タグ:歯科 のエントリー一覧
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馬の「ハミ跛行」の原因はアゴの痛み?
馬の飼養管理 - 2023/05/24一般的に、馬の「ハミ跛行」とは、馬が頭絡や鞍などを装着して騎乗運動している時だけ見られる歩様の異常を指しています。このため、口内でのハミ位置の問題や、歯科疾患の存在、鞍の装着の不備、屈頭姿勢を取らせることによる頭頚部の疼痛などが原因となり得ます。参考資料:Alexandra Beckstett, The Horse Managing Editor. Rein-Lameness Associated With TMJ Pain in Horses: Temporomandibular joint inflammation might be ...
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エコー誘導による馬の下歯槽神経ブロック
話題 - 2023/01/24馬の歯科疾患では、保存療法に難治性を呈した症例においては、罹患歯の抜歯が根治療法として選択される場合もあります。ここでは、下顎臼歯の抜歯のために実施される下歯槽神経ブロックの手法について比較検討した知見を紹介します。参考文献:Lloyd-Edwards RA, Ferrao-van Sommeren A, Hermans H, Tersmette AA, Veraa S, van Loon JPAM. Comparison of blind, ultrasound- and neurostimulator-guided methods of percutaneous ...
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馬の抜歯後に起こる菌血症
話題 - 2023/01/23馬の歯科疾患では、保存療法に難治性を呈した症例においては、罹患歯の抜歯が根治療法として選択される場合もあります。ここでは、馬の抜歯治療をした後に起こる菌血症に関する知見を紹介します。参考文献:Kern I, Bartmann CP, Verspohl J, Rohde J, Bienert-Zeit A. Bacteraemia before, during and after tooth extraction in horses in the absence of antimicrobial administration. Equine Vet J. 2017 Mar;49(2):178-182....
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馬の臼歯の抜歯治療での長期合併症
話題 - 2023/01/22馬の歯科疾患では、保存療法に難治性を呈した症例においては、罹患歯の抜歯が根治療法として選択される場合もあります。ここでは、馬の臼歯の抜歯治療における、長期的な合併症の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のエジンバラ大学の獣医病院において、2004~2018年にかけて、臼歯の抜歯治療が実施された428頭の症例馬における、医療記録の回顧的解析、および、長期的な合併症に関する聞き取り調査が行なわ...
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馬の歯冠部分切除術による抜歯法
話題 - 2022/11/17馬の歯科疾患が悪化すると抜歯することになりますが[1,2]、口腔側から引き抜けない場合には、歯根側や側面から摘出する必要があり[3,4]、術後の合併症を起こし易いという問題があります。ここでは、馬の臼歯の歯冠部分切除術を介して、口腔側からの抜歯を行なうという知見を紹介します。参考文献:Rice MK, Henry TJ. Standing intraoral extractions of cheek teeth aided by partial crown removal in 165 horses (2010-2016). E...
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馬の経頬壁での歯内螺子抜歯法
話題 - 2022/11/17馬の歯科疾患の治療のために臼歯を抜くときには、口腔側から罹患歯を掴んで引き抜いたり、円鋸孔を開けて歯根側から罹歯を叩き出す手法が用いられますが、罹患歯が感染していたり、亀裂が入っている場合には、これらの手法が使えないケースもあります。ここでは、馬の臼歯の抜歯法として、最小侵襲性の経頬壁アプローチを介した歯内螺子抜歯法(Minimally invasive transbuccal screw extraction: MITSE)について紹介します。参考...
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馬の抜歯方法による予後の違い
話題 - 2022/11/16馬の歯科疾患において、保存療法で難治性の場合には、抜歯による根治療法が選択されることもあります。ただ、馬の歯は、歯根が非常に長いため、歯の抜き方によっては、その後に問題が生じる可能性もあります。ここでは、馬の臼歯の抜歯方法の違いが、治療成績や合併症に与える影響を評価した知見を紹介します。この研究では、1997~2013年にかけて、137頭の馬に実施された162箇所の臼歯の抜歯処置における、医療記録の回顧的調査、...
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馬のサク癖と疝痛は関係している?
馬の飼養管理 - 2022/08/31馬のサク癖の原因ホースマンの中には、自馬のサク癖にどう対処すべきか?という疑問を持っている方もいらっしゃるようです。サク癖は、Cribbingまたはグイッポと呼ばれ、前歯で固定された物体を咥えて、それを支点にして頭頸を屈曲させながら空気を飲み込む動作を指します。サク癖する馬の割合は、2~10%になるとも言われています。馬のサク癖は、単なる「クセ」ではなく、人間で言うところの強迫性障害(Obsessive-compulsive dis...
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馬の顎関節炎を診療する難しさ
話題 - 2022/08/21馬の顎関節炎を診療するときの留意点について専門家が警鐘を鳴らしています。顎関節は、下顎骨と側頭骨のあいだに形成され、口を開閉させる機能を担っている関節です。草食獣である馬にとって、顎関節は、一生のあいだに最も頻繁に動かす関節であり、顎関節に炎症を起こすと、咀嚼しながらエサをこぼす仕草(=Quidding)や食欲低下を呈します。また、ハミ付けを嫌悪したり、頭を挙上して激しく左右に振る動作(=ヘッドシェイキン...
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ハミが馬の口内に与える影響
馬の飼養管理 - 2022/08/18ハミによる口内病態の調査ハミ(銜)は頭絡の一部として、馬の口内の歯槽間縁(切歯と臼歯の隙間)に設置されており、手綱を介してライダーの細かい扶助を馬に伝える役目を担っています。ヒトが馬に乗ることにおいて、ハミは鐙(アブミ)と並んで、歴史上も重要な発明の一つであると言えます。しかし、ハミは、敏感な口腔粘膜に作用させているため、ムチや拍車以上に、注意して使う必要のある馬具なのかもしれません。近年では、ハ...
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高齢馬の飼養管理の基礎
馬の飼養管理 - 2022/08/14自馬が高齢になりつつあるホースマンの中には、飼料に関する疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。近年の栄養学や獣医学、飼養管理に関する知見の蓄積によって、馬は高齢になっても活躍できる時代になってきました。しかし、栄養学の発展で分かってきたのは、高齢馬には特有のエサが必要という事だけでなく、給餌内容を変更するタイミングには個体差が大きいということです。つまり、高齢馬用のエサに変更する時期は、年...
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馬の年齢を歯で当てよう
馬の飼養管理 - 2022/08/08切歯の生え変わりでの年齢判定馬の年齢を、歯を見ただけで当てる方法は、古来より、ホースマンの基本的スキルとして実施されてきました。通常、切歯の視診による馬の年齢判定は、上下顎切歯の乳歯の脱落(Shedding)、下顎切歯の咬合面(Occlusal surfaces of mandibular incisors)、および、上下切歯を横から観察することによって行われることが一般的です(上表)。このうち、切歯における脱落歯(Deciduous teeth)から永久歯...
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馬の下顎骨骨折における手術
診療 - 2022/08/06下顎骨骨折の外科治療法について下顎骨の骨折(Mandible fracture)では、すべての症例が外科的治療を要するわけではありませんが、両側性骨折(Bilateral fracture)または変位性骨折(Displaced fracture)を呈したり、下顎の不安定性(Mandible instability)や咀嚼不全(Malocclusion)等の症状が見られる場合には、外科的整復による骨折部再構築(Fracture reconstruction)が必要であるという提唱がなされています。切歯(In...