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2022年10月のエントリー一覧

  • SAAによる馬の滑膜感染の診断

    話題 - 2022/10/31

    血清アミロイドエー(SAA: Serum amyloid A)は、急性期蛋白の一つで、炎症発生から36~48時間で血中に増加することから、炎症病態の早期診断に有用であると言われており、馬においても、呼吸器疾患を探知する目的などで臨床応用されています。ここでは、滑膜組織の感染を早期診断する目的で、SAA測定の有用性を評価した知見を紹介します。この研究では、ドイツのギーセン大学の馬病院において、四肢の外傷の治療を受けた55頭の馬...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Cohen et al. 2005)

    文献 - 2022/10/31

    「子馬のロドコッカスエクイ肺炎の発症に関わる牧場の特徴と管理手法」Cohen ND, O'Conor MS, Chaffin MK, Martens RJ. Farm characteristics and management practices associated with development of Rhodococcus equi pneumonia in foals. J Am Vet Med Assoc. 2005; 226(3): 404-413.この研究では、子馬のロドコッカスエクイ肺炎(Rhodococcus equi pneumonia)の発症に関与する危険因子(Risk factors)を解析するため、2002...

  • 馬の眼科検査8:鼻涙管造影

    診療 - 2022/10/30

    鼻涙嚢造影術(Dacryocystorhinography)について。鼻涙嚢造影術は、鼻涙管(Nasolacrimal duct)の内部に造影剤を通過させてレントゲン検査を行う診断法で(上記写真)、鼻涙管通過障害(Nasolacrimal duct obstruction)、無孔鼻側涙点(Imperforate nasal punctum)、鼻涙管偏位(Nasolacrimal duct deviation)の診断のために実施されます。鼻涙管内へは通常3~5mLの造影剤が注入され、側方向(Lateral)、背腹方向(Ventrolat...

  • 馬の眼科検査7:超音波検査

    診療 - 2022/10/30

    眼組織の超音波検査(Ocular ultrasonography)について。超音波検査は、安全、迅速、かつ比較的安価に、眼内または眼球後部組織(Intraocular/Retrobulbar structures)の検査を実施できることから、多くの眼疾患の診断法として応用されています。眼組織の超音波検査においては、深い検査深度は必要ではないものの、高い解像度(High resolution)を要することが多いため、眼内組織の検査には10-MHzのプローブが使われ、眼球後部...

  • 馬の眼科検査6:眼底鏡検査

    診療 - 2022/10/29

    眼底鏡検査(Ophthalmoscopy)について。眼底鏡を介して、硝子体(Vitreous)、網膜(Retina)、視神経(Optic nerve)などの眼底(Fundus)にある組織の視診を行う診断法で、直接眼底鏡検査(Direct ophthalmoscopy)と間接眼底鏡検査(Indirect ophthalmoscopy)の二つの手法が用いられます。眼底鏡検査は、散瞳薬(Mydriasis)を点眼投与を要するため、威嚇反射試験(Menace response examination)や瞳孔反射試験(Pupillary r...

  • 馬の眼科検査5:眼圧検査

    診療 - 2022/10/29

    眼圧検査(Tonometry)について。眼内圧の測定(Measurement of intraocular pressure)は、圧平眼圧測定法(Applanation tonometry)による角膜緊張(Corneal tension)の評価を介して行われることが一般的です(=間接眼圧検査:Indirect tonometry)。馬における眼圧検査の適応症としては、角膜浮腫(Corneal edema)、眼窩外傷(Orbital trauma)、水晶体脱臼(Lens luxation)などが挙げられ、また、緑内障(Glaucoma)の診断...

  • 馬の眼科検査4:顕微鏡検査

    診療 - 2022/10/29

    生体顕微鏡検査(Biomicroscopy examination)について。生体顕微鏡検査は、透過照明(Transillumination)および反帰照明(Retroillumination)の二つの手法を介して、角膜(Cornea)、前眼房(Anterior chamber)、虹彩(Iris)、黒質体(Corpora nigra)、水晶体(Lens)、前側硝子体(Anterior vitreous)の異常を検査する方法で、散瞳薬の使用前と使用後における視診が行われ、また、角膜の厚さ(Corneal thickness)、角膜の...

