タグ:飼養管理 のエントリー一覧
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馬の出産についての基礎事項
馬の飼養管理 - 2023/03/20馬の出産シーズンが近づいてきましたが、新生子馬をケアするためのチェックリストは多岐にわたり、出産時やその後に注意すべき点が数多くあります。そして、出産のプロセスにおける正常と異常を理解することは重要であり、新たな生まれてくる子馬に、健康で幸せな人生を始める手助けをするためには必要不可欠であると言えます。ここでは、馬の出産や新生子馬のケアに関して、基礎的な事項をまとめた知見を紹介します。ただ、この内...
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群飼いの馬は寝不足になる?
馬の飼養管理 - 2023/03/12一般的に、馬を群れで飼うことは、動物福祉の面では好ましいと考えられますが、家畜化された馬という動物にとっては、多頭数の馬たちと睡眠のためのスペースを共有することは、睡眠不足という別の問題を生み出すのかもしれません。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Horses Living in Groups Might Not Get Enough Sleep. The Horse, Topics, Behavior, Farm and Barn, Horse Care, Welfare and Industry: Oct30, 2022.スウェ...
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馬着に関する10個の疑問
馬の飼養管理 - 2023/03/06馬に馬着(ブランケット)を着せるときには、どんなタイプの馬着を、いつ着せるべきか?を悩む時がありますが、ここでは、馬着に関するよくある疑問について解説した記事を紹介します。参考資料:Alexandra Beckstett, The Horse Managing Editor. Horse Blanketing FAQs. The Horse, Topics, Warmup & Cool Down, Winter Care: Oct7, 2022.注意:下記の記述は、北米で放牧飼いされている乗用の温血種の成馬に関する馬着管理の指針で...
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冬でも馬に飲水させる7つの対策
馬の飼養管理 - 2023/02/22冬場に、馬が十分に飲水してくれるか否かは、ホースマンにとっては、大きな心配事の一つなのかもしれません。ここでは、冬でも馬に自発的に飲水させる方策を解説した記事を紹介します。参考資料:Janice L. Holland, PhD. How to Keep Your Horse Hydrated During the Winter. The Horse, Topics, Horse Care, Nutrition: Dec24, 2022.馬が冬の寒さを乗り切るためには、暖かい馬着を着せたり、風雨を避ける小屋を放牧地に整備する...
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サク癖する馬は疝痛になり易い?
話題 - 2023/01/16サク癖は、馬用語で「グイッポ」とも呼ばれ、固定された物体を前歯で咥えて、それを支点にして頭頚部を屈曲させながら空気を飲み込むような動作を指します。ここでは、サク癖をする馬としない馬で、疝痛の発生状況の違いを比較した知見を紹介します。この研究では、米国のUCデービスの獣医大学病院にて、2006~2008年に診察を受けた227頭の疝痛馬および347頭の対照馬において、馬主への聞き取り調査および疝痛病態に関する医療記録...
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馬はサク癖を見て真似をする?
話題 - 2023/01/15サク癖は、馬用語で「グイッポ」とも呼ばれ、固定された物体を前歯で咥えて、それを支点にして頭頚部を屈曲させながら空気を飲み込むような動作を指します。ここでは、馬がサク癖を始める要因について調査した知見を紹介します。この研究では、米国のコーネル大学の調査で、401名の馬主に対して聞き取り調査が行なわれ、計3,574頭の飼養馬におけるサク癖の発生状況の調査、および、オッズ比(OR)の算出による危険因子の解析が行な...
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馬のサク癖では空気を飲んでいない?
話題 - 2023/01/14サク癖は、馬用語で「グイッポ」とも呼ばれ、固定された物体を前歯で咥えて、それを支点にして頭頚部を屈曲させながら空気を飲み込むような動作を指します。ここでは、馬のサク癖における「空気を飲み込む」という動作の真偽を調査した知見を紹介します。この研究では、サク癖行動をしたいる馬の頭頚部を、X線透視装置および内視鏡で撮影することで、咽頭から食道近位部における空気の移動状況が解析されました。参考文献:McGreev...
