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タグ:薬物療法 のエントリー一覧

  • デキサメサゾンを打った馬での予防接種の効能

    馬の飼養管理 - 2024/02/18

    一般的に、馬に対するデキサメサゾン(コルチコステロイド)の投与は、抗炎症作用および免疫抑制作用を要する疾患に適応されており、これには、息労(回帰性気道閉塞)、アレルギー性皮膚炎、炎症性腸疾患、リンパ肉腫等が含まれます。一方、ヒト医療では、米国のCDCより、インフルエンザや新型コロナの予防接種の前後には、免疫抑制剤の投与に留意することが提唱されています[1]。馬においても、デキサメサゾンの単回投与により、...

  • 馬の下痢症による致死率と蹄葉炎の発症率

    話題 - 2024/01/28

    一般的に、馬の下痢症は、入院治療の主要な要因の一つであり、深刻な脱水や敗血症(SIRS)を起こして斃死したり、蹄葉炎を続発して予後不良を呈する症例も多いと言えます。ただ、実際の診療の場面になると、馬の下痢症の原因となる病原体は、五割以上の症例で特定されないことも報告されています。ここでは、馬の下痢症の病原体による致死率、および、蹄葉炎の発症率を比較した知見を紹介します。下記の研究では、六カ国(米国、英...

  • 馬のヘルペス脳炎に対するヤヌスキナーゼ阻害薬

    話題 - 2024/01/17

    一般的に、馬ヘルペスウイルス(Equine herpesvirus: EHV)は、馬鼻肺炎の原因ウイルスで、呼吸器症状や流産を起こします。また、一型ウイルス(EHV-1)では、馬ヘルペス脳炎(Equine herpesvirus myeloencephalopathy)と呼ばれる、致死率の高い神経症状を呈することがあり、近年では、この疾患が欧州諸国でエピデミックを起こしたことで、馬の獣医療における重要性が高まってきました。通常、ヘルペスウイルスが中枢神経に感染・...

  • セレン投与による馬の抗酸化作用

    話題 - 2023/12/30

    一般的に、成馬の重度疝痛(内毒素血症)や子馬の敗血症では、過剰生成された活性酸素種(Reactive oxygen species: ROS)によって、血管内皮の損傷や血管透過性の亢進を生じて、多臓器不全を続発することが知られています。そして、ROSに対する馬体の防御機構には、酵素系としてはグルタチオンペルオキシダーゼ、非酵素系としてはビタミンCやビタミンEが挙げられます。このうち、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)等の抗酸化酵...

  • 高濃度ビタミンC療法による馬の抗酸化作用

    話題 - 2023/12/23

    一般的に、成馬の重度疝痛(内毒素血症)や子馬の敗血症では、過剰生成された活性酸素種(Reactive oxygen species: ROS)によって、血管内皮の損傷や血管透過性の亢進を生じて、多臓器不全を続発することが知られています。そして、ROSに対する馬体の防御機構には、酵素系としてはグルタチオンペルオキシダーゼ、非酵素系としてはビタミンCやビタミンEが挙げられます。このうち、ビタミンC(アスコルビン酸)は、ROSスカベンジャ...

  • 馬の子宮内膜炎に対するオゾン療法

    話題 - 2023/12/16

    一般的に、オゾンガスは、3つの酸素原子からなる同素体で、腐食性の高い有毒な気体ですが、その酸化作用によって、細胞膜の糖蛋白や糖脂質を標的とすることで、食品の殺菌目的に使用されています[1]。また、獣医療の領域では、牛の乳房炎における殺菌処置として応用されているほか[2]、オゾンが細菌のバイオフィルムを撹乱することから[3]、馬の子宮内膜炎での治療効果があるという報告もあります[4]。そこで、下記の研究では、ド...

