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カテゴリ:話題のエントリー一覧

  • エソメプラゾールによる馬の胃潰瘍の治療

    話題 - 2023/10/02

    馬は胃潰瘍を起こし易い動物であることが知られており、近年では、プロトンポンプ抑制剤であるオメプラゾールの投与によって、良好な治療および予防効果が示されています。一方、ヒト医療では、エソメプラゾールという、異性体のプロトンポンプ抑制剤が一般的に用いられており、オメプラゾールに比較して、薬物動態でのAUC(血中濃度-時間曲線下面積)が有意に広いことから、胃酸分泌を抑える効能も、エソメプラゾールのほうが優れ...

  • 馬の開腹術の縫合におけるセルフロック結び

    話題 - 2023/09/30

    一般的に、外科手術における連続縫合では、その開始と終了の箇所を、外科結び(Surgeon's knot)を使って留める方法(S-S法)を用いることが多いですが、近年では、セルフロック結び(Self-locking knot)というタイプの糸の結び方が提唱されてきています。そこで、下記の研究では、馬の開腹術における腹壁(白帯)の閉鎖法として、連続縫合をフォワーダー結び(Forwarder knot)で開始して、アバディーン結び(Aberdeen knot)で...

  • 乗馬の後膝跛行での関節鏡の有用性

    話題 - 2023/09/27

    一般的に、乗馬の競技馬における後膝跛行は、散発的に見られる後肢の歩様以上の原因であり、比較的に重度な跛行を呈して、競技能力の低下を招くケースが多いことが知られています。しかし、後膝に発生する疾患のうち、関節軟骨や半月板、十字靭帯、側副靭帯などの損傷では、診断麻酔や画像検査による確定診断が難しい症例も多く、難治性の経過を取ることがあると言われています。下記の研究では、英国のロスデイル馬病院において、...

  • 内視鏡誘導による馬の鼻中隔の切除術

    話題 - 2023/09/25

    一般的に、馬の鼻中隔の疾患は稀ですが、シスト変性、過誤腫、膿瘍、外傷性肥厚、骨折性壊死、長軸性変形、腫瘍、真菌性鼻炎などによって、鼻中隔の肥厚や変形を生じて、通気障害や気道閉塞、呼吸雑音、鼻汁排出、顔面変形等の症状を呈することがあります。そのような症例では、鼻中隔を切除することで症状改善が見られることがあります。そこで、下記の研究では、13頭の鼻中隔疾患の罹患馬に対して、内視鏡誘導を介した鼻中隔の3...

  • 馬の開腹術の縫合での糸とステープルの違い

    話題 - 2023/09/23

    馬は、他の動物と異なり、開腹術の術創における合併症を起こし易いことが知られており、その発生率は四割以上に上ることが報告されています。そこで、下記の研究では、エルサレム大学の獣医病院にて、2012〜2014年にかけて、開腹術が適応された123頭の疝痛馬に対して、ナイロン製の縫合糸(No.0、連続かがり縫合)または金属製のステープル(6.5x4.7mm)を用いた皮膚縫合が実施され、医療記録の解析が行なわれました。参考文献:Ha...

  • 競走馬の脚部繋靭帯炎に対する幹細胞治療

    話題 - 2023/09/18

    一般的に、靭帯は治癒スピードの遅い組織であることが知られており、馬に発症する繋靭帯炎においても、骨折や屈腱炎よりも長期間の休養を要することが多いと言えます。一方、近年の獣医学では、運動器疾患に対する再生医療の臨床応用が進んでおり、間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cells)の局所投与を介して、組織の再生過程を促進する療法が試みられています。そこで、下記の研究では、米国の三箇所の馬病院において、2010〜2019...

  • 馬の円鋸術における立位CTの有用性

    話題 - 2023/09/16

    馬の副鼻腔炎において、抗生剤投与でも蓄膿が治癒しない場合には、立位での円鋸術(Standing sinus trephination)によって副鼻腔の洗浄、病巣掻爬、排液路形成、コンドロイド除去などが行なわれる事もあります。一方、近年では、立位でCT検査する技術も発達してきており、X線では分かりにくい副鼻腔の三次元構造を、CT画像で評価しながら円鋸術を実施することが可能になっています。そこで、下記の研究では、馬の円鋸術における立...