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馬が蹴ったときの蹄鉄の有無の差
話題 - 2022/12/24蹴りグセのある気性の難しい馬では、後肢で蹴ったときのダメージを少しでも軽減するため、後肢の蹄をハダシにすることもありますが、本当にそれは効果があるのでしょうか?ここでは、蹄鉄の有無によって、馬が蹴ったときの破壊力が変化するのかを実験した知見を紹介します。この研究では、34頭の馬の屠体頭部(眼窩部)に対して、角質素材(ハダシの蹄を再現)または鋼鉄素材のインパクター(蹄鉄を着けた蹄を再現)を7~10m/秒の...
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馬同士の喧嘩を防ぐには
話題 - 2022/12/23一般的に馬は、他の家畜(牛/豚/羊など)よりも筋力が強いため、多頭での放牧時に喧騒が起こると、咬傷や蹴傷による外傷を生じる可能性が高いと言えます。ここでは、馬群内での喧嘩による外傷の発症率や、それに関わる危険因子を調査した知見を紹介します。この研究では、スイス国内の馬牧場に対して聞き取り調査が行なわれ、計2,912頭の飼養馬における、馬同士の喧嘩(咬傷や蹴傷)を含む健康問題の年間発生状況(獣医師の往診を...
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高齢馬の健康管理と好発疾患
話題 - 2022/12/21近年、馬の寿命が延びて、高齢馬の飼養頭数が増えるに連れて、高齢期における病気の治療や健康管理が重要になってきています。ここでは、高齢馬での健康管理の現状を調査した知見を紹介します。この研究では、英国の20箇所の馬病院の登録馬から無作為に抽出された高齢馬(15歳以上)の馬主や管理者に対して、手紙にて自馬の健康管理や病気に関する聞き取り調査が実施されました。参考文献:Ireland JL, Clegg PD, McGowan CM, McKa...
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馬の日帰り手術のリスク
話題 - 2022/12/08馬という動物にとって、馬運車での輸送は、肉体的負担やストレスの多い行為であるため、馬体への影響を考慮してあげることが大切です。ここでは、馬の日帰り手術で起こるような、輸送、絶食、全身麻酔などの負荷が、馬体に与える影響について調査した知見を紹介します。この研究では、8頭の健常馬を用いて、安静時、輸送後、絶食後、全身麻酔の24,48,72時間後における、糞便内の細菌組成の遺伝子学的解析が行なわれました。参考文...
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競技馬の当日輸送のリスク
話題 - 2022/12/08馬という動物にとって、馬運車での輸送は、肉体的負担やストレスの多い行為であるため、馬体への影響を考慮してあげることが大切です。ここでは、馬が競技会やレースの当日に輸送される状況のように、輸送と運動の複合作用について調査した知見を紹介します。この研究では、8頭の健常馬を用いて、一時間の輸送の直後に30分間の運動負荷を掛けて(4頭)、輸送前、輸送後、運動直後、および、運動の1,2,4,8時間後における、血液検査...
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馬運車での繋留法の影響
話題 - 2022/12/07馬という動物にとって、馬運車での輸送は、肉体的負担やストレスの多い行為であるため、馬体への影響を考慮してあげることが大切です。ここでは、馬運車の内部での繋留法が、馬の健康状態に及ぼす影響ついて調査した知見を紹介します。この研究では、10頭の健常馬を用いて、24時間の輸送中に、頭絡を左右の曳き縄で張り馬にした状態、もしくは、広い区画に自由起立させた状態にして、輸送前と輸送後における身体検査や血液検査が実...
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母馬の肥満と子馬の出生体重の関係
馬の飼養管理 - 2022/11/14近年、サラブレッドの繁殖分野では、子馬の出生体重が増加傾向にあり、生後の子馬への影響も懸念されています。ここでは、母馬の肥満や内分泌機能と、子馬の出生体重との関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のロスデール馬病院の研究者たちが、2013年の繁殖期に一つの繁殖牧場を対象として、66頭のサラブレッド繁殖牝馬における体重、体格(BCS)、子馬の出生体重、および、内分泌機能の検査を実施しています。...
