カテゴリ:馬の飼養管理のエントリー一覧
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馬の後膝をエコー検査する注意点
馬の飼養管理 - 2023/08/23馬の後膝(膝関節)には、関節炎やボーンシストなどの骨の病気だけでなく、膝蓋靭帯、十字靭帯、半月板などの病気も起こります。これらの軟部組織は、X線検査では描出されないため、エコー検査による精査が必要となります。ここでは、馬の後膝をエコー検査するときの注意点を喚起した知見を紹介します。参考資料:Stacey Oke, DVM, MSc. Take Caution Using Contralateral Limbs for Patellar Ligament Exams. AAEP Convention, Ar...
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馬の疝痛:持久戦がもたらす悲劇
馬の飼養管理 - 2023/08/02馬の疝痛に対する開腹術では、早期に手術を決断することが、治療成功率や生存率を高めるのに重要であることが知られています。馬の疝痛治療の第一人者である、フロリダ大学のデイビッド・フリーマン博士は、2022年の全米馬臨床医協会(AAEP)の学会において、疝痛馬に対する「持久戦がもたらす悲劇」(Tragedy of the Waiting Game)について警鐘を鳴らしています。参考資料:Christa Leste-Lassiter, MA. Colic Referral: The Tra...
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立ち腫れする馬への対策
馬の飼養管理 - 2023/07/26ホースマンの中には、肢が腫れることを心配している方も多いのかもしれません。下肢の受動的な液体貯留は(所謂、立ち腫れ)、舎飼いの馬では比較的頻繁に見られますが、幸いにも、健康上の深刻な問題にならない場合も多いと言えます。ここでは、馬の立ち腫れについて総括した知見を紹介します。参考資料:Anna O’Brien, DVM. What to Know About Stocking Up. Horse Illustrated, Article, Horse Care, Horse Health: April 1st, ...
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ブランマッシュの利点と欠点
馬の飼養管理 - 2023/07/19ホースマンの中には、温かいブランマッシュを準備して、愛馬に与えるのを楽しみにしている方もいらっしゃるかもしれません。また、競技会に参加して疲れていたり、体調を崩した馬に対しても、お粥状に調理したブランマッシュが給餌されることもあります。ここでは、ブランマッシュを馬に給餌することの利点と欠点を解説した知見を紹介します。参考資料:Clair Thunes, PhD. Risks Associated With Feeding Horses Traditional Bran...
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馬の退屈さを無くす6つの対策
馬の飼養管理 - 2023/07/12一般的に馬は、退屈になると、好ましくない行動を取ることが多くなります。多くの場合、退屈さにかまけた馬たちは、馬房の壁や水桶、放牧柵、馬着などを咬んで破壊してしまいます。また、サク癖や熊癖、旋回癖などの悪癖を覚えてしまう馬もいます。このような行動への対策としては、退屈さを無くしてあげることが、最も根本的な解決策であると言えます。馬という動物は、自然な生活環境の中では、一日のうちの多くの時間を、牧草を...
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馬の胃潰瘍にはアルファルファ給餌
馬の飼養管理 - 2023/07/05胃潰瘍の罹患馬に対しては、アルファルファを給餌することにメリットがあると言われています。米国のテキサス農工大学の研究によれば、バミューダ乾草が給餌された馬に比べて、アルファルファ乾草が給餌された馬では、胃潰瘍の重篤度スコアが有意に低かったことが分かりました。参考資料:Clair Thunes, PhD. Alfalfa for Ulcer Prevention in Horses: When fed correctly, alfalfa might help prevent gastric ulcer development....
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電磁波馬着で馬の背筋痛を改善
馬の飼養管理 - 2023/06/28近年の研究では、電磁波を出す馬着を用いることで、運動神経制御や脊椎柔軟性を向上させて、馬の背筋痛を緩和できることが示されており、炎症や硬化などの副作用も無いと言われています。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Bio-Electromagnetic Blanket Can Help Horses With Back Pain. The Horse, Article, Back and Spine, Horse Care, Pain Management, Sports Medicine, Tack: Jan 31, 2023. 先端技術を応用したこの馬着...