  • 馬の眼科検査3:染色試験

    診療 - 2022/10/28

    眼科色素検査(Ophthalmic dye examination)について。眼科色素の局所塗布は、角膜(Cornea)、結膜(Conjunctiva)、鼻涙管(Nasolacrimal duct)の疾患の診断法として重要で、角結膜の培養および細胞診(Corneoconjunctival culture and cytology)の検体採取を行った後に実施されます(眼科色素によって病原菌増殖が抑制される可能性があるため)。しかし、角膜検体の採取時に点眼麻酔(Topical anesthesia)が使用された場合...

  • 馬の眼科検査2:培養と細胞診

    診療 - 2022/10/28

    角結膜培養&細胞診(Corneoconjunctival culture and cytology)について。角膜または結膜検体の培養および細胞診は、馬の眼科検査(Ophthalmic examination)における重要な診断法の一つで、適応症としては、全てのタイプの潰瘍性角膜炎(Ulcerative keratitis)、化膿性の眼性&鼻涙管浸出液(Purulent ocular/nasolacriminal discharge)、感染性の眼瞼炎&結膜炎(Infectious blepharitis/conjunctivitis)、角膜または結膜の...

  • 馬の眼科検査1:視診と流涙試験

    診療 - 2022/10/28

    視診と脳神経検査(Cranial nerve evaluation)について。眼科検査(Ophthalmic examination)の実施に際しては、触診(Palpation)、鎮静(Sedation)、局所麻酔(Local anesthesia)などを行う前に、両眼の視診および脳神経検査が実施することが重要です。視診では、患馬の頭部の正面に立ち、眼窩骨(Bony orbits)、眼瞼(Eyelids)、眼球(Globes)、瞳孔(Pupils)の対称性(Symmetry)を検査すると共に、眼瞼や角膜(Cornea...

  • 子馬の臍帯炎の予後判定指標

    話題 - 2022/10/27

    ヒト医療に小児科があるのと同様に、子馬の病気に対する獣医療では、成馬とは異なる知識と技術が必要になります。ここでは、臍帯炎が切除された子馬における、生存を左右する因子を解析した知見を紹介します。この研究では、米国のヴァージニア大学の馬医療センターにおいて、2004~2016年にかけて、臍帯炎の外科的切除が行なわれた82頭の子馬における、医療記録の解析、および、生存率低下に繋がる危険因子のオッズ比(OR)が算出...

  • 子馬と成馬での小腸絞扼の違い

    話題 - 2022/10/27

    ヒト医療に小児科があるのと同様に、子馬の病気に対する獣医療では、成馬とは異なる知識と技術が必要になります。ここでは、小腸の絞扼性閉塞における治療成績を、子馬と成馬で比較した研究を紹介します。この研究では、米国の五箇所の獣医大学病院において、2000~2020年にかけて、小腸絞扼を呈して開腹術が実施された41頭の子馬(六ヶ月齢以下)、および、105頭の成馬(2~20歳齢)における、医療記録の回顧的解析、および、生存...

  • 新生子馬の集中治療での予後判定指標

    話題 - 2022/10/26

    ヒト医療に小児科があるのと同様に、子馬の病気に対する獣医療では、成馬とは異なる知識と技術が必要になります。ここでは、集中治療が必要となった新生子馬での、生存に関わる因子を解析した知見を紹介します。この研究では、米国の二箇所の獣医大学病院において、1982~2008年にかけて、集中治療室(ICU)での治療が行なわれた1,065頭の新生子馬(14日齢以下)における、医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Giguer...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Chaffin et al. 2003c)

    文献 - 2022/10/26

    「風土性感染としての子馬のロドコッカスエクイ肺炎の発症に関わる子馬に関連した危険因子」Chaffin MK, Cohen ND, Martens RJ, Edwards RF, Nevill M. Foal-related risk factors associated with development of Rhodococcus equi pneumonia on farms with endemic infection. J Am Vet Med Assoc. 2003; 223(12): 1791-1799.この研究では、風土性感染(Endemic infection)としての子馬のロドコッカスエクイ肺炎(Rhodococcus e...