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老齢馬の行動と放牧飼いの関連性
馬の飼養管理 - 2022/11/03近年では、獣医療の進歩に伴って、馬の寿命も延びてきており、老齢馬の福祉に則した飼養管理法の確立が重要になってきています。ここでは、老齢馬の一日の行動様式を、異なる飼養管理環境で比較した知見を紹介します。この研究では、オーストラリアの五箇所の牧場において、老齢馬(20歳以上)または慢性跛行で休養中の馬を対象として、頭絡に取り付けた自動追跡装置を用いて、厩舎飼い、パドック飼い、放牧飼いにおける行動様式の...
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馬の骨折と蹴傷の関連性
馬の飼養管理 - 2022/10/13馬の骨折が発症する原因は、馬の用途によって多様ですが、全般的な馬の骨折の発症要因を解明しようとする試みも成されています。下記の研究では、スイスの二箇所の獣医大学病院において、1990~2014年にかけて、骨折の診断や治療のために来院した1,144頭の馬における、医療記録の解析が行なわれました。参考文献:Donati B, Furst AE, Hassig M, Jackson MA. Epidemiology of fractures: The role of kick injuries in equine frac...
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馬の肢巻きの圧はどれくらい持続する?
馬の飼養管理 - 2022/10/05馬の四肢に巻かれるバンテージについて、皮膚に対する圧迫力がどれくらい持続するのかを検証した研究を紹介します。参考文献:[1] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Measurement of distal limb sub-bandage pressure over 96 hours in horses. Equine Vet J. 2017 May;49(3):329-333.[2] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Effect of bandaging techniques on sub-bandage pressures in the equine distal limb,...
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馬の胃潰瘍サプリは毎日あげても大丈夫?
馬の飼養管理 - 2022/10/01馬は胃潰瘍を起こし易い動物であることが知られており、その要因としては、一日中コンスタントに胃酸が分泌されること、および、胃袋の上半分を占める扁平上皮部がpH変化に弱い構造であること、などが挙げられています。また、レースや長距離輸送など、ストレスの多い馬ほど、胃潰瘍を発症しやすいことも知られています。一般的に、自然な環境で生活している馬では、一日の3/4以上の時間を、青草を食むことに費やすため、唾液や粗...
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厩舎に音楽を流すことの効能
馬の飼養管理 - 2022/09/28馬が飼養されている厩舎では、BGMとしてクラシック音楽を流されている事がありますが、実際に馬に対してどのような効果がもたらされているのか、という研究も実施されています。参考資料:Classical Music Could Help Your Horse De-stress. Horse Illustrated: Nov7, 20116.Why You Should Play Music for Your Horse. I love horses: Aug28, 2020.Barn Beat: What Music Style is Best for Horses? EquiNews: May13, 2013.タイ国...
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馬の鞍傷への対処法
馬の飼養管理 - 2022/09/26鞍(Saddle)は、ヒトが馬に騎乗するときに使用する馬具の一つで、腹帯で馬の背中に固定されることで、騎乗者の体を馬上で安定して支持する場所を提供することに加えて、馬の背中を保護する機能を担っています。もともと馬の骨格は、物を運ぶための進化をしていないため、馬の背中の形状は、ヒトの下半身の形状とは大きく異なります。このため、鞍は人馬の接点をもたらし、騎座での扶助を介したコミュニケーション経路となり、さら...
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馬の5つの自由
馬の飼養管理 - 2022/09/23馬をはじめとする飼育動物たちは、本来の自然界での生活を送ることはできず、制限された環境で飼養されています。このため、私たち人間には、飼育動物が可能な限り快適で、可能な限り苦痛を受けずに暮らしていけるようにする義務と責任があります。そこで、1960年代の英国では、飼育動物の管理方法を改善し、動物の福祉を確保することを目的として、「動物の5つの自由」(The Five Freedoms for Animal)という下記の理念が定めら...
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馬の旋回癖への対処法
馬の飼養管理 - 2022/09/21馬の旋回癖とは、馬房の中で、円を描くように歩き回る動作を持続的に繰り返す異常行動を指し、サク癖や熊癖と並んで、馬の悪癖の一つに挙げられています。馬によっては、旋回するだけでなく、壁を蹴ったり前掻きする行動を伴うこともあり、また、パドック放牧に出したときにも旋回を繰り返す個体も見られます。ここでは、馬の旋回癖への対処法について紹介します。参考資料:Khawaja AA. Horse Stall Anxiety: All You Need to kno...
