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タグ:治療 のエントリー一覧

  • 馬の腺胃部での胃潰瘍と飼料の関係性

    話題 - 2023/08/09

    一般的に、馬は胃潰瘍を起こしやすい動物であり、その潰瘍病変は、扁平上皮に覆われた無腺胃の箇所(噴門側)に好発することが知られています。一方、近年では、幽門側の腺胃部に起こる胃潰瘍も、半数近い競走馬や乗馬競技馬に発症することが判明しており、プアパフォーマンスや疝痛症状に関連することが分かってきています。ここでは、競走馬の腺胃部での胃潰瘍と、飼料の関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、フラン...

  • 馬の疝痛:持久戦がもたらす悲劇

    馬の飼養管理 - 2023/08/02

    馬の疝痛に対する開腹術では、早期に手術を決断することが、治療成功率や生存率を高めるのに重要であることが知られています。馬の疝痛治療の第一人者である、フロリダ大学のデイビッド・フリーマン博士は、2022年の全米馬臨床医協会(AAEP)の学会において、疝痛馬に対する「持久戦がもたらす悲劇」(Tragedy of the Waiting Game)について警鐘を鳴らしています。参考資料:Christa Leste-Lassiter, MA. Colic Referral: The Tra...

  • 馬の経鼻チューブ処置による副鼻腔炎

    話題 - 2023/07/17

    一般的に馬は、嘔吐が殆ど出来ない動物であるため、経鼻チューブで胃へとアクセスすることは、馬の消化器疾患の診察において非常に重要になります。一方で、馬の獣医師は、経鼻チューブ処置を介して起こり得る合併症についても知っておく必要があります。下記の研究では、米国のカリフォルニア大学デービス校の獣医病院で診察した馬のなかで、経鼻チューブに起因して副鼻腔炎を発症した三頭の症例について報告されています。参考文...

  • 経鼻チューブの太さと胃液逆流の関係性

    話題 - 2023/07/10

    一般的に、馬は、嘔吐が殆どできない動物であるため、重度な胃拡張を起こすと、胃破裂を続発して予後不良になることが知られています。このため、空腸絞扼や近位小腸炎などの症例では、小腸から胃へと逆流してくる消化液を持続的に排出させるため、経鼻チューブを留置する必要があります。しかし、経鼻チューブが留置されていると、胃液が、噴門→食道→喉頭へと逆流して、それを気管内に誤嚥することで、下部気道炎を起こす危険性が...

  • 電磁波馬着で馬の背筋痛を改善

    馬の飼養管理 - 2023/06/28

    近年の研究では、電磁波を出す馬着を用いることで、運動神経制御や脊椎柔軟性を向上させて、馬の背筋痛を緩和できることが示されており、炎症や硬化などの副作用も無いと言われています。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Bio-Electromagnetic Blanket Can Help Horses With Back Pain. The Horse, Article, Back and Spine, Horse Care, Pain Management, Sports Medicine, Tack: Jan 31, 2023. 先端技術を応用したこの馬着...

  • 疝痛の獣医療での地域差:ノルウェー

    話題 - 2023/06/24

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、北欧のノルウェーにおける、馬の疝痛の獣...

  • 馬のクッシング病の薬物療法での長期的効能

    馬の飼養管理 - 2023/06/07

    馬のクッシング病は、下垂体中葉機能異常(PPID: Pituitary pars intermedia dysfunction)のことを指しています。近年、ウマの寿命の伸びに比例して、高齢馬のクッシング病も増えており、その薬物療法に関するエビデンスも示されています。ここでは、馬のクッシング病に対する治療薬の効き目を、長期的に評価した知見を紹介します。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Pergolide Study Shows Long-Term Improvement in PPID H...

  • 陰圧療法での馬の外傷治療

    話題 - 2023/05/27

    一般的に、馬は細菌感染に弱い動物であることが知られています。このため、重度の外傷を起こした場合、抗生物質の全身投与では感染制御が難しくなり、創傷治癒の遅延や癒合不全を続発したり、広範な蜂窩織炎を併発して、敗血症や蹄葉炎などの合併症を引き起こすこともあります。ここでは、陰圧創傷療法(Negative pressure wound therapy)を適応して、馬の重度外傷の治療を試みた知見を紹介します。この研究では、2016〜2020年に...

