候)を検知できることが知られており[1]、また、馬においても、加速度計による馬体の動きの変化から、運動器疾患の初期症状[2]や分娩徴...

  • 腹部エコー検査した獣医師での呼気アルコール濃度

    話題 - 2024/04/02

    一般的に、馬の疝痛を診断するときの腹部エコー検査では、腹壁を広範に剃毛するのは大変であるため、馬体をエタノールで濡らしてプローブを当てることが多いと言えます[1]。この場合、揮発したエタノールを獣医師が吸引してしまう可能性があります。一方で、ヒトの手指のアルコール消毒では、噴霧されたアルコールを実施者が吸い込むことで、呼気アルコール濃度が上昇して、飲酒運転の基準を超えてしまうことが報告されています[2]...

  • 馬のクロストリディウム大腸炎

    話題 - 2024/03/31

    馬におけるクロストリディウム・ディフィシル感染症(Clostridioides difficile infection)は、大腸炎の重要な病因の一つであることが知られており(俗名:X大腸炎)、北米の論文では、致死率は37%に及ぶことが報告されています[1]。ここでは、日本の複数のサラブレッド飼養施設において、2010~2021年にかけて、クロストリディウム大腸炎を呈した34頭の馬に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Uchida-Fujii E, Niwa H, S...

  • 馬の購入前検査でX線読影するときの多様性

    話題 - 2024/03/24

    ホースマンにとって、馬を購入することは、新たなライフパートナーに出会う楽しみの瞬間であると同時に、その後の飼養管理にコミットしていく意味では、慎重を期さなければいけないタイミングでもあります。このため、その馬の健康状態を適正にチェックするため、獣医師による購入前検査(Pre-purchase examination)が実施されることが一般的です。ここでは、購入前のX線検査における画像の読影に関して、獣医師のあいだの多様性...

  • 若齢な競走馬での鼻出血の病態と影響

    話題 - 2024/03/19

    競走馬の鼻出血は、その多くが肺からの出血で起こり、運動中に血圧が上がることと、呼吸増加で肺胞の内圧が下がることが相まって出血に至ることから、運動誘発性肺出血(EIPH: Exercise-induced pulmonary hemorrhage)という病名で呼ばれます。馬がEIPHを起こすと、肺組織の線維化および換気機能低下を続発するのみならず、長期間の出走停止となるため、医学的にも経済的にもダメージの大きい疾患であると言えます。ここでは、若...

  • 疝痛馬の血液ガス/電解質による開腹術の予後判定

    話題 - 2024/03/17

    馬の疝痛においては、その多くが内科的治療によって回復しますが、開腹術などの外科的治療を要するような重度の症例では、手術適応を早期判断したり、手術が選択肢で無いときには、アグレッシブな保存療法を初期段階で開始することが重要となります。このため、外科的疝痛の診断指標や、予後判定のための指標を確立させることが、馬の疝痛を診察する際に有益であると言えます。ここでは、疝痛馬の血液ガスや電解質の測定値によって...

  • 敗血症の新生子馬での好中球リンパ球比率

    話題 - 2024/03/10

    ヒト医療に小児科があるのと同様に、子馬の病気に対する獣医療では、成馬とは異なる知識と技術が必要になります。ここでは、敗血症を起こした新生子馬における、好中球数とリンパ球数の比率(Neutrophil to lymphocyte ratio: NLR)について調査した知見を紹介します。近年、ヒトの感染症や炎症性疾患においては、NLR値による鑑別診断や予後予測が有用であることが示されています。この研究では、米国のオハイオ州立大学、ルッド&...

  • 馬の変性脊髄脳炎における酸化ストレスマーカー

    話題 - 2024/02/27

    一般的に、馬における変性脊髄脳炎(Degenerative myeloencephalitis: DM)では、ビタミンEなどの抗酸化体が欠乏することで、活性酸素による脳脊髄組織の変性を生じることが病因として挙げられています。ただ、腰萎等の神経症状を発現した段階では、血中ビタミンE濃度は正常値に戻っていることが多いことから、類似の症状を起こす他の神経器疾患(頚椎狭窄性脊髄症[CVSM]や原虫性脊髄脳炎[EPM])との鑑別診断が難しいことが知られ...