  • 大麻の成分で馬のサク癖を治せる?

    話題 - 2023/09/13

    サク癖は、馬用語で「グイッポ」とも呼ばれ、固定された物体を前歯で咥えて、それを支点にして頭頚部を屈曲させながら空気を飲み込むような動作を指します。古典的には、馬が覚える悪癖だと片付けられてきましたが、近年の研究では、人間の精神医学でいう強迫性障害(Obsessive-compulsive disorder)によく似た「心の病気」であることが分かってきています。ここでは、大麻の成分を投与することで、馬のサク癖の治療を試みた症例...

  • COX-2限定阻害薬によって大腸炎が起こる?

    話題 - 2023/09/11

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • 馬での鼻道壁補強テープによる体温調節

    話題 - 2023/09/09

    一般的に、競走馬に発症する上部気道の閉塞性疾患では、咽喉頭の陰圧が上昇するため、鼻孔が小さかったり鼻道の天井部分の軟部組織が虚弱な個体では、鼻道壁の虚脱を起こしてしまい、通気を妨げるというリスクがあります。このため、近年では、鼻孔の上部の背側部にテープを貼り付けて、鼻道壁を補強することで、通気機能を維持する方法が試みられることもあります。ただ、その効能には、相反する多様なデータがあり、不確定な要素...

  • 馬の腸捻転における乳酸値の有用性

    話題 - 2023/09/06

    馬の疝痛のなかでも、腸捻転などの絞扼性疾患は、迅速な開腹術による外科的整復を要するため、早期診断が重要となります。この際、虚血性病態において乳酸値が上昇することを鑑みて、これを腸捻転の診断指標として活用されることもあります。そこで、下記の研究では、米国のペンシルバニア大学の獣医病院(ニューボルトンセンター)にて、2016~2019年にかけて、入院時に乳酸値測定(血液と腹水)が行なわれた197頭の症例を、腸捻...

  • 乗馬での怪我とヘルメット着用の関連性

    話題 - 2023/09/04

    乗馬スポーツでは、落馬などの事故によるライダーの怪我を防ぐため、ヘルメットの着用は非常に重要であると言えます。このため、乗馬でのライダーの怪我において、ヘルメット着用と怪我の発生率や重篤度の関連性を解明するため、様々な調査が行なわれています。下記の研究では、米国のモンタナ州のある救急病院にて、2011~2020年にかけて、乗馬関連の怪我で搬送された患者の医療記録が解析されました。参考文献:Carter BT, Richa...

  • 馬の皮膚での新しい減張縫合法

    話題 - 2023/09/02

    一般的に、馬は他の動物に比べて、競走や競技などの強運動に用いられるという特性から、皮膚の外傷を起こし易いことが知られています。一方で、馬の皮膚は、体格の割には薄く、強いテンションが掛かると裂けたり、血流が阻害され易いという特徴があります。このため、馬の外傷を外科的に縫合する際に、皮膚が広範に欠損した場合や、もともと皮膚の緊張度が強い箇所においては、糸や皮膚に掛かる緊張を緩和させるための減張縫合法が...

  • 馬のボディコンディション指数と体脂肪率

    話題 - 2023/08/30

    近年では、馬においても、肥満やメタボによる健康障害が多くなっています。しかし、一般的な牧場や乗馬クラブでは、馬の体重計が無いことも多いため、肥満馬の飼養管理を行なう際には、ボディコンディションスコア(BCS)という、九段階に分けられた大まかな数値を目安にするしかない、という課題があります。このため、下記の研究では、ボディコンディション指数(BCI: Body condition index)という指標を算出して(上図参照)、...

  • 馬の直腸背側膿瘍による疝痛

    話題 - 2023/08/28

    一般的に、疝痛症状を起こす馬の消化器疾患のうち、直腸に発症する病気は比較的に稀であることが知られています。ここでは、ドイツのハノーバー大学獣医病院にて、2019〜2021年に診療を受けた、直腸背側膿瘍を呈した六頭の疝痛馬の症例報告を紹介します。参考文献:Weber LA, Verhaar N, Feige K. Colic due to dorsally located perirectal abscesses: A retrospective case series of six horses. Equine Vet Edu. 13 July 2023....