  • 馬の関節炎でのパーグ治療の実施法

    馬の飼養管理 - 2023/05/22

    一般的に、馬の健康問題のうち、約八割を運動器疾患が占めることが知られています。そのうち、最も多いのが関節疾患であり、これには、競走馬における腕節炎や球節炎、乗用馬における飛節内腫やリングボーン、および、若齢馬でのOCDやボーンシストに併発する変性関節疾患(DJD)などが含まれます。ここでは、馬の関節疾患に対する「パーグ治療」について、その概要を解説した知見を紹介します。参考資料:Alexandra Beckstett, The...

  • 血液精製物による馬の関節炎の治療

    馬の飼養管理 - 2023/05/08

    馬の健康問題のうち、約八割を運動器疾患が占めており、そのうち、最も多いのが関節炎であると言われています。これには、競走馬の腕節炎や球節炎、乗用馬の飛節内腫やリングボーン、および、若齢馬のOCDやボーンシストに併発する変性関節疾患(DJD)から、高齢馬の顎関節炎に至るまで、多様な年代の馬において、多くの病態が起こり得ます。ここでは、馬の自己血液から精製される物質を用いた関節炎の治療に関して、その概要を解説...

  • 馬の仙腸関節の注射での合併症

    話題 - 2023/04/22

    仙腸関節とは、背骨と骨盤を連結しているL字型の関節で、この部位での疼痛は、ハンター飛越や障害飛越などの競技馬に好発します。一般的に、馬の仙腸関節は、画像診断をするのが困難な箇所であるため、関節内への局所麻酔薬の注入(診断麻酔)によって、仙腸関節での疼痛の限局化が試みられる事があります。また、治療薬を局所投与する目的で、関節注射が実施されることもあります。ここでは、馬の仙腸関節注射における合併症に関...

  • 馬の理学療法での指針と手法

    馬の飼養管理 - 2023/04/17

    馬の健康問題のうち、実に八割を占めているのが運動器疾患であり、その治療のためには、クスリの投与や手術など、様々な内科的および外科的療法が適応されています。一方で、運動器機能の回復や維持を目的として、物理的手段を用いる手法もあり、一般的に「理学療法(Physical Therapy)」と呼ばれています。ここでは、馬の運動器疾患に対する理学療法に関して、その基本的な指針や手法を解説した記事を紹介します。参考資料:Shel...

  • 馬の胃潰瘍に対する筋注薬の作用

    話題 - 2023/04/16

    馬は、胃潰瘍を起こし易い動物であることが知られており、その治療や予防のために、胃酸を抑える作用を持つオメプラゾール(プロトンポンプ抑制剤)の投与が行なわれています。通常、オメプラゾールは、毎日の経口投与を要することになりますが、近年の研究では、徐放性に遊離するオメプラゾール製剤が開発され、これを週に一回だけ筋肉内投与することで、経口薬と同等な効能が得られることが分かってきています[1,2]。ここでは、...

  • 馬のフレグモーネに対する空気圧縮療法

    話題 - 2023/04/02

    馬は細菌感染に弱い動物であるため、四肢にフレグモーネ(蜂窩織炎)を発症すると、治癒した後にも、四肢の皮下組織に浮腫や線維化が慢性的に残ってしまい(=慢性進行性リンパ浮腫:Chronic progressive lymphedema)、持続的な歩様不整や易感染性が続くことが知られています。ここでは、空気圧縮療法によって、リンパ循環の向上を試みた知見を紹介します。参考文献:Koch DW, Schnabel LV, Reynolds J, Berry CR. Pneumatic comp...

  • 疝痛馬を曳き馬するときの注意点

    馬の飼養管理 - 2023/03/27

    一般的に、疝痛とは、消化器の病気によって、馬が腹痛を呈している様子を指します(厳密には症病名ではなく症状名)。もともと、馬という動物は、胃腸の病気に弱いという特徴があり、死因の第一位は疝痛だと言われています。幸いにも、疝痛の約六割は、獣医師の治療を要することなく、ホースマンが正しく対処すれば治癒することが知られており、その際には、曳き馬での常歩運動、マズル装着による絶食などが行なわれます。ホースマ...

