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タグ:跛行 のエントリー一覧

  • 調馬索での馬の診断麻酔の判定

    話題 - 2023/01/10

    一般的に、馬の歩様検査では、跛行が軽度で評価が困難な場合には、調馬索運動で歩様異常を明瞭化させることがあります。しかし、回転運動では、頭部や骨盤の上下動に左右差が生じるだけでなく、内側または外側への馬体の傾斜という新たな要素が加わるため、歩様評価を複雑にしてしまう懸念があります。この問題を検証するため、下記の研究では、後肢跛行を呈した13頭の症例馬を用いて、診断麻酔の実施前と実施後における仙骨部の動...

  • 調馬索と直線での馬の歩様対称性の変化

    話題 - 2023/01/10

    一般的に、馬の歩様検査では、軽度な跛行ほど評価が難しいことが知られており、被験馬に調馬索運動をさせることで、跛行症状を明瞭化させる手法が用いられています。しかし、回転運動における馬体動作の非対称性が、歩様評価の正確性を下げてしまう懸念もあります。この問題を検証するため、下記の研究では、201頭の健常馬を用いて、直線運動および調馬索運動における頭頂部/仙骨部の動きを加速度センサーで計測して、直線と左右の...

  • 調馬索での馬の歩様検査の正確性

    話題 - 2023/01/09

    一般的に、馬の歩様検査では、軽度な跛行ほど評価が難しいことが知られており、評価者同士で跛行の有無を合意できる確率は、跛行グレードが1.5以上では93%なのに対して、1.5未満では62%に過ぎないことが報告されています[1]。このため、被験馬に調馬索運動をさせることで、跛行症状を明瞭化させる手法が頻繁に用いられていますが、回転運動における馬体動作の非対称性が評価の正確性を下げてしまう懸念もあります。この問題を検証...

  • 馬の“横風”跛行での鑑別診断

    話題 - 2022/12/03

    馬の“横風”跛行(Sidewinder gait)とは、常歩において前肢と後肢の動きが連携せず、片方の後肢を外方に投げ出しながら、その反対側に後躯を大きく傾けながら歩く歩様を指しています。ここでは、横風跛行の診療が行なわれた24頭の馬における、鑑別診断、治療、予後について調査した知見を紹介します。参考文献:Aleman M, Berryhill E, Woolard K, Easton-Jones CA, Kozikowski-Nicholas T, Dyson S, Kilcoyne I. Sidewinder gait ...

  • 馬の遠位種子骨靭帯炎

    話題 - 2022/12/03

    馬における遠位種子骨靭帯炎(Distal sesamoidean ligament desmitis)は、稀に見られる跛行の原因疾患です。ここでは、英国の王立獣医大学において、2002~2018年にかけて、遠位種子骨靭帯炎を呈した51頭の馬に関する症例集積研究を紹介します。参考文献:Hawkins A, O'Leary L, Bolt D, Fiske-Jackson A, Berner D, Smith R. Retrospective analysis of oblique and straight distal sesamoidean ligament desmitis in 52 horses...

  • 馬のPAAG治療での長期経過

    話題 - 2022/11/22

    馬の跛行の原因としては、最も多いのが変性関節疾患であることが知られており、その治療法として注目されるのがPAAG関節注射法になります。ここでは、馬の関節炎に対するPAAG治療法の長期経過を評価した知見を紹介します。この研究では、ドイツとデンマークの獣医大学病院において、2010~2014年にかけて、変性関節疾患の確定診断を受けて、PAAG関節注射(2mL、球節または手根関節)による治療が行なわれた43頭の馬における、治療...

  • 馬の球節骨片でのエコー検査

    話題 - 2022/11/19

    近年、馬の小片骨折の診断において、X線では見逃してしまう骨片でも、エコー検査で発見できることが分かってきました。ここでは、競走馬に好発する球節の小片骨折での、エコー検査の診断能を評価した知見を紹介します。この研究では、米国フロリダ州の馬病院において、2016~2020年にかけて、前肢基節骨の近位背側部に小片骨折を発症して、関節鏡による確定診断と治療が実施された56頭(99箇所の病変)のサラブレッド競走馬におけ...

