カテゴリ:日常のエントリー一覧
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2021年の年始にあたり
日常 - 2021/01/01明けましておめでとうございます。新型コロナウイルス感染症に翻弄された2020年が終わり、新たな年が始まりました。昨年が、未知の恐怖に身動き取れなかった一年だったとすると、今年は、私たちみんなが冷静に状況を見極め、正しい方法で進み始める一年にするべきなのかもしれません。新型コロナが、それほど恐れるべき病気ではないことは、様々なエビデンスから徐々に明らかになってきました。昨年の日本人の死者数(いわゆる超過...
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新型コロナの感染者数は水増しされている?
日常 - 2020/10/10新型コロナウイルスの感染者数は本当に正確なのでしょうか? いま世界中では、新型コロナの検査法としてPCRが実施されています。しかし、このPCR検査には大きな欠点があり、それはサイクル数によって、検査の信頼性が著しく低下してしまうことです。PCRとは、遺伝子と合成酵素を混ぜて、94℃→60℃→72℃と温度変化させることで遺伝子を二倍に増幅させる手法であり、新型コロナの遺伝子1本が、1サイクルで2本に、2サイクルで4本に、3...
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新型コロナの死亡率は水増しされている?
日常 - 2020/10/07新型コロナウイルス感染症の死亡率は本当に正確なのでしょうか?最近、アメリカ疾病予防管理センター(CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、米国での新型コロナの死者数は20万人を越えているものの、その中で、純粋に新型コロナで亡くなった方は6%に過ぎないことを発表しました。たとえば、新型コロナの感染から回復した人でも、その後に他の病気や事故で亡くなった場合には、新型コロナでの死者であると見なさ...
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新型コロナには遺伝子ワクチン
日常 - 2020/09/17新型コロナウイルスのパンデミックは、ワクチン開発技術の歴史的な転換をもたらすのかもしれません。新型コロナの感染拡大が続くなか、ワクチン開発によるパンデミック終息を切望する声も聞かれます。ただ、通常は五年から十年も掛かるワクチン開発が、新型コロナではたった半年程度で実用化されようとしているのはナゼなのでしょうか。それは、いま開発されているワクチンが、従来の鶏卵法で作成される不活化ワクチンではなく、遺...
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新型コロナの第2波は来ない?
日常 - 2020/09/04新型コロナウイルス感染症は、日本では既に収束しているのかもしれません。京都大学の上久保教授らは、日本では新型コロナの第2波は来ないという研究結果を発表しています。その理由としては、日本では昨年11月から今年1月にかけて、弱毒性のコロナウイルス(K型)に対する集団免疫が確立されており(人口の約五割)、これによって今年3月以降に入ってきた武漢型・欧米型の強毒性コロナウイルス(G型)への抵抗性が獲得されている...
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新型コロナが犬や猫に感染?
日常 - 2020/08/17新型コロナウイルスが国内の犬や猫にも感染する可能性が報告されています。国内の某ペット保険会社は、新型コロナに感染した飼い主から預かった犬二匹がPCR陽性を示したと発表しました。二匹とも健康状態には異常なく、他のペットや従業員はすべてPCR陰性だったそうです。また、東京大学医科学研究所は、新型コロナが猫のあいだで感染するという研究結果を発表しました。三匹の猫の鼻腔内に新型コロナを接種したところ、同居猫から...
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新型コロナはどう収束するのか?
日常 - 2020/08/14新型コロナウイルス感染症はどのように収束に向かうのでしょうか?日経ビジネスのコラム(2020年8月7日)によると、過去の伝染病の収束には幾つかのパターンがありますが、完全な根絶を成し遂げたのが「天然痘」です。天然痘はポックスウイルスよって起こり、飛沫感染や接触感染をする点は新型コロナと同じですが、不顕性感染(=無症状感染)というケースが殆どないので、患者を発見・隔離するのが容易であることから、根絶が可能...
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手足口病が減った!新型コロナはナゼ減らない?
日常 - 2020/08/05新型コロナウイルス感染症に対する私たちの対策は、本当に不十分なのでしょうか?日本での新型コロナの感染拡大が報じられるなか、子供の「手足口病」の患者数が、昨年の100分の一だったというニュースが目に留まりました。手足口病とは、エンテロウイルスの感染によって起こり、ヘルパンギーナやプール熱と合わせて、子供の三大夏風邪と呼ばれています。このウイルスは、飛沫感染と接触感染によって伝搬し、マスク着用や手洗い・...
