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2022年11月のエントリー一覧

  • 馬の腎不全のバイオマーカー

    話題 - 2022/11/30

    一般的に、馬の腎不全の診断では、クレアチニンやBUNが測定されています。しかし、クレアチニンは、腎臓の糸球体機能が60~75%損失するまでは無変化であり、また、BUNは、脱水や尿路疾患によっても変化してしまう(腎前性または腎後性高窒素血症)ことから、必ずしも急性腎不全の最適な診断指標ではないと言われています。ここでは、馬の急性腎不全における、NGAL(好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン:Neutrophil gelatinase-ass...

  • 馬の疝痛での膵臓バイオマーカー

    話題 - 2022/11/30

    ヒト医療で用いられる膵臓バイオマーカーのうち、特に膵炎の特異的診断能が高いものとして、DGGRリパーゼ活性(1,2-o-dilauryl-rac-glycero-3-glutaric acid-[6’-methylresorufin] ester lipase activity)の測定が挙げられています。ここでは、馬の疝痛における膵臓バイオマーカーの有用性を評価した知見を紹介します。この研究では、スイスのベルン大学において、2015~2016年にかけて、疝痛の診断や治療が行なわれた192頭の馬の...

  • ポニーの結腸でのエコー所見

    話題 - 2022/11/29

    馬の腹部エコー検査は、非侵襲性で簡易に実施できる消化管の画像診断法ですが、ポニーやミニチュアホースにおけるエコー所見については、あまり詳しく調査されていません。ここでは、小型馬の右背側結腸のエコー所見を調査した知見を紹介します。この研究では、ポニー13頭とミニチュアホース10頭における、右腹壁のエコー検査において、右背側結腸の厚み測定が行なわれました。参考文献: Siwinska N, Zak A, Baron M, Cylna M, Bo...

  • 新生子馬のステルス腸重責

    話題 - 2022/11/29

    馬の腹部エコー検査は、非侵襲性で簡易に実施できる消化管の画像診断法ですが、新生子馬におけるエコー所見については、あまり詳しく調査されていません。ここでは、新生子馬における腹部エコー検査について調査した知見を紹介します。この研究では、ペンシルバニア大学のニューボルトンセンターにおいて、2012年の繁殖シーズンに診療した、18頭のスタンダードブレッド新生子馬(五日齢以下)に対して実施された腹部エコー検査の所...

  • 馬の疝痛スコアによる予後判定

    話題 - 2022/11/28

    馬の疝痛では、心拍数や血中乳酸値など、病気の重さを示す重要な検査項目が幾つかあるため、それらを総括的に読み取って、全身状態の重篤度や予後の悪さを判断する必要があります。ここでは、そのような多数の項目をまとめて、一つの数字に変換して予後判定するという「疝痛スコアシステム」(Colic scoring system)について検討した知見を紹介します。この研究では、米国の複数の馬病院において、2014~2019年にかけて、疝痛の診...

  • 馬の文献:運動誘発性肺出血(Manohar et al. 1997)

    文献 - 2022/11/28

    「劇的運動しているサラブレッドにおける様々な濃度のフロセマイド投与後の肺脈管圧」Manohar M, Goetz TE, Sullivan E, Griffin R. Pulmonary vascular pressures of strenuously exercising Thoroughbreds after administration of varying doses of frusemide. Equine Vet J. 1997; 29(4): 298-304.この研究では、馬の運動誘発性肺出血(Exercise-induced pulmonary haemorrhage)に有用な予防法を検討するため、七頭の健常なサ...

  • 馬の補液10:補液計算の例題3

    診療 - 2022/11/27

    馬の補液療法(Fluid therapy)の例題3。患馬は、急性発現性(Acute onset)の軽度疝痛症状(Mild colic)、発熱(Fever)、頻脈(Tachycardia)、頻呼吸(Tachypnea)などの症状を示し、経鼻カテーテルによってオレンジ色~茶色で腐敗臭(Fetid odor)を示す多量の胃逆流液(Gastric reflux)の排出が認められ、胃除圧(Gastric decompression)によって疼痛症状の顕著な改善と、その後の沈鬱症状(Depression)が見られました。...