  • 馬のクッシング病の経過評価について

    馬の飼養管理 - 2023/02/27

    馬のクッシング病は、正式には下垂体中葉機能異常(PPID: Pituitary pars intermedia dysfunction)のことを指しており、ヒトや犬のクッシング病とは、発症機構が異なることが知られています。そして、近年では、獣医療の進歩に伴いウマの寿命も伸びていることから、高齢馬のクッシング病の診断、および、多毛症や慢性蹄葉炎への対処を要する事例も増えていると言われています。ここでは、馬のクッシング病に対する治療薬の効き目...

  • 疝痛の獣医療での地域差:ケニア

    話題 - 2023/02/11

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、アフリカのケニアにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:デンマーク

    話題 - 2023/02/10

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、北欧のデンマークにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:イスラエル

    話題 - 2023/02/09

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、中東のイスラエルにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛の獣医療での地域差:カナダ

    話題 - 2023/02/08

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、カナダの大西洋側地域における、馬の疝痛...

  • 馬の外科的疝痛におけるPCV値と心拍数

    話題 - 2023/02/07

    馬の疝痛においては、その多くが内科的治療によって回復しますが、開腹術などの外科的治療を要するような重度の症例では、手術適応を早期判断したり、手術が選択肢で無いときには、アグレッシブな保存療法を初期段階で開始することが重要となります。このため、外科的疝痛の診断指標を確立させることが、馬の疝痛を診察する際に有益であると言えます。ここでは、疝痛馬のPCV値と心拍数によって、内科的および外科的疝痛の鑑別と、...

  • 疝痛の開腹術での予後判定指標:スペイン

    話題 - 2023/02/06

    馬の重度疝痛に対する開腹術では、予後不良となるケースも少なくなく、費用も高額になり易いことから、予後を的確に推測する指標が有用となります。ここでは、疝痛馬の開腹術における予後判定の指標を調査した知見を紹介します。この研究では、2006〜2011年にかけて、スペインの二箇所の獣医大学病院において、疝痛の外科治療のために実施された566頭の開腹術における医療記録の回顧的解析、および、オッズ比(OR)の算出による予後...

  • エコー誘導による馬の下歯槽神経ブロック

    話題 - 2023/01/24

    馬の歯科疾患では、保存療法に難治性を呈した症例においては、罹患歯の抜歯が根治療法として選択される場合もあります。ここでは、下顎臼歯の抜歯のために実施される下歯槽神経ブロックの手法について比較検討した知見を紹介します。参考文献:Lloyd-Edwards RA, Ferrao-van Sommeren A, Hermans H, Tersmette AA, Veraa S, van Loon JPAM. Comparison of blind, ultrasound- and neurostimulator-guided methods of percutaneous ...

  • 馬の抜歯後に起こる菌血症

    話題 - 2023/01/23

    馬の歯科疾患では、保存療法に難治性を呈した症例においては、罹患歯の抜歯が根治療法として選択される場合もあります。ここでは、馬の抜歯治療をした後に起こる菌血症に関する知見を紹介します。参考文献:Kern I, Bartmann CP, Verspohl J, Rohde J, Bienert-Zeit A. Bacteraemia before, during and after tooth extraction in horses in the absence of antimicrobial administration. Equine Vet J. 2017 Mar;49(2):178-182....

  • 馬の臼歯の抜歯治療での長期合併症

    話題 - 2023/01/22

    馬の歯科疾患では、保存療法に難治性を呈した症例においては、罹患歯の抜歯が根治療法として選択される場合もあります。ここでは、馬の臼歯の抜歯治療における、長期的な合併症の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のエジンバラ大学の獣医病院において、2004~2018年にかけて、臼歯の抜歯治療が実施された428頭の症例馬における、医療記録の回顧的解析、および、長期的な合併症に関する聞き取り調査が行なわ...

