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タグ:治療 のエントリー一覧

  • 馬のクッシング病の経過評価について

    馬の飼養管理 - 2023/02/27

    馬のクッシング病は、正式には下垂体中葉機能異常(PPID: Pituitary pars intermedia dysfunction)のことを指しており、ヒトや犬のクッシング病とは、発症機構が異なることが知られています。そして、近年では、獣医療の進歩に伴いウマの寿命も伸びていることから、高齢馬のクッシング病の診断、および、多毛症や慢性蹄葉炎への対処を要する事例も増えていると言われています。ここでは、馬のクッシング病に対する治療薬の効き目...

  • 疝痛の獣医療での地域差:ケニア

    話題 - 2023/02/11

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、アフリカのケニアにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:デンマーク

    話題 - 2023/02/10

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、北欧のデンマークにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:イスラエル

    話題 - 2023/02/09

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、中東のイスラエルにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:カナダ

    話題 - 2023/02/08

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、カナダの大西洋側地域における、馬の疝痛...

  • 馬の外科的疝痛におけるPCV値と心拍数

    話題 - 2023/02/07

    馬の疝痛においては、その多くが内科的治療によって回復しますが、開腹術などの外科的治療を要するような重度の症例では、手術適応を早期判断したり、手術が選択肢で無いときには、アグレッシブな保存療法を初期段階で開始することが重要となります。このため、外科的疝痛の診断指標を確立させることが、馬の疝痛を診察する際に有益であると言えます。ここでは、疝痛馬のPCV値と心拍数によって、内科的および外科的疝痛の鑑別と、...

  • 疝痛の開腹術での予後判定指標:スペイン

    話題 - 2023/02/06

    馬の重度疝痛に対する開腹術では、予後不良となるケースも少なくなく、費用も高額になり易いことから、予後を的確に推測する指標が有用となります。ここでは、疝痛馬の開腹術における予後判定の指標を調査した知見を紹介します。この研究では、2006〜2011年にかけて、スペインの二箇所の獣医大学病院において、疝痛の外科治療のために実施された566頭の開腹術における医療記録の回顧的解析、および、オッズ比(OR)の算出による予後...

  • エコー誘導による馬の下歯槽神経ブロック

    話題 - 2023/01/24

    馬の歯科疾患では、保存療法に難治性を呈した症例においては、罹患歯の抜歯が根治療法として選択される場合もあります。ここでは、下顎臼歯の抜歯のために実施される下歯槽神経ブロックの手法について比較検討した知見を紹介します。参考文献:Lloyd-Edwards RA, Ferrao-van Sommeren A, Hermans H, Tersmette AA, Veraa S, van Loon JPAM. Comparison of blind, ultrasound- and neurostimulator-guided methods of percutaneous ...

  • 馬の抜歯後に起こる菌血症

    話題 - 2023/01/23

    馬の歯科疾患では、保存療法に難治性を呈した症例においては、罹患歯の抜歯が根治療法として選択される場合もあります。ここでは、馬の抜歯治療をした後に起こる菌血症に関する知見を紹介します。参考文献:Kern I, Bartmann CP, Verspohl J, Rohde J, Bienert-Zeit A. Bacteraemia before, during and after tooth extraction in horses in the absence of antimicrobial administration. Equine Vet J. 2017 Mar;49(2):178-182....

  • 馬の臼歯の抜歯治療での長期合併症

    話題 - 2023/01/22

    馬の歯科疾患では、保存療法に難治性を呈した症例においては、罹患歯の抜歯が根治療法として選択される場合もあります。ここでは、馬の臼歯の抜歯治療における、長期的な合併症の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のエジンバラ大学の獣医病院において、2004~2018年にかけて、臼歯の抜歯治療が実施された428頭の症例馬における、医療記録の回顧的解析、および、長期的な合併症に関する聞き取り調査が行なわ...

  • 馬の虚血再灌流でのリドカイン投与

    話題 - 2023/01/19

    馬の小腸の絞扼性疾患(空腸捻転や有茎性脂肪腫、網嚢孔捕捉など)では、絞扼を整復して虚血していた箇所に血流を回復させると、その再灌流が原因で組織損傷が起こってしまうという現象が知られており、また、その際に流出する炎症性物質によって、他の部位の腸管が通過障害(術後イレウス)を続発したり、全身の多臓器が損傷を受けるという危険性が指摘されています。ここでは、そのような虚血再灌流障害(Ischemia-reperfusion i...