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馬の寝起きを制限する飼養法
馬の飼養管理 - 2022/09/19馬の寝起きを制限することのメリット馬は他の家畜と異なり、起立装置という解剖学的な特異性があるため、長期間に渡って駐立したまま生活できるという動物学的な特徴があります。このため、馬が馬房内で寝起きするのを制限して、駐立させたまま繋留する管理方法が実施可能となり、幾つかのメリットがあります。馬の年齢や体力にもよりますが、通常、一ヶ月程度であれば、馬は寝起きせずに生活することが出来ます。馬の寝起き制限が...
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馬装で不機嫌になる馬
馬の飼養管理 - 2022/09/18馬が馬装されるときに不機嫌になるのは、一般的なことだと思われているかもしれません。しかし、英国の跛行研究者であるスー・ダイソン博士によると、馬の疼痛を上手に管理してあげることで、そのような行動が改善されることも多いと言います。参考資料:Betsy Lynch. Grumpy Horse While Tacking and Mounting? That’s Not Normal. The Horse, Topics, Behavior, Pain Managemen: Jan 29, 2022.Millares-Ramirez EM, Le Jeune SS....
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アルファルファに関する4つの誤解
馬の飼養管理 - 2022/09/17馬の飼料としてのアルファルファには、栄養学的なメリットが多いのですが、一方で、幾つかの誤解も持たれているようです。ここでは、アルファルファ乾草に関して、よく耳にする4つの誤解を紹介します。参考資料:Heather Smith Thomas. Four Misconceptions About Alfalfa. The Horse, Topics, Article, COPD, Heaves & RAO, Cushing's Disease, Hay, Kidney Problems, Laminitis (Founder), Metabolic Syndrome, Nutrition, Nutr...
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運動と飼料の管理で馬のコズミ予防を
馬の飼養管理 - 2022/09/15ホースマンの中には、コズミをよく起こす馬の管理に苦労されている方もいらっしゃるようです。コズミとは、競走や競技のあとの数時間で、筋炎による痛みなどで強直性の歩様を示している症状を指すことが一般的です。馬のコズミは、単なる筋肉痛によるものが殆どですが、重度や頻発する場合には、強度運動によって骨格筋が融解する病気を起こしているケースもあり、これを労作性の横紋筋融解症と呼んでいます。ここでは、この横紋筋...
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馬の寝違えの対処法
馬の飼養管理 - 2022/09/13ホースマンの皆様は、寝違えた馬を助け起こした経験が少なからずあると思いますが、ひとつやり方を間違えると、ヒトも馬も深刻なケガをする危険があります。ここでは、馬の寝違えに対する正しい対処法についてまとめてみます。参考資料:Morgan KD. What is Stall Casting? Sports N’ Hobbies: Aug30, 2022.Summer W. Why Horses Cast and Ways to Help. ILoveHorses: Oct16, 2020.Steffanus D. Cast Horses: What To Do. Paulick ...
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オス馬のシースの洗浄
馬の飼養管理 - 2022/09/12オス馬のシースの解剖学ホースマンにとって、洗体やブラシ掛けなどの手入れは、楽しい仕事だと思いますが、シース(陰茎鞘)の洗浄となると、少し躊躇してしまうのかもしれません。しかし、オス馬のシースを定期的に洗浄することは、陰部の痛みや不快感を抑えるだけでなく、下部尿路の感染予防にもつながる非常に重要な作業になります。オス馬のシースは、馬の外陰部の構造物を指し、外鞘、包皮、陰茎の3つから成っています。通常...
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秋の疝痛を防ぐ7つの対策
馬の飼養管理 - 2022/09/11馬における秋の疝痛馬の疝痛のなかでも、便秘疝などの一部の病気は、晩夏から初冬にかけて増加する傾向にあることが知られています。それには、数多くの因子が関与しており、①気温低下に伴って馬の飲水欲が下がること、②馬の食欲が増して早食いをしやすくなること、③牧場等では給餌内容が生草から乾草に変わっていく時期であること、などが含まれます。ここでは、これらの諸要因を踏まえて、秋季に馬が疝痛を発症するのを未然に防...