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新型コロナで思い出すBSE問題
日常 - 2020/07/27新型コロナウイルス感染症の正しい恐れかたとは何なのでしょうか。シンクタンク・日本総研の調査部は、現在の日本における新型コロナの感染状況を精査して、感染が再拡大するなか、本当の脅威は何か?という提言をしています。その中でまず、感染が拡大すること自体は大きな脅威ではないと結論づけており、その一番の要因は、新型コロナによる死者数が、日本の例年の年間死者数の0.07%に過ぎないことを挙げています。また、季節性...
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新型コロナの感染状況の比較
日常 - 2020/07/19日本における新型コロナウイルス感染症は、私たちが深刻に悩んでいるよりは軽度なのかもしれません。私自身は米国に友人が多いため、米国の新型コロナの感染状況が気になることも多いのですが、日本よりかなり重篤な状況になっているような気がします。上グラフは、新型コロナの新規感染者の数を、日本と諸外国で比較したもので、曜日による検査件数のバラつきを考慮して、一週間ごとの感染者数を合計した数値を出し、また、各国の...
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新型コロナは無症状者からは感染しない?
日常 - 2020/07/10新型コロナウイルスは、無症状の感染者からは拡大しないのでしょうか?世界保健機関(WHO)の発表によれば、新型コロナの無症状の感染者が、この病気を周囲に拡大させてしまうことは「非常に稀(Very Rare)である」と述べられています。世界保健機関のヴァンケルホーフ博士によれば、新型コロナ感染の接触追跡を実施した各国の知見を解析したところ、PCR検査で新型コロナ感染が確認された人においても、その方が無症状であった場...
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新型コロナの専門家会議
日常 - 2020/06/28新型コロナウイルス感染症の対策において、専門家の在り方が問われているような気がします。新型コロナの専門家会議が廃止されることになったのですが、この背景には、新型コロナに関する専門家の判断に対して、世間の批判が集まっていた事象があるようです。たとえば、某大学の感染症の専門家が、日本における新型コロナの感染拡大を春先の段階で予測した際に、感染者数が80万人以上で、死者数が40万人以上に及ぶという見通しが示...
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新型コロナに立ち向かうある獣医師
日常 - 2020/06/23新型コロナウイルス感染症に立ち向かう獣医師がいらっしゃいます。日本の新型コロナ対策においては、多くの感染症やウイルス学の専門家が関与されていますが、その中に、医学とは違った見地から奮闘されている獣医師がいらっしゃいます。それが、京都大学の宮沢孝幸・准教授で、新型コロナ対策の某専門家会議での発表によると、獣医学における動物のウイルス学の研究では、対象動物を使った感染実験が出来ることから、感染実験の出...
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新型コロナはヒト以外の動物にも感染する?
日常 - 2020/06/13新型コロナウイルスは、ヒト以外の動物にも感染するのでしょうか?全米獣医学協会(AVMA)は、ヒトと動物とのあいだの新型コロナの伝搬について見解を出しており、「簡単には感染しない」という結論のようです。まず、事実関係をまとめると、今年の元旦から六月第一週までの約五ヶ月間で、新型コロナに陽性と判定されたペットは、世界中で20匹以下だったそうです。ヒトの感染者数が700万人以上であることを考えると、これは非常に...
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新型コロナ感染のファクターXとは?
日常 - 2020/06/08新型コロナウイルス感染症による死者数が、日本では極端に少ないという謎が議論されています。六月初めの時点での、新型コロナによる死者数は、日本では1,000人弱であるのに対して、世界最多の米国では10万人を超えており、約100倍の差があります。感染者数を見ても、日本では1万7,000人弱なのに、米国では約200万人で、やはり100倍以上の差となっています。このように、日本における新型コロナの死者数や感染者数が少ない理由とし...
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新型コロナ対策のため日本にもCDCが必要なのか?
日常 - 2020/06/01新型コロナウイルス感染症の対策のために、日本にもCDCが必要なのでしょうか?CDCとは、米国の疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention)のことで、感染症や疫病の対策を主導して、人々の健康を増進することを主目的とする組織です。日本でも、新型コロナの感染拡大に伴って、専門家グループが招集されて、専門的な知見を解析して国家政策を決めるための一助を担っています。しかし、感染症対策のシステ...
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新型コロナの抗体検査について
日常 - 2020/05/24新型コロナウイルス感染の抗体検査はどこまで有用なのでしょうか。新型コロナの感染を防ぐための社会的距離政策が続くなか、パンデミックによる被害と、世界恐慌による被害を、いかにバランス良く制御していくかが課題となっています。そこで、血中の抗体を測定して無症状の感染者の動向を調査することで、最適なタイミングで経済活動を再開できるという期待があります。また、抗体検査によって、新型コロナに対する免疫抵抗を獲得...
