カテゴリ:話題のエントリー一覧
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ハダシは蹄の健康に良い?
話題 - 2015/08/09馬をハダシ(Barefoot)にすることによる蹄形への効能が評価されています。Natalie DeFee Mendik, MA. Study: Barefoot Trimming Shows Positive Effects. The Horse News: January 3rd, 2013. Article #31149.この研究では、七頭の実験馬に対して、以下のような装蹄法が実施されました:(1)蹄鉄なし(Barefooted)、(2)蹄底を平坦にする(Leveled the hoof to the live sole)、(3)蹄踵を低くする(Lowered the heels)...
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馬は親密な乗り手を信頼する
話題 - 2015/08/09馬はやはり、普段から慣れ親しんだ、親密な乗り手を信頼しているようです。今年七月に英国で開催された、馬術科学国際協会(International Society of Equitation Science)の学術集会で発表された研究では、馬が親密な乗り手(Familiar rider)を信頼するのか否かが検討されています。この研究では、普段から一人の乗り手だけが騎乗している私有馬や警察馬、および、普段から複数の乗り手が騎乗している乗馬クラブの所有馬を用い...
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馬獣医師によるレース前検査
話題 - 2015/08/09馬獣医師による競走馬のレース前検査の有用性が論議されています。ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission)の馬獣医理事(Equine Medical Director)であるメリー・スコレイ獣医師は、10月16日に開催された「競走馬の福祉と安全に関するサミット」において、レース前獣医検査(Pre-race veterinary examination)の有用性についての講演を行いました。そして、レース前の馬を獣医師が監査(Inspection)して...
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鞍ズレと跛行の関係
話題 - 2015/08/09馬の鞍ズレ(Saddle slip)と後肢跛行(Hind-limb lameness)の関係が調査されています。英国馬獣医協会の学術集会(British Equine Veterinary Association Congress)における研究報告では、様々な歩様状態にある128頭の馬に、それぞれ二人以上の騎手が乗って、その際の跛行グレードと鞍ズレの度合いが評価されました。その結果、「一貫した鞍ズレ」(Consistent saddle slip)の症状を呈した馬の割合は、後肢跛行の馬では54%に...
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オス馬とメス馬の産み分け?
話題 - 2015/08/09近い将来には、オス馬とメス馬の産み分けが出来るようになるのかもしれません。カナダの獣医繁殖サービスの企業は、“性別分別された種牡馬の精液”(Sex-sorted stallion semen)を提供するための研究を進めており(下記リンクの文献)、このシステムでは、高速流動細胞計測法(High-speed flow cytometry)を用いることで、X染色体を持つ精子とY染色体を持つ精子を、90~95%の精度で分別することが可能になります。つまり、もしオ...
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育成期サラブレッドの胃潰瘍
話題 - 2015/08/09日本の育成期サラブレッドに対するオメプラゾールの効果が報告されています。この研究では、騎乗開始から三ヵ月前後の育成期のサラブレッド(平均21ヶ月齢)のうち、健常な62頭を、オメプラゾール投与郡と、偽薬投与郡に分けて、投与開始から四週間後の胃内視鏡検査によって、胃潰瘍の発症率を比較したところ、オメプラゾール投与郡では4%(1/28頭)に留まったのに対して、偽薬投与郡では39%(12/31頭)に及んでいました。このため...
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冬場の毛刈りは是か非か?
話題 - 2015/08/09冬場の毛刈りと、体温維持の関係について研究報告されています。Wallsten HM, Olsson KA, Dahlborn K. Temperature regulation in horses during exercise and recovery in a cool environment. Acta Vet Scand. 2012 Jul 17; 54(1): 42.この研究では、冬場に毛刈りすることの是非を検討するため、三頭の実験馬を用いて、(1)毛刈りしない状態、(2)毛刈りしないで毛布を着けた状態(運動中には運動用のブランケット、運動後に...
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改良型の飼い桶による疝痛予防
話題 - 2015/08/09改良型の飼い桶を使うことで、疝痛が予防できる可能性が検討されています。Carter MJ, Friend TH, Coverdale J, Garey SM, Adams AL, Terrill CL. A Comparison of Three Conventional Horse Feeders with the Pre-Vent Feeder. Journal of Equine Veterinary Science. 2012; 32: 252-255.この改良型の飼い桶は(Pre-Vent Feeder)、底面に八つのカップ状の窪みが設置されており、それぞれのカップは馬の口唇がピッタリ入るぐらい...
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ヒトと馬の心は同調する?