  • 去勢してもオスっ気が取れない馬

    診療 - 2022/10/25

    一般的に、牡馬を去勢した後には、テストステロン濃度は六時間後には基底値まで低下しており、牡馬様の行動は、去勢の8週間後までには徐々に消失することが知られています。しかし、この期間を過ぎても、オスっ気が取れない馬に対しては、原因および対処を検討する必要が出てきます。まず原則として、精巣を切除したオス馬(騙馬)においても、春季や初夏の時期に牡馬用行動を示すことは、一定数の個体において認められることが知...

  • 馬の陰睾と単精巣症の見分け方

    診療 - 2022/10/25

    牡馬における停留精巣の治療を行なうときには、単精巣症との鑑別を要する症例もあります。一般的に、停留精巣(いわゆる陰睾)とは、一ヶ月齢以降になっても、精巣が陰嚢内まで下降していない病態を指しています。この場合、精巣が鼠経管の内部や内鼠経輪の内側、もしくは、腹腔の深部に位置している事から、これを摘出するために、通常の去勢とは異なる処置が必要になります。一方で、もともと精巣が一個しか無いという牡馬もおり...

  • 馬の会陰尿道切開術

    診療 - 2022/10/24

    馬の会陰尿道切開術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。オス馬における、尿道の坐骨湾曲部の会陰尿道切開術は、膀胱結石の摘出、血尿症の治療、および、尿道結石や陰茎腫瘍による尿路閉塞の整復のために実施されます。通常は、起立位で施術され、鎮静と硬膜外麻酔(会陰皮膚の浸潤麻酔を要することも)のあと、術部の剃毛と消毒を実施します。そして、会陰縫線上...

  • 馬の鼠径停留精巣の切除術

    診療 - 2022/10/24

    馬の鼠径停留精巣の切除術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。停留精巣(いわゆる陰睾)は、生後一ヶ月を過ぎても、精巣が陰嚢内まで下降していない発生学的な病態を指し(上図のCryptorchid testicle)、発生率は左側精巣のほうが高いことが知られています。停留した精巣には、精子の生成能は無いものの、テストステロン分泌は見られるため、発情行動や気性の荒...

  • 立位での馬の去勢における合併症

    話題 - 2022/10/23

    馬の去勢手術では、全身麻酔薬を投与して倒馬にて施術する場合と、鎮静と局所麻酔を投与して立位にて施術する場合があり、立位去勢では麻酔覚醒の事故を防げるという利点があります。ここでは、馬の去勢の術式による合併症発生の違いを評価した知見を紹介します。この研究では、英国の馬病院と往診獣医療において、2002~2004年にかけて、倒馬去勢をした121頭の馬と、立位去勢をした96頭における、医療記録の回顧的が行なわれまし...

  • 馬の去勢での合併症を防ぐには

    話題 - 2022/10/23

    馬の去勢手術は、最も頻繁に実施されるフィールド手術の一つであり、比較的に簡易な診療行為であると認識されがちですが、去勢後の合併症は一定の確率で起こることから、海外では、獣医療訴訟となる案件も多いことが知られています。ここでは、馬の去勢における術後合併症の発生状況、および、発症に関わる危険因子を調査した知見を紹介します。この研究では、2015~2017年において、英国の馬獣医師53人が施術した495頭の去勢にお...