  • ヒトの糖尿病薬による馬のクッシング病の治療

    話題 - 2023/12/13

    一般的に、馬のクッシング病(正式名:下垂体中葉機能不全[PPID])に対する内科的療法としては、過剰分泌されたACTHの作用を緩和させる薬剤と、高インスリン血症(Hyperinsulinemia)を制御する薬剤の二種類が適応されます。このうち、前者にはペルゴリド(ドパミン作動薬)やシプロヘプタジン(セロトニン拮抗薬)が含まれ、後者にはメトフォルミン(糖尿病薬)やピオグリタゾン(血糖降下薬)が含まれますが、後者に関しては、馬...

  • 馬の虚血再灌流障害でのデクスメデトミジン点滴

    話題 - 2023/12/04

    馬の小腸の絞扼性疾患(空腸捻転や有茎性脂肪腫、網嚢孔捕捉など)では、絞扼を整復して虚血していた箇所に血流を回復させると、その再灌流が原因で組織損傷が起こってしまうという現象が知られており、また、その際に流出する炎症性物質によって、他の部位の腸管が通過障害(術後イレウス)を続発したり、全身の多臓器が損傷を受けるという危険性が指摘されています。ここでは、そのような虚血再灌流障害(Ischemia-reperfusion i...

  • 馬の昆虫刺咬性過敏症:オクラシチニブ投与

    話題 - 2023/11/11

    馬の病気のなかでも、皮膚病は、目に付きやすい事もあり、ホースマンからの相談が多いものの一つです。このうち、馬のアレルギー性皮膚炎は、体躯や四肢に発疹や脱毛、掻痒感による自傷を起こして、ホースマンを悩ませる病気ですが、その原因として多いのが、吸血昆虫などの唾液成分がアレルゲンとなって発症する、昆虫刺咬性過敏症(IBH: Insect bite hypersensitivity)であると言われています。近年では、犬のアレルギー性皮膚...

  • エソメプラゾールによる馬の胃潰瘍の治療

    話題 - 2023/10/02

    馬は胃潰瘍を起こし易い動物であることが知られており、近年では、プロトンポンプ抑制剤であるオメプラゾールの投与によって、良好な治療および予防効果が示されています。一方、ヒト医療では、エソメプラゾールという、異性体のプロトンポンプ抑制剤が一般的に用いられており、オメプラゾールに比較して、薬物動態でのAUC(血中濃度-時間曲線下面積)が有意に広いことから、胃酸分泌を抑える効能も、エソメプラゾールのほうが優れ...

  • 大麻の成分で馬のサク癖を治せる?

    話題 - 2023/09/13

    サク癖は、馬用語で「グイッポ」とも呼ばれ、固定された物体を前歯で咥えて、それを支点にして頭頚部を屈曲させながら空気を飲み込むような動作を指します。古典的には、馬が覚える悪癖だと片付けられてきましたが、近年の研究では、人間の精神医学でいう強迫性障害(Obsessive-compulsive disorder)によく似た「心の病気」であることが分かってきています。ここでは、大麻の成分を投与することで、馬のサク癖の治療を試みた症例...

  • COX-2限定阻害薬によって大腸炎が起こる?

    話題 - 2023/09/11

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • 馬の疝痛:持久戦がもたらす悲劇

    馬の飼養管理 - 2023/08/02

    馬の疝痛に対する開腹術では、早期に手術を決断することが、治療成功率や生存率を高めるのに重要であることが知られています。馬の疝痛治療の第一人者である、フロリダ大学のデイビッド・フリーマン博士は、2022年の全米馬臨床医協会(AAEP)の学会において、疝痛馬に対する「持久戦がもたらす悲劇」(Tragedy of the Waiting Game)について警鐘を鳴らしています。参考資料:Christa Leste-Lassiter, MA. Colic Referral: The Tra...

  • オメプラゾールの投与中止の方針

    話題 - 2023/07/31

    馬は胃潰瘍を起こし易い動物であることが知られており、近年では、プロトンポンプ抑制剤であるオメプラゾールの投与によって、良好な治療および予防効果が示されています。しかし、オメプラゾール投与を中止することで、胃潰瘍が再発することがあり、この際には、リバウンド胃酸過多症(Rebound gastric hyperacidity)の関与が懸念されています。そこで下記の研究では、14頭のサラブレッドを用いて、平地レースの調教を模した運動...

