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タグ:運動 のエントリー一覧

  • 乗用馬の肋骨骨折とプアパフォーマンスの関連性

    話題 - 2023/11/01

    乗馬の競技において、期待を裏切るプアパフォーマンス(突然の飛越反抗など)を示した時には、その理由がハッキリとは分からない事も多々あります。一般的に、馬のプアパフォーマンスの要因としては、運動器系、呼吸器系、心脈管系などの疾患が関与していると言われていますが、その他のマイナーな病気が要因となることも考えられます。ここでは、乗用馬のプアパフォーマンスにおいて、肋骨骨折(Rib fracture)の関与を検証した知...

  • 競走馬の心房細動とプアパフォーマンスの関連性

    話題 - 2023/10/30

    一般的に、馬のプアパフォーマンスでは、運動器系および呼吸器系に次いで、心脈管系の疾患が、三番目に多い原因であることが知られていますが、その発生による影響や、他病態との相互作用については不明な点が多いと言えます。ここでは、競走馬のプアパフォーマンスと心房細動(Atrial fibrillation)の関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、香港と豪州での2009〜2021年の平地レースにおいて、プアパフォーマンスと競...

  • 立ち腫れする馬への対策

    馬の飼養管理 - 2023/07/26

    ホースマンの中には、肢が腫れることを心配している方も多いのかもしれません。下肢の受動的な液体貯留は(所謂、立ち腫れ)、舎飼いの馬では比較的頻繁に見られますが、幸いにも、健康上の深刻な問題にならない場合も多いと言えます。ここでは、馬の立ち腫れについて総括した知見を紹介します。参考資料:Anna O’Brien, DVM. What to Know About Stocking Up. Horse Illustrated, Article, Horse Care, Horse Health: April 1st, ...

  • 高齢馬での便秘疝の予防対策

    馬の飼養管理 - 2023/06/14

    馬の疝痛のなかでも、最も多い原因疾患は便秘疝だと言われており、通常これは、大結腸の食滞を指しています。ここでは、三十歳近い高齢馬に起こった便秘疝に関して、その再発予防のための対策を述べた知見を紹介します。参考資料:Clair Thunes, PhD. Preventing Impaction Colic Recurrence: Our equine nutritionist offers feeding advice to minimize the risk of impaction colic in senior horses. The Horse, Article, Coli...

  • 健康な肢でも運動後に水冷すべきか?

    馬の飼養管理 - 2023/06/02

    乗用馬の騎乗後には、冷水を掛けたり、氷冷ブーツの装着などで肢を冷やす措置がよく行なわれています。しかし、怪我や故障をした肢を、治療する目的で冷やす以外にも、問題の起きていない健康な肢でも冷やすべきか?というのは自然な疑問だと言えます。ここでは、運動後の水冷が、怪我や故障の予防になるのかを解説した知見を紹介します。参考資料:Matt Leshaw, DVM. Can Cold Therapy Safeguard Sport Horses From Injury? Shoul...

  • 馬の「ハミ跛行」の原因はアゴの痛み?

    馬の飼養管理 - 2023/05/24

    一般的に、馬の「ハミ跛行」とは、馬が頭絡や鞍などを装着して騎乗運動している時だけ見られる歩様の異常を指しています。このため、口内でのハミ位置の問題や、歯科疾患の存在、鞍の装着の不備、屈頭姿勢を取らせることによる頭頚部の疼痛などが原因となり得ます。参考資料:Alexandra Beckstett, The Horse Managing Editor. Rein-Lameness Associated With TMJ Pain in Horses: Temporomandibular joint inflammation might be ...

  • 馬場馬に野外騎乗をさせることの利点

    馬の飼養管理 - 2023/05/17

    乗馬の競技馬をトレーニングするときには、特定の専門種目に特化させるという課題が生まれてきます(馬場馬、障害馬、ハンター障害馬、総合馬、ウェスタン競技馬など)。しかし、専門種目に熟練した馬をトレーニングする際に、その種目だけに集中して練習すべきでしょうか?それとも、野外騎乗などの他の運動様式も実施させて、専門種目以外の調教ツールを応用することで、何らかの利益を得ることが出来るのでしょうか?参考資料:...