  • エンデュランス競技の直後に起こる疝痛

    話題 - 2023/01/04

    エンデュランスの競技馬では、競技を棄権する理由の一つとして疝痛が挙げられており、発症率も高いことが報告されています[1]。ここでは、エンデュランスの競技馬における疝痛の傾向を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア州の二箇所の馬病院において、2000~2010年にかけて、エンデュランス競技のあとの48時間以内に疝痛を発症した36頭の馬における、医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:F...

  • 馬のキャスト褥瘡のサーモグラフィ検査

    話題 - 2023/01/02

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、馬の四肢への半肢/全肢キャストによる合併症の発生状況、および、サーモグラフィ検査の有用性を調査した知見を紹介します。この研究では、ベルギーのゲント大学の大動物病院において、2005~2007年にかけて、キャスト固定...

  • 馬のキャスト固定での蹄葉炎

    話題 - 2023/01/02

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、馬の四肢に用いられる半肢/全肢キャストおよびピンキャストにおける、負重性蹄葉炎の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のコロラド州立大学の馬病院において、2000~2009年にかけて、半肢ギプス、全...

  • 馬のキャスト固定での合併症

    話題 - 2023/01/01

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、馬の四肢に用いられる半肢または全肢キャストにおける、合併症の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、米国の四箇所の獣医大学病院において、1996~2007年にかけて、半肢/全肢キャストで治療された398頭の症...

  • 馬の衝撃波治療での創傷治癒向上

    話題 - 2022/12/29

    体外衝撃波治療(Extracorporeal shock wave therapy)は、もともと結石などの硬い物質を破砕する目的で使用されてきましたが、近年、腱靭帯組織の除痛や組織修復の効果があると言われるようになり、馬の運動器疾患等に対しても適応されています[1-3]。さらに、馬の皮膚の創傷部に衝撃波を当てることで、創傷治癒を促進できるという報告もあり[4,5]、そのメカニズムを検討した知見も示されています。下記の研究では、14頭の健常馬...

  • 馬の衝撃波治療とPRP治療の併用

    話題 - 2022/12/29

    体外衝撃波治療(Extracorporeal shock wave therapy)は、もともと結石などの硬い物質を破砕する目的で使用されてきましたが、近年、腱靭帯組織の除痛や組織修復の効果があると言われるようになり、馬の運動器疾患等に対しても適応されています[1-3]。一方、馬の腱靭帯疾患に対しては、多血小板血漿(Platelet-rich plasma: PRP)を病巣内投与して、成長因子を局所的に作用させる治療法も実施されており、衝撃波とPRPを併用した場...

  • 馬の衝撃波治療での鎮痛作用

    話題 - 2022/12/28

    体外衝撃波治療(Extracorporeal shock wave therapy)は、もともと結石などの硬い物質を破砕する目的で使用されてきましたが、近年、腱靭帯組織の除痛や組織修復の効果があると言われるようになり、馬の運動器疾患等に対しても適応されています[1-3]。一方で、衝撃波治療を施した部位では、痛みを感じる神経線維を変性させたり、痛みの伝達物質を枯渇させることで、好ましくない鎮痛作用を及ぼしてしまうという懸念もあります。こ...

  • 馬の滑膜感染の関節鏡での予後指標

    話題 - 2022/12/27

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、滑膜感染を起こした214頭の症例(六ヶ月齢以上)での関節鏡の治療成績、および、オッズ比(OR)の算出による予後指標に関する知見を紹介します。参考文献:Milner PI, Bardell DA, Warner L, Packer MJ, Senior JM, Singer ER, Archer DC. Factors associated with survi...

  • 蹄骨の裏側の骨片での関節鏡

    話題 - 2022/12/27

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、蹄骨の裏側(掌側または底側)に骨軟骨片を発生した四頭の跛行馬に対して、関節鏡手術を実施した知見を紹介します。参考文献:Lloyd KA, Smith MR, Whitton RC, Stent AW, Steel CM. Osteochondral fragmentation of the palmarolateral/plantarolateral aspect of the d...