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馬に給餌するオイルの種類
馬の飼養管理 - 2023/06/21ホースマンの中には、毛艶や肉付きの向上を目的として、飼料へのオイル添加を試みる方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、馬に給餌するオイルについて解説した知見を紹介します。参考資料:Clair Thunes, PhD. Choosing the Right Type of Oil for Your Horse. The Horse, Article, Commentary, Equine Nutrition FAQs, Feeding Fats, Nutrition, Nutrition Basics: May 29th, 2023.一般的に、馬にオイルを給餌することで、...
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高齢馬での便秘疝の予防対策
馬の飼養管理 - 2023/06/14馬の疝痛のなかでも、最も多い原因疾患は便秘疝だと言われており、通常これは、大結腸の食滞を指しています。ここでは、三十歳近い高齢馬に起こった便秘疝に関して、その再発予防のための対策を述べた知見を紹介します。参考資料:Clair Thunes, PhD. Preventing Impaction Colic Recurrence: Our equine nutritionist offers feeding advice to minimize the risk of impaction colic in senior horses. The Horse, Article, Coli...
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馬の外傷にバンテージを巻くべきか?
馬の飼養管理 - 2023/06/12ホースマンにとって、馬が外傷を負ったときに、バンテージを巻くかどうかは迷いどころかもしれません(特にキズが浅い場合には)。ここでは、馬の外傷にバンテージを巻くべきかについて解説した知見を紹介します。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Managing Horse Wounds: To Bandage or Not to Bandage? The Horse, Article, Horse Care, Injuries & Wounds, Lameness, Lower Limb, Wound Management: Mar 23rd, 2023. 参考...
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馬のクッシング病の薬物療法での長期的効能
馬の飼養管理 - 2023/06/07馬のクッシング病は、下垂体中葉機能異常(PPID: Pituitary pars intermedia dysfunction)のことを指しています。近年、ウマの寿命の伸びに比例して、高齢馬のクッシング病も増えており、その薬物療法に関するエビデンスも示されています。ここでは、馬のクッシング病に対する治療薬の効き目を、長期的に評価した知見を紹介します。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Pergolide Study Shows Long-Term Improvement in PPID H...
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健康な肢でも運動後に水冷すべきか?
馬の飼養管理 - 2023/06/02乗用馬の騎乗後には、冷水を掛けたり、氷冷ブーツの装着などで肢を冷やす措置がよく行なわれています。しかし、怪我や故障をした肢を、治療する目的で冷やす以外にも、問題の起きていない健康な肢でも冷やすべきか?というのは自然な疑問だと言えます。ここでは、運動後の水冷が、怪我や故障の予防になるのかを解説した知見を紹介します。参考資料:Matt Leshaw, DVM. Can Cold Therapy Safeguard Sport Horses From Injury? Shoul...
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馬の「ハミ跛行」の原因はアゴの痛み?
馬の飼養管理 - 2023/05/24一般的に、馬の「ハミ跛行」とは、馬が頭絡や鞍などを装着して騎乗運動している時だけ見られる歩様の異常を指しています。このため、口内でのハミ位置の問題や、歯科疾患の存在、鞍の装着の不備、屈頭姿勢を取らせることによる頭頚部の疼痛などが原因となり得ます。参考資料:Alexandra Beckstett, The Horse Managing Editor. Rein-Lameness Associated With TMJ Pain in Horses: Temporomandibular joint inflammation might be ...
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馬の関節炎でのパーグ治療の実施法
馬の飼養管理 - 2023/05/22一般的に、馬の健康問題のうち、約八割を運動器疾患が占めることが知られています。そのうち、最も多いのが関節疾患であり、これには、競走馬における腕節炎や球節炎、乗用馬における飛節内腫やリングボーン、および、若齢馬でのOCDやボーンシストに併発する変性関節疾患(DJD)などが含まれます。ここでは、馬の関節疾患に対する「パーグ治療」について、その概要を解説した知見を紹介します。参考資料:Alexandra Beckstett, The...