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新型コロナ対策として獣医師ができること
日常 - 2020/05/19新型コロナウイルス感染に対して獣医師はどんなふうに貢献していけるのでしょうか。新型コロナは、コウモリからヒトに伝搬した病原体であるとも言われていますが、動物の病気がヒトに移ったという事例はこれが初めてではありません。実は、ヒトの感染症のうち、ヒト以外の動物から伝搬したものは、なんと75%を占めており、これには、HIVやエボラ出血熱、新型インフルエンザ(H1N1亜型ウイルス)なども含まれます。つまり、ヒトと動...
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乗馬クラブでの新型コロナ対策
日常 - 2020/05/14全米馬臨床医協会(American Association of Equine Practitioners: AAEP)では、乗馬クラブにおける新型コロナウイルス感染症の予防対策の指針を示しています(下記リンク参照)。このなかでは、まず乗馬クラブへの立ち入りを必要な人員に限定すること(馬主、厩務員、調教師、装蹄師、獣医師)、乗馬クラブ内では人と人との距離を6フィート(約1.8メートル)以上は取ること、そして、勿論ですが、新型コロナの感染者や濃厚接触...
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馬を往診するときの新型コロナ対策
日常 - 2020/05/11馬を往診するときには、どのような新型コロナウイルスの感染予防をするべきなのでしょうか。全米馬臨床医協会(American Association of Equine Practitioners: AAEP)は、獣医師が馬を往診するために乗馬クラブや牧場を訪れるときに、どのような感染対策を実施するべきかの指針を示しています。まず、往診前に実施できる事としては、畜主から電話で問診を取って、患馬が救急医療を必要とする病態なのかどうかを判断したり、その施...
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獣医療における新型コロナ対策
日常 - 2020/05/08獣医療においてどのような新型コロナ対策を取るべきなのでしょうか。Interim Infection Prevention and Control Guidance for Veterinary Clinics Treating Companion Animals During the COVID-19 Response. Guideline of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) for Pets & Other Animals by Centers for Disease Control and Prevention. (Content source: National Center for Immunization and Respiratory Diseases [NCIRD], D...
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新型コロナの終息は再来年?
日常 - 2020/05/02新型コロナウイルス感染症の終息は、2022年まで掛かるという学説が示されました。Kissler SM, Tedijanto C, Goldstein , Grad YH, Lipsitch M. Projecting the transmission dynamics of SARS-CoV-2 through the postpandemic period. Science. 2020 Apr 14.サイエンス誌に掲載されたこの論文では、再来年の2022年までは、持続的もしくは断続的な社会的距離政策(いわゆるSocial distance policy)が必要になる可能性があると述べ...
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無観客競馬では人気馬が勝つ?
日常 - 2020/04/30無観客での競馬は、馬やファンに影響を与えているようです。新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、経済活動の自粛が続くなか、競馬も無観客で開催される時世になっています。大勢の入場客がいないことで、出走する馬たちにも影響が出てているようです。馬は繊細で臆病な気性であり、五感のうち聴覚に最も頼っている動物です。通常開催の競馬においては、パドックや走行中に馬の耳に入る歓声や怒号によって、馬が興奮したり入...
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新型コロナの全数検査をしない理由
日常 - 2020/04/27新型コロナウイルスの全数検査をしないのは何故なのでしょうか?もしも、日本国民の全員をPCR検査して感染者を隔離してしまえば、それ以上の感染拡大は無くなり、すぐに経済活動を再開できるハズです。それをしないのは、全数検査することの費用対効果が悪すぎて、実施する意義が低いからなのかもしれません。前提として、検査の信頼性を知っておく必要がありますが、現状では、PCR検査の感度は70%で、特異度が99%であると言われて...
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サラブレッドは進化しているのか?
日常 - 2015/08/14競走馬としてのサラブレッドは本当に進化しているのでしょうか? 平地レース等に使役されるサラブレッドは、野生動物では無いため、当然ながら野生環境での淘汰を受けて進化していく事はありません。人間が優れた種牡馬を選別して、その馬の血筋を子孫に受け継がせることで、能力の高い馬を残しているのです。問題なのは、「優れた種牡馬」というものを判断する基準が、勝利数、勝率、競走タイム、獲得賞金などに偏っている事にあ...
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知るは力なり
日常 - 2015/08/13米国の馬主や調教師さん達の獣医学に対する知識量にはいつも驚かされます。研修医をしていた頃、跛行検査のため来院してきたある馬主さんに、「この馬、もしかしたらシリコーシスかもしれないから、調べてくれ!」と言われて、何の病気なのか分からずキョトンとした事を思い出します。“シリコーシス”(Silicosis:珪肺症)とは、石英の粉塵を吸い込むことで起こる肺組織線維化(Pulmonary fibrosis)に併行して、骨脆弱化(Bone fr...