  • 馬の去勢での合併症の発生状況

    話題 - 2022/10/22

    去勢手術は、馬において最も多く実施される外科的処置であり、リスクの少ない手術ではあるものの、合併症も一定確率で発生することが知られています。ここでは、馬の去勢における術後合併症の発生状況や、その発症素因に関する知見を紹介します。この研究では、1998~2008年にかけて、去勢手術が実施された324頭の馬属動物(ラバ10頭とロバ3頭を含む)における医療記録の回顧的解析が行なわれました。参考文献:Kilcoyne I, Watson...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Chaffin et al. 2003b)

    文献 - 2022/10/22

    「子馬のロドコッカスエクイ肺炎の発症に関わる危険因子としての馬繁殖牧場の管理法と予防的治療法の評価」Chaffin MK, Cohen ND, Martens RJ. Evaluation of equine breeding farm management and preventative health practices as risk factors for development of Rhodococcus equi pneumonia in foals. J Am Vet Med Assoc. 2003; 222(4): 476-485.この研究では、子馬のロドコッカスエクイ肺炎(Rhodococcus equi pneumonia)...

  • 競走馬の不整脈とプアパフォーマンスの関連性

    話題 - 2022/10/21

    一般的に、馬のプアパフォーマンスでは、運動器系および呼吸器系に次いで、心脈管系の疾患が、三番目に多い原因であることが知られていますが、その発生率や、他病態との相互作用については不明な点が多いと言えます。ここでは、競走馬のプアパフォーマンスと不整脈の関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、イタリアのミラノ大学の獣医大学病院において、2005~2015年にかけて、プアパフォーマンスの症状を呈した158頭...

  • 馬の心調律障害とプアパフォーマンスの関連性

    話題 - 2022/10/21

    レース中の競走馬がプアパフォーマンスを示したときに、その原因として、心臓の調律障害があるのかもしれない、という研究が行なわれています。参考文献:Marr CM, Franklin S, Garrod G, Wylie C, Smith L, Dukes-McEwan J, Bright J, Allen K. Exercise-associated rhythm disturbances in poorly performing Thoroughbreds: risk factors and association with racing performance. J Vet Cardiol. 2021 Jun;35:14-24.この研究...

  • 外傷の滑膜侵襲での造影検査

    話題 - 2022/10/20

    一般的に、馬が四肢に外傷を負ったときに、滑膜組織(関節、腱鞘、滑液嚢など)に侵襲が及んでしまうと、難治性の細菌性滑膜炎を続発して、予後不良になる危険性が高いことが知られています。このため、特に関節や腱鞘に近い箇所に切り傷を負った馬においては、その外傷が滑膜侵襲を伴っているか否かを、初診の段階で確定診断しておくのが極めて重要となります。たとえ、見た目が小さなキズでも、それが深部に及んで、関節腔や腱鞘...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Chaffin et al. 2003a)

    文献 - 2022/10/20

    「子馬のロドコッカスエクイ肺炎の発症に関わる危険因子としての馬繁殖牧場の特徴の評価」Chaffin MK, Cohen ND, Martens RJ. Evaluation of equine breeding farm characteristics as risk factors for development of Rhodococcus equi pneumonia in foals. J Am Vet Med Assoc. 2003; 222(4): 467-475.この研究では、子馬のロドコッカスエクイ肺炎(Rhodococcus equi pneumonia)の発症に関わる危険因子(Risk factors)を解析...

  • 馬の小腸絞扼は切除しなくても治る?

    話題 - 2022/10/19

    一般的に、馬の疝痛の原因となる小腸疾患は、絞扼性の病態を呈することが多く、開腹術による外科的療法を要することが殆どですが、虚血性損傷を起こしている小腸を、切除・吻合するか、それとも、そのまま閉腹して自然治癒を待つかは、執刀医にとって迷い処だと言えます。虚血性損傷を起こした小腸を、体内に残したままにしておくと、癒着、再灌流障害、術後イレウス、蹄葉炎などを続発する危険性があり、2回目の開腹術を要するケ...

  • 肥満の馬での術創感染のリスク

    話題 - 2022/10/19

    馬の疝痛治療のための開腹術において、肥満であることの危険性が調査されています。参考文献:Hill JA, Tyma JF, Hayes GM, Radcliffe R, Fubini SL. Higher body mass index may increase the risk for the development of incisional complications in horses following emergency ventral midline celiotomy. Equine Vet J. 2020 Nov;52(6):799-804.ヒト医療では、肥満体型であることが手術後の死亡率や合併症の発症率の高さに...