  • 馬の蹄関節での関節鏡の長期的予後

    話題 - 2022/12/26

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、馬の蹄関節での関節鏡手術における、病態の傾向と長期的予後を評価した知見を紹介します。この研究では、米国のテキサス州の馬病院にて、2012~2017年にかけて、蹄関節の変性関節疾患の治療のために、関節鏡手術が実施された10頭の跛行馬における医療記録の回顧的解析が...

  • 馬の脛骨の顆間隆起骨折での関節鏡

    話題 - 2022/12/26

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、馬の脛骨の顆間隆起骨折での関節鏡治療を評価した知見を紹介します。この研究では、米英の九ヶ所の馬病院において、2004~2016年にかけて、脛骨の顆間隆起骨折の治療のために関節鏡が実施された21頭の跛行馬における医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Rub...

  • 馬の後膝での関節鏡の長期的予後

    話題 - 2022/12/25

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、馬の後膝での関節鏡手術における長期的予後を評価した知見を紹介します。この研究では、米国のペンシルバニア大学の馬病院にて、1993~2006年にかけて、膝関節の変性関節疾患、半月板損傷、関節内軟部組織の損傷を治療するため、関節鏡手術が実施された44頭の跛行馬にお...

  • 高齢馬の疝痛での治療と予後

    話題 - 2022/12/22

    近年、馬の寿命が延びて、高齢馬の飼養頭数が増えるに連れて、高齢期における病気の治療や健康管理が重要になってきています。ここでは、高齢馬での疝痛における治療と予後を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のペンシルバニア大学の馬病院において、2000~2006年にかけて疝痛の診療を受けた300頭の高齢馬(16歳以上)での治療内容や生存率が、300頭の対照馬(4~15歳、疝痛馬)と比較され、更に、オッズ比(OR)の算...

  • 馬の難産での組織的治療

    話題 - 2022/12/20

    馬の難産は救急医療の一つで、短時間で適切な判断と処置を下すことで、子馬と母馬の命を救うことが可能になります。ここでは、馬の難産に対する組織的治療プロトコル(CDMP: Coordinated dystocia management protocol)の効果を検証した知見を紹介します。この研究では、米国のペンシルバニア大学の馬病院において、1991~2004年にかけて診療を受けた71頭の難産症例における医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Nort...

  • 馬の難産の原因と重篤度

    話題 - 2022/12/20

    馬の難産は救急医療の一つで、短時間で適切な判断と処置を下すことで、子馬と母馬の命を救うことが可能になります。ここでは、馬の難産の原因や重篤度によって、生存率や合併症に及ぼす影響を調査した知見を紹介します。この研究では、イタリアのボローニャ大学の獣医病院において、2004~2020年にかけて診察を受けた、222頭のスタンダードブレッドの妊娠牝馬(正常分娩165頭、難産57頭)における医療記録の回顧的解析が行なわれま...

  • 馬の難産の前兆

    話題 - 2022/12/19

    馬の難産は救急医療の一つで、短時間で適切な判断と処置を下すことで、子馬と母馬の命を救うことが可能になります。ここでは、馬の難産の発生に関わる要因と影響を評価した知見を紹介します。この研究では、米国のコロラド州の繁殖牧場にて、2002~2010年における1,047件の出産での、妊娠期間、出産する時間帯、難産の発生状況などの回顧的調査が行なわれました。参考文献:McCue PM, Ferris RA. Parturition, dystocia and foal s...

  • 馬の難産へのアプローチ

    話題 - 2022/12/19

    馬の難産は救急医療の一つで、短時間で適切な判断と処置を下すことで、子馬と母馬の命を救うことが可能になります。ここでは、二次診療施設での馬の難産処置に関して、アプローチ方針と治療成績を検証した知見を紹介します。この研究では、米国のケンタッキー州の馬病院にて、1986~1999年にかけて実施された247件の難産における医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Byron CR, Embertson RM, Bernard WV, Hance SR, B...