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蹄葉炎の馬における飼養管理
馬の飼養管理 - 2022/09/10蹄葉炎になった馬に対する飼養管理で悩んでいるホースマンも多いのかもしれません。蹄葉炎の馬において、体重を少し絞って、罹患蹄への負荷を軽減するのが良い場合があります(理想体重の約一割減)。その場合でも、急激にエサの量を減らすのではなく、給餌量は体重の1.5%を維持するようにします。なお、ボディコンディションスコアは、9段階中の5を維持するように努め、体重計のない牧場等では、胸囲と体長から体重を計算するこ...
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「青い光」で馬のクッシング病対策
話題 - 2022/09/07馬のブルーライトマスクとクッシング病についてブルーライトマスクとは、馬に装着させる面子(マスク)の眼の部分に、青い光を発する電球が取り付けられている馬具を指します。これまで繁殖馬においては、夜間に馬房の証明を灯すことで概日リズムを調整して、繁殖期の初回排卵を早めるというライトコントロールという管理法が実践されてきましたが、ブルーライトマスクを装着させることで、屋内照明を同じように作用して、放牧場で...
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マイクロチップで馬の検温
話題 - 2022/09/07馬の体温を測るために、体内に埋め込んだマイクロチップを使う方法が検討されています。馬の体温は、様々な病気で上がり、その診断や経過観察に必要であるのみならず、暑熱環境での運動後のクールダウンの目安としたり(熱射病予防のため)、妊娠牝馬の分娩タイミングを事前に知るためにも応用されています(分娩の数時間前から体温低下するため)。一般的に、馬の体温は直腸で測られますが、手間が掛かったり、馬に蹴られるリスク...
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馬の喉詰まりを予防する10個の対策
馬の飼養管理 - 2022/09/06ホースマンの中には、頻繁に喉詰まりを起こす馬に苦労されている方もいらっしゃるのかもしれません。喉詰まりとは、食道梗塞のことを指し、食道に飼料が詰まって通過障害を起こす病気です。また、喉詰まりが悪化すると、誤嚥性肺炎を続発して命に関わることもあるので、シッカリとした予防対策を取ることが大切です。喉詰まりは高齢馬に好発することが知られており、15歳以上の馬では、食道梗塞を起こすリスクが3.1倍も高いことが...
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失明した馬の管理法
馬の飼養管理 - 2022/09/03馬の失明について馬における失明は、白内障や馬回帰性ブドウ膜炎(月盲)が原因となって起こる場合が多く、また、創傷性角膜炎、重度外傷、感染などから失明にいたる症例もあります。一般的に、1~2%の馬がその生涯で少なくとも一方の眼の失明に至ることが知られています。幸いにも、馬が失明するときには、徐々に視覚が不自由になっていくため、視野の片側または全体からの情報に頼らないよう順応するため、驚くほど上手に失明に...
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つまずく馬は要注意
馬の飼養管理 - 2022/09/01ホースマンの中には、自馬が頻繁につまづく事を心配されている方もいらっしゃるようです。つまずきは、トレーニングの妨げになったり、パフォーマンス低下になる以外にも、人馬転のリスクが増えることで、ヒトと馬の両方の健康と福祉に有害と言えます。ここでは、つまずく馬における発生要因や対策について紹介します。参考資料:Rachel Gottlieb, DVM. Why Does My Horse Stumble After Jumping? The Horse, Topics, Arthritis & ...
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馬の輸送前には電解質補給を
馬の飼養管理 - 2022/09/01馬の発汗と電解質損失馬は発汗によって多量の電解質を損失することが知られており、輸送中に汗をたくさんかくことで、筋肉の活動に必要な電解質を使い切ってしまう危険もあります。幸いにも、輸送する時には、前もって電解質サプリメントを補給しておくことで、枯渇するリスクを減らせるという知見が示されています。カナダのオンタリオ大学の研究では、約8リットル(2ガロン)の低張性電解質液を馬に摂取させることで、筋細胞への...