  • 2回目の疝痛手術のリスクは?

    話題 - 2022/10/18

    馬の開腹術のあとに疝痛症状が再発した場合、もう一度、お腹を開けるか否かは、ホースマンにとっても獣医師にとっても、かなりの迷い処かもしれません。ここでは、疝痛馬での2回目の開腹術において、生存率に関わる因子を調査した論文を紹介します。この研究では、英国のリバプール大学の獣医病院において、2002~2012年にかけて、疝痛治療のための開腹術のあとに、八週間以内に“再開腹術”(Relaparotomy)が実施された症例馬にお...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Ainsworth et al. 1998)

    文献 - 2022/10/18

    「子馬のロドコッカスエクイ感染における臨床症状、検査結果、レントゲン所見と、治療成績およびその後の競走能力との関係:1984~1992年の115症例」Ainsworth DM, Eicker SW, Yeagar AE, Sweeney CR, Viel L, Tesarowski D, Lavoie JP, Hoffman A, Paradis MR, Reed SM, Erb HN, Davidow E, Nalevanko M. Associations between physical examination, laboratory, and radiographic findings and outcome and subsequent racing p...

  • 馬の球節固定術

    診療 - 2022/10/17

    馬の球節(中手指骨間関節または中足指骨間関節)の固定術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬に対する球節固定術は、懸垂装置の破損によって球節の掌側支持機能が失われた場合や、球節の重篤な関節疾患などによって疼痛管理が困難な場合に適応されます。このうち、前者では懸垂装置の機能を回復させる外科的措置(テンションバンドワイヤーの設置)が必要にな...

  • 馬の冠関節固定術

    診療 - 2022/10/17

    馬の中節骨の粉砕骨折に対する冠関節固定術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬の中節骨の骨折では、粉砕骨折の病態が最も多いことが知られており、冠関節への捻転負荷、浅屈腱による過張力、冠関節の過伸展によって発症すると言われています。中節骨は上下に短く、腱や靭帯による緊張が掛かる骨であるため、骨折によって圧潰され、冠関節の脱臼を起こし易いこ...

  • 馬の基節骨骨折の螺子固定術

    診療 - 2022/10/16

    馬の基節骨の縦骨折に対する螺子固定術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬の基節骨の骨折は、到着時の衝撃や荷重中の捻転負荷によって発症して、縦骨折、背側骨折、遠位関節骨折、掌側隆起骨折、骨端骨折、斜位骨幹骨折、背側裂離骨折などに分類されます。このうち、矢状部の完全縦骨折は、最も頻繁に発症する骨折タイプの一つで、単一関節性骨折、変位性骨折...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Higuchi et al. 1998)

    文献 - 2022/10/16

    「風土性汚染された牧場における子馬のロドコッカスエクイ感染の早期診断のための30日齢および45日齢での身体検査および血清学的検査」Higuchi T, Taharaguchi S, Hashikura S, Hagiwara S, Gojo C, Satoh S, Yoshida M, Takai S. Physical and serologic examinations of foals at 30 and 45 days of age for early diagnosis of Rhodococcus equi infection on endemically infected farms. J Am Vet Med Assoc. 1998; 212(7): 9...

