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タグ:骨折 のエントリー一覧

  • 馬の負重性蹄葉炎における炎症反応

    話題 - 2024/04/13

    馬が重度疼痛を呈する運動器疾患を起こした時には(骨折、滑膜感染、蹄底膿瘍など)、対側肢に持続的な体重負荷を生じて、負重性蹄葉炎(Support limb laminitis)を続発することが知られています。この際には、蹄機作用の減退や、蹄上皮組織での物理的牽引に起因して、蹄葉組織の虚血を引き起こすことが主要な病因であると仮説されています[1,2]。そこで、下記の研究では、負重性蹄葉炎の病態を解明するため、13頭の健常な実験を...

  • 馬の管骨外顆骨折での螺子配列の影響

    話題 - 2024/03/27

    馬における管骨の外顆骨折(Lateral condylar fracture)は、競走馬の運動器に起こる重篤損傷の約三割を占めており、螺子固定術によって骨片安定化が達成されない場合には、球節の変性関節疾患を続発して予後不良になることが知られています[1,2]。ここでは、管骨外顆骨折に対するラグスクリュー固定術(Lag-screw fixation)での、螺子配列の影響について評価した知見を紹介します。下記の研究では、18本の馬の屠体肢に管骨の外顆...

  • 関節鏡による馬の頚椎の骨片摘出

    話題 - 2024/03/12

    一般的に、関節鏡手術(Arthroscopic surgery)は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、馬の頚椎の関節突起間関節(Cervical articular process joint)での関節鏡治療を評価した知見を紹介します。この研究では、ドイツのベルリン大学の獣医病院において、頚椎関節突起間関節の骨片形成の治療のために関節鏡が実施された...

  • 馬の長期的なキャスト装着における合併症

    話題 - 2024/01/30

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、長期的なキャスト装着によって、馬の運動器に生じる生理学的影響について評価した知見を紹介します。下記の論文は、米国のコロラド州立大学の馬整形外科研究センターでの研究で、八頭の健常馬を用いて、八週間にわたるキャ...

  • 乗用馬の球節炎におけるPET検査

    話題 - 2023/11/27

    近年、ヒトや小動物の医療では、PET検査(陽電子放射断層撮影)による諸疾患の早期診断が行なわれています。PET検査は、放射能を含む薬剤を投与して、その薬剤が取り込まれた箇所を、CTやMRIなどで描出する検査手法です。当初は、癌細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用して、18F-フルオロデオキシグルコース(放射能を出すブドウ糖)を投与することで、悪性腫瘍を早期診断するのに用いられてきました。一方で、運動器のPET検査...

  • 立位で整復された骨折馬の競走成績

    話題 - 2023/11/18

    一般的に、競走馬に起こる骨折の中でも、基節骨の矢状骨折や、管骨の内顆/外顆の縦骨折では、不完全骨折(亀裂骨折)で骨片変位が無ければ、立位での骨折整復(螺子固定術)が可能であることが知られています。この場合、鎮静と局所麻酔での内固定と、キャスト装着による外固定が併用され、麻酔覚醒時の事故リスクが無いという利点があります。そこで、下記の研究では、骨折馬の立位手術での治療効果を検証するため、英国の馬病院...

  • 馬の球節固定術ではテンションバンドは不要?

    話題 - 2023/11/13

    馬に対する球節固定術は、懸垂装置の破損によって球節の掌側支持機能が失われた場合や(繋靭帯や種子骨靭帯の断裂)、球節の重篤な関節疾患などによって疼痛管理が困難な場合(球節の変性関節疾患)に適応されます。このうち、前者では、球節の懸垂装置の機能を回復させる外科的措置(テンションバンドワイヤーの設置)が必要になるのに対して、後者では、その必要性が低いというのが、これまでの術式選択の指針とされてきました。...

  • 乗用馬の肋骨骨折とプアパフォーマンスの関連性

    話題 - 2023/11/01

    乗馬の競技において、期待を裏切るプアパフォーマンス(突然の飛越反抗など)を示した時には、その理由がハッキリとは分からない事も多々あります。一般的に、馬のプアパフォーマンスの要因としては、運動器系、呼吸器系、心脈管系などの疾患が関与していると言われていますが、その他のマイナーな病気が要因となることも考えられます。ここでは、乗用馬のプアパフォーマンスにおいて、肋骨骨折(Rib fracture)の関与を検証した知...