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馬のサク癖と疝痛は関係している?
馬の飼養管理 - 2022/08/31馬のサク癖の原因ホースマンの中には、自馬のサク癖にどう対処すべきか?という疑問を持っている方もいらっしゃるようです。サク癖は、Cribbingまたはグイッポと呼ばれ、前歯で固定された物体を咥えて、それを支点にして頭頸を屈曲させながら空気を飲み込む動作を指します。サク癖する馬の割合は、2~10%になるとも言われています。馬のサク癖は、単なる「クセ」ではなく、人間で言うところの強迫性障害(Obsessive-compulsive dis...
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放牧は腱や靭帯を強くする?
馬の飼養管理 - 2022/08/25馬の腱靭帯疾患について馬の下肢における腱靭帯疾患は、跛行の原因として重要であり、休養理由の13~18%、引退原因の33%を占めるという調査結果もあります。しかし、馬を放牧させる時間を増やすというシンプルな飼養管理の工夫によって、このような腱靭帯の病気を減らせるという研究結果が示されています。参考資料:Alexandra Beckstett, The Horse Managing Editor. Turnout Time Can Reduce Horses’ Risk of Soft Tissue Injury...
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乾草を先に与えて疝痛予防
馬の飼養管理 - 2022/08/22ホースマンの中には、自馬が頻繁に疝痛を起こすことにお悩みの方もいらっしゃるようです。馬の疝痛とは、消化器疾患によって疼痛反応を示している状態を指す用語で(症状名であり診断名ではない)、現在でも、馬の死亡原因の第一位は疝痛だとも言われます。軽度疝痛を繰り返す馬においては、胃潰瘍や寄生虫感染など、潜在的要因を持つケースもありますが、消化管の蠕動機能の低下が起きていて(加齢、疲労、季節性、子馬のときの寄...
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馬の鎮痛剤は毎日飲ませても安全?
馬の飼養管理 - 2022/08/19ホースマンのなかには、馬に鎮痛剤を毎日飲ませ続けても大丈夫なのか?という疑問をお持ちの方もいらっしゃるようです。一般的に、馬の健康問題の八割は運動器疾患であり、そのうち、関節炎が占める割合が最も多いと言われています(飛節内腫、ナビキュラー病、リングボーン、膝関節炎、球節炎など)。このため、15歳以上の乗馬の競技馬において、慢性的な関節痛による跛行やプアパフォーマンスを呈する個体も多く、そのような関節...
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馬を夜間だけ放牧させるメリット
馬の飼養管理 - 2022/08/18馬の夜間だけ放牧させることの利点について紹介されています。一般的に、厩舎飼いされている馬であっても、一定の時間を放牧場で過ごすことで、馬房で退屈する時間が減らせるため、気性や性格が温和になったり、サク癖や熊癖などの悪癖を予防できるというメリットがあります。また、牧草地に放すことが可能であれば、新鮮な青草を摂取させることが可能となって、ミネラルや電解質の不足を補って健康状態の向上につながるだけでなく...
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乗馬のDDSPはクスリで治せる
馬の飼養管理 - 2022/08/17乗馬のDDSPについてDDSPとは、軟口蓋背方変位(Dorsal displacement of soft palate: DDSP)の略称で、特に、競走馬などの襲歩運動をする馬において問題となる上部気道疾患です。この病気では、本来は軟口蓋の上に乗っかっている喉頭蓋が、その下方に落ち込んでしまい、軟口蓋が気管の入り口を部分的に閉塞するため、呼吸器雑音や発咳、運動不耐性(プアパフォーマンス)を起こしてしまいます。このDDSPと、下部気道炎症とのあいだ...
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馬の飼養管理における7つの誤解
馬の飼養管理 - 2022/08/16馬の飼養管理について、昔からホースマンのあいだで言われている通説がありますが、その中には勘違いや誤解も含まれているようです。今回は、そのような誤解を7つ紹介します。参考資料:Janicki KM. 7 Equine Nutrition Myths Busted. The Horse, Topics: Jan3, 2022.誤解1:馬は本能的に足りない栄養素を知っている馬が土や砂、コンクリの壁などを舐めていると、馬自身が体に不足している栄養素を感じていて、本能的にそれを補...