  • 馬の息労におけるデジタル聴診装置

    話題 - 2024/02/20

    高齢馬においては、ヒトの喘息に類似した呼吸器病が起こることがあり、これを、回帰性気道閉塞(いわゆる息労:Recurrent airway obstruction)と呼んでいます。一般的に、馬の息労を検査する際には、胸部の聴診による異常肺音(笛声音、捻髪音、ラッセル音、粗造呼吸音)の聴取が行なわれます。しかし、ヒトの耳による聴診で診断を下すには限界があり、その要因として、異常肺音が常に出ている訳ではないこと、異常肺音の種類分け...

  • 馬の背部痛での診断法と治療法の現状

    話題 - 2024/02/10

    一般的に、馬の背部痛(Back pain)は、診断麻酔や画像診断が難しく、有用な注射療法や外科的治療が少ないことから、難治性や回帰性の経過を示す病態が多いことが知られています(棘突起衝突等の一部の疾患を除き)。ここでは、馬の背部痛における診断法や治療法の現状を調査した知見を紹介します。下記の研究は、2022年に米国で実施された調査研究であり、全米馬獣医師協会、および、全米獣医スポーツ医学リハビリ協会の会員(97...

  • 馬の滑膜侵襲における通常X線検査の有用性

    話題 - 2024/02/06

    一般的に、馬が四肢に外傷を負ったときに、滑膜組織(関節、腱鞘、滑液嚢など)に侵襲が及んでしまうと、難治性の細菌性滑膜炎を続発して、予後不良になる危険性が高いことが知られています。このため、特に関節や腱鞘に近い箇所に切り傷を負った馬においては、その外傷が滑膜侵襲を伴っているか否かを、初診の段階で確定診断しておくのが極めて重要となります。たとえ、見た目が小さなキズでも、それが深部に及んで、関節腔や腱鞘...

  • 疝痛の獣医療での地域差:インドネシア

    話題 - 2024/02/04

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、東南アジアのインドネシアにおける、馬の...

  • 馬の腹水検査における好中球細胞外トラップ

    話題 - 2024/01/20

    腹水検査は、疝痛などの馬の腸管疾患での診断法の一つとして実施されており、罹患臓器のすぐ傍にある体液の性状を評価できる点で、多様な腹腔内病態の有無や重篤度を診断する一助になると言われています。ここでは、腹水検査および滑液検査において、好中球細胞外トラップ(Neutrophil extracellular trap: NET)を視認することで、細菌性の炎症病態を診断する手法を検証した知見を紹介します。下記の研究では、豪州のチャールズ・...

  • 馬の浅屈腱炎における弾性率測定

    話題 - 2023/12/19

    一般的に、競走馬に好発する浅屈腱炎(Superficial digital flexor tendinitis)は、腱組織の微細損傷が蓄積することで、重篤な腱線維の断裂に至ることで発症すると考えられています。しかし、馬の腱疾患の診断に汎用される超音波検査では、どうしても屈腱炎の病態が過小評価されるため、初期の病変を早期発見するには感度が十分ではないケースがあることが知られています。このため、今回は、音響放射力インパルスによる弾性率測...

  • 競走馬の浅屈腱炎におけるエコー検査での予後判定

    話題 - 2023/12/11

    競走馬に発症する浅屈腱炎(Superficial digital flexor tendinitis)は、治癒に長期間の休養を要すること、および、騎乗復帰後の再発率が高いことから、経済的損失の大きい疾患であると言えます。このため、浅屈腱炎が発症した時点で、レース復帰できるか否かを正確に予測することで、治療か転用かの判断を下すことが重要になってきます。そこで、下記の研究では、2003〜2014年にかけて、前肢の浅屈腱炎を発症した香港の競走馬469...

  • イーロス(EOTRH)のX線診断

    話題 - 2023/12/02

    近年、馬の獣医学で提唱されている歯科疾患として、ウマ破歯細胞性歯再吸収及びセメント質肥大症(EOTRH: Equine odontoclastic tooth resorption and hypercementosis)という病気があります。臨床的に認識されてから、まだ二十年程度の疾患であるため、未解明な要素もありますが、ここでは、EOTRHのX線診断に関する知見を紹介します。なお、EOTRHという病名の略号は、英語圏では「イーロス[“E-roth”]」と発音されているようです...