  • 調馬索による馬の関節への影響

    馬の飼養管理 - 2023/04/24

    馬の調馬索運動(ロンジング)は、様々な馬術競技のトレーナーや馬主によって行なわれる一般的な運動方法であり、若齢馬を鞍付けする際に使用されたり、競技馬の調教を進めるために使われたりする事があります。しかし、近年の研究では、調馬索でもたらされる効果を考慮することが重要であるという警鐘が鳴らされており、調馬索の実施者は、馬が回転運動するときの生物力学を理解し、関節組織の健康と、馬の競技キャリアを長期的に...

  • 馬の理学療法での指針と手法

    馬の飼養管理 - 2023/04/17

    馬の健康問題のうち、実に八割を占めているのが運動器疾患であり、その治療のためには、クスリの投与や手術など、様々な内科的および外科的療法が適応されています。一方で、運動器機能の回復や維持を目的として、物理的手段を用いる手法もあり、一般的に「理学療法(Physical Therapy)」と呼ばれています。ここでは、馬の運動器疾患に対する理学療法に関して、その基本的な指針や手法を解説した記事を紹介します。参考資料:Shel...

  • 高齢馬の春の安全管理6選

    馬の飼養管理 - 2023/04/10

    春の兆しが跳んでいる(Spring has sprung)という季節ですが、高齢馬が健康で幸せな一年を送るためには、春はとても大事なシーズンだと言えます。ここでは、そのような高齢馬における春季の安全管理(Spring Safeguards)に関して、重要な事項6選を解説した記事を紹介します。参考資料:University of Kentucky College of Agriculture, Food, and Environment. Six Simple Spring Safeguards for Senior Horses: Ensure your se...

  • 馬の跛行を傾斜地で見る

    馬の飼養管理 - 2023/04/03

    跛行(Lameness)は、最も頻繁に起こる馬の健康問題であることが知られています。しかし、馬の歩様をチェックするときには、地面の平坦さを考慮することが大切です。なぜなら、ほんの僅かな傾斜があっただけでも、馬体の動き方や、跛行の見え方が変化してしまうからです。参考資料:Christa Leste-Lassiter, MA. Study: Even Slight Slopes Can Affect Lameness Exams in Horses. The Horse, Topics, Diagnosing Lameness, Injurie...

  • 競技馬の当日輸送のリスク

    話題 - 2022/12/08

    馬という動物にとって、馬運車での輸送は、肉体的負担やストレスの多い行為であるため、馬体への影響を考慮してあげることが大切です。ここでは、馬が競技会やレースの当日に輸送される状況のように、輸送と運動の複合作用について調査した知見を紹介します。この研究では、8頭の健常馬を用いて、一時間の輸送の直後に30分間の運動負荷を掛けて(4頭)、輸送前、輸送後、運動直後、および、運動の1,2,4,8時間後における、血液検査...

  • 競走馬の不整脈とプアパフォーマンスの関連性

    話題 - 2022/10/21

    一般的に、馬のプアパフォーマンスでは、運動器系および呼吸器系に次いで、心脈管系の疾患が、三番目に多い原因であることが知られていますが、その発生率や、他病態との相互作用については不明な点が多いと言えます。ここでは、競走馬のプアパフォーマンスと不整脈の関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、イタリアのミラノ大学の獣医大学病院において、2005~2015年にかけて、プアパフォーマンスの症状を呈した158頭...

  • 馬の心調律障害とプアパフォーマンスの関連性

    話題 - 2022/10/21

    レース中の競走馬がプアパフォーマンスを示したときに、その原因として、心臓の調律障害があるのかもしれない、という研究が行なわれています。参考文献:Marr CM, Franklin S, Garrod G, Wylie C, Smith L, Dukes-McEwan J, Bright J, Allen K. Exercise-associated rhythm disturbances in poorly performing Thoroughbreds: risk factors and association with racing performance. J Vet Cardiol. 2021 Jun;35:14-24.この研究...

  • 馬の肢巻きの圧はどれくらい持続する?

    馬の飼養管理 - 2022/10/05

    馬の四肢に巻かれるバンテージについて、皮膚に対する圧迫力がどれくらい持続するのかを検証した研究を紹介します。参考文献:[1] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Measurement of distal limb sub-bandage pressure over 96 hours in horses. Equine Vet J. 2017 May;49(3):329-333.[2] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Effect of bandaging techniques on sub-bandage pressures in the equine distal limb,...