  • 馬の関節炎での唾液バイオマーカー

    話題 - 2023/08/26

    馬の関節炎は、最も発症率の高い運動器疾患の一つであり、再生能に乏しい軟骨に損傷をきたすと予後が芳しくないことから、早期診断と早期治療が重要な疾患であると言えます。このため、馬の体液サンプルの含有成分のなかでも、関節炎の病態と相関している様々なバイオマーカーの検出が試みられています。下記の研究では、軟骨や軟骨下骨が損傷および変性したときに遊離される、ビグリカン代謝産物(BGN262: biglycan-neo-epitope-B...

  • 競走馬のプアパフォーマンスの原因疾患と運動能力指標との関連性

    話題 - 2023/08/21

    競馬のレースにおいて、人気馬が惨敗した時には、その理由がハッキリとは分からない事も多々あります。一般的に、競走馬のプアパフォーマンスの要因としては、運動器系、呼吸器系、心脈管系などの疾患が関与していると言われていますが、それらの複合性については詳細には解明されていません。ここでは、スタンダードブレッドの競走馬におけるプアパフォーマンスについて調査した知見を紹介します。参考文献:Lo Feudo CM, Stucchi...

  • 馬のキャバレティ運動による関節への影響

    話題 - 2023/08/19

    近年、馬の運動器疾患に対するリハビリ療法では、様々な手法が試みられていますが、その一つとして、地面に置いた横木を跨がせるキャバレティ運動も応用されています。ここでは、馬のキャバレティ運動による、関節への影響を評価した知見を紹介します。この研究では、41頭の健常馬を用いて、地上横木や、地面から持ち上げた横木を常歩で通過させて、その際の運動学的歩様解析が実施されました。参考文献:Walker VA, Tranquillle C...

  • 跛行しない飛節の骨棘は競走能力に影響するのか?

    話題 - 2023/08/16

    一般的に、遠位飛節の関節周囲での骨棘形成(Periarticular osteophytes of the distal tarsus)は、飛節内腫(飛節の変性関節疾患[DJD])の特徴的所見だと考えられています。しかし、若齢馬においては、遠位飛節の骨棘の所見は、跛行症状とは相関しないことも知られており[1]、サラブレッドのレポジトリ検査において、無跛行な馬の二割から三割で同所見を認めたという知見もあります[2,3]。ここでは、若齢で無跛行な競走馬におけ...

  • 馬の息労では口蓋病が続発する?

    話題 - 2023/08/14

    近年、馬の呼吸器疾患に関する獣医学領域では、「統合気道疾患(Unified airway disease)」という理論が提唱されています。これは、上部気道と下部気道は、生理学的および機能的に同じユニットを形成しているのだから、上下気道の病気も一緒に発症するものである、という仮説に基づいています。ここでは、下部気道疾患である息労(喘息)と、上部気道疾患である口蓋病の関連性について調査した知見を紹介します。この研究では、ポ...

  • 馬の流産における切胎術の影響

    話題 - 2023/08/12

    馬の流産は、繁殖及び生産の産業において、非常に大きな経済的損失を生み出すと同時に、母馬の健康と福祉にも多大な悪影響を及ぼします。ここでは、胎児が死亡していた場合に適応される切胎術(Fetotomy)における、母馬の生存率に関して調査した知見を紹介します。この研究では、イタリアの二箇所の獣医病院において、1991〜2005年にかけて、流産の治療として切胎術が実施された72頭の牝馬における医療記録の回顧的調査が行なわれ...

  • 馬の腺胃部での胃潰瘍と飼料の関係性

    話題 - 2023/08/09

    一般的に、馬は胃潰瘍を起こしやすい動物であり、その潰瘍病変は、扁平上皮に覆われた無腺胃の箇所(噴門側)に好発することが知られています。一方、近年では、幽門側の腺胃部に起こる胃潰瘍も、半数近い競走馬や乗馬競技馬に発症することが判明しており、プアパフォーマンスや疝痛症状に関連することが分かってきています。ここでは、競走馬の腺胃部での胃潰瘍と、飼料の関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、フラン...