話題 - 2015/08/09人間と馬の心理的な緊張の度合いが、同調するかどうかが研究されています。古典的に、馬には心理的に同調する能力があり、人間がナーバスな精神状態のときに馬に接すると、馬の方までナーバスになって、調教や競技がうまく運ばないという経験的知見があります。私も、乗馬のインストラクターに、気持ちが苛立っている時には、馬はそれを敏感に察して、馬のほうまで苛立ってしまう、という助言を貰った事を思い出します。今回、カナ...
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衝撃波療法への規定強化の動き
話題 - 2015/08/09衝撃波療法への規定強化の動きについて。国際競馬規定の評議委員協会(Association of Racing Commissioners International Rules Committeee)では、衝撃波療法(ショックウェーブ治療:Shockwave therapy)に対する新しい規定案(Model rule)が審議されました。この問題は、騎手組合(Jockeys’ Guild)から提起されており、その背景には、衝撃波療法を受けた馬が致死的怪我(Breakdown injury)を発症して、人馬転などの大事故...
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競馬施設での人身事故
話題 - 2015/08/09英国の競馬施設での人身事故について調査報告されています。Filby M, Jackson C, Turner M. Only falls and horses: accidents and injuries in racehorse training. Occup Med (Lond). 2012 Jul; 62(5): 343-349.調査対象となったのは、英国における256箇所の競走馬の牧場または調教施設で、このうち一年間の調査機関中(2008年)に、人身事故が起こったのは49%(126/256施設)で、一つの施設当たり平均5.3回の事故が報告されてい...
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レース中の馬の内視鏡検査
話題 - 2015/08/09レース中の馬に対する内視鏡検査(Endoscopy)が試みられています。Priest DT, Cheetham J, Regner AL, Mitchell L, Soderholm LV, Tamzali Y, Ducharme NG. Dynamic respiratory endoscopy of Standardbred racehorses during qualifying races. Equine Vet J. 2012 Sep;44(5):529-34.馬に起こる多くの上部気道疾患(Upper airway disorder)は、安静時には認められず、高速運動時における内視鏡検査によってのみ、異常所見が認め...
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“次の”世代の屈腱炎の治療
話題 - 2015/08/09“次の”世代(NEXT generation)の屈腱炎の治療法が検討されています。Erica Larson. Study Evaluates Injectable Treatment for Tendon Injuries. The Horse News: May 12th, 2012, Article #20014.“ネクスト”(NEXT)と呼ばれる新たな治療法は、『非外科的外因性架橋療法』(Nonsurgical exogenous crosslink therapy)の略で、ジェニピン(Genipin)という植物由来性化学物質(Plant-derived chemical)の投与によって、結合組織...
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競走馬の事故情報の公表
話題 - 2015/08/09米国のニューヨーク州は、競走馬事故における検索可能なデータベースを公表しました。このオンラインでのデータベースでは、十箇所以上もあるニューヨーク州の競馬場で起こったサラブレッド競走馬の事故を、レース中だけでなく厩舎内での事故まで、全て検索できるようになっています。検索項目は、それぞれの年度ごとに、「全ての事故」および「死亡事故」に分かれており、事故に遭った馬、調教師、騎手の実名だけでなく、事故の起...
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米国での馬の屠場の再開問題
話題 - 2015/08/09米国では馬の屠場再開の是非について論議が起きています。コロラド州の動物愛護団体であるフロントレンジ馬救援(Front Range Equine Rescue: FRER)と米国人道協会(Humane Society of the United States: HSUS)は、米国食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)に対して、食肉用の馬の屠殺を止めるよう申し立てを行いました。そして、その理由としては、馬は食用に飼養されているわけではなく、検査対象外の薬品を投...
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人参ストレッチの効果
話題 - 2015/08/08人参ストレッチ(Carrot stretch)による治療効果が報告されています。Stubbs NC, Kaiser LJ, Hauptman J, Clayton HM. Dynamic mobilisation exercises increase cross sectional area of musculus multifidus. Equine Vet J. 2011; 43(5): 522-529.「人参ストレッチ」とは、力学的可動エクササイズ(Dynamic mobilisation exercises)とも呼ばれ、人参などのエサを馬が下方へと首を伸ばしたり、左右に首を曲げた状態で与えること...
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馬に鞭を使うと本当に速く走るのか?
話題 - 2015/08/08競走馬における鞭の使用とレース成績の関係が調査されています。David Evans, Paul McGreevy. An investigation of racing performance and whip use by jockeys in thoroughbred races. PLoS ONE. 2011;6(1): e15622:1-5.この研究では、GPS(Global positioning system)を用いて、オーストラリアにおける幾つかのサラブレッド平地レースの解析が行われ、レース終盤の三区間(ゴール前の200メートル、200~400メートル、400~600...