  • 障害飛越の反抗や落下を科学する

    話題 - 2022/09/27

    乗馬における障害飛越競技は、馬術競技の一つで、障害物が設置されたコースを、乗馬して通過する技術を競う競技です。障害飛越の採点は、基本的に減点方式で行なわれ、障害物を逃避したり拒止した場合を反抗、バーを落下させたり障害を壊した場合を落下として、いずれも減点行為となりますが、反抗を二回繰り返したり、落馬や経路違反した場合などでは失権となります。今回は、障害飛越における減点(主に反抗や落下)が起こる要因...

  • 馬の鞍傷への対処法

    馬の飼養管理 - 2022/09/26

    鞍(Saddle)は、ヒトが馬に騎乗するときに使用する馬具の一つで、腹帯で馬の背中に固定されることで、騎乗者の体を馬上で安定して支持する場所を提供することに加えて、馬の背中を保護する機能を担っています。もともと馬の骨格は、物を運ぶための進化をしていないため、馬の背中の形状は、ヒトの下半身の形状とは大きく異なります。このため、鞍は人馬の接点をもたらし、騎座での扶助を介したコミュニケーション経路となり、さら...

  • 馬のリハビリ療法:10個の重要事項

    馬の飼養管理 - 2022/09/22

    馬の運動器疾患のなかでも、腱や靭帯、関節組織の損傷は、治癒に長期間を要することが多く、その治療期間中には、筋委縮によるパフォーマンスの低下を起こすことが一般的です。近年、馬の獣医療においては、ヒト医療におけるリハビリ療法と同様に、長期間の病気療養で下がってしまった馬の競技能力を、如何に短期間かつ有効に回復させていくか、という理念が生まれ、その技術や知見が深まってきています。ここでは、そのような馬の...

  • 馬の旋回癖への対処法

    馬の飼養管理 - 2022/09/21

    馬の旋回癖とは、馬房の中で、円を描くように歩き回る動作を持続的に繰り返す異常行動を指し、サク癖や熊癖と並んで、馬の悪癖の一つに挙げられています。馬によっては、旋回するだけでなく、壁を蹴ったり前掻きする行動を伴うこともあり、また、パドック放牧に出したときにも旋回を繰り返す個体も見られます。ここでは、馬の旋回癖への対処法について紹介します。参考資料:Khawaja AA. Horse Stall Anxiety: All You Need to kno...

  • 馬の拍車キズの対処法

    馬の飼養管理 - 2022/09/20

    ホースマンの皆様から、拍車キズ(Spur marks)への対処法について質問を頂くことがあります。ここでは、馬の拍車キズの病因や予防法などに関する知見を紹介します。英国のハートプリー大学の研究[1]では、馬の拍車キズと騎乗者の拍車タイプについて、ホースマンへの聞き取り調査が行なわれました。その結果、拍車の長さが32mm以上の場合、拍車キズを起こす危険性が有意に高かったことが示唆されており、また、拍車の先端構造が回...

  • 運動と飼料の管理で馬のコズミ予防を

    馬の飼養管理 - 2022/09/15

    ホースマンの中には、コズミをよく起こす馬の管理に苦労されている方もいらっしゃるようです。コズミとは、競走や競技のあとの数時間で、筋炎による痛みなどで強直性の歩様を示している症状を指すことが一般的です。馬のコズミは、単なる筋肉痛によるものが殆どですが、重度や頻発する場合には、強度運動によって骨格筋が融解する病気を起こしているケースもあり、これを労作性の横紋筋融解症と呼んでいます。ここでは、この横紋筋...

  • キネシオテープは馬の腹筋に効く?

    話題 - 2022/09/10

    キネシオテープとは、正式名をキネシオロジーテープ(Kinesiology taping)と言い、伸縮性のある綿やアクリル製のテープに接着剤がついているもので、筋肉と同じ伸縮率を持ったテープだと言われています。このテープを筋肉の走行に沿って、緊張を掛けるように皮膚に貼り付けることで、体内に隙間が出来てリンパ液の流れが良くなり、新陳代謝の改善および自然治癒力の向上を誘導して、筋肉の痛みを取り除くと言われています。キネシ...