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日本での馬飼養頭数への思い
日常 - 2015/08/13世界の国々における、人口千人当たりの馬の飼養頭数を見ると、米国の31頭を筆頭に、欧州諸国では10~30頭であるのに対して、日本では約0.6頭と、格段に少ないという現実があります。その要因としては、「欧米諸国に比べると、日本は狭くて馬が飼えないし、乗馬はお金持ちの趣味で広まらない」と言われる事が多いですが、日本に馬が少ないのは、本当に国土の狭さや経済的な理由からなのか?という疑問が浮かびました。下表は日本や...
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本間先生の言葉
日常 - 2015/08/13私の大好きな手塚治虫さんの漫画・ブラックジャックの一場面では、患者を助けられなかったブラックジャックを、天国にいる恩師の本間先生が、「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんて、おこがましいとは思わんかね」と慰めるシーンがあります。漫画家だけでなく、医学博士でもあった手塚治虫さんの作品の中には、このメッセージが随所に読み取れ、ブラックジャックの最終回・『人生という名のSL』の中にも、夢の中に現れた...
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馬の疝痛用語
日常 - 2015/08/13研修医をしていた頃、緊急医療の当番では、患馬の初診を済ませた後、担当の先生方に電話連絡しなくてはなりません。あるとき来院馬の疝痛検査を一通り終えて、馬内科の先生に電話を掛けて、患馬の病状について、「おそらく軽度の痙攣疝(Spasmodic colic)もしくは風気疝(Gas colic)なので、予後は良好であると予測される」という旨を伝えたところ、「そんな用語を使わず、キチンと獣医学的な診断名を用いないと駄目だ!」と叱責...
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手洗いの思い出
日常 - 2015/08/13馬の手術のため手洗いをする時には、渡米当時のことが思い出されます。「手洗い」が私を救ってくれたあの日のことを。アメリカの獣医大学病院で研修を始めて、ほんの二ヶ月目だった私は、馬の内科の診療チームに所属していました。ネイティブの英語を聞き取るのがやっとの状態だった私は、自分の意思を伝えるのにも四苦八苦するという毎日でした。そんなある日、ウォブラー症候群で来院してきた馬の外科手術が行われることになりま...
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馬は人類最高の友
日常 - 2015/08/13よく人類最高の友人は「犬」だと言われますが、本当の意味での最高の友は「馬」であると思います。犬は多少雑な扱いをしても、次の瞬間には尻尾を振って寄ってきますが、馬は日々の絶えまぬスキンシップによってのみ信頼関係を構築することができ、ただ一度の乱暴な仕打ちによって一生心を開いてくれないこともあります。だから人間同士の信頼関係や友人関係に通ずるものがあり、本当の意味での人類の「友」と言えるのではないでし...
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賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ
日常 - 2015/08/13文献を読むことの大切さを再認識させてくれた言葉です。『賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ』というのは、ドイツの政治家ビスマルクの言葉で、「愚者は自分の成功や失敗からしか学べないのに対し、賢者は他人の成功や失敗からも学べる」という意味で、多くの先人や同業者の体験に積極的に耳を傾けることの重要性を述べた名言だと思います。獣医学分野においても、豊富な臨床経験を積み重ねることは確かに大切ですが、一人の獣医...
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叩けよ、さらば開かれん!
日常 - 2015/08/13米国のある大動物病院で研修医をしていた頃の話です。救急医療の当番だったある夜、一頭の疝痛馬が来院して来ました。患馬は十歳のダッチブレッド。疝痛は数時間ほどの経過で、紹介獣医師がバナミン注射と経鼻カテーテルで胃除圧を行った後、輸送してきたとのことでした。患馬を連れてきたのは、馬主さんとその娘さんのようでしたが、馬主さんは年配で強面の典型的なアメリカの牧場主といった感じで、南部なまりの英語のため話がう...
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新天地での抱負
日常 - 2013/04/03このたび私は、麻布大学の獣医学科に就職することが決まりました。私は、人間としても獣医師としても、まだまだ未熟な面ばかりであり、今後とも周囲の皆様にお世話になること、ご迷惑をお掛けすること、そして、ご教授を頂くことが数多くあると思いますが、謙虚な気持ちを忘れず、日本の獣医学の発展のため、精一杯取り組んでいこうと決意しています。私はこれまで、米国の地で獣医学診療に携われるチャンスに恵まれた事を嬉しく思...