タグ:腱靭帯疾患 のエントリー一覧
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競走馬の脚部繋靭帯炎に対する幹細胞治療
話題 - 2023/09/18一般的に、靭帯は治癒スピードの遅い組織であることが知られており、馬に発症する繋靭帯炎においても、骨折や屈腱炎よりも長期間の休養を要することが多いと言えます。一方、近年の獣医学では、運動器疾患に対する再生医療の臨床応用が進んでおり、間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells)の局所投与を介して、組織の再生過程を促進する療法が試みられています。そこで、下記の研究では、米国の三箇所の馬病院において、2010〜2019...
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健康な肢でも運動後に水冷すべきか?
馬の飼養管理 - 2023/06/02乗用馬の騎乗後には、冷水を掛けたり、氷冷ブーツの装着などで肢を冷やす措置がよく行なわれています。しかし、怪我や故障をした肢を、治療する目的で冷やす以外にも、問題の起きていない健康な肢でも冷やすべきか?というのは自然な疑問だと言えます。ここでは、運動後の水冷が、怪我や故障の予防になるのかを解説した知見を紹介します。参考資料:Matt Leshaw, DVM. Can Cold Therapy Safeguard Sport Horses From Injury? Shoul...
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馬の遠位種子骨靭帯炎
話題 - 2022/12/03馬における遠位種子骨靭帯炎(Distal sesamoidean ligament desmitis)は、稀に見られる跛行の原因疾患です。ここでは、英国の王立獣医大学において、2002~2018年にかけて、遠位種子骨靭帯炎を呈した51頭の馬に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Hawkins A, O'Leary L, Bolt D, Fiske-Jackson A, Berner D, Smith R. Retrospective analysis of oblique and straight distal sesamoidean ligament desmitis in 52 horses...
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馬の肢巻きの圧はどれくらい持続する?
馬の飼養管理 - 2022/10/05馬の四肢に巻かれるバンテージについて、皮膚に対する圧迫力がどれくらい持続するのかを検証した研究を紹介します。参考文献:[1] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Measurement of distal limb sub-bandage pressure over 96 hours in horses. Equine Vet J. 2017 May;49(3):329-333.[2] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Effect of bandaging techniques on sub-bandage pressures in the equine distal limb,...
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馬の買い手のための購入前検査
馬の飼養管理 - 2022/10/03ホースマンにとって、馬を購入することは、新たなライフパートナーに出会う楽しみの瞬間であると同時に、その後の飼養管理にコミットしていく意味では、慎重を期さなければいけないタイミングでもあります。このため、その馬の健康状態を適正にチェックするため、獣医師による購入前検査が実施されることが一般的です。ここでは、馬の買い手の立場から見た、購入前検査のポイントについて紹介します。参考資料:Joan Norton, VMD, ...
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馬のリハビリ療法:10個の重要事項
馬の飼養管理 - 2022/09/22馬の運動器疾患のなかでも、腱や靭帯、関節組織の損傷は、治癒に長期間を要することが多く、その治療期間中には、筋委縮によるパフォーマンスの低下を起こすことが一般的です。近年、馬の獣医療においては、ヒト医療におけるリハビリ療法と同様に、長期間の病気療養で下がってしまった馬の競技能力を、如何に短期間かつ有効に回復させていくか、という理念が生まれ、その技術や知見が深まってきています。ここでは、そのような馬の...
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馬の幹細胞治療は本当に効くのか?
話題 - 2022/09/09馬の運動器疾患には、屈腱炎や繋靭帯炎、関節炎などの難治性の病気も多く、抗炎症剤やヒアルロン酸の全身又は局所投与、ショックウェーブ治療、多血小板血漿の局所投与などの治療法が実施されています。また、近年では、間葉系間質細胞(Mesenchymal stromal cells)などの幹細胞を局所投与する再生医療も、様々な疾患に応用されて、良好な治療成績も報告されています。その一方で、幹細胞治療における有効投与量(注射する細胞数...
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馬の繋靭帯損傷への装蹄療法
馬の飼養管理 - 2022/09/05馬の繋靭帯損傷について繋靭帯は、馬の肢端にある結合組織の一つで、球節の支持機能を担う重要な構造物になります。馬の繋靭帯は、管骨近位部に起始し、管部中央で内外脚に分岐したあと、内側の種子骨に付着しています。この種子骨の遠位端には、繋骨後面に繋がっている種子骨靭帯があり、この3つの構造物(繋靭帯、種子骨、種子骨靭帯)が懸垂装置というユニットとして、球節をハンモックのように後ろから支える役目を果たしてい...
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放牧は腱や靭帯を強くする?
馬の飼養管理 - 2022/08/25馬の腱靭帯疾患について馬の下肢における腱靭帯疾患は、跛行の原因として重要であり、休養理由の13~18%、引退原因の33%を占めるという調査結果もあります。しかし、馬を放牧させる時間を増やすというシンプルな飼養管理の工夫によって、このような腱靭帯の病気を減らせるという研究結果が示されています。参考資料:Alexandra Beckstett, The Horse Managing Editor. Turnout Time Can Reduce Horses’ Risk of Soft Tissue Injury...
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馬の軟腫:放置か治療かの見分け方
馬の飼養管理 - 2022/08/20馬の軟腫について、放っておいても大丈夫なのか、それとも治療すべきか、という判断にお困りのホースマンも多いようです。一般的に、“軟腫”(英語名:Windpuffs)と呼ばれるのは、後肢の球節の後ろに、柔らかく盛り上がった腫れが生じている状態を指します。球節の後面には、2つの腱(深屈腱と浅屈腱)が走行しており、この部位では、腱が摩擦なく滑走できるように、潤滑液(腱鞘液)を含んだ袋(腱鞘包)に包まれています。軟腫...
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“次の”世代の屈腱炎の治療
話題 - 2015/08/09“次の”世代(NEXT generation)の屈腱炎の治療法が検討されています。Erica Larson. Study Evaluates Injectable Treatment for Tendon Injuries. The Horse News: May 12th, 2012, Article #20014.“ネクスト”(NEXT)と呼ばれる新たな治療法は、『非外科的外因性架橋療法』(Nonsurgical exogenous crosslink therapy)の略で、ジェニピン(Genipin)という植物由来性化学物質(Plant-derived chemical)の投与によって、結合組織...
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馬にも広がる再生医療
未分類 - 2015/08/08再生医療(Regenerative medicine)の臨床応用は、馬の獣医学分野にも急速に広がっているようです。ケンタッキー州のレキシントンにある大規模な馬の診療施設、「ルッド・アンド・リドル馬病院」(Rood and Riddle Equine Hospital)では、今月、馬主を対象とする再生医療の説明会が開かれました。このなかでは、(1)幹細胞入門(Stem Cell 101)、(2)IRAP、PRP,および幹細胞の抽出(Sorting Out IRAP, PRP and Stem Cells)...