  • COX-2限定阻害薬:馬の小腸絞扼での効能

    話題 - 2022/10/15

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • COX-2限定阻害薬:馬の内臓疼痛での効能

    話題 - 2022/10/15

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • COX-2限定阻害薬:馬の去勢手術での効能

    話題 - 2022/10/14

    これまで、馬の軟部組織の痛みには、フルニキニンメグルミン(バナミン®)が投与されることが多かったですが、近年では、副作用の少ない新しいタイプの薬剤が応用されてきています。一般的に、馬の抗炎症・鎮痛剤としては、COX-1およびCOX-2の両方の炎症介在物質を阻害する薬剤(フルニキニンメグルミン等)が使用されてきましたが、COX-1は胃腸粘膜の新陳代謝にも関わっているため、これを阻害することで、胃潰瘍や大腸炎などの副...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Kenney et al. 1994)

    文献 - 2022/10/14

    「ロドコッカスエクイ肺炎の治療期間中にエリスロマイシンとリファンピンへの耐性および反応性関節炎を発症した子馬の一症例」Kenney DG, Robbins SC, Prescott JF, Kaushik A, Baird JD. Development of reactive arthritis and resistance to erythromycin and rifampin in a foal during treatment for Rhodococcus equi pneumonia. Equine Vet J. 1994; 26(3): 246-248.この研究では、ロドコッカスエクイ肺炎(Rhodococcus equ...

  • 競走馬の故障と落馬との関連性

    話題 - 2022/10/13

    一般的に、競走馬がレース中に重篤な故障を発生した場合、乗っている騎手にも危険が及ぶと推測されます。ここでは、競走馬の致死的故障(安楽殺となるような重度骨折や心臓疾患による突然死など)の発生が、騎手の落馬や怪我にどの程度影響しているのかを調査した研究を紹介します。この研究では、米国のカリフォルニア州の競馬場において、2007~2012年に起こった競走馬の致死的故障、および、騎手の落馬や怪我のデータが収集され...

  • 馬の骨折と蹴傷の関連性

    馬の飼養管理 - 2022/10/13

    馬の骨折が発症する原因は、馬の用途によって多様ですが、全般的な馬の骨折の発症要因を解明しようとする試みも成されています。下記の研究では、スイスの二箇所の獣医大学病院において、1990~2014年にかけて、骨折の診断や治療のために来院した1,144頭の馬における、医療記録の解析が行なわれました。参考文献:Donati B, Furst AE, Hassig M, Jackson MA. Epidemiology of fractures: The role of kick injuries in equine frac...

  • 競走馬の関節注射と骨折の関連性

    話題 - 2022/10/12

    馬の健康問題の八割は運動器疾患であり、そのうち最も多いのは関節疾患であることが知られています。そのような関節疾患の内科的治療としては、抗炎症剤やヒアルロン酸の関節注射が実施されることがありますが、疼痛を緩和するメリットに併せて、一次病態を悪化させたり、軟骨変性を進行させるなどのデメリットも指摘されています。ここでは、競走馬の関節注射と骨折との関連性について調査した知見を紹介します。この研究では、英...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Martens et al. 1989)

    文献 - 2022/10/12

    「子馬のロドコッカスエクイ肺炎:実験的感染した子馬に対する免疫血漿の防御効果」Martens RJ, Martens JG, Fiske RA, Hietala SK. Rhodococcus equi foal pneumonia: protective effects of immune plasma in experimentally infected foals. Equine Vet J. 1989 ;21(4): 249-255.この研究では、子馬のロドコッカスエクイ肺炎(Rhodococcus equi foal pneumonia)に有用な治療法を検討するため、ロドコッカスエクイ菌に実験的感...

  • 馬の管部への診断麻酔の手法

    話題 - 2022/10/11

    馬の跛行検査における神経ブロックは、疼痛の限局化および原因疾患の確定診断のために必須の手法ですが、前肢の近位管部における診断麻酔では、その反応性や検査結果の解釈の難易度が高いと言われています。その要因としては、高四点神経ブロックで麻酔される掌側神経と掌側中手神経が、軟部組織の深部を走行しており、注射した局所麻酔薬が近位または遠位に浸潤して、無痛化される領域が紛らわしくなること、管骨の近位掌側部(繋...

  • 馬の圧迫バンによる神経ブロックへの影響

    話題 - 2022/10/11

    馬の跛行検査における神経ブロックは、疼痛を限局化するのに有用であり、原因疾患の確定診断には必須の手順であると言われています。しかし、神経ブロックで投与された局所麻酔薬は、時間が経つと注射箇所よりも近位側に浸潤されることから、無痛化領域が予測以上に拡大してしまい、診断麻酔に対する反応性の解釈が難しくなり、疼痛箇所を誤診するリスクが指摘されています(上図の青色領域が予測される無痛化領域です)。ここでは...