  • 馬の屈曲試験での影響範囲

    話題 - 2022/11/19

    馬の跛行検査における屈曲試験は、非侵襲性で簡易かつ、迅速、安価に実施できて、疼痛箇所を大まかに限局する手法として有用ですが、実際に、屈曲した影響がどの程度の範囲に及んでいるかは不明瞭です。ここでは、健常馬を用いて、遠位肢の屈曲試験と神経ブロックとの関連性を評価した知見を紹介します。参考文献:Kearney CM, van Weeren PR, Cornelissen BP, den Boon P, Brama PA. Which anatomical region determines a positi...

  • 馬獣医による蹄鉗子の使い方

    話題 - 2022/11/18

    馬の跛行検査では、蹄鉗子を用いて蹄底や蹄叉の圧痛反応を確かめる検査法が有用です。しかし、蹄鉗子の使い方は、検査者によって多様であると予測されます。ここでは、蹄鉗子の使い方を、異なる検査者で比較した知見を紹介します。この研究では、先端にセンサーを取り付けた専用の蹄鉗子を用いて、学生、獣医師、獣医師による、蹄底の四箇所への圧迫を10回ずつ実施して、検査者による圧迫力の差異、および、合意限界の幅を算出する...

  • 馬のストリートネイル手術

    診療 - 2022/11/13

    馬のストリートネイル手術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬のストリートネイル手術(Street nail procedure)は、釘傷などによる感染性舟嚢炎の治療法になります。舟嚢のような滑膜組織では、その内腔に血管が無く、滑液を通して酸素や栄養を届けています。このため、もし釘傷によって雑菌が入ってしまうと、それを貪食する白血球も少数しか動員されないた...

  • 馬の半腱様筋腱切断術

    診療 - 2022/11/13

    馬の半腱様筋腱の切断術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬の後肢に発症する機械性跛行として半腱様筋の線維化筋症(Fibrotic myopathy)があり、歩幅の頭側相で後肢が急激に尾側引張されることで、特徴的な雁様踏着という歩様を示します。この疾患の治療法としては、線維化組織の切除や筋切除術も可能ですが、より侵襲性の少ない術式として、線維化している...

  • 馬の外側指伸筋腱切除術

    診療 - 2022/11/12

    馬の外側指伸筋腱の切除術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬の後肢に発症する機械性跛行として鶏跛(Stringhalt)があり、飛節と膝関節の不随意性過剰屈曲を示す疾患で、球節を高く挙上しながら歩く歩様が見られます(通常は、常歩においてのみ)。そして、鶏跛に対する外科的治療では、外側指伸筋腱の切除術が試みられることがありますが、鶏跛歩様の改善度...

  • 馬の仙腸関節のエコー検査

    話題 - 2022/11/10

    馬の仙腸関節部の疼痛は、後躯跛行の原因になることが知られており、原因疾患としては、仙腸関節の不安定症、仙腸靭帯炎、背最長筋腱炎、骨盤の疲労骨折などが含まれます。馬の仙腸関節は、X線検査での評価が難しいため(全身麻酔下での背臥位であれば撮影可能)、診断麻酔による疼痛限局を除けば、エコー検査が数少ない診断方法になります(海外ではシンチグラフィー検査が有用)。ここでは、馬の仙腸関節部の解剖学的構造とエコ...

  • 老齢馬に起こる病気の傾向

    話題 - 2022/11/03

    近年では、獣医療の進歩に伴って、馬の寿命も延びてきており、老齢馬の病気や医療ケアにおける重要性も高まってきていると言えます。ここでは、老齢馬に起こる病気の傾向を、総括的に調査した知見を紹介します。この研究では、米国のヴァージニア大学の馬医療センターにおいて、2006~2010年にかけて、病気の診断および治療のために来院した345頭の老齢馬(20歳以上)、および、345頭の若齢馬(20歳未満)における医療記録の回顧的...

  • SAAによる馬の滑膜感染の診断

    話題 - 2022/10/31

    血清アミロイドエー(SAA: Serum amyloid A)は、急性期蛋白の一つで、炎症発生から36~48時間で血中に増加することから、炎症病態の早期診断に有用であると言われており、馬においても、呼吸器疾患を探知する目的などで臨床応用されています。ここでは、滑膜組織の感染を早期診断する目的で、SAA測定の有用性を評価した知見を紹介します。この研究では、ドイツのギーセン大学の馬病院において、四肢の外傷の治療を受けた55頭の馬...