  • 馬の球節の骨片は無跛行でも摘出すべきか?

    話題 - 2023/10/09

    一般的に、馬の球節(中手/中足指節間関節)に生じる骨片は、骨折または骨軟骨症に起因しており、関節鏡による外科的摘出が行なわれます。しかし、跛行や屈曲痛などの臨床症状を伴っていない場合、骨片をそのまま残しておいても良いかどうかは、賛否両論があります。そこで、下記の研究では、球節の骨片による弊害を検証するため、ドイツの二箇所の馬病院において、球節の骨片摘出のために実施された823箇所(640頭)の関節鏡手術...

  • 馬の骨折整復におけるインターロッキングスレッド螺子の効能

    話題 - 2023/07/01

    近年、ヒト医療の整形外科分野では、インターロッキング・スレッド・スクリュー(ITS: Interlocking thread screw)というインプラントが開発されて、従来の螺子に比較して、強度の高い骨折の内固定が実施できることが示されています。ここでは、馬の骨に対するITS螺子の作用を評価した知見を紹介します。参考文献:Pye JL, Garcia TC, Kapatkin AS, Samol MA, Stover S. Biomechanical comparison of compact versus standard flu...

  • 馬のキャスト褥瘡のサーモグラフィ検査

    話題 - 2023/01/02

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、馬の四肢への半肢/全肢キャストによる合併症の発生状況、および、サーモグラフィ検査の有用性を調査した知見を紹介します。この研究では、ベルギーのゲント大学の大動物病院において、2005~2007年にかけて、キャスト固定...

  • 馬のキャスト固定での蹄葉炎

    話題 - 2023/01/02

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、馬の四肢に用いられる半肢/全肢キャストおよびピンキャストにおける、負重性蹄葉炎の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のコロラド州立大学の馬病院において、2000~2009年にかけて、半肢ギプス、全...

  • 馬のキャスト固定での合併症

    話題 - 2023/01/01

    馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。ここでは、馬の四肢に用いられる半肢または全肢キャストにおける、合併症の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、米国の四箇所の獣医大学病院において、1996~2007年にかけて、半肢/全肢キャストで治療された398頭の症...

  • 蹄骨の裏側の骨片での関節鏡

    話題 - 2022/12/27

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、蹄骨の裏側(掌側または底側)に骨軟骨片を発生した四頭の跛行馬に対して、関節鏡手術を実施した知見を紹介します。参考文献:Lloyd KA, Smith MR, Whitton RC, Stent AW, Steel CM. Osteochondral fragmentation of the palmarolateral/plantarolateral aspect of the d...

  • 馬の脛骨の顆間隆起骨折での関節鏡

    話題 - 2022/12/26

    関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。ここでは、馬の脛骨の顆間隆起骨折での関節鏡治療を評価した知見を紹介します。この研究では、米英の九ヶ所の馬病院において、2004~2016年にかけて、脛骨の顆間隆起骨折の治療のために関節鏡が実施された21頭の跛行馬における医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Rub...

  • 馬でのHA塗装ピンキャスト固定法

    話題 - 2022/12/10

    ピンキャスト(Transfixation pin cast)とは、馬の骨折の治療法の一つで、長骨を貫通させたピンを、キャスト壁内に埋め込むことで、骨折部への荷重を迂回させて治癒を促すという外固定法になります。ここでは、骨増勢を促進するハイドロキシアパタイト(HA)で塗装したピンを用いて、14頭の馬へのピンキャスト固定を実施した知見を紹介します。参考文献:Lescun TB, Baird DK, Oliver LJ, Adams SB, Hawkins JF, Moore GE. Compar...

  • ピンキャストでの馬の管骨骨折の治療

    話題 - 2022/12/10

    ピンキャスト(Transfixation pin cast)とは、馬の骨折の治療法の一つで、橈骨または管骨を貫通させたピンを、全肢または半肢キャストに埋め込むことで、骨折部への荷重を迂回させて治癒を促すという外固定法になります。ここでは、米国のパデュー大学の大動物病院にて、管骨又は指骨骨折を呈した37頭の馬に対して、ピンキャスト治療を実施した症例報告を紹介します。参考文献:Lescun TB, McClure SR, Ward MP, Downs C, Wilson ...