  • 馬の補液9:補液計算の例題2

    診療 - 2022/11/27

    馬の補液療法(Fluid therapy)の例題2。患馬は、48時間にわたる漸進発現性(Gradual onset)の中程度下痢症(Moderate diarrhea)、発熱(Fever)、抑欝(Depression)、食欲不振(Anorexia)などの症状を呈し、風土性(川沿いでの飼養)とサルモネラ症(Salmonellosis)の陰性反応から、ポトマック熱(Potomac horse fever)であるという推定診断が下されました。入院時の脱水重篤度は、臨床症状と血液検査結果から10%と推測さ...

  • 馬の補液8:補液計算の例題1

    診療 - 2022/11/27

    馬の補液療法(Fluid therapy)の例題1。患馬は、16時間にわたる漸進発現性(Gradual onset)の中程度疝痛(Moderate colic)を呈し、直腸検査(Rectal examination)において摂食物を充填して硬化した骨盤曲(Firm ingesta-filled pelvic flexure)が触知され、大結腸便秘(Large colon impaction)の推定診断が下されました。入院時の脱水重篤度は、臨床症状と血液検査結果から5%と推測されました。(1)体液量、細胞外液量(E...

  • 馬の補液7:栄養輸液

    診療 - 2022/11/26

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。疝痛馬の治療に際しては、胃液逆流(Gastric reflux)、小腸閉塞(Small intestinal ileus)、食道通過障害(Esophageal obstruction)などの罹患馬において、摂食停止が三日間以上に及ぶ場合には、補液療法を介しての栄養補助(Nutritional support)が必要になります。成馬における安静時必要栄養量は、正常時体重×21+975(kcal)で計算されますが、補液中へのブドウ糖...

  • 馬の補液6:酸塩基平衡

    診療 - 2022/11/26

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。代謝性アシドーシス(Metabolic acidosis)は、疝痛の罹患馬に最も多く見られる酸塩基不均衡(Acid-base imbalance)で、血液pHおよび重炭酸イオン(Bicarbonate ion: HCO3)の下降を特徴とし、ナトリウム損失を伴う血液量減少症(Hypovolemia)、下痢症(Diarrhea)による消化管からの重炭酸損失、食道閉塞(Esophageal obstruction)の初期病態における過剰な流涎中への...

  • 馬の補液5:カルシウム補正

    診療 - 2022/11/26

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。低カルシウム血症(Hypocalcemia)は、多くの疝痛症例において見られ、乳酸アシドーシス(Lactic acidosis)、内毒素誘発性のカルシウム恒常性変動(Endotoxin-induced changes in calcium homeostasis)、小腸からのカルシウム吸収不全(Small intestinal calcium malabsorption)などに起因すると考えられています。しかし、血中のカルシウムの大部分はアルブミンと結合...

  • 馬の補液4:電解質の補正

    診療 - 2022/11/25

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。ナトリウムは細胞外液(Extracellular fluid: ECF)の主成分で、カリウムは細胞内液(Intracelullar fluid: ICF)の主成分であるため、血清カリウム濃度は全身のカリウム損失量の目安としての信頼性は低いことが知られています。しかし、ナトリウムとカリウムは常に細胞膜チャンネルを介しての交換が行われているため、血清ナトリウム濃度はECFのナトリウム量のみならず、...

  • 馬の補液3:電解質不均衡

    診療 - 2022/11/25

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。低ナトリウム血症(Hyponatremia)は、急性大腸炎(Acute colitis)や下痢症(Diarrhea)を起こすサルモネラ症(Salmonellosis)、ポトマック熱(Potomac horse fever)、クロストリディウム症(Clostridiosis)などにおいて好発し、腹腔や腸管内腔へのナトリウム漏出を起こす腹膜炎(Peritonitis)や大結腸捻転(Large colon torsion)、および過剰な流涎中へのナトリウ...