  • 馬の虚血再灌流でのリドカイン投与

    話題 - 2023/01/19

    馬の小腸の絞扼性疾患(空腸捻転や有茎性脂肪腫、網嚢孔捕捉など)では、絞扼を整復して虚血していた箇所に血流を回復させると、その再灌流が原因で組織損傷が起こってしまうという現象が知られており、また、その際に流出する炎症性物質によって、他の部位の腸管が通過障害(術後イレウス)を続発したり、全身の多臓器が損傷を受けるという危険性が指摘されています。ここでは、そのような虚血再灌流障害(Ischemia-reperfusion i...

  • エンデュランス競技の直後に起こる疝痛

    話題 - 2023/01/04

    エンデュランスの競技馬では、競技を棄権する理由の一つとして疝痛が挙げられており、発症率も高いことが報告されています[1]。ここでは、エンデュランスの競技馬における疝痛の傾向を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア州の二箇所の馬病院において、2000~2010年にかけて、エンデュランス競技のあとの48時間以内に疝痛を発症した36頭の馬における、医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:F...

  • 馬のキャスト褥瘡のサーモグラフィ検査

    話題 - 2023/01/02

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、馬の四肢への半肢/全肢キャストによる合併症の発生状況、および、サーモグラフィ検査の有用性を調査した知見を紹介します。この研究では、ベルギーのゲント大学の大動物病院において、2005~2007年にかけて、キャスト固定...

  • 馬のキャスト固定での蹄葉炎

    話題 - 2023/01/02

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、馬の四肢に用いられる半肢/全肢キャストおよびピンキャストにおける、負重性蹄葉炎の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のコロラド州立大学の馬病院において、2000~2009年にかけて、半肢ギプス、全...

  • 馬のキャスト固定での合併症

    話題 - 2023/01/01

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、馬の四肢に用いられる半肢または全肢キャストにおける、合併症の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、米国の四箇所の獣医大学病院において、1996~2007年にかけて、半肢/全肢キャストで治療された398頭の症...

  • 馬の衝撃波治療での創傷治癒向上

    話題 - 2022/12/29

    体外衝撃波治療(Extracorporeal shock wave therapy)は、もともと結石などの硬い物質を破砕する目的で使用されてきましたが、近年、腱靭帯組織の除痛や組織修復の効果があると言われるようになり、馬の運動器疾患等に対しても適応されています[1-3]。さらに、馬の皮膚の創傷部に衝撃波を当てることで、創傷治癒を促進できるという報告もあり[4,5]、そのメカニズムを検討した知見も示されています。下記の研究では、14頭の健常馬...

  • 馬の衝撃波治療とPRP治療の併用

    話題 - 2022/12/29

    体外衝撃波治療(Extracorporeal shock wave therapy)は、もともと結石などの硬い物質を破砕する目的で使用されてきましたが、近年、腱靭帯組織の除痛や組織修復の効果があると言われるようになり、馬の運動器疾患等に対しても適応されています[1-3]。一方、馬の腱靭帯疾患に対しては、多血小板血漿(Platelet-rich plasma: PRP)を病巣内投与して、成長因子を局所的に作用させる治療法も実施されており、衝撃波とPRPを併用した場...

  • 馬の衝撃波治療での鎮痛作用

    話題 - 2022/12/28

    体外衝撃波治療(Extracorporeal shock wave therapy)は、もともと結石などの硬い物質を破砕する目的で使用されてきましたが、近年、腱靭帯組織の除痛や組織修復の効果があると言われるようになり、馬の運動器疾患等に対しても適応されています[1-3]。一方で、衝撃波治療を施した部位では、痛みを感じる神経線維を変性させたり、痛みの伝達物質を枯渇させることで、好ましくない鎮痛作用を及ぼしてしまうという懸念もあります。こ...

  • 馬の滑膜感染の関節鏡での予後指標

    話題 - 2022/12/27

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、滑膜感染を起こした214頭の症例(六ヶ月齢以上)での関節鏡の治療成績、および、オッズ比(OR)の算出による予後指標に関する知見を紹介します。参考文献:Milner PI, Bardell DA, Warner L, Packer MJ, Senior JM, Singer ER, Archer DC. Factors associated with survi...