  • ピンキャストでの馬の指骨粉砕骨折の治療

    話題 - 2022/12/09

    ピンキャスト(Transfixation pin cast)とは、馬の骨折の治療法の一つで、管骨を貫通させたピンを、半肢キャストに埋め込むことで、骨折部への荷重を迂回させて治癒を促すという外固定法になります。ここでは、コロラド州立大学の大動物病院にて、指骨の粉砕骨折を呈した20頭の馬に対して、ピンキャスト治療を実施した症例報告を紹介します。参考文献:Joyce J, Baxter GM, Sarrafian TL, Stashak TS, Trotter G, Frisbie D. Use ...

  • 馬の関節鏡での骨片サイズの影響

    話題 - 2022/12/06

    馬の関節鏡は、様々な関節疾患の治療に適応されており、侵襲性が低いという利点がありますが、合併症がゼロという訳ではないことには注意する必要があります。ここでは、馬の関節鏡での術後合併症と骨片サイズについて調査した知見を紹介します。この研究では、カナダのゲルフ大学の獣医病院において、2011~2020年にかけて、飛節(脛骨足根関節)の関節鏡手術が行なわれた329頭の馬(485箇所の関節)における、医療記録の回顧的解...

  • 馬の関節鏡での抗生物質

    話題 - 2022/12/05

    馬の関節鏡は、様々な関節疾患の治療に適応されており、侵襲性が低いという利点がありますが、合併症がゼロという訳ではないことには注意する必要があります。ここでは、馬の関節鏡での術後合併症について調査した知見を紹介します。この研究では、スウェーデンの馬病院において、2008~2010年にかけて、444頭の馬に実施された636箇所の関節鏡手術における、医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Borg H, Carmalt JL. ...

  • 馬の“横風”跛行での鑑別診断

    話題 - 2022/12/03

    馬の“横風”跛行(Sidewinder gait)とは、常歩において前肢と後肢の動きが連携せず、片方の後肢を外方に投げ出しながら、その反対側に後躯を大きく傾けながら歩く歩様を指しています。ここでは、横風跛行の診療が行なわれた24頭の馬における、鑑別診断、治療、予後について調査した知見を紹介します。参考文献:Aleman M, Berryhill E, Woolard K, Easton-Jones CA, Kozikowski-Nicholas T, Dyson S, Kilcoyne I. Sidewinder gait ...

  • 馬の軟骨下骨損傷のバイオマーカー

    話題 - 2022/12/01

    近年、血液検査によって馬の関節疾患を診断しようとする試みが続けられてきましたが、この際には、関節軟骨のバイオマーカーに主眼が置かれてきました。ここでは、軟骨下骨のバイオマーカーによって、関節炎の病態タイプを把握するという知見を紹介します。この研究では、10頭の競走馬の調教期間を通したサンプル、69頭の関節炎の罹患馬でのサンプル、および、9頭の小片骨折の発症馬のサンプルでの、BGN(Neo-epitope for native b...

  • 馬の球節骨片でのエコー検査

    話題 - 2022/11/19

    近年、馬の小片骨折の診断において、X線では見逃してしまう骨片でも、エコー検査で発見できることが分かってきました。ここでは、競走馬に好発する球節の小片骨折での、エコー検査の診断能を評価した知見を紹介します。この研究では、米国フロリダ州の馬病院において、2016~2020年にかけて、前肢基節骨の近位背側部に小片骨折を発症して、関節鏡による確定診断と治療が実施された56頭(99箇所の病変)のサラブレッド競走馬におけ...

  • 馬の球節固定術

    診療 - 2022/10/17

    馬の球節(中手指骨間関節または中足指骨間関節)の固定術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬に対する球節固定術は、懸垂装置の破損によって球節の掌側支持機能が失われた場合や、球節の重篤な関節疾患などによって疼痛管理が困難な場合に適応されます。このうち、前者では懸垂装置の機能を回復させる外科的措置(テンションバンドワイヤーの設置)が必要にな...