  • 乗用馬の球節炎におけるPET検査

    話題 - 2023/11/27

    近年、ヒトや小動物の医療では、PET検査(陽電子放射断層撮影)による諸疾患の早期診断が行なわれています。PET検査は、放射能を含む薬剤を投与して、その薬剤が取り込まれた箇所を、CTやMRIなどで描出する検査手法です。当初は、癌細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用して、18F-フルオロデオキシグルコース(放射能を出すブドウ糖)を投与することで、悪性腫瘍を早期診断するのに用いられてきました。一方で、運動器のPET検査...

  • 馬の鼠径ヘルニアでの予後不良の因子

    話題 - 2023/10/18

    後天性の鼠径ヘルニア(Acquired inguinal hernia)は、内鼠径輪から鼠径管に入り込んだ消化管が絞扼を起こす疾患です。馬においては、最も発生率の高い外ヘルニアであることが知られていますが、小腸絞扼が重篤になると、予後不良になることもあり、意外に怖い病気であると言えます。下記の研究では、馬の鼠径ヘルニアにおける、予後を悪化させる因子を解明するため、ベルギーとフランスの二つの獣医大学病院において、2005〜2020...

  • 馬の円鋸術における立位CTの有用性

    話題 - 2023/09/16

    馬の副鼻腔炎において、抗生剤投与でも蓄膿が治癒しない場合には、立位での円鋸術(Standing sinus trephination)によって副鼻腔の洗浄、病巣掻爬、排液路形成、コンドロイド除去などが行なわれる事もあります。一方、近年では、立位でCT検査する技術も発達してきており、X線では分かりにくい副鼻腔の三次元構造を、CT画像で評価しながら円鋸術を実施することが可能になっています。そこで、下記の研究では、馬の円鋸術における立...

  • 馬の腸捻転における乳酸値の有用性

    話題 - 2023/09/06

    馬の疝痛のなかでも、腸捻転などの絞扼性疾患は、迅速な開腹術による外科的整復を要するため、早期診断が重要となります。この際、虚血性病態において乳酸値が上昇することを鑑みて、これを腸捻転の診断指標として活用されることもあります。そこで、下記の研究では、米国のペンシルバニア大学の獣医病院(ニューボルトンセンター)にて、2016~2019年にかけて、入院時に乳酸値測定(血液と腹水)が行なわれた197頭の症例を、腸捻...

  • 馬の関節炎での唾液バイオマーカー

    話題 - 2023/08/26

    馬の関節炎は、最も発症率の高い運動器疾患の一つであり、再生能に乏しい軟骨に損傷をきたすと予後が芳しくないことから、早期診断と早期治療が重要な疾患であると言えます。このため、馬の体液サンプルの含有成分のなかでも、関節炎の病態と相関している様々なバイオマーカーの検出が試みられています。下記の研究では、軟骨や軟骨下骨が損傷および変性したときに遊離される、ビグリカン代謝産物(BGN262: biglycan-neo-epitope-B...

  • 馬の後膝をエコー検査する注意点

    馬の飼養管理 - 2023/08/23

    馬の後膝(膝関節)には、関節炎やボーンシストなどの骨の病気だけでなく、膝蓋靭帯、十字靭帯、半月板などの病気も起こります。これらの軟部組織は、X線検査では描出されないため、エコー検査による精査が必要となります。ここでは、馬の後膝をエコー検査するときの注意点を喚起した知見を紹介します。参考資料:Stacey Oke, DVM, MSc. Take Caution Using Contralateral Limbs for Patellar Ligament Exams. AAEP Convention, Ar...

  • 跛行しない飛節の骨棘は競走能力に影響するのか?

    話題 - 2023/08/16

    一般的に、遠位飛節の関節周囲での骨棘形成(Periarticular osteophytes of the distal tarsus)は、飛節内腫(飛節の変性関節疾患[DJD])の特徴的所見だと考えられています。しかし、若齢馬においては、遠位飛節の骨棘の所見は、跛行症状とは相関しないことも知られており[1]、サラブレッドのレポジトリ検査において、無跛行な馬の二割から三割で同所見を認めたという知見もあります[2,3]。ここでは、若齢で無跛行な競走馬におけ...