  • 蹄骨の裏側の骨片での関節鏡

    話題 - 2022/12/27

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、蹄骨の裏側(掌側または底側)に骨軟骨片を発生した四頭の跛行馬に対して、関節鏡手術を実施した知見を紹介します。参考文献:Lloyd KA, Smith MR, Whitton RC, Stent AW, Steel CM. Osteochondral fragmentation of the palmarolateral/plantarolateral aspect of the d...

  • 馬の蹄関節での関節鏡の長期的予後

    話題 - 2022/12/26

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、馬の蹄関節での関節鏡手術における、病態の傾向と長期的予後を評価した知見を紹介します。この研究では、米国のテキサス州の馬病院にて、2012~2017年にかけて、蹄関節の変性関節疾患の治療のために、関節鏡手術が実施された10頭の跛行馬における医療記録の回顧的解析が...

  • 馬の脛骨の顆間隆起骨折での関節鏡

    話題 - 2022/12/26

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、馬の脛骨の顆間隆起骨折での関節鏡治療を評価した知見を紹介します。この研究では、米英の九ヶ所の馬病院において、2004~2016年にかけて、脛骨の顆間隆起骨折の治療のために関節鏡が実施された21頭の跛行馬における医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Rub...

  • 馬の後膝での関節鏡の長期的予後

    話題 - 2022/12/25

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、馬の後膝での関節鏡手術における長期的予後を評価した知見を紹介します。この研究では、米国のペンシルバニア大学の馬病院にて、1993~2006年にかけて、膝関節の変性関節疾患、半月板損傷、関節内軟部組織の損傷を治療するため、関節鏡手術が実施された44頭の跛行馬にお...

  • 高齢馬の疝痛での治療と予後

    話題 - 2022/12/22

    近年、馬の寿命が延びて、高齢馬の飼養頭数が増えるに連れて、高齢期における病気の治療や健康管理が重要になってきています。ここでは、高齢馬での疝痛における治療と予後を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のペンシルバニア大学の馬病院において、2000~2006年にかけて疝痛の診療を受けた300頭の高齢馬(16歳以上)での治療内容や生存率が、300頭の対照馬(4~15歳、疝痛馬)と比較され、更に、オッズ比(OR)の算...

  • 馬の難産での組織的治療

    話題 - 2022/12/20

    馬の難産は救急医療の一つで、短時間で適切な判断と処置を下すことで、子馬と母馬の命を救うことが可能になります。ここでは、馬の難産に対する組織的治療プロトコル(CDMP: Coordinated dystocia management protocol)の効果を検証した知見を紹介します。この研究では、米国のペンシルバニア大学の馬病院において、1991~2004年にかけて診療を受けた71頭の難産症例における医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Nort...

  • 馬の難産の原因と重篤度

    話題 - 2022/12/20

    馬の難産は救急医療の一つで、短時間で適切な判断と処置を下すことで、子馬と母馬の命を救うことが可能になります。ここでは、馬の難産の原因や重篤度によって、生存率や合併症に及ぼす影響を調査した知見を紹介します。この研究では、イタリアのボローニャ大学の獣医病院において、2004~2020年にかけて診察を受けた、222頭のスタンダードブレッドの妊娠牝馬(正常分娩165頭、難産57頭)における医療記録の回顧的解析が行なわれま...

  • 馬の難産の前兆

    話題 - 2022/12/19

    馬の難産は救急医療の一つで、短時間で適切な判断と処置を下すことで、子馬と母馬の命を救うことが可能になります。ここでは、馬の難産の発生に関わる要因と影響を評価した知見を紹介します。この研究では、米国のコロラド州の繁殖牧場にて、2002~2010年における1,047件の出産での、妊娠期間、出産する時間帯、難産の発生状況などの回顧的調査が行なわれました。参考文献:McCue PM, Ferris RA. Parturition, dystocia and foal s...

  • 馬の難産へのアプローチ

    話題 - 2022/12/19

    馬の難産は救急医療の一つで、短時間で適切な判断と処置を下すことで、子馬と母馬の命を救うことが可能になります。ここでは、二次診療施設での馬の難産処置に関して、アプローチ方針と治療成績を検証した知見を紹介します。この研究では、米国のケンタッキー州の馬病院にて、1986~1999年にかけて実施された247件の難産における医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Byron CR, Embertson RM, Bernard WV, Hance SR, B...