  • 麻酔中の馬での抗生物質の動態

    話題 - 2023/07/15

    一般的に、馬は細菌感染に弱い動物であることが知られており、開腹術や骨折の内固定など、侵襲性の高い外科手術においては、抗生物質の全身投与による感染予防が重要となります。ただ、全身麻酔下にある手術中の馬における、抗生物質の体内動態は明らかにされていません。それを評価するため、下記の研究では、六頭の健常馬を用いて、Kペニシリン(22,000IU/kg)とゲンタマイシン(6.6mg/kg)の静脈内投与を行なった後に全身麻酔を...

  • 馬の開腹術での抗生物質投与の傾向

    話題 - 2023/06/26

    一般的に、馬は細菌感染に弱い動物であることが知られており、疝痛の開腹術においては、術創感染や腹膜炎を抑えるため、術前および術中の抗生物質投与が重要な要素を占めています。ここでは、馬の開腹術での抗生物質投与に関して、米国の内科および外科の専門医資格を持った113名の獣医師に対して、聞き取り調査を行なった知見を紹介します。参考文献:Rockow M, Griffenhagen G, Landolt G, Hendrickson D, Pezzanite L. Current ...

  • 馬のクッシング病の薬物療法での長期的効能

    馬の飼養管理 - 2023/06/07

    馬のクッシング病は、下垂体中葉機能異常(PPID: Pituitary pars intermedia dysfunction)のことを指しています。近年、ウマの寿命の伸びに比例して、高齢馬のクッシング病も増えており、その薬物療法に関するエビデンスも示されています。ここでは、馬のクッシング病に対する治療薬の効き目を、長期的に評価した知見を紹介します。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Pergolide Study Shows Long-Term Improvement in PPID H...

  • 馬肉への残留薬物の懸念(米国)

    話題 - 2023/05/06

    いま、米国では、食用に転用される馬に関して、残留薬物によって馬肉が汚染されてしまうという懸念が深まっています。北米で生産されている馬肉に起こっているこの問題は、日本を始め、馬肉を食する文化のある多くの国では、常に注視しておく必要があると言えそうです。ここでは、米国での馬肉の残留薬物について解説した論文を紹介します。参考文献:Weber K, Kearley ME, Marini AM, Pressman P, Hayes AW. A review of horses s...

  • 馬に対するセフチオフルの使い方

    話題 - 2023/04/29

    セファロスポリン系の抗生物質は、1964年に初めて市販されるようになって以降、ヒト医療と獣医療の両方でポピュラーになってきました。世界的に見ても、その使用は2000~2015年にかけて著しく増加し、発展途上国でのセファロスポリンの使用量が399%も増加したことが知られています。セフチオフルは、第三世代のセフェロスポリンであり、多くのグラム陰性菌および陽性菌に効くことから、全身投与薬として馬の治療にも一般的に使用さ...

  • 馬のクッシング病の経過評価について

    馬の飼養管理 - 2023/02/27

    馬のクッシング病は、正式には下垂体中葉機能異常(PPID: Pituitary pars intermedia dysfunction)のことを指しており、ヒトや犬のクッシング病とは、発症機構が異なることが知られています。そして、近年では、獣医療の進歩に伴いウマの寿命も伸びていることから、高齢馬のクッシング病の診断、および、多毛症や慢性蹄葉炎への対処を要する事例も増えていると言われています。ここでは、馬のクッシング病に対する治療薬の効き目...

  • 馬の関節鏡での抗生物質

    話題 - 2022/12/05

    馬の関節鏡は、様々な関節疾患の治療に適応されており、侵襲性が低いという利点がありますが、合併症がゼロという訳ではないことには注意する必要があります。ここでは、馬の関節鏡での術後合併症について調査した知見を紹介します。この研究では、スウェーデンの馬病院において、2008~2010年にかけて、444頭の馬に実施された636箇所の関節鏡手術における、医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Borg H, Carmalt JL. ...