  • 高齢馬での眼科疾患の発症傾向

    話題 - 2023/08/07

    近年、馬の寿命が延びて、高齢馬の飼養頭数が増えるに連れて、高齢期における病気の治療や健康管理が重要になってきています。ここでは、高齢馬の眼科疾患の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のエジンバーグ大学において、15〜33歳の高齢馬50頭に対する眼科検査が実施され、検査結果の解析が行なわれました。参考文献:Chalder R, Housby-Skeggs N, Clark C, Pollard D, Hartley C, Blacklock B. Ocular fin...

  • 馬の難産手術での予後に関する危険因子

    話題 - 2023/08/05

    馬の流産は、繁殖及び生産の産業において、非常に大きな経済的損失を生み出すと同時に、母馬の健康と福祉にも多大な悪影響を及ぼします。ここでは、難産の外科的手術における、予後に関わる因子を解析した知見を紹介します。参考文献:Rioja E, Cernicchiaro N, Costa MC, Valverde A. Perioperative risk factors for mortality and length of hospitalization in mares with dystocia undergoing general anesthesia: a retrospe...

  • オメプラゾールの投与中止の方針

    話題 - 2023/07/31

    馬は胃潰瘍を起こし易い動物であることが知られており、近年では、プロトンポンプ抑制剤であるオメプラゾールの投与によって、良好な治療および予防効果が示されています。しかし、オメプラゾール投与を中止することで、胃潰瘍が再発することがあり、この際には、リバウンド胃酸過多症(Rebound gastric hyperacidity)の関与が懸念されています。そこで下記の研究では、14頭のサラブレッドを用いて、平地レースの調教を模した運動...

  • カナダでの馬の流産の発生状況

    話題 - 2023/07/29

    馬の流産は、繁殖及び生産の産業において、非常に大きな経済的損失を生み出すと同時に、母馬の健康と福祉にも多大な悪影響を及ぼします。ここでは、カナダにおける馬の流産の発生要因を調査した知見を紹介します。参考文献:Ricard RM, St-Jean G, Duizer G, Atwal H, Wobeser BK. A 13-year retrospective study of equine abortions in Canada. Can Vet J. 2022 Jul;63(7):715-721. この研究では、カナダの複数の獣医大学病院に...

  • 若齢馬の大腿骨内顆の透過域による長期的な影響

    話題 - 2023/07/24

    若齢馬の病気を診療するときには、成馬になったときのパフォーマンスへの影響も考慮する必要があります。一般的に、馬の大腿骨内顆は、ボーンシストと好発部位として知られていますが、軟骨下透過域(SCLs: Subchondral lucencies)のみを生じた場合の長期的予後については様々な議論があります。そこで、下記の研究では、米国のケンタッキー州とメリーランド州でのサラブレッドのセリにおいて、2016年に競売された2,508頭の当歳馬...

  • 英国での馬の流産の発生状況

    話題 - 2023/07/22

    馬の流産は、繁殖及び生産の産業において、非常に大きな経済的損失を生み出すと同時に、母馬の健康と福祉にも多大な悪影響を及ぼします。ここでは、英国における馬の流産の発生要因を調査した知見を紹介します。参考文献:Smith KC, Blunden AS, Whitwell KE, Dunn KA, Wales AD. A survey of equine abortion, stillbirth and neonatal death in the UK from 1988 to 1997. Equine Vet J. 2003 Jul;35(5):496-501. この研究では、...

  • 馬の経鼻チューブ処置による副鼻腔炎

    話題 - 2023/07/17

    一般的に馬は、嘔吐が殆ど出来ない動物であるため、経鼻チューブで胃へとアクセスすることは、馬の消化器疾患の診察において非常に重要になります。一方で、馬の獣医師は、経鼻チューブ処置を介して起こり得る合併症についても知っておく必要があります。下記の研究では、米国のカリフォルニア大学デービス校の獣医病院で診察した馬のなかで、経鼻チューブに起因して副鼻腔炎を発症した三頭の症例について報告されています。参考文...