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馬場馬に野外騎乗をさせることの利点
馬の飼養管理 - 2023/05/17乗馬の競技馬をトレーニングするときには、特定の専門種目に特化させるという課題が生まれてきます(馬場馬、障害馬、ハンター障害馬、総合馬、ウェスタン競技馬など)。しかし、専門種目に熟練した馬をトレーニングする際に、その種目だけに集中して練習すべきでしょうか?それとも、野外騎乗などの他の運動様式も実施させて、専門種目以外の調教ツールを応用することで、何らかの利益を得ることが出来るのでしょうか?参考資料:...
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血液精製物による馬の関節炎の治療
馬の飼養管理 - 2023/05/08馬の健康問題のうち、約八割を運動器疾患が占めており、そのうち、最も多いのが関節炎であると言われています。これには、競走馬の腕節炎や球節炎、乗用馬の飛節内腫やリングボーン、および、若齢馬のOCDやボーンシストに併発する変性関節疾患(DJD)から、高齢馬の顎関節炎に至るまで、多様な年代の馬において、多くの病態が起こり得ます。ここでは、馬の自己血液から精製される物質を用いた関節炎の治療に関して、その概要を解説...
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乾草を浸して食べる馬
馬の飼養管理 - 2023/05/01ホースマンの中には、愛馬が乾草を食べるときに、水桶に浸してから摂食することに悩んでいる方もいるかもしれません。夏場には、乾草の細片が水桶のなかで腐敗して、ハエが舞ってしまうこともあります。こんな時に、どう対処すれば良いのかを解説した知見を紹介します。参考資料:Clair Thunes, PhD. Why Does My Horse Dunk His Hay? Find out why your horse might benefit from a “dunk bucket.” The Horse, Behavior, Commenta...
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馬着の金具には注意しよう
馬の飼養管理 - 2023/04/30馬着は、気温の変動や害虫、物理的な侵襲などから、愛馬の体を守ってくれますが、それが正しく機能するよう、常に注意を払うことも大切です。ここでは、馬着を小まめにチェックすることの重要性を解説した知見を紹介します。参考資料:Stephanie L. Church, Editorial Director. Be Sure To Check (and Fix) This Common Horse Blanket Issue. Commentary, Farm and Barn, Horse Care, Seasonal Care, Tack, Equipment & Products,...
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調馬索による馬の関節への影響
馬の飼養管理 - 2023/04/24馬の調馬索運動(ロンジング)は、様々な馬術競技のトレーナーや馬主によって行なわれる一般的な運動方法であり、若齢馬を鞍付けする際に使用されたり、競技馬の調教を進めるために使われたりする事があります。しかし、近年の研究では、調馬索でもたらされる効果を考慮することが重要であるという警鐘が鳴らされており、調馬索の実施者は、馬が回転運動するときの生物力学を理解し、関節組織の健康と、馬の競技キャリアを長期的に...
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乗馬に役立つスマホアプリ
馬の飼養管理 - 2023/04/23近年のスマートフォンは、単に携帯電話機としての機能だけでなく、情報端末として私達の生活の多くの場面で役立っています。ここでは、乗馬スポーツに役立つスマホアプリについての記事を紹介します。参考資料:Laura Boynton. Apps for Equestrians. Horse Illustrated, Equestrian Lifestyle, Horse Entertainment, Tack and Equipment, Horse and Rider Equipment, Horse Care, Horse Ownership: Feb7, 2023.アプリ1:Equilab:...
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馬の理学療法での指針と手法
馬の飼養管理 - 2023/04/17馬の健康問題のうち、実に八割を占めているのが運動器疾患であり、その治療のためには、クスリの投与や手術など、様々な内科的および外科的療法が適応されています。一方で、運動器機能の回復や維持を目的として、物理的手段を用いる手法もあり、一般的に「理学療法(Physical Therapy)」と呼ばれています。ここでは、馬の運動器疾患に対する理学療法に関して、その基本的な指針や手法を解説した記事を紹介します。参考資料:Shel...