  • 外傷の滑膜侵襲での造影検査

    話題 - 2022/10/20

    一般的に、馬が四肢に外傷を負ったときに、滑膜組織(関節、腱鞘、滑液嚢など)に侵襲が及んでしまうと、難治性の細菌性滑膜炎を続発して、予後不良になる危険性が高いことが知られています。このため、特に関節や腱鞘に近い箇所に切り傷を負った馬においては、その外傷が滑膜侵襲を伴っているか否かを、初診の段階で確定診断しておくのが極めて重要となります。たとえ、見た目が小さなキズでも、それが深部に及んで、関節腔や腱鞘...

  • 競走馬の故障と落馬との関連性

    話題 - 2022/10/13

    一般的に、競走馬がレース中に重篤な故障を発生した場合、乗っている騎手にも危険が及ぶと推測されます。ここでは、競走馬の致死的故障(安楽殺となるような重度骨折や心臓疾患による突然死など)の発生が、騎手の落馬や怪我にどの程度影響しているのかを調査した研究を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア州の競馬場において、2007~2012年に起こった競走馬の致死的故障、および、騎手の落馬や怪我のデータが収集され...

  • 馬の管部への診断麻酔の手法

    話題 - 2022/10/11

    馬の跛行検査における神経ブロックは、疼痛の限局化および原因疾患の確定診断のために必須の手法ですが、前肢の近位管部における診断麻酔では、その反応性や検査結果の解釈の難易度が高いと言われています。その要因としては、高四点神経ブロックで麻酔される掌側神経と掌側中手神経が、軟部組織の深部を走行しており、注射した局所麻酔薬が近位または遠位に浸潤して、無痛化される領域が紛らわしくなること、管骨の近位掌側部(繋...

  • 馬の圧迫バンによる神経ブロックへの影響

    話題 - 2022/10/11

    馬の跛行検査における神経ブロックは、疼痛を限局化するのに有用であり、原因疾患の確定診断には必須の手順であると言われています。しかし、神経ブロックで投与された局所麻酔薬は、時間が経つと注射箇所よりも近位側に浸潤されることから、無痛化領域が予測以上に拡大してしまい、診断麻酔に対する反応性の解釈が難しくなり、疼痛箇所を誤診するリスクが指摘されています(上図の青色領域が予測される無痛化領域です)。ここでは...

  • 膝関節の診断麻酔で蹄跛行が消える?

    話題 - 2022/10/10

    馬の跛行検査において、疼痛箇所を限局するための診断麻酔は重要な手技であり、原因病態を確定診断するには必須であると言われています。しかし、馬の後肢の解剖学では、遠位肢の疼痛を支配する神経は、その近位部では膝関節包の尾側を走行しているため、局所麻酔薬の浸潤度合いによっては、疼痛緩和の領域が混同されて、原因疾患を誤診してしまう危険性が指摘されています。この現象を評価するため、下記の研究では、蹄部クランプ...

  • 子馬の足根骨不完全骨化による長期的な影響

    話題 - 2022/10/09

    子馬の病気を診療するときには、成馬になったときのパフォーマンスへの影響も考慮する必要があります。足根骨の不完全骨化は、立方骨の形成不全や、軟骨内骨化の遅延によって、健常な足根骨の緻密骨形成が妨げられる疾患です。通常は、栄養管理や運動制限によって治療されますが、不完全骨化の改善が遅れると、足根骨の変形や肢勢異常(飛節の外反や内反、鎌状飛節、直飛など)を続発して、慢性跛行や運動能力の低下を引き起こすこ...

  • 子馬の細菌性関節炎による長期的な影響

    話題 - 2022/10/09

    子馬の病気を診療するときには、成馬になったときのパフォーマンスへの影響も考慮する必要があります。子馬の細菌性関節炎は、全身疾患による抵抗力減退や、初乳の摂取不全による移行抗体不足が病因となる発症することが多く、抗生物質の全身的又は局所的投与、および、関節洗浄による治療が実施されることが一般的です。ここでは、子馬の細菌性関節炎が、成長後に競走馬としての能力に対して、どのような長期的な影響を与えるかを...