  • 子馬の菌血症と将来の競走能力

    話題 - 2022/12/17

    子馬の病気を治療するときには、経済動物である馬として、将来的な運動能力に及ぼされる影響も考慮する必要があります。ここでは、子馬の菌血症(Bacteremia)が治った後、将来的に競走馬としてのレース能力に及ぼす影響を評価した知見を紹介します。この研究では、米国のフロリダ大学の大動物病院において、1982~2007年にかけて、菌血症の治療を受けた423頭の子馬を対象として、生存率に関わる因子の解析と(オッズ比[OR]の算出...

  • 馬の項嚢炎

    話題 - 2022/12/04

    馬の項嚢炎(Nuchal bursitis)は、稀に見られる頚部痛の原因疾患です。ここでは、米国のタフツ大学の獣医病院において、1999~2014年にかけて、頭側項嚢炎を呈した30頭の馬に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Bergren AL, Abuja GA, Bubeck KA, Spoormakers TJP, García-López JM. Diagnosis, treatment and outcome of cranial nuchal bursitis in 30 horses. Equine Vet J. 2018 Jul;50(4):465-469.馬の項靭帯は、後...

  • 馬の顔面神経麻痺

    話題 - 2022/12/04

    馬における顔面神経麻痺(Facial nerve paralysis)は、稀に見られる神経器疾患です。ここでは、米国のペンシルバニア大学の大動物病院において、2000~2019年にかけて、顔面神経麻痺を呈した64頭の馬科動物(ロバ1頭含む)に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Boorman S, Scherrer NM, Stefanovski D, Johnson AL. Facial nerve paralysis in 64 equids: Clinical variables, diagnosis, and outcome. J Vet Intern Med....

  • 馬の“横風”跛行での鑑別診断

    話題 - 2022/12/03

    馬の“横風”跛行(Sidewinder gait)とは、常歩において前肢と後肢の動きが連携せず、片方の後肢を外方に投げ出しながら、その反対側に後躯を大きく傾けながら歩く歩様を指しています。ここでは、横風跛行の診療が行なわれた24頭の馬における、鑑別診断、治療、予後について調査した知見を紹介します。参考文献:Aleman M, Berryhill E, Woolard K, Easton-Jones CA, Kozikowski-Nicholas T, Dyson S, Kilcoyne I. Sidewinder gait ...

  • 馬の遠位種子骨靭帯炎

    話題 - 2022/12/03

    馬における遠位種子骨靭帯炎(Distal sesamoidean ligament desmitis)は、稀に見られる跛行の原因疾患です。ここでは、英国の王立獣医大学において、2002~2018年にかけて、遠位種子骨靭帯炎を呈した51頭の馬に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Hawkins A, O'Leary L, Bolt D, Fiske-Jackson A, Berner D, Smith R. Retrospective analysis of oblique and straight distal sesamoidean ligament desmitis in 52 horses...

  • 馬の蹄関節の側副靭帯炎

    話題 - 2022/12/02

    馬における蹄関節の側副靭帯炎(Collateral desmitis of the distal interphalangeal joint)は、稀に見られる跛行の原因疾患です。ここでは、英国の馬研究センターにおいて、2001~2003年にかけて、蹄関節の側副靭帯炎を呈した18頭の馬に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Dyson SJ, Murray R, Schramme M, Branch M. Collateral desmitis of the distal interphalangeal joint in 18 horses (2001-2002). Equine Vet J....

  • 馬の疝痛スコアによる予後判定

    話題 - 2022/11/28

    馬の疝痛では、心拍数や血中乳酸値など、病気の重さを示す重要な検査項目が幾つかあるため、それらを総括的に読み取って、全身状態の重篤度や予後の悪さを判断する必要があります。ここでは、そのような多数の項目をまとめて、一つの数字に変換して予後判定するという「疝痛スコアシステム」(Colic scoring system)について検討した知見を紹介します。この研究では、米国の複数の馬病院において、2014~2019年にかけて、疝痛の診...

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Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: アラフィフ
住所: 北関東
職業: 獣医師・獣医学博士
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