  • COX-2限定阻害薬:馬の小腸絞扼での効能

    話題 - 2022/10/15

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • COX-2限定阻害薬:馬の内臓疼痛での効能

    話題 - 2022/10/15

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • COX-2限定阻害薬:馬の去勢手術での効能

    話題 - 2022/10/14

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • 馬の抗真菌剤の局所灌流

    話題 - 2022/10/03

    抗真菌剤の局所灌流によるカビ症の治療例が報告されています。参考文献:Doria RG, Freitas SH, Linardi RL, Mendonça Fde S, Arruda LP, Boabaid FM, Valadao CA. Treatment of pythiosis in equine limbs using intravenous regional perfusion of amphotericin B. Vet Surg. 2012 Aug;41(6):759-65.この研究では、遠位肢のPythium insidiosum感染によるフハイカビ症の診断が下された12頭の患馬に対して、抗真菌剤(=アンフォテ...

  • 抗生物質による馬の下痢症

    話題 - 2022/10/01

    馬の抗生物質に起因する下痢症の実態が調査されています。参考文献:Barr BS, Waldridge BM, Morresey PR, Reed SM, Clark C, Belgrave R, Donecker JM, Weigel DJ. Antimicrobial-associated diarrhoea in three equine referral practices. Equine Vet J. 2013 Mar;45(2):154-8.この研究では、米国の三つの州の馬の紹介診療施設における、5,251頭の馬症例の医療記録が解析され、抗生物質の投与に起因する下痢症を発症したのは32...

  • 馬における破骨細胞抑制剤の安全性

    話題 - 2022/09/30

    近年、馬に対して頻繁に用いられるようになってきた薬剤として、破骨細胞の抑制剤であるビスホスホネート(Bisphosphonates)があります。ここでは、このビスホスホネートの安全性に関する知見を紹介します。参考文献:Vergara-Hernandez FB, Nielsen BD, Colbath AC. Is the Use of Bisphosphonates Putting Horses at Risk? An Osteoclast Perspective. Animals (Basel). 2022 Jul 3;12(13):1722.破骨細胞とは、単球系の前駆細胞...

  • 安全な馬の筋注方法

    馬の飼養管理 - 2022/09/25

    ホースマンの中には、馬に筋肉注射するときの手法について不安を持っている方もいらっしゃるかもしれません。一般的に、馬に対する薬剤の筋肉内投与は、抗生物質等の投与経路として用いられ、原則として、獣医師に投薬処置を実施してもらうことが推奨されます。しかし、通常の抗生物質は、五日間の連続投与を要することから(場合によっては七日間や十日間投与することもある)、往診料が高騰するのを避けるため、獣医師の指導に則...

  • 馬の経口投与の方法

    馬の飼養管理 - 2022/09/25

    一般的に、馬に治療薬を投与する場合には、数日間にわたる投薬を要することが多いため、獣医師の往診料の高騰を避けるため、クライアント自身が投与することが多いですが、この際には、筋内投与や静脈内投与に比較して、馬主や飼養管理者が内服薬を経口投与させる方法がより安全になります。例として、フレグモーネや輸送熱に対する抗生物質投与では、通常は、五日間または十日間にわたる投与となるため、注射針の穿刺を要する筋注...

  • 安全な馬の点眼方法

    馬の飼養管理 - 2022/09/24

    ホースマンの中には、馬の目薬がうまく差せずに苦労されている方もいらっしゃるようです。一般的に、馬の眼病を治療するためのクスリは、筋注ではなく局所的に投与する場合が多いですが、点眼したクスリは、すぐに涙で流れてしまうため、一日に3回以上の点眼を要することが殆どです。このため、眼病の治療に際しては、獣医師が処方した目薬を、馬主や飼養管理者が自ら点眼しなくてはいけない事が多いと言えます。その際、点眼処置...

  • 馬の便秘疝の治療によって腸捻転が起きる?