  • 子馬の支持靭帯切断術による長期的な影響

    話題 - 2022/10/08

    子馬の病気を診療するときには、成馬になったときのパフォーマンスへの影響も考慮する必要があります。一般的に、遠位支持靭帯(深屈腱の副靭帯)の切断術は、蹄関節の屈曲性肢変形症(いわゆるクラブフット)において、深屈腱から蹄骨に掛かる緊張を緩和することで、蹄繋軸前方破折の肢勢を矯正する目的で実施されます。ここでは、支持靭帯の切断術が、スポーツ馬の競技能力に対して、どのような長期的な影響を与えるかを調査した...

  • 馬の肢巻きの圧はどれくらい持続する?

    馬の飼養管理 - 2022/10/05

    馬の四肢に巻かれるバンテージについて、皮膚に対する圧迫力がどれくらい持続するのかを検証した研究を紹介します。参考文献:[1] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Measurement of distal limb sub-bandage pressure over 96 hours in horses. Equine Vet J. 2017 May;49(3):329-333.[2] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Effect of bandaging techniques on sub-bandage pressures in the equine distal limb,...

  • 馬の大腿骨骨折のエコー検査

    話題 - 2022/10/04

    大腿骨骨折は、馬の長骨骨折のうち16.5%を占めることが知られており、大型機器を使用しなければX線画像での確定診断が難しいことが知られています(特に近位部の骨折において)。ここでは、エコー検査を用いた馬の大腿骨骨折の診断についての知見を紹介します。参考文献:Jones SA, Whitcomb MB, Vaughan B, Goorchenko G, Busch R, Kilcoyne I, Spriet M. Ultrasonographic diagnosis of femoral fractures in large animals. J A...

  • 馬の買い手のための購入前検査

    馬の飼養管理 - 2022/10/03

    ホースマンにとって、馬を購入することは、新たなライフパートナーに出会う楽しみの瞬間であると同時に、その後の飼養管理にコミットしていく意味では、慎重を期さなければいけないタイミングでもあります。このため、その馬の健康状態を適正にチェックするため、獣医師による購入前検査が実施されることが一般的です。ここでは、馬の買い手の立場から見た、購入前検査のポイントについて紹介します。参考資料:Joan Norton, VMD, ...

  • 馬の抗真菌剤の局所灌流

    話題 - 2022/10/03

    抗真菌剤の局所灌流によるカビ症の治療例が報告されています。参考文献:Doria RG, Freitas SH, Linardi RL, Mendonça Fde S, Arruda LP, Boabaid FM, Valadao CA. Treatment of pythiosis in equine limbs using intravenous regional perfusion of amphotericin B. Vet Surg. 2012 Aug;41(6):759-65.この研究では、遠位肢のPythium insidiosum感染によるフハイカビ症の診断が下された12頭の患馬に対して、抗真菌剤(=アンフォテ...

  • 馬の疼痛エソグラムの有用性

    話題 - 2022/09/23

    馬の健康問題で最も多く見られるのが運動器疾患であり、運動器の疼痛によって歩様の左右対称性が失われた状態を、一般的には「跛行」と呼んでおり、点頭運動やヒップボブ動作によって跛行の存在が視認されてきました。しかし、近年では、騎乗時の馬の行動様式から、運動器の疼痛を検知しようという試みがあり、幾つかの馬の行動パターンが、疼痛の存在と相関することが分かってきました。もし、馬が疼痛を感じているか否かを、微妙...

  • 馬のリハビリ療法:10個の重要事項

    馬の飼養管理 - 2022/09/22

    馬の運動器疾患のなかでも、腱や靭帯、関節組織の損傷は、治癒に長期間を要することが多く、その治療期間中には、筋委縮によるパフォーマンスの低下を起こすことが一般的です。近年、馬の獣医療においては、ヒト医療におけるリハビリ療法と同様に、長期間の病気療養で下がってしまった馬の競技能力を、如何に短期間かつ有効に回復させていくか、という理念が生まれ、その技術や知見が深まってきています。ここでは、そのような馬の...

  • 馬の跛行をスマホで見つける?