  • 麻酔中の馬での抗生物質の動態

    話題 - 2023/07/15

    一般的に、馬は細菌感染に弱い動物であることが知られており、開腹術や骨折の内固定など、侵襲性の高い外科手術においては、抗生物質の全身投与による感染予防が重要となります。ただ、全身麻酔下にある手術中の馬における、抗生物質の体内動態は明らかにされていません。それを評価するため、下記の研究では、六頭の健常馬を用いて、Kペニシリン(22,000IU/kg)とゲンタマイシン(6.6mg/kg)の静脈内投与を行なった後に全身麻酔を...

  • 経鼻チューブの太さと胃液逆流の関係性

    話題 - 2023/07/10

    一般的に、馬は、嘔吐が殆どできない動物であるため、重度な胃拡張を起こすと、胃破裂を続発して予後不良になることが知られています。このため、空腸絞扼や近位小腸炎などの症例では、小腸から胃へと逆流してくる消化液を持続的に排出させるため、経鼻チューブを留置する必要があります。しかし、経鼻チューブが留置されていると、胃液が、噴門→食道→喉頭へと逆流して、それを気管内に誤嚥することで、下部気道炎を起こす危険性が...

  • 敗血症の新生子馬におけるRPR値

    話題 - 2023/07/08

    ヒト医療に小児科があるのと同様に、子馬の病気に対する獣医療では、成馬とは異なる知識と技術が必要になります。ここでは、敗血症を起こした新生子馬における、赤血球体積分布幅(RDW: Red blood cell distribution width)と血小板数の比率(RPR: RDW to platelet ratio)について調査した知見を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア大学デービス校の獣医病院において、2012〜2021年にかけて診察された七日齢以下の新...

  • 馬の経鼻チューブ処置による獣医師の安全性

    話題 - 2023/07/03

    馬は嘔吐が殆どできない動物であり、胃拡張から胃破裂を起こすと助からないため、疝痛の診断においては、経鼻チューブを胃袋まで挿入して、胃内容物を排出することが極めて重要です。しかし、多くの馬の獣医師は、この経鼻チューブを、口に咥えながら操作するため、馬の胃内容に含まれる食渣や病原体が、獣医師の口内に入ってしまう危険性があります。ここでは、経鼻チューブの操作に関連した馬の獣医師の健康への弊害、および、操...

  • 馬の骨折整復におけるインターロッキングスレッド螺子の効能

    話題 - 2023/07/01

    近年、ヒト医療の整形外科分野では、インターロッキング・スレッド・スクリュー(ITS: Interlocking thread screw)というインプラントが開発されて、従来の螺子に比較して、強度の高い骨折の内固定が実施できることが示されています。ここでは、馬の骨に対するITS螺子の作用を評価した知見を紹介します。参考文献:Pye JL, Garcia TC, Kapatkin AS, Samol MA, Stover S. Biomechanical comparison of compact versus standard flu...

  • 馬の開腹術での抗生物質投与の傾向

    話題 - 2023/06/26

    一般的に、馬は細菌感染に弱い動物であることが知られており、疝痛の開腹術においては、術創感染や腹膜炎を抑えるため、術前および術中の抗生物質投与が重要な要素を占めています。ここでは、馬の開腹術での抗生物質投与に関して、米国の内科および外科の専門医資格を持った113名の獣医師に対して、聞き取り調査を行なった知見を紹介します。参考文献:Rockow M, Griffenhagen G, Landolt G, Hendrickson D, Pezzanite L. Current ...

  • 疝痛の獣医療での地域差:ノルウェー

    話題 - 2023/06/24

    馬の疝痛では、各地域で飼養されている馬の品種や年齢、用途、飼養形態などの要因に起因して、発症状況や医療ケアの方針に関して地域差が生まれると考えられます。そして、どの要因が、どのような地域差に繋がるのかを知ることで、海外の知見を日本での馬の獣医療に応用する際に、どのエビデンスを重視するか、または、重視するべきではないのかを推測するのに役立つと言えます。ここでは、北欧のノルウェーにおける、馬の疝痛の獣...