  • エコーでの馬の肩関節注射

    話題 - 2022/10/10

    エコーを使った馬の肩跛行の診断麻酔が試みられています。参考文献:Schneeweiss W, Puggioni A, David F. Comparison of ultrasound-guided vs. 'blind' techniques for intra-synovial injections of the shoulder area in horses: scapulohumeral joint, bicipital and infraspinatus bursae. Equine Vet J. 2012 Nov;44(6):674-8.この研究では、超音波誘導または盲目的注射法を介して、造影剤と染色剤(メチレンブルー)の混合...

  • 膝関節の診断麻酔で蹄跛行が消える?

    話題 - 2022/10/10

    馬の跛行検査において、疼痛箇所を限局するための診断麻酔は重要な手技であり、原因病態を確定診断するには必須であると言われています。しかし、馬の後肢の解剖学では、遠位肢の疼痛を支配する神経は、その近位部では膝関節包の尾側を走行しているため、局所麻酔薬の浸潤度合いによっては、疼痛緩和の領域が混同されて、原因疾患を誤診してしまう危険性が指摘されています。この現象を評価するため、下記の研究では、蹄部クランプ...

  • 馬の文献:息労(Bertin et al. 2011)

    文献 - 2022/10/10

    「回帰性気道閉塞の罹患馬に対する二種類の保持式投与器具による噴霧化アルブテロールの効能の比較」Bertin FR, Ivester KM, Couetil LL. Comparative efficacy of inhaled albuterol between two hand-held delivery devices in horses with recurrent airway obstruction. Equine Vet J. 2011; 43(4): 393-398.この研究では、馬の回帰性気道閉塞(Recurrent airway obstruction)(息労:Heaves)に有用な治療法を検討するため、...

  • 子馬の足根骨不完全骨化による長期的な影響

    話題 - 2022/10/09

    子馬の病気を診療するときには、成馬になったときのパフォーマンスへの影響も考慮する必要があります。足根骨の不完全骨化は、立方骨の形成不全や、軟骨内骨化の遅延によって、健常な足根骨の緻密骨形成が妨げられる疾患です。通常は、栄養管理や運動制限によって治療されますが、不完全骨化の改善が遅れると、足根骨の変形や肢勢異常(飛節の外反や内反、鎌状飛節、直飛など)を続発して、慢性跛行や運動能力の低下を引き起こすこ...

  • 子馬の細菌性関節炎による長期的な影響

    話題 - 2022/10/09

    子馬の病気を診療するときには、成馬になったときのパフォーマンスへの影響も考慮する必要があります。子馬の細菌性関節炎は、全身疾患による抵抗力減退や、初乳の摂取不全による移行抗体不足が病因となる発症することが多く、抗生物質の全身的又は局所的投与、および、関節洗浄による治療が実施されることが一般的です。ここでは、子馬の細菌性関節炎が、成長後に競走馬としての能力に対して、どのような長期的な影響を与えるかを...

  • 子馬の支持靭帯切断術による長期的な影響

    話題 - 2022/10/08

    子馬の病気を診療するときには、成馬になったときのパフォーマンスへの影響も考慮する必要があります。一般的に、遠位支持靭帯(深屈腱の副靭帯)の切断術は、蹄関節の屈曲性肢変形症(いわゆるクラブフット)において、深屈腱から蹄骨に掛かる緊張を緩和することで、蹄繋軸前方破折の肢勢を矯正する目的で実施されます。ここでは、支持靭帯の切断術が、スポーツ馬の競技能力に対して、どのような長期的な影響を与えるかを調査した...

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Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: 40代
住所: 茨城県
職業: 獣医師・獣医学博士
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E-mail: rowdyponies@gmail.com

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