  • 馬の補液2:補液剤の量と種類

    診療 - 2022/11/24

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。馬の補液療法の実施に際して、合計補液量の計算は、損失水分量(Water deficit)、維持水分量(Maintenance)、持続損失量(Ongoing losses)、追加水分量(Additional fluid requirement)の合計によって算出され、脱水症の治療に際しては12時間にわたる補液後、血液検査で経過をモニタリングして次の12時間の補液量を再計算する指針が一般的です。つまり、損失水分量+...

  • 馬の補液1:脱水症の診断

    診療 - 2022/11/24

    馬の疝痛治療における補液療法(Fluid therapy)について。体重500kgの馬体の総水分量は約300L(体重の60%)で、このうち細胞内液(Intracellular fluid: ICF)が約200L、細胞外液(Extracellular fluid: ECF)が約100Lを占めます。細胞外液の内訳は、血液およびリンパ液中の血漿(Plasma)が25~30L、間質液(Interstitial fluid)が40~45Lとなり、残りの約30Lを経細胞液(Transcellular fluid)が占め、これには消化管内腔液(G...

  • 競走馬の関節炎でのPAAG治療

    話題 - 2022/11/23

    馬の跛行の原因としては、最も多いのが変性関節疾患であることが知られており、その治療法として注目されるのがPAAG関節注射法になります。ここでは、競走馬の関節炎に対するPAAG治療を、従来の関節注射療法と比較した知見を紹介します。この研究では、手根関節炎を呈した31頭のサラブレッド競走馬に対して、PAAG関節注射、トリアムシノロン(HA)、または、ヒアルロン酸(HA)の関節注射を無作為に実施して、その後の12週間にわた...

  • 馬のPAAG注射の滑膜への影響

    話題 - 2022/11/23

    馬の跛行の原因としては、最も多いのが変性関節疾患であることが知られており、その治療法として注目されるのがPAAG関節注射法になります。ここでは、馬の関節に注射されたPAAGが、滑膜にどのように作用しているかを評価した知見を紹介します。この研究では、まず10匹のウサギを用いて、PAAGまたはヒアルロン酸ゲル(HAG、対照群)の関節注射の一年後までの滑膜組織の組織学的評価を行ない、次に、関節炎を呈した14頭の馬に対して...

  • 馬のPAAG治療での長期経過

    話題 - 2022/11/22

    馬の跛行の原因としては、最も多いのが変性関節疾患であることが知られており、その治療法として注目されるのがPAAG関節注射法になります。ここでは、馬の関節炎に対するPAAG治療法の長期経過を評価した知見を紹介します。この研究では、ドイツとデンマークの獣医大学病院において、2010~2014年にかけて、変性関節疾患の確定診断を受けて、PAAG関節注射(2mL、球節または手根関節)による治療が行なわれた43頭の馬における、治療...

  • 馬の文献:運動誘発性肺出血(Lapointe et al. 1994)

    文献 - 2022/11/22

    「ケベック州のスタンダードブレッド競走馬における運動誘発性肺出血の調査」Lapointe JM, Vrins A, McCarvill E. A survey of exercise-induced pulmonary haemorrhage in Quebec standardbred racehorses. Equine Vet J. 1994; 26(6): 482-485.この研究では、馬の運動誘発性肺出血(Exercise-induced pulmonary haemorrhage)の病態把握のため、無作為選択(Random selection)されたスタンダードブレッド競走馬(三~十歳)の三...

  • 馬の敗血症での腹水MMP9濃度

    話題 - 2022/11/21

    馬の腹水検査は、腹腔臓器の病態を反映することが多いため、疝痛などの消化器疾患の診断に応用されています。マトリックスメタロプロテアーゼ九型(MMP-9: Matrix metalloproteinases-9)は、敗血症での内毒素血症において、好中球が活性化されることで生成され、敗血症の重篤度を反映すると言われています。ここでは、敗血症(内毒素血症)を呈した疝痛馬における、腹水MMP-9濃度の有用性を評価した知見を紹介します。この研究で...