  • 疝痛で獣医を呼ぶときの判断基準

    話題 - 2023/06/17

    馬の消化器疾患(疝痛)は、ホースマンが獣医師に緊急連絡する理由の第一位となっています。そして、疝痛の原因疾患の中には、早期治療が重要なものも多いことから、ホースマンが、馬が疝痛を起こしているかを見分け、その疝痛がどれほど深刻であるかを正しく判断することが重要となってきます。ここでは、ホースマンが疝痛馬に遭遇したときに、どのような状況で獣医師に連絡するかの判断基準を調査した知見を紹介します。この研究...

  • ホースマンが疝痛を判断する指標

    話題 - 2023/06/10

    馬の消化器疾患(疝痛)は、ホースマンが獣医師に緊急連絡する理由の第一位となっています。そして、疝痛の原因疾患の中には、早期治療が重要なものも多いことから、ホースマンが、馬が疝痛を起こしているかを見分け、その疝痛がどれほど深刻であるかを正しく判断することが重要となってきます。ここでは、ホースマンが疝痛症状を判断するときの傾向を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のノッティンガム大学のもので、...

  • 馬の疝痛での電話トリアージ

    話題 - 2023/06/05

    馬の疝痛は、消化器疾患による腹痛症状を指しており、現代でも、馬の死亡率の第一位を占めています。そして、腸捻転や腸変位など、生死に関わる重篤な病態では、緊急の開腹術を要することが一般的です。このため、疝痛馬への対応を判断するときには、正確な診断名を確定することよりも、その疝痛が早急な手術を要するのか、それとも、保存療法を選択してジックリ経過を見て構わないのか、という見分けが重要になってきます。一般的...

  • ニュージーランドの競走馬での突然死の危険因子

    話題 - 2023/05/31

    一般的に、突然死(サドンデス)とは、健康な生活を営んでいた個体が急に死亡する現象を指します。幸いにも、ヒトでも動物でも、極めて稀な事象ではありますが、治療は間に合わないため、如何に未然に防ぐかが鍵となります。このため、馬の突然死においても、その病因の特定、および、発生に寄与する危険因子を解明して、突然死の予防を図ることが重要になってきます。ここでは、ニュージーランドのサラブレッド競走馬における、平...

  • 熱融着を用いた馬の空腸盲腸吻合術

    話題 - 2023/05/29

    一般的に、馬の空腸を盲腸に吻合する治療法は、空腸・回腸・盲腸などが絞扼壊死または機能不全を呈したときに、健常な部位同士を吻合して、空腸または盲腸の異常個所を迂回させる目的で実施されます。この際には、用手縫合または腸管ステープルを用いて、側々で吻合することで、十分に広い開口部を形成する術式が選択されることが多いと言えます(空腸と盲腸では内径が大きく違うため)。ここでは、この空腸盲腸吻合術において、高...

  • 陰圧療法での馬の外傷治療

    話題 - 2023/05/27

    一般的に、馬は細菌感染に弱い動物であることが知られています。このため、重度の外傷を起こした場合、抗生物質の全身投与では感染制御が難しくなり、創傷治癒の遅延や癒合不全を続発したり、広範な蜂窩織炎を併発して、敗血症や蹄葉炎などの合併症を引き起こすこともあります。ここでは、陰圧創傷療法(Negative pressure wound therapy)を適応して、馬の重度外傷の治療を試みた知見を紹介します。この研究では、2016〜2020年に...

  • 馬の脳脊髄液による神経疾患の鑑別

    話題 - 2023/05/20

    一般的に、馬の神経器疾患は、鑑別診断が難しいことが知られています。何故なら、ヒトや犬猫と異なり、脳や脊髄をMRI撮影することが困難であり、また、脊髄造影や頚部屈曲X線なども、全身麻酔を要するというデメリットがあるからです(腰萎症状の馬では麻酔覚醒の事故リスクが大きい)。なお、馬に多く見られる神経器疾患には、原虫性脊髄脳炎(EPM)、頚椎圧迫性脊髄症(CVCM)、変性脊髄脳炎(EDM)などが含まれます(日本にはEP...