    話題 - 2022/09/18

    馬の結腸食滞(いわゆる便秘疝)は、最も発症率の高い消化器疾患の一つであることが知られています。便秘疝の治療では、経静脈補液によって脱水を改善しながら、経鼻チューブを通して、下剤(硫酸マグネシウム)や流動パラフィンを投与する方針が古典的ですが、近年では、経鼻チューブを通して多量(8~10L)の電解質液を投与するという経腸補液療法が実施されています。この手法では、食滞物を直接的に軟化および遊離させることか...

  • 馬の開腹術の術創感染はナゼ起こるのか?

    話題 - 2022/09/17

    馬の疝痛の外科的治療で実施される開腹術では、その10~37%で術創感染が起こることが知られています。その結果、創傷ヘルニアを続発するリスクが4~9倍高くなり、治療費の増加に繋がるのみならず、術創感染を起こした馬の生存率は有意に低下することも報告されています。このため、馬の開腹術の術創感染を予防する方策を検討するため、下記の研究では、2014~2015年にかけて、開腹術が適応された31頭の疝痛馬において、術創部サン...

  • 頚動脈への注射事故を防ぐには

    話題 - 2022/09/05

    馬の頚動脈への注射事故について馬に対して薬剤を静脈内投与するときには、頚静脈が使われることが一般的ですが、この際には、誤って頚動脈に注射してしまうリスクがあります。馬の頚動脈は、気管の背側および頚静脈のすぐ裏側を走行して、注射針を穿刺する位置や深さを間違えると、針先が動脈内に達してしまう事が起こりえます。馬の頚動脈に薬剤を注入してしまうと、脳神経組織に高濃度の薬剤が作用して、馬が昏睡してしまうこと...

  • 突然の重度跛行での見分け方

    馬の飼養管理 - 2022/09/02

    馬が突発的に重度の跛行を示したときには、どんな病気が疑われるのでしょうか。馬の健康問題で一番多いのは跛行ですが、通常では、軽度な歩様異常が徐々に悪化したり、人馬転などの事故の後に跛行を呈します。しかし、時には、まったく荷重できないような非常に重篤な跛行(不負重性跛行)が、前兆も無く、急性発現性に見られることがあります。そのような馬では、速やかに原因を突き止めて、適切な処置を施すことが重要になります...

  • 馬の開腹術にはハチミツで感染予防

    話題 - 2022/08/23

    馬の開腹術における創口感染率は、2.7~39%と様々で、縫合箇所に抗生物質を用いることで創口感染を抑えることもあります。近年、ハチミツの持つ高浸透圧と低pHが、細菌増殖を抑えることが判明し、ガンマ線滅菌された医療グレード蜂蜜(MGH: Medical grade honey)を局所的に使用することで感染制御できることが、ヒト医療の領域で示されています。また、馬の外傷縫合の部位においても、MGHを外科的整復箇所に用いることで、細菌感...

  • 釘を踏んでも抜かないで!

    馬の飼養管理 - 2022/08/22

    馬を裏掘りしようと肢を上げさせたとき、もし、蹄底に釘が刺さっているのを見つけたら、どう対処するのが正しいでしょうか?正解は、「釘を抜かずに獣医師を呼ぶ」です。ホースマンの直感としては、速やかに釘を抜去して、消毒処置などを施したくなると思います。しかし、一番大切なことは、釘の先端がどこまで深く刺さっていて、蹄内部のどの構造物に達しているかを見極めることになります。何故なら、釘の刺さり方によっては、か...

  • 馬の鎮痛剤は毎日飲ませても安全?

    馬の飼養管理 - 2022/08/19

    ホースマンのなかには、馬に鎮痛剤を毎日飲ませ続けても大丈夫なのか?という疑問をお持ちの方もいらっしゃるようです。一般的に、馬の健康問題の八割は運動器疾患であり、そのうち、関節炎が占める割合が最も多いと言われています(飛節内腫、ナビキュラー病、リングボーン、膝関節炎、球節炎など)。このため、15歳以上の乗馬の競技馬において、慢性的な関節痛による跛行やプアパフォーマンスを呈する個体も多く、そのような関節...