  • 高齢馬での眼科疾患の発症傾向

    話題 - 2023/08/07

    近年、馬の寿命が延びて、高齢馬の飼養頭数が増えるに連れて、高齢期における病気の治療や健康管理が重要になってきています。ここでは、高齢馬の眼科疾患の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のエジンバーグ大学において、15〜33歳の高齢馬50頭に対する眼科検査が実施され、検査結果の解析が行なわれました。参考文献:Chalder R, Housby-Skeggs N, Clark C, Pollard D, Hartley C, Blacklock B. Ocular fin...

  • 馬の疝痛:持久戦がもたらす悲劇

    馬の飼養管理 - 2023/08/02

    馬の疝痛に対する開腹術では、早期に手術を決断することが、治療成功率や生存率を高めるのに重要であることが知られています。馬の疝痛治療の第一人者である、フロリダ大学のデイビッド・フリーマン博士は、2022年の全米馬臨床医協会(AAEP)の学会において、疝痛馬に対する「持久戦がもたらす悲劇」(Tragedy of the Waiting Game)について警鐘を鳴らしています。参考資料:Christa Leste-Lassiter, MA. Colic Referral: The Tra...

  • 馬の経鼻チューブ処置による副鼻腔炎

    話題 - 2023/07/17

    一般的に馬は、嘔吐が殆ど出来ない動物であるため、経鼻チューブで胃へとアクセスすることは、馬の消化器疾患の診察において非常に重要になります。一方で、馬の獣医師は、経鼻チューブ処置を介して起こり得る合併症についても知っておく必要があります。下記の研究では、米国のカリフォルニア大学デービス校の獣医病院で診察した馬のなかで、経鼻チューブに起因して副鼻腔炎を発症した三頭の症例について報告されています。参考文...

  • 敗血症の新生子馬におけるRPR値

    話題 - 2023/07/08

    ヒト医療に小児科があるのと同様に、子馬の病気に対する獣医療では、成馬とは異なる知識と技術が必要になります。ここでは、敗血症を起こした新生子馬における、赤血球体積分布幅(RDW: Red blood cell distribution width)と血小板数の比率(RPR: RDW to platelet ratio)について調査した知見を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア大学デービス校の獣医病院において、2012〜2021年にかけて診察された七日齢以下の新...

  • 疝痛の獣医療での地域差:ノルウェー

    話題 - 2023/06/24

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、北欧のノルウェーにおける、馬の疝痛の獣...

  • ホースマンが疝痛を判断する指標

    話題 - 2023/06/10

    馬の消化器疾患(疝痛)は、ホースマンが獣医師に緊急連絡する理由の第一位となっています。そして、疝痛の原因疾患の中には、早期治療が重要なものも多いことから、ホースマンが、馬が疝痛を起こしているかを見分け、その疝痛がどれほど深刻であるかを正しく判断することが重要となってきます。ここでは、ホースマンが疝痛症状を判断するときの傾向を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のノッティンガム大学のもので、...

  • 馬の脳脊髄液による神経疾患の鑑別

    話題 - 2023/05/20

    一般的に、馬の神経器疾患は、鑑別診断が難しいことが知られています。何故なら、ヒトや犬猫と異なり、脳や脊髄をMRI撮影することが困難であり、また、脊髄造影や頚部屈曲X線なども、全身麻酔を要するというデメリットがあるからです(腰萎症状の馬では麻酔覚醒の事故リスクが大きい)。なお、馬に多く見られる神経器疾患には、原虫性脊髄脳炎(EPM)、頚椎圧迫性脊髄症(CVCM)、変性脊髄脳炎(EDM)などが含まれます(日本にはEP...

  • 馬の仙腸関節の注射での合併症

    話題 - 2023/04/22

    仙腸関節とは、背骨と骨盤を連結しているL字型の関節で、この部位での疼痛は、ハンター飛越や障害飛越などの競技馬に好発します。一般的に、馬の仙腸関節は、画像診断をするのが困難な箇所であるため、関節内への局所麻酔薬の注入(診断麻酔)によって、仙腸関節での疼痛の限局化が試みられる事があります。また、治療薬を局所投与する目的で、関節注射が実施されることもあります。ここでは、馬の仙腸関節注射における合併症に関...