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高齢馬の春の安全管理6選
馬の飼養管理 - 2023/04/10春の兆しが跳んでいる(Spring has sprung)という季節ですが、高齢馬が健康で幸せな一年を送るためには、春はとても大事なシーズンだと言えます。ここでは、そのような高齢馬における春季の安全管理(Spring Safeguards)に関して、重要な事項6選を解説した記事を紹介します。参考資料:University of Kentucky College of Agriculture, Food, and Environment. Six Simple Spring Safeguards for Senior Horses: Ensure your se...
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馬の跛行を傾斜地で見る
馬の飼養管理 - 2023/04/03跛行(Lameness)は、最も頻繁に起こる馬の健康問題であることが知られています。しかし、馬の歩様をチェックするときには、地面の平坦さを考慮することが大切です。なぜなら、ほんの僅かな傾斜があっただけでも、馬体の動き方や、跛行の見え方が変化してしまうからです。参考資料:Christa Leste-Lassiter, MA. Study: Even Slight Slopes Can Affect Lameness Exams in Horses. The Horse, Topics, Diagnosing Lameness, Injurie...
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疝痛馬を曳き馬するときの注意点
馬の飼養管理 - 2023/03/27一般的に、疝痛とは、消化器の病気によって、馬が腹痛を呈している様子を指します(厳密には症病名ではなく症状名)。もともと、馬という動物は、胃腸の病気に弱いという特徴があり、死因の第一位は疝痛だと言われています。幸いにも、疝痛の約六割は、獣医師の治療を要することなく、ホースマンが正しく対処すれば治癒することが知られており、その際には、曳き馬での常歩運動、マズル装着による絶食などが行なわれます。ホースマ...
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妊娠後期の牝馬での栄養管理
馬の飼養管理 - 2023/03/26春は馬の繁殖シーズンであり、ホースマンや馬の獣医師にとっては、一年で最も忙しい季節だと言えます。しかし、それ以上に大変なのは、出産を控えた母馬であり、子馬を産み落とすという命懸けの作業をサポートするため、適切な栄養管理が大切になってきます。ここでは、分娩間近の妊娠後期における、牝馬の栄養管理について解説した知見を紹介します。なお、以下の内容は、あくまで概要の解説ですので、詳細な栄養管理の手法につい...
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馬の出産についての基礎事項
馬の飼養管理 - 2023/03/20馬の出産シーズンが近づいてきましたが、新生子馬をケアするためのチェックリストは多岐にわたり、出産時やその後に注意すべき点が数多くあります。そして、出産のプロセスにおける正常と異常を理解することは重要であり、新たな生まれてくる子馬に、健康で幸せな人生を始める手助けをするためには必要不可欠であると言えます。ここでは、馬の出産や新生子馬のケアに関して、基礎的な事項をまとめた知見を紹介します。ただ、この内...
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群飼いの馬は寝不足になる?
馬の飼養管理 - 2023/03/12一般的に、馬を群れで飼うことは、動物福祉の面では好ましいと考えられますが、家畜化された馬という動物にとっては、多頭数の馬たちと睡眠のためのスペースを共有することは、睡眠不足という別の問題を生み出すのかもしれません。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Horses Living in Groups Might Not Get Enough Sleep. The Horse, Topics, Behavior, Farm and Barn, Horse Care, Welfare and Industry: Oct30, 2022.スウェ...
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馬着に関する10個の疑問
馬の飼養管理 - 2023/03/06馬に馬着(ブランケット)を着せるときには、どんなタイプの馬着を、いつ着せるべきか?を悩む時がありますが、ここでは、馬着に関するよくある疑問について解説した記事を紹介します。参考資料:Alexandra Beckstett, The Horse Managing Editor. Horse Blanketing FAQs. The Horse, Topics, Warmup & Cool Down, Winter Care: Oct7, 2022.注意:下記の記述は、北米で放牧飼いされている乗用の温血種の成馬に関する馬着管理の指針で...