  • 乗馬のDDSPはクスリで治せる

    馬の飼養管理 - 2022/08/17

    乗馬のDDSPについてDDSPとは、軟口蓋背方変位(Dorsal displacement of soft palate: DDSP)の略称で、特に、競走馬などの襲歩運動をする馬において問題となる上部気道疾患です。この病気では、本来は軟口蓋の上に乗っかっている喉頭蓋が、その下方に落ち込んでしまい、軟口蓋が気管の入り口を部分的に閉塞するため、呼吸器雑音や発咳、運動不耐性(プアパフォーマンス)を起こしてしまいます。このDDSPと、下部気道炎症とのあいだ...

  • 馬の繋皹での常在菌の役割

    馬の飼養管理 - 2022/08/13

    馬の繋皹がなかなか治らず苦労しているというホースマンの声を頂きました。繋皹は、馬の繋部の後面に起こる多因子性皮膚炎で、正角化過角化症(Orthokeratotic hyperkeratosis)の病態を取ることが知られています[1]。罹患部位は、肉芽腫性から葡萄状の病変となり、抗生物質や医療用シャンプーによる治療が行なわれますが、病変が難治性であったり、再発しやすいなど、飼養管理者を悩ませる病気です。ここでは、馬の繋皹における皮...

  • 馬のフレグモーネ治療:8つの秘訣

    馬の飼養管理 - 2022/08/11

    馬のフレグモーネについてフレグモーネとは、蜂窩織炎とも呼ばれ、皮下組織に広汎な細菌感染と腫脹を起こす疾患です。ホースマンが頻繁に目にする病気の一つで、平均では年間5頭以上も遭遇するという報告もあります。通常は見た目で診断がつき、治療としては、抗生剤(筋注または経口)および抗炎症剤(NSAID)の投与、水冷療法、曳き馬運動(腫れを減退させる)などが行なわれます。一般的に、抗生剤投与は五日間程で、腫れや跛行...

  • 馬の気性を落ち着かせるサプリ(2022年版)

    馬の飼養管理 - 2022/08/10

    馬の気性を落ち着かせるサプリメントに関して疑問を持たれているホースマンも多いのかもしれません。ここでは、そのようなサプリメントを比較して紹介します。馬の気性を落ち着かせ、性格を温和にする成分としては、マグネシウム、L-トリプトファン、ビタミンB1の3つが重要だと言われています。マグネシウムは神経伝達物質であるため、不足すると馬の性格が神経質で短気になると言われており、飼料中の含有量が低い場合も多いこと...

  • 馬の息労:厩舎ダストを減らす7つの対策

    馬の飼養管理 - 2022/08/08

    馬の息労について馬の息労は、回帰性気道閉塞(Recurrent airway obstruction)とも呼ばれ、カビや粉塵などのアレルゲンを吸い込むことで、気管支のアレルギー反応を起こして、頻呼吸や発咳を生じる病気です。一般的に、厩舎ダストに過敏体質な高齢馬に発症しますが、類似病態としては、若い馬に起こる炎症性気道疾患(Inflammatory airway disease)や、屋外のアレルゲンに起因する夏季牧草関連性閉塞性肺疾患(Summer pasture-as...

  • 馬の開放骨折における抗生物質治療

    診療 - 2022/08/05

    開放骨折の治療法について馬の遠位肢は周囲を囲む筋肉が限られている領域が多いため、重篤な骨折症例では皮膚穿孔(Skin penetration)から開放骨折(Open fracture)を起こし、骨折病巣の細菌感染(Bacterial infection)を引きこす事も多いため、内固定法(Internal fixation)などの外科的療法に併行して、感染部位へ高濃度の抗生物質を作用させる治療法が実施されています。抗生物質を含有させたポリメタクリル酸メチル(Antim...

  • 馬の浸潤性腸疾患での鑑別診断

    診療 - 2022/08/04

    浸潤性腸疾患(Infiltrative bowel disease)の鑑別診断について。浸潤性腸疾患は、腸管粘膜および粘膜下組織における細胞浸潤(Cell infiltration)を起こす疾患を指し、肉芽腫性腸炎(Granulomatous enteritis: GE)、リンパ性形質細胞性腸炎(Lymphocytic-plasmacytic enterocolitis: LPE)、全身多発性上皮系組織親和性好酸球症(Multisystemic eosinophilic epitheliotropic disease: MEED)、特発性限局性好酸球性腸炎(Idio...