  • 馬の寄生疝における腹水NGAL濃度

    話題 - 2022/11/21

    馬の腹水検査は、腹腔臓器の病態を反映することが多いため、疝痛などの消化器疾患の診断に応用されています。一方、“NGAL”(エヌガル)とは、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(Neutrophil gelatinase-associated lipocalin)の略号で、腎臓前駆細胞の分化誘導因子として同定された蛋白質であり、急性腎不全において尿中および血中での濃度上昇を呈することから、腎疾患の早期診断に応用されています。そして、近年では、腎臓以...

  • 馬の腹水検査での急性期蛋白

    話題 - 2022/11/20

    馬の腹水検査は、腹腔臓器の病態を反映することが多いため、疝痛などの消化器疾患の診断に応用されています。ここでは、疝痛馬の腹水検査における、急性期蛋白濃度の有用性を評価した知見を紹介します。この研究では、デンマークと南アフリカの獣医大学病院において、2008~2011年にかけて、疝痛の診断や治療のために来院した367頭の馬における、血液中および腹水中の急性期蛋白(血清アミロイドエー[SAA]、ハプトグロブリン[Hp])...

  • 馬の文献:運動誘発性肺出血(Sweeney et al. 1990)

    文献 - 2022/11/20

    「サラブレッドの競走タイムに対するフロセマイドの効果」Sweeney CR, Soma LR, Maxson AD, Thompson JE, Holcombe SJ, Spencer PA. Effects of furosemide on the racing times of Thoroughbreds. Am J Vet Res. 1990; 51(5): 772-778.この研究では、サラブレッド競走馬のレースタイムに対する、フロセマイドの効果を検証するため、運動誘発性肺出血(Exercise-induced pulmonary hemorrhage)の発症馬および無発症馬を用いて、フ...

  • 馬の球節骨片でのエコー検査

    話題 - 2022/11/19

    近年、馬の小片骨折の診断において、X線では見逃してしまう骨片でも、エコー検査で発見できることが分かってきました。ここでは、競走馬に好発する球節の小片骨折での、エコー検査の診断能を評価した知見を紹介します。この研究では、米国フロリダ州の馬病院において、2016~2020年にかけて、前肢基節骨の近位背側部に小片骨折を発症して、関節鏡による確定診断と治療が実施された56頭(99箇所の病変)のサラブレッド競走馬におけ...

  • 馬の屈曲試験での影響範囲

    話題 - 2022/11/19

    馬の跛行検査における屈曲試験は、非侵襲性で簡易かつ、迅速、安価に実施できて、疼痛箇所を大まかに限局する手法として有用ですが、実際に、屈曲した影響がどの程度の範囲に及んでいるかは不明瞭です。ここでは、健常馬を用いて、遠位肢の屈曲試験と神経ブロックとの関連性を評価した知見を紹介します。参考文献:Kearney CM, van Weeren PR, Cornelissen BP, den Boon P, Brama PA. Which anatomical region determines a positi...

  • 馬獣医による蹄鉗子の使い方

    話題 - 2022/11/18

    馬の跛行検査では、蹄鉗子を用いて蹄底や蹄叉の圧痛反応を確かめる検査法が有用です。しかし、蹄鉗子の使い方は、検査者によって多様であると予測されます。ここでは、蹄鉗子の使い方を、異なる検査者で比較した知見を紹介します。この研究では、先端にセンサーを取り付けた専用の蹄鉗子を用いて、学生、獣医師、獣医師による、蹄底の四箇所への圧迫を10回ずつ実施して、検査者による圧迫力の差異、および、合意限界の幅を算出する...

  • 馬の文献:運動誘発性肺出血(Pascoe et al. 1985)

    文献 - 2022/11/18

    「サラブレッド競走馬の運動誘発性肺出血に対するフロセマイドの治療効果」Pascoe JR, McCabe AE, Franti CE, Arthur RM. Efficacy of furosemide in the treatment of exercise-induced pulmonary hemorrhage in Thoroughbred racehorses. Am J Vet Res. 1985; 46(9): 2000-2003.この研究では、馬の運動誘発性肺出血(Exercise-induced pulmonary hemorrhage)に対する、有用な予防法(Preventive measures)を検討するため、62頭...