  • 馬の冠関節固定術

    診療 - 2022/10/17

    馬の中節骨の粉砕骨折に対する冠関節固定術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬の中節骨の骨折では、粉砕骨折の病態が最も多いことが知られており、冠関節への捻転負荷、浅屈腱による過張力、冠関節の過伸展によって発症すると言われています。中節骨は上下に短く、腱や靭帯による緊張が掛かる骨であるため、骨折によって圧潰され、冠関節の脱臼を起こし易いこ...

  • 馬の基節骨骨折の螺子固定術

    診療 - 2022/10/16

    馬の基節骨の縦骨折に対する螺子固定術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬の基節骨の骨折は、到着時の衝撃や荷重中の捻転負荷によって発症して、縦骨折、背側骨折、遠位関節骨折、掌側隆起骨折、骨端骨折、斜位骨幹骨折、背側裂離骨折などに分類されます。このうち、矢状部の完全縦骨折は、最も頻繁に発症する骨折タイプの一つで、単一関節性骨折、変位性骨折...

  • 競走馬の故障と落馬との関連性

    話題 - 2022/10/13

    一般的に、競走馬がレース中に重篤な故障を発生した場合、乗っている騎手にも危険が及ぶと推測されます。ここでは、競走馬の致死的故障(安楽殺となるような重度骨折や心臓疾患による突然死など)の発生が、騎手の落馬や怪我にどの程度影響しているのかを調査した研究を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア州の競馬場において、2007~2012年に起こった競走馬の致死的故障、および、騎手の落馬や怪我のデータが収集され...

  • 馬の骨折と蹴傷の関連性

    馬の飼養管理 - 2022/10/13

    馬の骨折が発症する原因は、馬の用途によって多様ですが、全般的な馬の骨折の発症要因を解明しようとする試みも成されています。下記の研究では、スイスの二箇所の獣医大学病院において、1990~2014年にかけて、骨折の診断や治療のために来院した1,144頭の馬における、医療記録の解析が行なわれました。参考文献:Donati B, Furst AE, Hassig M, Jackson MA. Epidemiology of fractures: The role of kick injuries in equine frac...

  • 競走馬の関節注射と骨折の関連性

    話題 - 2022/10/12

    馬の健康問題の八割は運動器疾患であり、そのうち最も多いのは関節疾患であることが知られています。そのような関節疾患の内科的治療としては、抗炎症剤やヒアルロン酸の関節注射が実施されることがありますが、疼痛を緩和するメリットに併せて、一次病態を悪化させたり、軟骨変性を進行させるなどのデメリットも指摘されています。ここでは、競走馬の関節注射と骨折との関連性について調査した知見を紹介します。この研究では、英...

  • 馬の大腿骨骨折のエコー検査

    話題 - 2022/10/04

    大腿骨骨折は、馬の長骨骨折のうち16.5%を占めることが知られており、大型機器を使用しなければX線画像での確定診断が難しいことが知られています(特に近位部の骨折において)。ここでは、エコー検査を用いた馬の大腿骨骨折の診断についての知見を紹介します。参考文献:Jones SA, Whitcomb MB, Vaughan B, Goorchenko G, Busch R, Kilcoyne I, Spriet M. Ultrasonographic diagnosis of femoral fractures in large animals. J A...

  • 馬における破骨細胞抑制剤の安全性

    話題 - 2022/09/30

    近年、馬に対して頻繁に用いられるようになってきた薬剤として、破骨細胞の抑制剤であるビスホスホネート(Bisphosphonates)があります。ここでは、このビスホスホネートの安全性に関する知見を紹介します。参考文献:Vergara-Hernandez FB, Nielsen BD, Colbath AC. Is the Use of Bisphosphonates Putting Horses at Risk? An Osteoclast Perspective. Animals (Basel). 2022 Jul 3;12(13):1722.破骨細胞とは、単球系の前駆細胞...

  • 馬の寝起きを制限する飼養法

    馬の飼養管理 - 2022/09/19

    馬の寝起きを制限することのメリット馬は他の家畜と異なり、起立装置という解剖学的な特異性があるため、長期間に渡って駐立したまま生活できるという動物学的な特徴があります。このため、馬が馬房内で寝起きするのを制限して、駐立させたまま繋留する管理方法が実施可能となり、幾つかのメリットがあります。馬の年齢や体力にもよりますが、通常、一ヶ月程度であれば、馬は寝起きせずに生活することが出来ます。馬の寝起き制限が...