  • 競走馬は故障前に歩幅が狭くなる?

    話題 - 2022/09/08

    一般的に、競走馬の故障(運動器疾患)は、突発的に発生するのではなく、骨や腱、関節などへの微細損傷が蓄積することによって発症に至ることが知られています。つまり、強度運動による組織損傷の度合いが、組織修復の度合いを上回ってしまうと、故障を起こし易い肢の状態になると考えられています。このため、そのような微細損傷が蓄積している状態を未然に検知して、故障の前兆として認識することが出来れば、レース前の運動強度...

  • マイクロチップで馬の検温

    話題 - 2022/09/07

    馬の体温を測るために、体内に埋め込んだマイクロチップを使う方法が検討されています。馬の体温は、様々な病気で上がり、その診断や経過観察に必要であるのみならず、暑熱環境での運動後のクールダウンの目安としたり(熱射病予防のため)、妊娠牝馬の分娩タイミングを事前に知るためにも応用されています(分娩の数時間前から体温低下するため)。一般的に、馬の体温は直腸で測られますが、手間が掛かったり、馬に蹴られるリスク...

  • 馬の舌縛りと気道内径の関連性

    話題 - 2022/09/02

    馬の舌縛りについて競走馬や競技馬で行なわれることのある「舌縛り(Tongue tie)」は、包帯や帯革などで舌を下顎に固定する措置のことで、ハミを越して舌を出す癖のある馬に用いられる事があります。また、舌縛りによって、舌骨を介して舌根と繋がっている喉頭軟骨を前方に牽引することが出来るため、運動中に喉頭軟骨の位置を安定化させて、軟口蓋背方変位を発症するのを予防したり、俗にいう“舌を飲み込んでしまう”という動作を...

  • つまずく馬は要注意

    馬の飼養管理 - 2022/09/01

    ホースマンの中には、自馬が頻繁につまづく事を心配されている方もいらっしゃるようです。つまずきは、トレーニングの妨げになったり、パフォーマンス低下になる以外にも、人馬転のリスクが増えることで、ヒトと馬の両方の健康と福祉に有害と言えます。ここでは、つまずく馬における発生要因や対策について紹介します。参考資料:Rachel Gottlieb, DVM. Why Does My Horse Stumble After Jumping? The Horse, Topics, Arthritis & ...

  • 歩様解析で見えたピアッフェの凄さ

    馬の飼養管理 - 2022/08/25

    馬のピアッフェの歩様解析ピアッフェ(Piaffe)とは、上級レベルの馬場馬術で実施される歩法で、斜対肢を同時に挙上させ、前進することなくリズミカルに跳ねる動きを指します。いわば、収縮速歩やパッサージュから更に収縮を強め、その場で速歩をしているような歩様になります。これは、かなり難易度の高い歩法であり、強靭さと安定性、自得姿勢(Self-carriage:馬が自分でバランスとリズムを維持する状態)を要することから、こ...

  • 放牧は腱や靭帯を強くする?

    馬の飼養管理 - 2022/08/25

    馬の腱靭帯疾患について馬の下肢における腱靭帯疾患は、跛行の原因として重要であり、休養理由の13~18%、引退原因の33%を占めるという調査結果もあります。しかし、馬を放牧させる時間を増やすというシンプルな飼養管理の工夫によって、このような腱靭帯の病気を減らせるという研究結果が示されています。参考資料:Alexandra Beckstett, The Horse Managing Editor. Turnout Time Can Reduce Horses’ Risk of Soft Tissue Injury...

  • 蹄踵の低い馬への装蹄療法

    馬の飼養管理 - 2022/08/24

    蹄踵の低さについてホースマンの中には、蹄踵の低い馬を管理していくのに苦労されている方も多いようです。特に、乗馬に転用された直後の競走馬においては、蹄踵がかなり低い形状の蹄が多いと言われています。一般的には、馬に起こる慢性跛行の三分の一以上は、実は蹄踵に原因があるとも言われており、ローヒール(蹄踵が低い状態)およびアンダーランヒール(蹄尖角度よりも蹄踵角度のほうが小さい状態)などの蹄踵の異常は、とて...