  • 子馬の菌血症と将来の競走能力

    話題 - 2022/12/17

    子馬の病気を治療するときには、経済動物である馬として、将来的な運動能力に及ぼされる影響も考慮する必要があります。ここでは、子馬の菌血症(Bacteremia)が治った後、将来的に競走馬としてのレース能力に及ぼす影響を評価した知見を紹介します。この研究では、米国のフロリダ大学の大動物病院において、1982~2007年にかけて、菌血症の治療を受けた423頭の子馬を対象として、生存率に関わる因子の解析と(オッズ比[OR]の算出...

  • 馬の項嚢炎

    話題 - 2022/12/04

    馬の項嚢炎(Nuchal bursitis)は、稀に見られる頚部痛の原因疾患です。ここでは、米国のタフツ大学の獣医病院において、1999~2014年にかけて、頭側項嚢炎を呈した30頭の馬に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Bergren AL, Abuja GA, Bubeck KA, Spoormakers TJP, García-López JM. Diagnosis, treatment and outcome of cranial nuchal bursitis in 30 horses. Equine Vet J. 2018 Jul;50(4):465-469.馬の項靭帯は、後...

  • 馬の顔面神経麻痺

    話題 - 2022/12/04

    馬における顔面神経麻痺(Facial nerve paralysis)は、稀に見られる神経器疾患です。ここでは、米国のペンシルバニア大学の大動物病院において、2000~2019年にかけて、顔面神経麻痺を呈した64頭の馬科動物(ロバ1頭含む)に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Boorman S, Scherrer NM, Stefanovski D, Johnson AL. Facial nerve paralysis in 64 equids: Clinical variables, diagnosis, and outcome. J Vet Intern Med....

  • 馬の“横風”跛行での鑑別診断

    話題 - 2022/12/03

    馬の“横風”跛行(Sidewinder gait)とは、常歩において前肢と後肢の動きが連携せず、片方の後肢を外方に投げ出しながら、その反対側に後躯を大きく傾けながら歩く歩様を指しています。ここでは、横風跛行の診療が行なわれた24頭の馬における、鑑別診断、治療、予後について調査した知見を紹介します。参考文献:Aleman M, Berryhill E, Woolard K, Easton-Jones CA, Kozikowski-Nicholas T, Dyson S, Kilcoyne I. Sidewinder gait ...

  • 馬の遠位種子骨靭帯炎

    話題 - 2022/12/03

    馬における遠位種子骨靭帯炎(Distal sesamoidean ligament desmitis)は、稀に見られる跛行の原因疾患です。ここでは、英国の王立獣医大学において、2002~2018年にかけて、遠位種子骨靭帯炎を呈した51頭の馬に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Hawkins A, O'Leary L, Bolt D, Fiske-Jackson A, Berner D, Smith R. Retrospective analysis of oblique and straight distal sesamoidean ligament desmitis in 52 horses...

  • 馬の蹄関節の側副靭帯炎

    話題 - 2022/12/02

    馬における蹄関節の側副靭帯炎(Collateral desmitis of the distal interphalangeal joint)は、稀に見られる跛行の原因疾患です。ここでは、英国の馬研究センターにおいて、2001~2003年にかけて、蹄関節の側副靭帯炎を呈した18頭の馬に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Dyson SJ, Murray R, Schramme M, Branch M. Collateral desmitis of the distal interphalangeal joint in 18 horses (2001-2002). Equine Vet J....

  • 馬の疝痛スコアによる予後判定

    話題 - 2022/11/28

    馬の疝痛では、心拍数や血中乳酸値など、病気の重さを示す重要な検査項目が幾つかあるため、それらを総括的に読み取って、全身状態の重篤度や予後の悪さを判断する必要があります。ここでは、そのような多数の項目をまとめて、一つの数字に変換して予後判定するという「疝痛スコアシステム」(Colic scoring system)について検討した知見を紹介します。この研究では、米国の複数の馬病院において、2014~2019年にかけて、疝痛の診...