    話題 - 2022/09/22

    馬に起こる健康問題で最も多いのは、運動器疾患に起因する跛行であることが知られています。その中でも、特に後肢の軽度跛行は、前肢の跛行に比べて、ホースマン自身で気付くのが難しいことがあるため、獣医師への相談が遅れるケースもあると考えられます。一方、近年は、スマホ機器の発達によって、様々な測定機能が付与された結果、垂直または水平方向への加速度をスマホで計測できるようになってきました。ここでは、スマホ機器...

  • 馬の整体は背筋痛に効く?

    話題 - 2022/09/21

    馬の整体(Chiropractic)の効き目について疑問を持たれているホースマンの方もいらっしゃるようです。ここでは、馬の背筋痛に対する整体の効能を評価した知見を紹介します。オランダのユトレヒト大学の研究[1]では、背部に問題があると診断された10頭の温血馬に対して、整体処置(背部、頚部、骨盤領域の用手操作)が施され、処置前、処置一時間後、および、処置三週間後における運動学的歩様解析が実施されました。その結果、処...

  • 馬装で不機嫌になる馬

    馬の飼養管理 - 2022/09/18

    馬が馬装されるときに不機嫌になるのは、一般的なことだと思われているかもしれません。しかし、英国の跛行研究者であるスー・ダイソン博士によると、馬の疼痛を上手に管理してあげることで、そのような行動が改善されることも多いと言います。参考資料:Betsy Lynch. Grumpy Horse While Tacking and Mounting? That’s Not Normal. The Horse, Topics, Behavior, Pain Managemen: Jan 29, 2022.Millares-Ramirez EM, Le Jeune SS....

  • 馬における針関節鏡の将来性

    話題 - 2022/09/15

    馬の健康問題の八割は運動器疾患であり、そのうち最も多いのは関節疾患であることが知られています。馬の関節疾患の診断では、歩様検査(視診や屈曲試験)や診断麻酔(神経ブロックや関節ブロック)のほか、画像診断としては、X線検査やエコー検査が有用で、近年では、CTやMRI等の先端診断技術も応用されています。しかし、これらの検査法では、初期病態の発見が難しく、汎用性の低い手法も多いという問題点があります。関節鏡は...

  • 膝蓋骨が上方固定したときの対処法

    馬の飼養管理 - 2022/09/09

    馬の膝蓋骨上方固定について時々、ホースマンの方々から、「馬の後膝が脱臼した!」という緊急電話を頂くことがあります。そのような場合、馬が後肢を伸ばした状態で突っ張ってしまい、飛節や膝関節を曲げられなくなった状態を指しています(球節は少し曲げ伸ばし可)。解剖学的には、馬の膝蓋骨の下方に付いている内側膝蓋靭帯が、大腿骨の内側滑車の上端に引っ掛かっることによって発症し、膝蓋骨の上方固定というのが病名になり...

  • 馬の幹細胞治療は本当に効くのか?

    話題 - 2022/09/09

    馬の運動器疾患には、屈腱炎や繋靭帯炎、関節炎などの難治性の病気も多く、抗炎症剤やヒアルロン酸の全身又は局所投与、ショックウェーブ治療、多血小板血漿の局所投与などの治療法が実施されています。また、近年では、間葉系間質細胞(Mesenchymal stromal cells)などの幹細胞を局所投与する再生医療も、様々な疾患に応用されて、良好な治療成績も報告されています。その一方で、幹細胞治療における有効投与量(注射する細胞数...

  • 馬の繋靭帯損傷への装蹄療法

    馬の飼養管理 - 2022/09/05

    馬の繋靭帯損傷について繋靭帯は、馬の肢端にある結合組織の一つで、球節の支持機能を担う重要な構造物になります。馬の繋靭帯は、管骨近位部に起始し、管部中央で内外脚に分岐したあと、内側の種子骨に付着しています。この種子骨の遠位端には、繋骨後面に繋がっている種子骨靭帯があり、この3つの構造物(繋靭帯、種子骨、種子骨靭帯)が懸垂装置というユニットとして、球節をハンモックのように後ろから支える役目を果たしてい...