  • 馬の軟腫:放置か治療かの見分け方

    馬の飼養管理 - 2022/08/20

    馬の軟腫について、放っておいても大丈夫なのか、それとも治療すべきか、という判断にお困りのホースマンも多いようです。一般的に、“軟腫”(英語名:Windpuffs)と呼ばれるのは、後肢の球節の後ろに、柔らかく盛り上がった腫れが生じている状態を指します。球節の後面には、2つの腱(深屈腱と浅屈腱)が走行しており、この部位では、腱が摩擦なく滑走できるように、潤滑液(腱鞘液)を含んだ袋(腱鞘包)に包まれています。軟腫...

  • ハンター競走馬の鼻出血の危険因子

    話題 - 2022/08/20

    馬の鼻出血について競走馬の鼻出血は、その多くが肺からの出血で起こり、運動中に血圧が上がることと、呼吸増加で肺胞の内圧が下がることが相まって出血に至ることから、運動誘発性肺出血(EIPH: Exercise-induced pulmonary hemorrhage)という病名で呼ばれます。競走馬におけるEIPHの発症率は、51~75%と様々です[1-4]。馬がEIPHを起こすと、肺組織の線維化および換気機能低下を続発するのみならず、長期間の出走停止となるため...

  • 馬を夜間だけ放牧させるメリット

    馬の飼養管理 - 2022/08/18

    馬の夜間だけ放牧させることの利点について紹介されています。一般的に、厩舎飼いされている馬であっても、一定の時間を放牧場で過ごすことで、馬房で退屈する時間が減らせるため、気性や性格が温和になったり、サク癖や熊癖などの悪癖を予防できるというメリットがあります。また、牧草地に放すことが可能であれば、新鮮な青草を摂取させることが可能となって、ミネラルや電解質の不足を補って健康状態の向上につながるだけでなく...

  • 熱射病の予防には競技前のクールダウン

    馬の飼養管理 - 2022/08/12

    馬の熱射病を予防する方策として、競技前のクールダウンが推奨されています。熱射病とは、暑熱や運動による体温上昇に、発汗による脱水が重なって、体温調節がうまく出来なくなり、深刻な健康障害をきたす病気を指します。馬においては、特に、総合馬術の野外走行競技においては、熱射病になる危険性が高いことが知られています。このため、この競技の開始前に馬体をクールダウンさせることで、熱射病の予防を図るという手法が提唱...

  • ハダシの馬が金メダル

    馬の飼養管理 - 2022/08/12

    ハダシで金メダルを取った障害飛越馬が話題になりました。昨年の東京オリンピックの障害飛越では、スウェーデンが団体で金メダルを獲りましたが、そのうちの2頭(オールイン号とキングエドワード号)は、ハダシつまり裸蹄(Barefoot)で競技に参加しました。FEI獣医局長のゴーラム・エイカーストーム氏は、もし裸蹄がその馬に合っていて、正しい管理と環境を伴うのであれば、裸蹄で競技に参加することは好ましいことだ、と述べて...

  • 馬の落鉄を減らす5つの対策

    馬の飼養管理 - 2022/08/03

    ホースマンのなかには、自馬が頻繁に落鉄して苦労されている方もいらっしゃるかもしれません。馬の蹄鉄が外れてしまうと、単に不便なだけではなく、落鉄した馬の蹄にダメージを与えてしまうこと、および、落ちた蹄鉄を他の馬が踏んでしまって怪我をすることもあり得ます。このため、落鉄を繰り返す馬に対しては、原因を予測して、可能な予防対策を講じることが大切です。馬の蹄鉄が外れてしまう原因は、①前肢蹄の鉄尾を後肢蹄が踏...

  • 野外障害における落馬リスクの解析

    話題 - 2022/08/01

    野外障害での落馬の危険性について科学的解析が行なわれており、ライダーの安全に配慮したコースデザインをする上で有用だと思われます。総合馬術の野外走行では、飛越する障害が固定されており、もしライダーが落馬して激突すれば、怪我の危険性が高くなる可能性があります。また、飛び込み水壕や乾壕などの馬が躊躇しやすい障害物では、落馬の確率が高まるかもしれません。そう考えると、野外障害の特性が、ライダーの落馬にどう...