  • 馬の補液10:補液計算の例題3

    診療 - 2022/11/27

    馬の補液療法(Fluid therapy)の例題3。患馬は、急性発現性(Acute onset)の軽度疝痛症状(Mild colic)、発熱(Fever)、頻脈(Tachycardia)、頻呼吸(Tachypnea)などの症状を示し、経鼻カテーテルによってオレンジ色~茶色で腐敗臭(Fetid odor)を示す多量の胃逆流液(Gastric reflux)の排出が認められ、胃除圧(Gastric decompression)によって疼痛症状の顕著な改善と、その後の沈鬱症状(Depression)が見られました。...

  • 馬の補液9:補液計算の例題2

    診療 - 2022/11/27

    馬の補液療法(Fluid therapy)の例題2。患馬は、48時間にわたる漸進発現性(Gradual onset)の中程度下痢症(Moderate diarrhea)、発熱(Fever)、抑欝(Depression)、食欲不振(Anorexia)などの症状を呈し、風土性(川沿いでの飼養)とサルモネラ症(Salmonellosis)の陰性反応から、ポトマック熱(Potomac horse fever)であるという推定診断が下されました。入院時の脱水重篤度は、臨床症状と血液検査結果から10%と推測さ...

  • 馬の補液8:補液計算の例題1

    診療 - 2022/11/27

    馬の補液療法(Fluid therapy)の例題1。患馬は、16時間にわたる漸進発現性(Gradual onset)の中程度疝痛(Moderate colic)を呈し、直腸検査(Rectal examination)において摂食物を充填して硬化した骨盤曲(Firm ingesta-filled pelvic flexure)が触知され、大結腸便秘(Large colon impaction)の推定診断が下されました。入院時の脱水重篤度は、臨床症状と血液検査結果から5%と推測されました。(1)体液量、細胞外液量(E...

  • 馬の補液7:栄養輸液

    診療 - 2022/11/26

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。疝痛馬の治療に際しては、胃液逆流(Gastric reflux)、小腸閉塞(Small intestinal ileus)、食道通過障害(Esophageal obstruction)などの罹患馬において、摂食停止が三日間以上に及ぶ場合には、補液療法を介しての栄養補助(Nutritional support)が必要になります。成馬における安静時必要栄養量は、正常時体重×21+975(kcal)で計算されますが、補液中へのブドウ糖...

  • 馬の補液6:酸塩基平衡

    診療 - 2022/11/26

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。代謝性アシドーシス(Metabolic acidosis)は、疝痛の罹患馬に最も多く見られる酸塩基不均衡(Acid-base imbalance)で、血液pHおよび重炭酸イオン(Bicarbonate ion: HCO3)の下降を特徴とし、ナトリウム損失を伴う血液量減少症(Hypovolemia)、下痢症(Diarrhea)による消化管からの重炭酸損失、食道閉塞(Esophageal obstruction)の初期病態における過剰な流涎中への...

  • 馬の補液5:カルシウム補正

    診療 - 2022/11/26

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。低カルシウム血症(Hypocalcemia)は、多くの疝痛症例において見られ、乳酸アシドーシス(Lactic acidosis)、内毒素誘発性のカルシウム恒常性変動(Endotoxin-induced changes in calcium homeostasis)、小腸からのカルシウム吸収不全(Small intestinal calcium malabsorption)などに起因すると考えられています。しかし、血中のカルシウムの大部分はアルブミンと結合...

  • 馬の補液4:電解質の補正

    診療 - 2022/11/25

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。ナトリウムは細胞外液(Extracellular fluid: ECF)の主成分で、カリウムは細胞内液(Intracelullar fluid: ICF)の主成分であるため、血清カリウム濃度は全身のカリウム損失量の目安としての信頼性は低いことが知られています。しかし、ナトリウムとカリウムは常に細胞膜チャンネルを介しての交換が行われているため、血清ナトリウム濃度はECFのナトリウム量のみならず、...

  • 馬の補液3:電解質不均衡

    診療 - 2022/11/25

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。低ナトリウム血症(Hyponatremia)は、急性大腸炎(Acute colitis)や下痢症(Diarrhea)を起こすサルモネラ症(Salmonellosis)、ポトマック熱(Potomac horse fever)、クロストリディウム症(Clostridiosis)などにおいて好発し、腹腔や腸管内腔へのナトリウム漏出を起こす腹膜炎(Peritonitis)や大結腸捻転(Large colon torsion)、および過剰な流涎中へのナトリウ...