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馬のサク癖は管理法の改善で減少できる!
話題 - 2015/08/08馬のサク癖の治療法について。サク癖(Crib-biting/wind-sucking)(別名:グイッポ)とは、固定物に前歯を引っ掛けて空気を飲み込む常同行動(Stereotyped behavior)を指し、米国でも4.4%の馬に見られることが知られています(Albright et al. 2009)。古典的には、馬が覚える悪癖だと片付けられてきましたが、近年の研究では、人間の精神医学でいう強迫性障害(obsessive-compulsive disorder)によく似た「心の病気」であるこ...
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世界から見た日本の大動物臨床教育
話題 - 2015/08/08日本の獣医大学における大動物臨床の教育は、まだまだ発展の余地が多いようです。2011年の日本獣医師会雑誌では、帯広畜産大学の先生方によって行われた、ヨーロッパの三つの獣医大学への視察内容が報告されています。ドイツ、スイス、オランダという、遠路の国々まで足を運ばれて、大学病院の視察や現地の獣医師たちとの対話に多くの時間と労力を費やして、貴重な知見をもたらして頂いた先生方には、感謝の気持ちで一杯です。そし...
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ヘルメットをかぶろう
話題 - 2015/08/08馬に乗るときにかぶるヘルメットの重要性が、世界的にも再認識されています。2011年の六月十一日は、「国際的にヘルメットの大切さを認識する日」(International Helmet Awareness Day)に定められ、世界中で様々な会議やシンポジウムが開催されました。そして米国でも、Riders4Helmetsというグループが主催する「ヘルメットの安全性に関するシンポジウム」が、七月末にケンタッキーで催されることになっています。もちろんこれま...
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フロセマイド使用の是非
話題 - 2015/08/08米国の競馬社会では、フロセマイド使用の是非について論議が起きています。国際競馬委員協会(Association of Racing Commissioners International)は2011年の三月、競走馬における出走日の薬物投与(Race-day medications)を五年以内に完全に無くす、という方針を打ち出しました。これを受けて米国では、サラブレッド生産馬主協会(Thoroughbred Owners and Breeders Association)および北米競馬協会(Thoroughbred Racing Ass...
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馬にも広がる再生医療
話題 - 2015/08/08再生医療(Regenerative medicine)の臨床応用は、馬の獣医学分野にも急速に広がっているようです。ケンタッキー州のレキシントンにある大規模な馬の診療施設、「ルッド・アンド・リドル馬病院」(Rood and Riddle Equine Hospital)では、今月、馬主を対象とする再生医療の説明会が開かれました。このなかでは、(1)幹細胞入門(Stem Cell 101)、(2)IRAP、PRP,および幹細胞の抽出(Sorting Out IRAP, PRP and Stem Cells)...
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馬の跛行グレードの改正
話題 - 2015/08/08馬の跛行グレードが改正されました。跛行(Lameness)は、馬の健康問題の八割以上を占めることが知られており、跛行検査(Lameness examination)は馬獣医師の仕事の中でも、最も頻繁かつ重要なものであると言えます。また、三科目競技の獣医検査においても、跛行の有無およびその重篤度の判定は、大切な判断要素に挙げられます。跛行検査の際に使用されるグレード法としては、全米馬臨床医協会(American Association of Equine P...
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AVMA認定獣医大学
話題 - 2015/08/08日本の獣医学教育は世界的レベルなのでしょうか?少なくとも全米獣医協会(AVMA)の答えはノーのようです。AVMAは六十年以上もまえから、海外の獣医大学の認定(Accreditation of foreign veterinary school)を行っています。現在ではオランダ、アイルランド、スコットランド、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどの獣医大学が、その認定を受けていますが、残念ながら、アジア、南米、アフリカでは、まだ一校の獣医大学...
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馬場馬術でのロルクアー問題
話題 - 2015/08/08馬場馬術の世界で論議が起こっているロルクアー問題について。“ロルクアー”(Rollkur)とは、馬場馬術(Dressage riding)において頚部の過剰屈曲(Neck hyperflexion)によって、比較的に強度の収縮運動を実施するトレーニング法を指します。この調教テクニックに関しては、数年前から馬への負担が大きく動物虐待に相当するのではないか?という論議(Controversy)がありました。そして、昨年十月にヨーロッパで開催されたある競...
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馬の購入前検査について
話題 - 2015/08/07ある映画俳優が跛行馬を購入させられた事件が話題になっています。俳優のトム・セレックと言えば『マグナム・ピー・アイ』などの作品に主演し、個人的にはテレビドラマの『フレンズ』でのリチャード役として有名ですが、馬愛好家として乗馬を楽しむ芸能人としても知られています。そのセレック氏が先日購入した愛馬の「ゾロ」が跛行を呈したことから訴訟に発展し、陪審員の審査の結果、販売者が18万ドル以上の損害費を払うという結...