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馬の救急箱に準備するものリスト
馬の飼養管理 - 2022/08/14馬の救急箱について牧場や乗馬クラブでは、急な馬の怪我や病気に備えて、救急箱に色々な物品が準備されていると思います。ここでは、そのような救急箱に準備しておく物のリストの一例を紹介します。基本的に、海外の馬関連情報源を参照していますが(下記リンク)、日本において獣医師の処方が必要となる物品や薬品は別記又は省略しています。また、あくまで一つの例ですので、個々の牧場やクラブでの病気の発生状況を見て、必要な...
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高齢馬の飼養管理の基礎
馬の飼養管理 - 2022/08/14自馬が高齢になりつつあるホースマンの中には、飼料に関する疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。近年の栄養学や獣医学、飼養管理に関する知見の蓄積によって、馬は高齢になっても活躍できる時代になってきました。しかし、栄養学の発展で分かってきたのは、高齢馬には特有のエサが必要という事だけでなく、給餌内容を変更するタイミングには個体差が大きいということです。つまり、高齢馬用のエサに変更する時期は、年...
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馬の繋皹での常在菌の役割
馬の飼養管理 - 2022/08/13馬の繋皹がなかなか治らず苦労しているというホースマンの声を頂きました。繋皹は、馬の繋部の後面に起こる多因子性皮膚炎で、正角化過角化症(Orthokeratotic hyperkeratosis)の病態を取ることが知られています[1]。罹患部位は、肉芽腫性から葡萄状の病変となり、抗生物質や医療用シャンプーによる治療が行なわれますが、病変が難治性であったり、再発しやすいなど、飼養管理者を悩ませる病気です。ここでは、馬の繋皹における皮...
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熱射病の予防には競技前のクールダウン
馬の飼養管理 - 2022/08/12馬の熱射病を予防する方策として、競技前のクールダウンが推奨されています。熱射病とは、暑熱や運動による体温上昇に、発汗による脱水が重なって、体温調節がうまく出来なくなり、深刻な健康障害をきたす病気を指します。馬においては、特に、総合馬術の野外走行競技においては、熱射病になる危険性が高いことが知られています。このため、この競技の開始前に馬体をクールダウンさせることで、熱射病の予防を図るという手法が提唱...
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馬の感電死:5つの予防対策
馬の飼養管理 - 2022/08/10馬の感電死について馬はヒト以上に「感電死」(Electrocution)に気をつけた方が良いと言われています。十年程前の晩冬の或る日、英国のニューベリー競馬場で一つの事件が起きました。この日に出走予定だった2頭の競走馬が、レース前のパドックで曳かれていた時、急に地面に崩れ落ちて突然死しました。2頭の馬がほぼ同時に亡くなった事から、心臓麻痺や中毒とは考えられず、現場検証の結果、付近の電気回線から漏電が発生してお...
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馬の気性を落ち着かせるサプリ(2022年版)
馬の飼養管理 - 2022/08/10馬の気性を落ち着かせるサプリメントに関して疑問を持たれているホースマンも多いのかもしれません。ここでは、そのようなサプリメントを比較して紹介します。馬の気性を落ち着かせ、性格を温和にする成分としては、マグネシウム、L-トリプトファン、ビタミンB1の3つが重要だと言われています。マグネシウムは神経伝達物質であるため、不足すると馬の性格が神経質で短気になると言われており、飼料中の含有量が低い場合も多いこと...
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馬の息労:厩舎ダストを減らす7つの対策
馬の飼養管理 - 2022/08/08馬の息労について馬の息労は、回帰性気道閉塞(Recurrent airway obstruction)とも呼ばれ、カビや粉塵などのアレルゲンを吸い込むことで、気管支のアレルギー反応を起こして、頻呼吸や発咳を生じる病気です。一般的に、厩舎ダストに過敏体質な高齢馬に発症しますが、類似病態としては、若い馬に起こる炎症性気道疾患(Inflammatory airway disease)や、屋外のアレルゲンに起因する夏季牧草関連性閉塞性肺疾患(Summer pasture-as...