  • 牝馬のフケ対策

    馬の飼養管理 - 2022/07/29

    牝馬のフケには、頭を悩ませているホースマンも多いようです。馬用語で言うところの「フケ」とは、発情が来ているメス馬が、アグレッシブな異常行動を取ることを指します。具体的には、不機嫌で怒りっぽくなる、他の馬に向かって大声でいななく、激しく尻尾を振り回す、ヒトの扶助に従わない、壁を蹴とばす、後肢の挙上を嫌がる、突発的に予測不能な行動を取る、などが挙げられます。このため、ホースマンにとっては、馬の扱いや管...

  • 馬の関節炎のサプリメント(2022年版)

    馬の飼養管理 - 2022/07/27

    ホースマンの中には、慢性の関節炎(飛節内腫やリングボーン等)を患っている自馬のケアに悩んでいらっしゃる方も多いのかもしれません。ここでは、関節炎への効能が謳われたサプリメントをまとめました。馬の関節炎に対するサプリメントとしては、コンドロイチン、グルコサミン、および、メチルスルフォニルメタン(MSM)の3つの成分が有効であることが知られています。特に、馬の関節炎では、コンドロイチンとグルコサミンの2...

  • 馬のネブライザー治療の実践

    診療 - 2022/07/22

    馬の呼吸器疾患に応用されているネブライザー治療について復習しましょう。ネブライザー治療とは、医学用語では吸入療法(Inhalation therapy)と呼ばれ、噴霧した薬剤を呼吸に併せて吸い込ませることで、上部及び下部気道組織に直接的にクスリを作用させる治療法です。適応症例としては、競走馬に見られる炎症性気道疾患(IAD)や運動誘発性肺出血(EIPH)のほか、高齢馬のアレルギー疾患である回帰性気道閉塞(RAO)や、鼻腔や咽...

  • 馬の駆虫に関する7つの間違い

    馬の飼養管理 - 2022/07/22

    馬の駆虫についての固定観念や俗説のなかには、色々と間違いがあるようです。寄生虫による馬の病気は、過去も現在も散発的に起こっており、適切な駆虫を行なうことは、馬の飼養管理の大事な一要素であると言えます。日本で馬に起こる寄生虫病としては、馬回虫(Parascaris equorum)によって起こる空腸閉塞、普通円虫(Strongylus vulgaris)によって起こる腸間膜動脈血栓症、馬糸状虫(Setaria equina)によって起こる混晴虫症、...

  • 馬の蕁麻疹への対策は根気強く

    馬の飼養管理 - 2022/07/20

    馬の体表に「点字」のように現れる蕁麻疹は、馬体からの警戒のメッセージですが、それを読み解くのは、点字を読むのと同じくらい難しいのかもしれません。蕁麻疹とは、アレルギー性過敏反応の結果として皮膚に生じた発疹のことを指し、病名としては、アトピー性皮膚炎という用語に当たります。馬に蕁麻疹を引き起こすアレルゲンとしては、乾草中のカビ、畜舎ダスト、牧草の花粉、などが知られています。また、薬品が原因となる場合...

  • 効き目が丸一日も続く局所麻酔薬

    話題 - 2022/07/20

    効き目が24時間も続く局所麻酔薬が、馬の遠位肢に応用されています。通常、局所麻酔薬を馬の神経周囲浸潤麻酔として使った場合、感覚神経の刺激伝導を一時的に遮断して、30分~1時間のあいだ、注射箇所より遠位側の痛覚を取り除くことが出来ます。馬の遠位肢に対しても、跛行検査での診断麻酔として用いられ、疼痛の発生箇所をピンポイントで特定したり、全身麻酔下での骨折手術に併用することで、手術中および麻酔覚醒中の疼痛を...

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Author:Rowdy Pony
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職業: 獣医師・獣医学博士
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