  • 馬の麻酔覚醒の手法

    診療 - 2022/09/14

    馬の麻酔覚醒の手法について総括です。あくまで概要解説ですので、詳細は成書や論文をご確認ください。馬は、獣医師が取り扱う家畜のなかでも、麻酔を掛けるのが最も難しい動物であることが知られており、その大きな要因の一つが、麻酔覚醒の難しさにあります。過去の知見を見ると、馬の全身麻酔では、覚醒時の事故率が1~2%に上ると言われており、犬のそれより数十倍も高いことが知られております。このため、麻酔下から安全に馬...

  • 馬の関節鏡でも局所麻酔を

    話題 - 2022/09/13

    馬の手根関節の関節鏡手術は、小片骨折片の摘出、および、変性関節疾患のクリーニング手術(軟骨病巣掻把や滑膜切除術)などの目的で実施されることが多く、競走馬の臨床において、最も頻繁に行なわれる手術の一つです。今回は、局所麻酔薬の関節内投与によって、関節鏡手術中の疼痛管理を行なった知見を紹介します。参考文献:Gaesser AM, Varner KM, Douglas HF, Barr CA, Hopster K, Levine DG. The effect of intra-articular ...

  • 競走馬は故障前に歩幅が狭くなる?

    話題 - 2022/09/08

    一般的に、競走馬の故障(運動器疾患)は、突発的に発生するのではなく、骨や腱、関節などへの微細損傷が蓄積することによって発症に至ることが知られています。つまり、強度運動による組織損傷の度合いが、組織修復の度合いを上回ってしまうと、故障を起こし易い肢の状態になると考えられています。このため、そのような微細損傷が蓄積している状態を未然に検知して、故障の前兆として認識することが出来れば、レース前の運動強度...

  • 突然の重度跛行での見分け方

    馬の飼養管理 - 2022/09/02

    馬が突発的に重度の跛行を示したときには、どんな病気が疑われるのでしょうか。馬の健康問題で一番多いのは跛行ですが、通常では、軽度な歩様異常が徐々に悪化したり、人馬転などの事故の後に跛行を呈します。しかし、時には、まったく荷重できないような非常に重篤な跛行(不負重性跛行)が、前兆も無く、急性発現性に見られることがあります。そのような馬では、速やかに原因を突き止めて、適切な処置を施すことが重要になります...

  • 裏にある骨片は腱鞘越しに摘出

    話題 - 2022/08/21

    中間手根骨の掌側部骨折について馬の手根骨の骨折は、その殆どが背側面に生じますが、稀に掌側面にも起こることがあります。このうち、橈側手根骨や第三手根骨の掌側部骨折では、前腕手根関節または中間手根関節の掌側関節包に関節鏡でアプローチすることで、外科的摘出が可能であることが知られています。一方、中間手根骨の掌側部骨折は、関節鏡でアプローチするのが困難であると言われており、保存療法(骨片摘出せず休養させる...

  • 馬を天国に送るという獣医師の責務

    診療 - 2022/08/13

    馬を天国に送るということは、獣医師にとってもホースマンにとっても辛い瞬間です。しかし、正しく安楽殺を実施することで、馬の福祉とウェルフェアに貢献できる一面もあります。昨今の日本でも、馬の安楽殺について関心が持たれる事象もありました。ここでは、馬の安楽殺に関する海外の知見をご紹介いたします。注意事項:本記事は、動物の安楽殺に関する内容を含みます。ご不快に感じられる記述もあるかもしれませんので、ご心配...

  • 馬の下顎骨骨折における手術

    診療 - 2022/08/06

    下顎骨骨折の外科治療法について下顎骨の骨折(Mandible fracture)では、すべての症例が外科的治療を要するわけではありませんが、両側性骨折(Bilateral fracture)または変位性骨折(Displaced fracture)を呈したり、下顎の不安定性(Mandible instability)や咀嚼不全(Malocclusion)等の症状が見られる場合には、外科的整復による骨折部再構築(Fracture reconstruction)が必要であるという提唱がなされています。切歯(In...