  • 突然の重度跛行での見分け方

    馬の飼養管理 - 2022/09/02

    馬が突発的に重度の跛行を示したときには、どんな病気が疑われるのでしょうか。馬の健康問題で一番多いのは跛行ですが、通常では、軽度な歩様異常が徐々に悪化したり、人馬転などの事故の後に跛行を呈します。しかし、時には、まったく荷重できないような非常に重篤な跛行(不負重性跛行)が、前兆も無く、急性発現性に見られることがあります。そのような馬では、速やかに原因を突き止めて、適切な処置を施すことが重要になります...

  • つまずく馬は要注意

    馬の飼養管理 - 2022/09/01

    ホースマンの中には、自馬が頻繁につまづく事を心配されている方もいらっしゃるようです。つまずきは、トレーニングの妨げになったり、パフォーマンス低下になる以外にも、人馬転のリスクが増えることで、ヒトと馬の両方の健康と福祉に有害と言えます。ここでは、つまずく馬における発生要因や対策について紹介します。参考資料:Rachel Gottlieb, DVM. Why Does My Horse Stumble After Jumping? The Horse, Topics, Arthritis & ...

  • 蹄踵の低い馬への装蹄療法

    馬の飼養管理 - 2022/08/24

    蹄踵の低さについてホースマンの中には、蹄踵の低い馬を管理していくのに苦労されている方も多いようです。特に、乗馬に転用された直後の競走馬においては、蹄踵がかなり低い形状の蹄が多いと言われています。一般的には、馬に起こる慢性跛行の三分の一以上は、実は蹄踵に原因があるとも言われており、ローヒール(蹄踵が低い状態)およびアンダーランヒール(蹄尖角度よりも蹄踵角度のほうが小さい状態)などの蹄踵の異常は、とて...

  • 釘を踏んでも抜かないで!

    馬の飼養管理 - 2022/08/22

    馬を裏掘りしようと肢を上げさせたとき、もし、蹄底に釘が刺さっているのを見つけたら、どう対処するのが正しいでしょうか?正解は、「釘を抜かずに獣医師を呼ぶ」です。ホースマンの直感としては、速やかに釘を抜去して、消毒処置などを施したくなると思います。しかし、一番大切なことは、釘の先端がどこまで深く刺さっていて、蹄内部のどの構造物に達しているかを見極めることになります。何故なら、釘の刺さり方によっては、か...

  • 裏にある骨片は腱鞘越しに摘出

    話題 - 2022/08/21

    中間手根骨の掌側部骨折について馬の手根骨の骨折は、その殆どが背側面に生じますが、稀に掌側面にも起こることがあります。このうち、橈側手根骨や第三手根骨の掌側部骨折では、前腕手根関節または中間手根関節の掌側関節包に関節鏡でアプローチすることで、外科的摘出が可能であることが知られています。一方、中間手根骨の掌側部骨折は、関節鏡でアプローチするのが困難であると言われており、保存療法(骨片摘出せず休養させる...

  • 馬の蹄葉炎では蹄骨をプレート固定?

    話題 - 2022/08/21

    馬の蹄葉炎に対する新しい外科治療法が検討されています。馬の蹄葉炎は、背側蹄葉組織の変性によって、蹄骨が変位してしまう疾患です。急性期では、氷冷療法で蹄葉変性させる酵素活性を抑える内科療法が行なわれ、蹄骨変位に至った場合には、主に装蹄療法によって蹄骨の安定化が図られます。蹄葉炎が慢性化すると、切腱術で蹄骨への緊張を緩和しつつ、蹄骨角度の矯正(デローテーション)も施されます。残念ながら、蹄葉組織が広範...

  • 馬の軟腫:放置か治療かの見分け方

    馬の飼養管理 - 2022/08/20

    馬の軟腫について、放っておいても大丈夫なのか、それとも治療すべきか、という判断にお困りのホースマンも多いようです。一般的に、“軟腫”(英語名:Windpuffs)と呼ばれるのは、後肢の球節の後ろに、柔らかく盛り上がった腫れが生じている状態を指します。球節の後面には、2つの腱(深屈腱と浅屈腱)が走行しており、この部位では、腱が摩擦なく滑走できるように、潤滑液(腱鞘液)を含んだ袋(腱鞘包)に包まれています。軟腫...

  • 馬の鎮痛剤は毎日飲ませても安全?