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馬のクッシング病の経過評価について
馬の飼養管理 - 2023/02/27馬のクッシング病は、正式には下垂体中葉機能異常(PPID: Pituitary pars intermedia dysfunction)のことを指しており、ヒトや犬のクッシング病とは、発症機構が異なることが知られています。そして、近年では、獣医療の進歩に伴いウマの寿命も伸びていることから、高齢馬のクッシング病の診断、および、多毛症や慢性蹄葉炎への対処を要する事例も増えていると言われています。ここでは、馬のクッシング病に対する治療薬の効き目...
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冬でも馬に飲水させる7つの対策
馬の飼養管理 - 2023/02/22冬場に、馬が十分に飲水してくれるか否かは、ホースマンにとっては、大きな心配事の一つなのかもしれません。ここでは、冬でも馬に自発的に飲水させる方策を解説した記事を紹介します。参考資料:Janice L. Holland, PhD. How to Keep Your Horse Hydrated During the Winter. The Horse, Topics, Horse Care, Nutrition: Dec24, 2022.馬が冬の寒さを乗り切るためには、暖かい馬着を着せたり、風雨を避ける小屋を放牧地に整備する...
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母馬の肥満と子馬の出生体重の関係
馬の飼養管理 - 2022/11/14近年、サラブレッドの繁殖分野では、子馬の出生体重が増加傾向にあり、生後の子馬への影響も懸念されています。ここでは、母馬の肥満や内分泌機能と、子馬の出生体重との関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のロスデール馬病院の研究者たちが、2013年の繁殖期に一つの繁殖牧場を対象として、66頭のサラブレッド繁殖牝馬における体重、体格(BCS)、子馬の出生体重、および、内分泌機能の検査を実施しています。...
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老齢馬の行動と放牧飼いの関連性
馬の飼養管理 - 2022/11/03近年では、獣医療の進歩に伴って、馬の寿命も延びてきており、老齢馬の福祉に則した飼養管理法の確立が重要になってきています。ここでは、老齢馬の一日の行動様式を、異なる飼養管理環境で比較した知見を紹介します。この研究では、オーストラリアの五箇所の牧場において、老齢馬(20歳以上)または慢性跛行で休養中の馬を対象として、頭絡に取り付けた自動追跡装置を用いて、厩舎飼い、パドック飼い、放牧飼いにおける行動様式の...
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馬の骨折と蹴傷の関連性
馬の飼養管理 - 2022/10/13馬の骨折が発症する原因は、馬の用途によって多様ですが、全般的な馬の骨折の発症要因を解明しようとする試みも成されています。下記の研究では、スイスの二箇所の獣医大学病院において、1990~2014年にかけて、骨折の診断や治療のために来院した1,144頭の馬における、医療記録の解析が行なわれました。参考文献:Donati B, Furst AE, Hassig M, Jackson MA. Epidemiology of fractures: The role of kick injuries in equine frac...
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馬の肢巻きの圧はどれくらい持続する?
馬の飼養管理 - 2022/10/05馬の四肢に巻かれるバンテージについて、皮膚に対する圧迫力がどれくらい持続するのかを検証した研究を紹介します。参考文献:[1] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Measurement of distal limb sub-bandage pressure over 96 hours in horses. Equine Vet J. 2017 May;49(3):329-333.[2] Canada NC, Beard WL, Guyan ME, White BJ. Effect of bandaging techniques on sub-bandage pressures in the equine distal limb,...
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馬の買い手のための購入前検査
馬の飼養管理 - 2022/10/03ホースマンにとって、馬を購入することは、新たなライフパートナーに出会う楽しみの瞬間であると同時に、その後の飼養管理にコミットしていく意味では、慎重を期さなければいけないタイミングでもあります。このため、その馬の健康状態を適正にチェックするため、獣医師による購入前検査が実施されることが一般的です。ここでは、馬の買い手の立場から見た、購入前検査のポイントについて紹介します。参考資料:Joan Norton, VMD, ...
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ポニーのダイエット方法
馬の飼養管理 - 2022/10/02一般的に、馬の品種のなかでも、ポニーは肥満を起こし易いことで知られており、また、肥満による蹄葉炎や高脂血症などの健康障害を続発しやすいと言われています。ここでは、体格の小さいポニーのダイエット方法に関する知見を紹介します。参考資料:Fat Horse Slim. A practical guide for managing weight loss in horses: Blue Cross.Five Tips To Help A Smaller Pony Lose Weight. ILoveHorses, Horse Care: Oct15, 2016.Jone...