  • 舟状骨のX線では蹄尖挙上より後踏肢勢

    話題 - 2023/04/15

    乗用馬に好発するナビキュラー症候群では、舟状骨のX線検査が有用です。特に、蹄の後ろ側から舟状骨を見下ろすように撮影する方法(PPPDO: Palmaroproximal-palmarodistal oblique)では、舟状骨と蹄骨が重なってしまうのを避けられるため、骨髄の硬化症、矢状綾の扁平化、屈腱面の不整などが評価できるという利点があります。ここでは、馬の前肢の舟状骨におけるPPPDO撮影の手法を検討した知見を紹介します。この研究では、馬の屠...

  • 馬の息労でのBAL液中のエヌガル濃度

    話題 - 2023/04/09

    一般的に、気管支肺胞洗浄(BAL: Broncho-alveolar lavage)で採取した体液は、下部気道の病態を反映することから、息労(回帰性気道閉塞)などの呼吸器疾患の診断に応用されています。一方で、エヌガル(NGAL)とは、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(Neutrophil gelatinase-associated lipocalin)の略号で、腎臓前駆細胞の分化誘導因子として同定された蛋白質であり、急性腎不全において尿中および血中での濃度上昇を呈する...

  • 馬の蹄踵痛における診断麻酔の複雑さ

    話題 - 2023/04/06

    馬の蹄踵痛は、舟状骨症候群などによって引き起こされ、乗用馬の前肢における慢性跛行のうち、約1/3を占めるとも言われています。しかし、蹄踵に痛みがあることを確定するために実施される診断麻酔では、神経ブロックと滑膜ブロックへの反応性が多様であることから、この部位の疼痛を限局化するのは難易度が高いことが知られています。ここでは、馬の蹄踵痛に対する複数の診断麻酔における、反応性や関連性を評価した知見を紹介し...

  • 馬の跛行を傾斜地で見る

    馬の飼養管理 - 2023/04/03

    跛行(Lameness)は、最も頻繁に起こる馬の健康問題であることが知られています。しかし、馬の歩様をチェックするときには、地面の平坦さを考慮することが大切です。なぜなら、ほんの僅かな傾斜があっただけでも、馬体の動き方や、跛行の見え方が変化してしまうからです。参考資料:Christa Leste-Lassiter, MA. Study: Even Slight Slopes Can Affect Lameness Exams in Horses. The Horse, Topics, Diagnosing Lameness, Injurie...

  • 馬のクッシング病の経過評価について

    馬の飼養管理 - 2023/02/27

    馬のクッシング病は、正式には下垂体中葉機能異常(PPID: Pituitary pars intermedia dysfunction)のことを指しており、ヒトや犬のクッシング病とは、発症機構が異なることが知られています。そして、近年では、獣医療の進歩に伴いウマの寿命も伸びていることから、高齢馬のクッシング病の診断、および、多毛症や慢性蹄葉炎への対処を要する事例も増えていると言われています。ここでは、馬のクッシング病に対する治療薬の効き目...

  • 疝痛の獣医療での地域差:ケニア

    話題 - 2023/02/11

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、アフリカのケニアにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:デンマーク

    話題 - 2023/02/10

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、北欧のデンマークにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:イスラエル

    話題 - 2023/02/09

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、中東のイスラエルにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:カナダ

    話題 - 2023/02/08

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、カナダの大西洋側地域における、馬の疝痛...

  • 馬の外科的疝痛におけるPCV値と心拍数

    話題 - 2023/02/07

    馬の疝痛においては、その多くが内科的治療によって回復しますが、開腹術などの外科的治療を要するような重度の症例では、手術適応を早期判断したり、手術が選択肢で無いときには、アグレッシブな保存療法を初期段階で開始することが重要となります。このため、外科的疝痛の診断指標を確立させることが、馬の疝痛を診察する際に有益であると言えます。ここでは、疝痛馬のPCV値と心拍数によって、内科的および外科的疝痛の鑑別と、...

  • 疝痛の開腹術での予後判定指標:スペイン

    話題 - 2023/02/06

    馬の重度疝痛に対する開腹術では、予後不良となるケースも少なくなく、費用も高額になり易いことから、予後を的確に推測する指標が有用となります。ここでは、疝痛馬の開腹術における予後判定の指標を調査した知見を紹介します。この研究では、2006〜2011年にかけて、スペインの二箇所の獣医大学病院において、疝痛の外科治療のために実施された566頭の開腹術における医療記録の回顧的解析、および、オッズ比(OR)の算出による予後...