  • 馬の歯冠部分切除術による抜歯法

    話題 - 2022/11/17

    馬の歯科疾患が悪化すると抜歯することになりますが[1,2]、口腔側から引き抜けない場合には、歯根側や側面から摘出する必要があり[3,4]、術後の合併症を起こし易いという問題があります。ここでは、馬の臼歯の歯冠部分切除術を介して、口腔側からの抜歯を行なうという知見を紹介します。参考文献:Rice MK, Henry TJ. Standing intraoral extractions of cheek teeth aided by partial crown removal in 165 horses (2010-2016). E...

  • 馬の経頬壁での歯内螺子抜歯法

    話題 - 2022/11/17

    馬の歯科疾患の治療のために臼歯を抜くときには、口腔側から罹患歯を掴んで引き抜いたり、円鋸孔を開けて歯根側から罹歯を叩き出す手法が用いられますが、罹患歯が感染していたり、亀裂が入っている場合には、これらの手法が使えないケースもあります。ここでは、馬の臼歯の抜歯法として、最小侵襲性の経頬壁アプローチを介した歯内螺子抜歯法(Minimally invasive transbuccal screw extraction: MITSE)について紹介します。参考...

  • 馬の抜歯方法による予後の違い

    話題 - 2022/11/16

    馬の歯科疾患において、保存療法で難治性の場合には、抜歯による根治療法が選択されることもあります。ただ、馬の歯は、歯根が非常に長いため、歯の抜き方によっては、その後に問題が生じる可能性もあります。ここでは、馬の臼歯の抜歯方法の違いが、治療成績や合併症に与える影響を評価した知見を紹介します。この研究では、1997~2013年にかけて、137頭の馬に実施された162箇所の臼歯の抜歯処置における、医療記録の回顧的調査、...

  • 馬の文献:運動誘発性肺出血(Pascoe et al. 1981)

    文献 - 2022/11/16

    「サラブレッド競走馬の運動誘発性肺出血:予備調査」Pascoe JR, Ferraro GL, Cannon JH, Arthur RM, Wheat JD. Exercise-induced pulmonary hemorrhage in racing thoroughbreds: a preliminary study. Am J Vet Res. 1981; 42(5): 703-707.この研究では、馬の運動誘発性肺出血(Exercise-induced pulmonary hemorrhage)の病態把握のため、235頭のサラブレッド競走馬に対して、レース後の二時間以内に上部&下部気道の内視鏡検査...

  • 唾液検査による馬の胃潰瘍の診断

    話題 - 2022/11/15

    馬の胃潰瘍は、有病率の高い消化器疾患であることが知られていますが、特異的な臨床症状に乏しいことから、確定診断のためには内視鏡検査を要します。しかし、胃の内視鏡では、長時間の絶食を要するなど、煩雑さと馬体の負担が大きいという問題があります。一般的には、馬の胃潰瘍には、ウマ扁平胃疾患(ESGD: Equine squamous gastric disease)とウマ腺胃疾患(EGGD: Equine glandular gastric disease)の二種類があり、特に後...

  • 唾液検査による馬の疝痛の予後判定

    話題 - 2022/11/15

    唾液液中に含まれるアルファアミラーゼ(sAA: Salivary alpha-amylase)は、心理的ストレスの指標とされていますが、全身の健康状態が悪化した場合にも増加することが知られています。ここでは、馬のsAA測定値と急性腹症(疝痛)との関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、スペインのエストレマドゥーラ大学の大動物病院において、急性腹症のため来院した疝痛馬33頭と、対照馬22頭における、唾液検査(sAAの濃度と活性...

  • 母馬の肥満と子馬の出生体重の関係

    馬の飼養管理 - 2022/11/14

    近年、サラブレッドの繁殖分野では、子馬の出生体重が増加傾向にあり、生後の子馬への影響も懸念されています。ここでは、母馬の肥満や内分泌機能と、子馬の出生体重との関連性を調査した知見を紹介します。この研究では、英国のロスデール馬病院の研究者たちが、2013年の繁殖期に一つの繁殖牧場を対象として、66頭のサラブレッド繁殖牝馬における体重、体格(BCS)、子馬の出生体重、および、内分泌機能の検査を実施しています。...