  • 馬の骨折における応急処置

    診療 - 2022/08/05

    骨折の応急処置(Fracture first aid)について骨折の発症が疑われた症例においては、外固定(External coaptation)によって体重支持(Body weight support)と骨折安定化(Fracture stabilization)を施し、周囲軟部組織の損傷(Damage in surrounding soft tissue)、血液供給破損(Blood supply disruption)、骨折端の破片化(Fracture end fragmentation)などを予防することが重要です。また、レントゲン検査や馬運車への積...

  • 馬の開放骨折における抗生物質治療

    診療 - 2022/08/05

    開放骨折の治療法について馬の遠位肢は周囲を囲む筋肉が限られている領域が多いため、重篤な骨折症例では皮膚穿孔(Skin penetration)から開放骨折(Open fracture)を起こし、骨折病巣の細菌感染(Bacterial infection)を引きこす事も多いため、内固定法(Internal fixation)などの外科的療法に併行して、感染部位へ高濃度の抗生物質を作用させる治療法が実施されています。抗生物質を含有させたポリメタクリル酸メチル(Antim...

  • 効き目が丸一日も続く局所麻酔薬

    話題 - 2022/07/20

    効き目が24時間も続く局所麻酔薬が、馬の遠位肢に応用されています。通常、局所麻酔薬を馬の神経周囲浸潤麻酔として使った場合、感覚神経の刺激伝導を一時的に遮断して、30分~1時間のあいだ、注射箇所より遠位側の痛覚を取り除くことが出来ます。馬の遠位肢に対しても、跛行検査での診断麻酔として用いられ、疼痛の発生箇所をピンポイントで特定したり、全身麻酔下での骨折手術に併用することで、手術中および麻酔覚醒中の疼痛を...

  • 馬獣医師によるレース前検査

    未分類 - 2015/08/09

    馬獣医師による競走馬のレース前検査の有用性が論議されています。ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission)の馬獣医理事(Equine Medical Director)であるメリー・スコレイ獣医師は、10月16日に開催された「競走馬の福祉と安全に関するサミット」において、レース前獣医検査(Pre-race veterinary examination)の有用性についての講演を行いました。そして、レース前の馬を獣医師が監査(Inspection)して...

  • 競走馬の事故情報の公表

    未分類 - 2015/08/09

    米国のニューヨーク州は、競走馬事故における検索可能なデータベースを公表しました。このオンラインでのデータベースでは、十箇所以上もあるニューヨーク州の競馬場で起こったサラブレッド競走馬の事故を、レース中だけでなく厩舎内での事故まで、全て検索できるようになっています。検索項目は、それぞれの年度ごとに、「全ての事故」および「死亡事故」に分かれており、事故に遭った馬、調教師、騎手の実名だけでなく、事故の起...

  • 義足の馬、モリーの物語

    未分類 - 2015/08/07

    アメリカで一番有名な馬といえば、競走馬でもオリンピック馬でもなく、義足の馬“モリー”ではないかと思います。数年前にアメリカ南部を襲ったハリケーン・カタリーナの災害時に、モリーは右前肢に重症を負いました。しかし幸いにも、緊急搬送されたルイジアナ州立大学獣医学部での集中治療が奏功して、モリーは一命を取り留めることが出来ました。そして、深手を負った右前肢に義足を付けることで、無事に歩行が可能なまでに回復す...

  • まず馬ありき

    未分類 - 2015/08/07

    全米馬臨床医協会(American Association of Equine Practitioners: AAEP)は、2008年のケンタッキーダービーにおけるEight Bellesのような事故を防ぐことを目標として、米国における競走馬の健康を守るためのガイドラインを発表しました。『競走馬の安全と福祉のための獣医学的提言』(Veterinary Recommendations for the Safety and Welfare of the Racehorse)この提言には、以下のような重要事項が含まれています。 (1)レ...

  • 致死的骨折の予防

    話題 - 2015/08/07

    2006年のBarbaroや、2008年のEight Bellesのように、致死的骨折(Catastrophic fracture)によって安楽死(Euthanasia)となる競走馬をいかに減らしていくか、という論議がアメリカでは盛んになっています(The Horse Magazine, June 17 2008, Article #12022)。疫学的研究(Epidemiologic research)の結果によれば、性別、年齢、跛行用治療薬の投与などが潜在的な危険因子(Potential risk factors)として挙げられていますが、...

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Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: アラフィフ
住所: 北関東
職業: 獣医師・獣医学博士
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E-mail: rowdyponies@gmail.com

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