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銃創
話題 - 2015/08/07日本よりも米国の馬獣医のほうが多く目にする疾患としては、EPMや西ナイル熱などがありますが、銃創(Gunshot wound)もその一つではないかと思います。銃社会のアメリカでは、ハンティング期間中に猟銃で誤って銃撃されてしまう馬をはじめ、発砲事件に巻き込まれてしまう警察馬や、イタズラ半分に放牧中の馬を撃つという残酷な事件もあります。特に散弾銃などの銃創では、術中の透視装置(Intra-operative fluoroscopy)やレント...
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義足の馬、モリーの物語
話題 - 2015/08/07アメリカで一番有名な馬といえば、競走馬でもオリンピック馬でもなく、義足の馬“モリー”ではないかと思います。数年前にアメリカ南部を襲ったハリケーン・カタリーナの災害時に、モリーは右前肢に重症を負いました。しかし幸いにも、緊急搬送されたルイジアナ州立大学獣医学部での集中治療が奏功して、モリーは一命を取り留めることが出来ました。そして、深手を負った右前肢に義足を付けることで、無事に歩行が可能なまでに回復す...
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ポロ競技馬に発生した中毒死
話題 - 2015/08/07ビタミン剤に起因すると思われる中毒症によって、21頭もの馬の命が失われるという悲しい事件が起きました。2009年にフロリダ州で開催されたポロ競技のチャンピオンシップにおいて、ベネズエラポロチームの所属馬たちは、競技場に輸送された直後、運動失調、痙攣、発汗、呼吸困難などの重篤な中毒症状を示し、次々と地面に倒れ込みました。駆けつけた十数名の獣医師たちの懸命の治療にも関わらず、馬たちは一頭また一頭と息を引き取...
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まず馬ありき
話題 - 2015/08/07全米馬臨床医協会(American Association of Equine Practitioners: AAEP)は、2008年のケンタッキーダービーにおけるEight Bellesのような事故を防ぐことを目標として、米国における競走馬の健康を守るためのガイドラインを発表しました。『競走馬の安全と福祉のための獣医学的提言』(Veterinary Recommendations for the Safety and Welfare of the Racehorse)この提言には、以下のような重要事項が含まれています。 (1)レ...
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獣医学位の英語表記
話題 - 2015/08/07英語での獣医学位の表記法について。日本国外の雑誌に論文投稿をする際に気付く問題として、日本で取得した獣医学位の表記方法があります。例えば米国での獣医学位は『博士号』扱いですのでDVM(Doctor of Veterinary Medicine)という名称が用いられますが、『学士号』扱いである日本の獣医学位もそれと同様にDVMと表記して良いのでしょうか?日本獣医学会のサイトによれば、日本の獣医学位は「学士」ですので直訳ならばBachelor...
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火事を知らせたミュール
話題 - 2015/08/07アメリカ南部のテネシー州では、火事場から飼主を救ったミュールが話題になっています(The Horse Newsletter, January 6th, 2009, Article #13392)。テネシー州のとある田舎町に住むジョレーンさんは、お父さんから受け継いだミュールの“Lou”を飼っていました。新年の晩に郊外の自宅で眠っていたジョレーンさんは、深夜Louの叫び声で起こされます。間一髪で外に飛び出したジョレーンさんは、自宅が炎に包まれ崩れていくのを見て...
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地球温暖化と蹄葉炎
話題 - 2015/08/07地球温暖化(Global warming)によって蹄葉炎(Laminitis)の発症の危険が高まる可能性があるのでしょうか?(International League for the Protection of Horses in Jurga Report, Horse Health Headlines, April 8, 2008)馬の栄養管理の専門家達によるプレスリリースによれば、気候変化(Climate change)によって四季の気温の変動幅が小さくなり、季節が互いに混合(Season merging)しはじめると、牧草が一年を通じて成長し...
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致死的骨折の予防
話題 - 2015/08/072006年のBarbaroや、2008年のEight Bellesのように、致死的骨折(Catastrophic fracture)によって安楽死(Euthanasia)となる競走馬をいかに減らしていくか、という論議がアメリカでは盛んになっています(The Horse Magazine, June 17 2008, Article #12022)。疫学的研究(Epidemiologic research)の結果によれば、性別、年齢、跛行用治療薬の投与などが潜在的な危険因子(Potential risk factors)として挙げられていますが、...