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馬の胃潰瘍サプリは毎日あげても大丈夫?
馬の飼養管理 - 2022/10/01馬は胃潰瘍を起こし易い動物であることが知られており、その要因としては、一日中コンスタントに胃酸が分泌されること、および、胃袋の上半分を占める扁平上皮部がpH変化に弱い構造であること、などが挙げられています。また、レースや長距離輸送など、ストレスの多い馬ほど、胃潰瘍を発症しやすいことも知られています。一般的に、自然な環境で生活している馬では、一日の3/4以上の時間を、青草を食むことに費やすため、唾液や粗...
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厩舎に音楽を流すことの効能
馬の飼養管理 - 2022/09/28馬が飼養されている厩舎では、BGMとしてクラシック音楽を流されている事がありますが、実際に馬に対してどのような効果がもたらされているのか、という研究も実施されています。参考資料:Classical Music Could Help Your Horse De-stress. Horse Illustrated: Nov7, 20116.Why You Should Play Music for Your Horse. I love horses: Aug28, 2020.Barn Beat: What Music Style is Best for Horses? EquiNews: May13, 2013.タイ国...
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馬の鞍傷への対処法
馬の飼養管理 - 2022/09/26鞍(Saddle)は、ヒトが馬に騎乗するときに使用する馬具の一つで、腹帯で馬の背中に固定されることで、騎乗者の体を馬上で安定して支持する場所を提供することに加えて、馬の背中を保護する機能を担っています。もともと馬の骨格は、物を運ぶための進化をしていないため、馬の背中の形状は、ヒトの下半身の形状とは大きく異なります。このため、鞍は人馬の接点をもたらし、騎座での扶助を介したコミュニケーション経路となり、さら...
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安全な馬の筋注方法
馬の飼養管理 - 2022/09/25ホースマンの中には、馬に筋肉注射するときの手法について不安を持っている方もいらっしゃるかもしれません。一般的に、馬に対する薬剤の筋肉内投与は、抗生物質等の投与経路として用いられ、原則として、獣医師に投薬処置を実施してもらうことが推奨されます。しかし、通常の抗生物質は、五日間の連続投与を要することから(場合によっては七日間や十日間投与することもある)、往診料が高騰するのを避けるため、獣医師の指導に則...
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馬の経口投与の方法
馬の飼養管理 - 2022/09/25一般的に、馬に治療薬を投与する場合には、数日間にわたる投薬を要することが多いため、獣医師の往診料の高騰を避けるため、クライアント自身が投与することが多いですが、この際には、筋内投与や静脈内投与に比較して、馬主や飼養管理者が内服薬を経口投与させる方法がより安全になります。例として、フレグモーネや輸送熱に対する抗生物質投与では、通常は、五日間または十日間にわたる投与となるため、注射針の穿刺を要する筋注...
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安全な馬の点眼方法
馬の飼養管理 - 2022/09/24ホースマンの中には、馬の目薬がうまく差せずに苦労されている方もいらっしゃるようです。一般的に、馬の眼病を治療するためのクスリは、筋注ではなく局所的に投与する場合が多いですが、点眼したクスリは、すぐに涙で流れてしまうため、一日に3回以上の点眼を要することが殆どです。このため、眼病の治療に際しては、獣医師が処方した目薬を、馬主や飼養管理者が自ら点眼しなくてはいけない事が多いと言えます。その際、点眼処置...
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馬の5つの自由
馬の飼養管理 - 2022/09/23馬をはじめとする飼育動物たちは、本来の自然界での生活を送ることはできず、制限された環境で飼養されています。このため、私たち人間には、飼育動物が可能な限り快適で、可能な限り苦痛を受けずに暮らしていけるようにする義務と責任があります。そこで、1960年代の英国では、飼育動物の管理方法を改善し、動物の福祉を確保することを目的として、「動物の5つの自由」(The Five Freedoms for Animal)という下記の理念が定めら...