  • 馬の補液2:補液剤の量と種類

    診療 - 2022/11/24

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。馬の補液療法の実施に際して、合計補液量の計算は、損失水分量(Water deficit)、維持水分量(Maintenance)、持続損失量(Ongoing losses)、追加水分量(Additional fluid requirement)の合計によって算出され、脱水症の治療に際しては12時間にわたる補液後、血液検査で経過をモニタリングして次の12時間の補液量を再計算する指針が一般的です。つまり、損失水分量+...

  • 馬の補液1:脱水症の診断

    診療 - 2022/11/24

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。体重500kgの馬体の総水分量は約300L(体重の60%)で、このうち細胞内液(Intracellular fluid: ICF)が約200L、細胞外液(Extracellular fluid: ECF)が約100Lを占めます。細胞外液の内訳は、血液およびリンパ液中の血漿(Plasma)が25~30L、間質液(Interstitial fluid)が40~45Lとなり、残りの約30Lを経細胞液(Transcellular fluid)が占め、これには消化管内腔液(G...

  • 競走馬の関節炎でのPAAG治療

    話題 - 2022/11/23

    馬の跛行の原因としては、最も多いのが変性関節疾患であることが知られており、その治療法として注目されるのがPAAG関節注射法になります。ここでは、競走馬の関節炎に対するPAAG治療を、従来の関節注射療法と比較した知見を紹介します。この研究では、手根関節炎を呈した31頭のサラブレッド競走馬に対して、PAAG関節注射、トリアムシノロン(HA)、または、ヒアルロン酸(HA)の関節注射を無作為に実施して、その後の12週間にわた...

  • 馬のPAAG注射の滑膜への影響

    話題 - 2022/11/23

    馬の跛行の原因としては、最も多いのが変性関節疾患であることが知られており、その治療法として注目されるのがPAAG関節注射法になります。ここでは、馬の関節に注射されたPAAGが、滑膜にどのように作用しているかを評価した知見を紹介します。この研究では、まず10匹のウサギを用いて、PAAGまたはヒアルロン酸ゲル(HAG、対照群)の関節注射の一年後までの滑膜組織の組織学的評価を行ない、次に、関節炎を呈した14頭の馬に対して...

  • 馬のPAAG治療での長期経過

    話題 - 2022/11/22

    馬の跛行の原因としては、最も多いのが変性関節疾患であることが知られており、その治療法として注目されるのがPAAG関節注射法になります。ここでは、馬の関節炎に対するPAAG治療法の長期経過を評価した知見を紹介します。この研究では、ドイツとデンマークの獣医大学病院において、2010~2014年にかけて、変性関節疾患の確定診断を受けて、PAAG関節注射(2mL、球節または手根関節)による治療が行なわれた43頭の馬における、治療...

  • 馬の歯冠部分切除術による抜歯法

    話題 - 2022/11/17

    馬の歯科疾患が悪化すると抜歯することになりますが[1,2]、口腔側から引き抜けない場合には、歯根側や側面から摘出する必要があり[3,4]、術後の合併症を起こし易いという問題があります。ここでは、馬の臼歯の歯冠部分切除術を介して、口腔側からの抜歯を行なうという知見を紹介します。参考文献:Rice MK, Henry TJ. Standing intraoral extractions of cheek teeth aided by partial crown removal in 165 horses (2010-2016). E...

  • 馬の経頬壁での歯内螺子抜歯法

    話題 - 2022/11/17

    馬の歯科疾患の治療のために臼歯を抜くときには、口腔側から罹患歯を掴んで引き抜いたり、円鋸孔を開けて歯根側から罹歯を叩き出す手法が用いられますが、罹患歯が感染していたり、亀裂が入っている場合には、これらの手法が使えないケースもあります。ここでは、馬の臼歯の抜歯法として、最小侵襲性の経頬壁アプローチを介した歯内螺子抜歯法(Minimally invasive transbuccal screw extraction: MITSE)について紹介します。参考...

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Author:Rowdy Pony
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職業: 獣医師・獣医学博士
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