  • 片足だけワンコを着けてみよう

    馬の飼養管理 - 2022/07/29

    ワンコを馬の片足だけに着けると、意外な効能があるようです。馬の歩様が、左右非対称であることは多いですが、動きの悪いほうに後肢にワンコを取り付けることで、馬にその肢の存在を意識させることになり、踏み込みを向上させられることがあります。そうすると、その肢を動かす筋力が強化され、歩様の対称性を改善させる効果が得られると言われています。また、怪我や故障によって片方の後肢の動きが悪くなった場合には、その肢に...

  • 馬の関節炎のサプリメント(2022年版)

    馬の飼養管理 - 2022/07/27

    ホースマンの中には、慢性の関節炎(飛節内腫やリングボーン等)を患っている自馬のケアに悩んでいらっしゃる方も多いのかもしれません。ここでは、関節炎への効能が謳われたサプリメントをまとめました。馬の関節炎に対するサプリメントとしては、コンドロイチン、グルコサミン、および、メチルスルフォニルメタン(MSM)の3つの成分が有効であることが知られています。特に、馬の関節炎では、コンドロイチンとグルコサミンの2...

  • 背弯した高齢馬は乗っても大丈夫?

    馬の飼養管理 - 2022/07/27

    背弯姿勢になった高齢の馬は、騎乗しても問題ないのでしょうか。背弯とは、胸椎から腰椎までの背骨が下方に沈み、馬の背中がUの字に弯曲した馬体の状態を指します。英語では、スウェイバックまたはロードシスと呼ばれ、通常、高齢馬によく見られますが、若齢馬に起こることもあり、発生率は約1%になることが知られています。ホースマンにとっては、自らが座る位置である背中が凹んでいるため、騎乗することへの不安を持つことが多...

  • 「馬に乗るなら痩せなさい」は本当か?

    馬の飼養管理 - 2022/07/24

    馬に乗るのであれば、中年太りは禁物で、馬のためにもダイエットするべきだ!とも言われますが、これは科学的にも裏付けられている話なのでしょうか?近年、海外の乗馬関係のメディアやフォーラムでは、騎乗者の体の大きさや重さが、馬のウェルフェアやパフォーマンスに悪影響を与えているのか?についての議論が起きています。一般論としては、騎乗者の体重は、馬の体重の20%を越えるべきではないとも言われますが、現時点では、...

  • 馬の夏バテのサプリメント(2022年版)

    馬の飼養管理 - 2022/07/23

    夏バテへの効能が謳われたサプリメントをまとめました。夏バテの馬に対しては、電解質の補給を目的としたサプリメントが有用であると言われており、その中でも特に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムが重要になります。また、ビタミン類も疲労回復に役立つと言われています。塩辛さで嗜好性が落ちないよう、果物フレーバーの製品もあります。なお、下記の製品については、成分や価格が変更される事もありますので、...

  • 蹄葉炎と上手に付き合っていく方法

    馬の飼養管理 - 2022/07/18

    蹄葉炎になった馬にとって、病気とうまく付き合っていく事はとても重要です。蹄葉炎とは、蹄葉状層が剥離して、蹄骨が変位してしまう病気であり、「不治の病」とも呼ばれます。しかしこれは、この病気に罹ったら命が助からないという意味ではありません。現在では、蹄葉炎に関する知見が深まってきており、馬の蹄葉炎は、単に完治するのが難しいだけで、蹄葉炎と上手に付き合っていくことで、その馬が幸せな余生を送っていくことは...

  • 馬が排尿したらアブミに立つべきか?

    馬の飼養管理 - 2022/07/18

    もし、自分が乗っている馬がオシッコをし始めたら、私たちは鐙に立ってあげるべきなのでしょうか?思い返してみると、私たちが馬に乗り始めたばかりのビギナーの頃、インストラクターから言われたのは、馬がレッスン中に排尿を始めたら、鐙に立ち上がって、鬣を掴んで、ツーポイントの姿勢を取り、馬の背中を圧迫しないようにしましょう、という指導でした。その理由としては、鞍の下の位置には馬の腎臓があるので、馬が排尿する時...