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馬のリハビリ療法:10個の重要事項
馬の飼養管理 - 2022/09/22馬の運動器疾患のなかでも、腱や靭帯、関節組織の損傷は、治癒に長期間を要することが多く、その治療期間中には、筋委縮によるパフォーマンスの低下を起こすことが一般的です。近年、馬の獣医療においては、ヒト医療におけるリハビリ療法と同様に、長期間の病気療養で下がってしまった馬の競技能力を、如何に短期間かつ有効に回復させていくか、という理念が生まれ、その技術や知見が深まってきています。ここでは、そのような馬の...
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馬の旋回癖への対処法
馬の飼養管理 - 2022/09/21馬の旋回癖とは、馬房の中で、円を描くように歩き回る動作を持続的に繰り返す異常行動を指し、サク癖や熊癖と並んで、馬の悪癖の一つに挙げられています。馬によっては、旋回するだけでなく、壁を蹴ったり前掻きする行動を伴うこともあり、また、パドック放牧に出したときにも旋回を繰り返す個体も見られます。ここでは、馬の旋回癖への対処法について紹介します。参考資料:Khawaja AA. Horse Stall Anxiety: All You Need to kno...
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馬の拍車キズの対処法
馬の飼養管理 - 2022/09/20ホースマンの皆様から、拍車キズ(Spur marks)への対処法について質問を頂くことがあります。ここでは、馬の拍車キズの病因や予防法などに関する知見を紹介します。英国のハートプリー大学の研究[1]では、馬の拍車キズと騎乗者の拍車タイプについて、ホースマンへの聞き取り調査が行なわれました。その結果、拍車の長さが32mm以上の場合、拍車キズを起こす危険性が有意に高かったことが示唆されており、また、拍車の先端構造が回...
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馬の寝起きを制限する飼養法
馬の飼養管理 - 2022/09/19馬の寝起きを制限することのメリット馬は他の家畜と異なり、起立装置という解剖学的な特異性があるため、長期間に渡って駐立したまま生活できるという動物学的な特徴があります。このため、馬が馬房内で寝起きするのを制限して、駐立させたまま繋留する管理方法が実施可能となり、幾つかのメリットがあります。馬の年齢や体力にもよりますが、通常、一ヶ月程度であれば、馬は寝起きせずに生活することが出来ます。馬の寝起き制限が...
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馬装で不機嫌になる馬
馬の飼養管理 - 2022/09/18馬が馬装されるときに不機嫌になるのは、一般的なことだと思われているかもしれません。しかし、英国の跛行研究者であるスー・ダイソン博士によると、馬の疼痛を上手に管理してあげることで、そのような行動が改善されることも多いと言います。参考資料:Betsy Lynch. Grumpy Horse While Tacking and Mounting? That’s Not Normal. The Horse, Topics, Behavior, Pain Managemen: Jan 29, 2022.Millares-Ramirez EM, Le Jeune SS....
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アルファルファに関する4つの誤解
馬の飼養管理 - 2022/09/17馬の飼料としてのアルファルファには、栄養学的なメリットが多いのですが、一方で、幾つかの誤解も持たれているようです。ここでは、アルファルファ乾草に関して、よく耳にする4つの誤解を紹介します。参考資料:Heather Smith Thomas. Four Misconceptions About Alfalfa. The Horse, Topics, Article, COPD, Heaves & RAO, Cushing's Disease, Hay, Kidney Problems, Laminitis (Founder), Metabolic Syndrome, Nutrition, Nutr...
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運動と飼料の管理で馬のコズミ予防を
馬の飼養管理 - 2022/09/15ホースマンの中には、コズミをよく起こす馬の管理に苦労されている方もいらっしゃるようです。コズミとは、競走や競技のあとの数時間で、筋炎による痛みなどで強直性の歩様を示している症状を指すことが一般的です。馬のコズミは、単なる筋肉痛によるものが殆どですが、重度や頻発する場合には、強度運動によって骨格筋が融解する病気を起こしているケースもあり、これを労作性の横紋筋融解症と呼んでいます。ここでは、この横紋筋...