  • 馬のタイバック手術での二重ループ法

    話題 - 2023/05/15

    一般的に、競走馬の喉頭片麻痺(反回神経麻痺)に対する外科的治療としては、披裂軟骨を外方へと糸で引っ張ることで、通気に必要な広さの声門域(気道内径)を維持するという喉頭形成術(タイバック手術)が行なわれます。しかし、この手術の成功率は、50〜70%に過ぎないことが報告されており、その理由は多様ではあるものの、設置した糸が緩んでしまうことが一因であると考えられています。このため、馬の喉頭形成術では、糸を2本...

  • 馬の麻酔後肺水腫の危険因子

    話題 - 2023/05/13

    一般的に、馬という動物は、全身麻酔による合併症を起こし易く、獣医師が取り扱う動物種のなかでも、最も麻酔を掛けるのが難しい動物の一つだと言われています。ここでは、そのような合併症の中で、発生率こそ低いものの、致死率が高いと言われている、麻酔後の肺水腫(Post-anesthetic pulmonary edema)に関する知見を紹介します。参考文献:Shnaiderman-Torban A, Steinman A, Ahmad WA, Kushnir Y, Sutton GA, Epstein A, Kelm...

  • 馬肉への残留薬物の懸念(米国)

    話題 - 2023/05/06

    いま、米国では、食用に転用される馬に関して、残留薬物によって馬肉が汚染されてしまうという懸念が深まっています。北米で生産されている馬肉に起こっているこの問題は、日本を始め、馬肉を食する文化のある多くの国では、常に注視しておく必要があると言えそうです。ここでは、米国での馬肉の残留薬物について解説した論文を紹介します。参考文献:Weber K, Kearley ME, Marini AM, Pressman P, Hayes AW. A review of horses s...

  • 馬に対するセフチオフルの使い方

    話題 - 2023/04/29

    セファロスポリン系の抗生物質は、1964年に初めて市販されるようになって以降、ヒト医療と獣医療の両方でポピュラーになってきました。世界的に見ても、その使用は2000~2015年にかけて著しく増加し、発展途上国でのセファロスポリンの使用量が399%も増加したことが知られています。セフチオフルは、第三世代のセフェロスポリンであり、多くのグラム陰性菌および陽性菌に効くことから、全身投与薬として馬の治療にも一般的に使用さ...

  • 馬の仙腸関節の注射での合併症

    話題 - 2023/04/22

    仙腸関節とは、背骨と骨盤を連結しているL字型の関節で、この部位での疼痛は、ハンター飛越や障害飛越などの競技馬に好発します。一般的に、馬の仙腸関節は、画像診断をするのが困難な箇所であるため、関節内への局所麻酔薬の注入(診断麻酔)によって、仙腸関節での疼痛の限局化が試みられる事があります。また、治療薬を局所投与する目的で、関節注射が実施されることもあります。ここでは、馬の仙腸関節注射における合併症に関...

  • 馬の胃潰瘍に対する筋注薬の作用

    話題 - 2023/04/16

    馬は、胃潰瘍を起こし易い動物であることが知られており、その治療や予防のために、胃酸を抑える作用を持つオメプラゾール(プロトンポンプ抑制剤)の投与が行なわれています。通常、オメプラゾールは、毎日の経口投与を要することになりますが、近年の研究では、徐放性に遊離するオメプラゾール製剤が開発され、これを週に一回だけ筋肉内投与することで、経口薬と同等な効能が得られることが分かってきています[1,2]。ここでは、...

  • 舟状骨のX線では蹄尖挙上より後踏肢勢

    話題 - 2023/04/15

    乗用馬に好発するナビキュラー症候群では、舟状骨のX線検査が有用です。特に、蹄の後ろ側から舟状骨を見下ろすように撮影する方法(PPPDO: Palmaroproximal-palmarodistal oblique)では、舟状骨と蹄骨が重なってしまうのを避けられるため、骨髄の硬化症、矢状綾の扁平化、屈腱面の不整などが評価できるという利点があります。ここでは、馬の前肢の舟状骨におけるPPPDO撮影の手法を検討した知見を紹介します。この研究では、馬の屠...

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プロフィール

Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: アラフィフ
住所: 北関東
職業: 獣医師・獣医学博士
叩けよ、さらば開かれん!

質問、御意見、記事の要望等は下記まで
E-mail: rowdyponies@gmail.com

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