タグ:皮膚病 のエントリー一覧
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馬の衝撃波治療での創傷治癒向上
話題 - 2022/12/29体外衝撃波治療(Extracorporeal shock wave therapy)は、もともと結石などの硬い物質を破砕する目的で使用されてきましたが、近年、腱靭帯組織の除痛や組織修復の効果があると言われるようになり、馬の運動器疾患等に対しても適応されています[1-3]。さらに、馬の皮膚の創傷部に衝撃波を当てることで、創傷治癒を促進できるという報告もあり[4,5]、そのメカニズムを検討した知見も示されています。下記の研究では、14頭の健常馬...
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馬の鞍傷への対処法
馬の飼養管理 - 2022/09/26鞍(Saddle)は、ヒトが馬に騎乗するときに使用する馬具の一つで、腹帯で馬の背中に固定されることで、騎乗者の体を馬上で安定して支持する場所を提供することに加えて、馬の背中を保護する機能を担っています。もともと馬の骨格は、物を運ぶための進化をしていないため、馬の背中の形状は、ヒトの下半身の形状とは大きく異なります。このため、鞍は人馬の接点をもたらし、騎座での扶助を介したコミュニケーション経路となり、さら...
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馬の拍車キズの対処法
馬の飼養管理 - 2022/09/20ホースマンの皆様から、拍車キズ(Spur marks)への対処法について質問を頂くことがあります。ここでは、馬の拍車キズの病因や予防法などに関する知見を紹介します。英国のハートプリー大学の研究[1]では、馬の拍車キズと騎乗者の拍車タイプについて、ホースマンへの聞き取り調査が行なわれました。その結果、拍車の長さが32mm以上の場合、拍車キズを起こす危険性が有意に高かったことが示唆されており、また、拍車の先端構造が回...
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馬のメラノーマは予防接種で防げるのか?
話題 - 2022/09/19馬のメラノーマ(別名:黒色腫)は、最も多く見られる皮膚の腫瘍の一つで、15歳以上の芦毛馬における有望率は八割にのぼると言われています。幸いにも、悪性の病態を示すものは少ないものの、肛門やノドの周りにできると、排便障害や呼吸困難を呈することもあります。ここでは、馬のメラノーマの予防接種に関する現状を紹介します。参考資料:Nancy S Loving. Equine Melanoma Vaccines. The Horse, Topics: jan19, 2018.New Treat...
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「青い光」で馬のクッシング病対策
話題 - 2022/09/07馬のブルーライトマスクとクッシング病についてブルーライトマスクとは、馬に装着させる面子(マスク)の眼の部分に、青い光を発する電球が取り付けられている馬具を指します。これまで繁殖馬においては、夜間に馬房の証明を灯すことで概日リズムを調整して、繁殖期の初回排卵を早めるというライトコントロールという管理法が実践されてきましたが、ブルーライトマスクを装着させることで、屋内照明を同じように作用して、放牧場で...
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馬の救急箱に準備するものリスト
馬の飼養管理 - 2022/08/14馬の救急箱について牧場や乗馬クラブでは、急な馬の怪我や病気に備えて、救急箱に色々な物品が準備されていると思います。ここでは、そのような救急箱に準備しておく物のリストの一例を紹介します。基本的に、海外の馬関連情報源を参照していますが(下記リンク)、日本において獣医師の処方が必要となる物品や薬品は別記又は省略しています。また、あくまで一つの例ですので、個々の牧場やクラブでの病気の発生状況を見て、必要な...
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馬の繋皹での常在菌の役割
馬の飼養管理 - 2022/08/13馬の繋皹がなかなか治らず苦労しているというホースマンの声を頂きました。繋皹は、馬の繋部の後面に起こる多因子性皮膚炎で、正角化過角化症(Orthokeratotic hyperkeratosis)の病態を取ることが知られています[1]。罹患部位は、肉芽腫性から葡萄状の病変となり、抗生物質や医療用シャンプーによる治療が行なわれますが、病変が難治性であったり、再発しやすいなど、飼養管理者を悩ませる病気です。ここでは、馬の繋皹における皮...
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馬のフレグモーネ治療:8つの秘訣
馬の飼養管理 - 2022/08/11馬のフレグモーネについてフレグモーネとは、蜂窩織炎とも呼ばれ、皮下組織に広汎な細菌感染と腫脹を起こす疾患です。ホースマンが頻繁に目にする病気の一つで、平均では年間5頭以上も遭遇するという報告もあります。通常は見た目で診断がつき、治療としては、抗生剤(筋注または経口)および抗炎症剤(NSAID)の投与、水冷療法、曳き馬運動(腫れを減退させる)などが行なわれます。一般的に、抗生剤投与は五日間程で、腫れや跛行...
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ブラシ掛けが嫌いな馬
馬の飼養管理 - 2022/07/26ブラシ掛けが嫌いな馬に、どう対処すべきかと悩んでいるホースマンもいらっしゃるかもしれません。馬はブラシ掛けによる皮膚のケアが重要な動物です。馬は他の家畜と異なり、騎乗運動することで発汗をする上、体毛が短い状態で飼養されることが多いという特徴があります。このため、皮膚や体毛を清潔に保つことは、馬の飼養管理にとって大事な一要素であると言えます。しかし、馬によっては、体をブラシ掛けされるのを顕著に嫌がる...
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馬の蕁麻疹への対策は根気強く
馬の飼養管理 - 2022/07/20馬の体表に「点字」のように現れる蕁麻疹は、馬体からの警戒のメッセージですが、それを読み解くのは、点字を読むのと同じくらい難しいのかもしれません。蕁麻疹とは、アレルギー性過敏反応の結果として皮膚に生じた発疹のことを指し、病名としては、アトピー性皮膚炎という用語に当たります。馬に蕁麻疹を引き起こすアレルゲンとしては、乾草中のカビ、畜舎ダスト、牧草の花粉、などが知られています。また、薬品が原因となる場合...
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冬場の毛刈りは是か非か?
馬の飼養管理 - 2015/08/09冬場の毛刈りと、体温維持の関係について研究報告されています。Wallsten HM, Olsson KA, Dahlborn K. Temperature regulation in horses during exercise and recovery in a cool environment. Acta Vet Scand. 2012 Jul 17; 54(1): 42.この研究では、冬場に毛刈りすることの是非を検討するため、三頭の実験馬を用いて、(1)毛刈りしない状態、(2)毛刈りしないで毛布を着けた状態(運動中には運動用のブランケット、運動後に...