  • 馬の腹水採取のためのエコー検査

    話題 - 2023/01/12

    腹水検査は、疝痛などの馬の腸管疾患での診断法の一つとして実施されており、罹患臓器のすぐ傍にある体液の性状を評価できる点で、多様な腹腔内病態の有無や重篤度を診断する一助になると言われています。ここでは、腹水採取のための腹部エコー検査所見について調査した知見を紹介します。この研究では、イタリアのペルージャ大学の獣医病院において、腹部エコー検査の実施と腹水検査が試みられた109頭の症例馬における医療記録の...

  • 腹水検査での馬の肝疾患の診断

    話題 - 2023/01/12

    腹水検査は、疝痛などの馬の腸管疾患での診断法の一つとして実施されており、罹患臓器のすぐ傍にある体液の性状を評価できる点で、多様な腹腔内病態の有無や重篤度を診断する一助になると言われています。ここでは、成馬の肝疾患における腹水検査の所見と、胃腸疾患との鑑別能について調査した知見を紹介します。この研究では、スペインのバルセロナ大学の獣医病院において、2010~2014年にかけて、疝痛または肝疾患の疑いで診察を...

  • 腹水検査での産後牝馬の診断

    話題 - 2023/01/11

    腹水検査は、疝痛などの馬の腸管疾患での診断法の一つとして実施されており、罹患臓器のすぐ傍にある体液の性状を評価できる点で、多様な腹腔内病態の有無や重篤度を診断する一助になると言われています。ここでは、出産後の牝馬における腹水検査の所見について調査した知見を紹介します。この研究では、英国とオーストラリアの二箇所の馬病院において、出産後の救急医療診察を受けた110頭の牝馬における腹水検査の所見と、医療記...

  • 調馬索での馬の診断麻酔の判定

    話題 - 2023/01/10

    一般的に、馬の歩様検査では、跛行が軽度で評価が困難な場合には、調馬索運動で歩様異常を明瞭化させることがあります。しかし、回転運動では、頭部や骨盤の上下動に左右差が生じるだけでなく、内側または外側への馬体の傾斜という新たな要素が加わるため、歩様評価を複雑にしてしまう懸念があります。この問題を検証するため、下記の研究では、後肢跛行を呈した13頭の症例馬を用いて、診断麻酔の実施前と実施後における仙骨部の動...

  • 調馬索と直線での馬の歩様対称性の変化

    話題 - 2023/01/10

    一般的に、馬の歩様検査では、軽度な跛行ほど評価が難しいことが知られており、被験馬に調馬索運動をさせることで、跛行症状を明瞭化させる手法が用いられています。しかし、回転運動における馬体動作の非対称性が、歩様評価の正確性を下げてしまう懸念もあります。この問題を検証するため、下記の研究では、201頭の健常馬を用いて、直線運動および調馬索運動における頭頂部/仙骨部の動きを加速度センサーで計測して、直線と左右の...

  • 調馬索での馬の歩様検査の正確性

    話題 - 2023/01/09

    一般的に、馬の歩様検査では、軽度な跛行ほど評価が難しいことが知られており、評価者同士で跛行の有無を合意できる確率は、跛行グレードが1.5以上では93%なのに対して、1.5未満では62%に過ぎないことが報告されています[1]。このため、被験馬に調馬索運動をさせることで、跛行症状を明瞭化させる手法が頻繁に用いられていますが、回転運動における馬体動作の非対称性が評価の正確性を下げてしまう懸念もあります。この問題を検証...

  • エンデュランス競技の直後に起こる疝痛

    話題 - 2023/01/04

    エンデュランスの競技馬では、競技を棄権する理由の一つとして疝痛が挙げられており、発症率も高いことが報告されています[1]。ここでは、エンデュランスの競技馬における疝痛の傾向を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア州の二箇所の馬病院において、2000~2010年にかけて、エンデュランス競技のあとの48時間以内に疝痛を発症した36頭の馬における、医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:F...

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Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
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