  • 乗馬に転用される競走馬に気をつけること

    馬の飼養管理 - 2022/07/14

    引退した競走馬が、乗馬として活躍していくためには、様々な点に気をつけることが大切です。引退した競走馬を、乗馬にうまく転用していくことは、日本の馬社会においても重要です。日本は欧米諸国と異なり、国内で飼養されている馬に占める競走馬の割合が、六割以上と非常に多く(欧米では1~2割程度)、引退競走馬の受け皿の一つとなる乗馬という産業の規模が、相対的に低くなりがちだと言えます。近年、引退馬のリトレーニング活...

  • 無観客競馬では人気馬が勝つ?

    未分類 - 2020/04/30

    無観客での競馬は、馬やファンに影響を与えているようです。新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、経済活動の自粛が続くなか、競馬も無観客で開催される時世になっています。大勢の入場客がいないことで、出走する馬たちにも影響が出てているようです。馬は繊細で臆病な気性であり、五感のうち聴覚に最も頼っている動物です。通常開催の競馬においては、パドックや走行中に馬の耳に入る歓声や怒号によって、馬が興奮したり入...

  • ハダシは蹄の健康に良い?

    未分類 - 2015/08/09

    馬をハダシ(Barefoot)にすることによる蹄形への効能が評価されています。Natalie DeFee Mendik, MA. Study: Barefoot Trimming Shows Positive Effects. The Horse News: January 3rd, 2013. Article #31149.この研究では、七頭の実験馬に対して、以下のような装蹄法が実施されました:(1)蹄鉄なし(Barefooted)、(2)蹄底を平坦にする(Leveled the hoof to the live sole)、(3)蹄踵を低くする(Lowered the heels)...

  • 馬は親密な乗り手を信頼する

    馬の飼養管理 - 2015/08/09

    馬はやはり、普段から慣れ親しんだ、親密な乗り手を信頼しているようです。今年七月に英国で開催された、馬術科学国際協会(International Society of Equitation Science)の学術集会で発表された研究では、馬が親密な乗り手(Familiar rider)を信頼するのか否かが検討されています。この研究では、普段から一人の乗り手だけが騎乗している私有馬や警察馬、および、普段から複数の乗り手が騎乗している乗馬クラブの所有馬を用い...

  • 鞍ズレと跛行の関係

    馬の飼養管理 - 2015/08/09

    馬の鞍ズレ(Saddle slip)と後肢跛行(Hind-limb lameness)の関係が調査されています。英国馬獣医協会の学術集会(British Equine Veterinary Association Congress)における研究報告では、様々な歩様状態にある128頭の馬に、それぞれ二人以上の騎手が乗って、その際の跛行グレードと鞍ズレの度合いが評価されました。その結果、「一貫した鞍ズレ」(Consistent saddle slip)の症状を呈した馬の割合は、後肢跛行の馬では54%に...

  • ヒトと馬の心は同調する?

    未分類 - 2015/08/09

    人間と馬の心理的な緊張の度合いが、同調するかどうかが研究されています。古典的に、馬には心理的に同調する能力があり、人間がナーバスな精神状態のときに馬に接すると、馬の方までナーバスになって、調教や競技がうまく運ばないという経験的知見があります。私も、乗馬のインストラクターに、気持ちが苛立っている時には、馬はそれを敏感に察して、馬のほうまで苛立ってしまう、という助言を貰った事を思い出します。今回、カナ...

  • レース中の馬の内視鏡検査

    話題 - 2015/08/09

    レース中の馬に対する内視鏡検査(Endoscopy)が試みられています。Priest DT, Cheetham J, Regner AL, Mitchell L, Soderholm LV, Tamzali Y, Ducharme NG. Dynamic respiratory endoscopy of Standardbred racehorses during qualifying races. Equine Vet J. 2012 Sep;44(5):529-34.馬に起こる多くの上部気道疾患(Upper airway disorder)は、安静時には認められず、高速運動時における内視鏡検査によってのみ、異常所見が認め...

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Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: アラフィフ
住所: 北関東
職業: 獣医師・獣医学博士
叩けよ、さらば開かれん!

質問、御意見、記事の要望等は下記まで
E-mail: rowdyponies@gmail.com

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