    馬の飼養管理 - 2022/08/19

    ホースマンのなかには、馬に鎮痛剤を毎日飲ませ続けても大丈夫なのか?という疑問をお持ちの方もいらっしゃるようです。一般的に、馬の健康問題の八割は運動器疾患であり、そのうち、関節炎が占める割合が最も多いと言われています(飛節内腫、ナビキュラー病、リングボーン、膝関節炎、球節炎など)。このため、15歳以上の乗馬の競技馬において、慢性的な関節痛による跛行やプアパフォーマンスを呈する個体も多く、そのような関節...

  • 馬の治療蹄鉄によって血流障害?

    話題 - 2022/08/17

    馬の装蹄療法に用いられる蹄鉄の作用が調査されています。参考文献: Mieszkowska M, Adamiak Z, Holak P, Głodek J, Jastrzębska E, Wolińska K, Mieszkowski M. The Effect of Horse Shoeing with Egg Bar Shoes and Shoes with Wedge Pads on the Results of Thermal Imaging of the Equine Distal Limb. Animals (Basel). 2021 May 21;11(6):1479.この研究では、エッグバー蹄鉄、および、ヒールパッド(蹄踵を挙上させる楔形の...

  • 馬の救急箱に準備するものリスト

    馬の飼養管理 - 2022/08/14

    馬の救急箱について牧場や乗馬クラブでは、急な馬の怪我や病気に備えて、救急箱に色々な物品が準備されていると思います。ここでは、そのような救急箱に準備しておく物のリストの一例を紹介します。基本的に、海外の馬関連情報源を参照していますが(下記リンク)、日本において獣医師の処方が必要となる物品や薬品は別記又は省略しています。また、あくまで一つの例ですので、個々の牧場やクラブでの病気の発生状況を見て、必要な...

  • 馬を天国に送るという獣医師の責務

    診療 - 2022/08/13

    馬を天国に送るということは、獣医師にとってもホースマンにとっても辛い瞬間です。しかし、正しく安楽殺を実施することで、馬の福祉とウェルフェアに貢献できる一面もあります。昨今の日本でも、馬の安楽殺について関心が持たれる事象もありました。ここでは、馬の安楽殺に関する海外の知見をご紹介いたします。注意事項:本記事は、動物の安楽殺に関する内容を含みます。ご不快に感じられる記述もあるかもしれませんので、ご心配...

  • 馬のフレグモーネ治療:8つの秘訣

    馬の飼養管理 - 2022/08/11

    馬のフレグモーネについてフレグモーネとは、蜂窩織炎とも呼ばれ、皮下組織に広汎な細菌感染と腫脹を起こす疾患です。ホースマンが頻繁に目にする病気の一つで、平均では年間5頭以上も遭遇するという報告もあります。通常は見た目で診断がつき、治療としては、抗生剤(筋注または経口)および抗炎症剤(NSAID)の投与、水冷療法、曳き馬運動(腫れを減退させる)などが行なわれます。一般的に、抗生剤投与は五日間程で、腫れや跛行...

  • 馬のオンライン診療のための写真や動画の取り方

    未分類 - 2022/08/08

    馬のオンライン診療について馬が跛行や外傷をして、獣医師に電話をする場合、昔は、言葉で説明するだけでしたが、近年では、画像や動画が簡単に送れるようになってきました。また、ここ数年のコロナ禍で、ヒトのオンライン診療が普及するなか、馬の獣医療でもオンライン診療をする割合が増えたと言われています。そんな中、機械にうとかったホースマンも、スマホの使い方を覚えて、写真や動画を介して獣医師の診断や治療の指示を受...

  • 馬の義足手術

    診療 - 2022/08/06

    馬の義足手術について馬における断脚術(Limb amputation)および義足(Prosthesis)は、遠位肢の重篤な運動器疾患(Severe musculoskeletal disorder)に対する救援療法(Salvage therapy)の一つであり、これまでに数多くの成功例が報告されています。しかし、他の動物種に比べ、馬の義足手術は、実施の是非およびタイミングを判断するのが難しい治療法です。そして、断脚術と義足手術を応用する症例を適切に見極めるためには、...

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プロフィール

Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: 40代
住所: 茨城県
職業: 獣医師・獣医学博士
叩けよ、さらば開かれん!

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