  • 英国の障害競走馬での購入前検査

    話題 - 2022/11/14

    一般的に、日本のサラブレッドのセリでは、レポジトリーと呼ばれる事前検査によって、将来的な競走能力に悪影響を与える異常所見が無いかがチェックされています。一方、英国の障害レースに出走するサラブレッド競走馬では、三歳または四歳の時点で購入前検査が実施されており、その検査結果や、セリの結果をまとめた知見も報告されています。この研究では、1998~2006年にかけて、英国の三箇所の生産地において、購入前検査が実施...

  • 馬のストリートネイル手術

    診療 - 2022/11/13

    馬のストリートネイル手術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬のストリートネイル手術(Street nail procedure)は、釘傷などによる感染性舟嚢炎の治療法になります。舟嚢のような滑膜組織では、その内腔に血管が無く、滑液を通して酸素や栄養を届けています。このため、もし釘傷によって雑菌が入ってしまうと、それを貪食する白血球も少数しか動員されないた...

  • 馬の半腱様筋腱切断術

    診療 - 2022/11/13

    馬の半腱様筋腱の切断術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬の後肢に発症する機械性跛行として半腱様筋の線維化筋症(Fibrotic myopathy)があり、歩幅の頭側相で後肢が急激に尾側引張されることで、特徴的な雁様踏着という歩様を示します。この疾患の治療法としては、線維化組織の切除や筋切除術も可能ですが、より侵襲性の少ない術式として、線維化している...

  • 馬の外側指伸筋腱切除術

    診療 - 2022/11/12

    馬の外側指伸筋腱の切除術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬の後肢に発症する機械性跛行として鶏跛(Stringhalt)があり、飛節と膝関節の不随意性過剰屈曲を示す疾患で、球節を高く挙上しながら歩く歩様が見られます(通常は、常歩においてのみ)。そして、鶏跛に対する外科的治療では、外側指伸筋腱の切除術が試みられることがありますが、鶏跛歩様の改善度...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Giguere et al. 2010)

    文献 - 2022/11/12

    「マクロライド系抗生物質およびリファンピンへの耐性を持つロドコッカスエクイ菌の発生率の判定と、抗生物質耐性のロドコッカスエクイ菌に感染した子馬における治療成績」Giguere S, Lee E, Williams E, Cohen ND, Chaffin MK, Halbert N, Martens RJ, Franklin RP, Clark CC, Slovis NM. Determination of the prevalence of antimicrobial resistance to macrolide antimicrobials or rifampin in Rhodococcus equi isolates an...

  • 直腸壁を介した馬の大結腸の減圧術

    話題 - 2022/11/11

    直腸壁を介した馬の大結腸の減圧術が試みられています。一般的に、馬の盲腸鼓脹症に対しては、経皮的な減圧術の応用が可能で、また、大結腸左方変位による腎脾間捕捉においても、経皮的に大結腸を穿刺およびガス吸引する治療法が報告されています。そして、今回の研究では、大結腸の鼓脹症に対する潜在的治療法として、直腸壁を介した減圧術が試みられています。この研究では、直腸内で安全に穿刺針を操作するため、針の出し入れが...

  • 凝血弾性解析法の馬への臨床応用

    話題 - 2022/11/11

    馬に対する凝血弾性解析法の応用について一般的に、疝痛馬における血液凝固障害は、播種性血管内凝固(DIC)、蹄葉炎、血栓性静脈炎などの合併症につながり、予後を悪化させる要因になることが知られています。そして、馬の止血機能の評価では、血小板数、線維素原濃度、プロトロンビン時間、抗トロンビン活性、線維素原分解産物濃度、等の指標が測定されます。しかし、これらの血漿成分を基調とした凝集分析では、血液凝固の過程...

  • 馬の仙腸関節のエコー検査

    話題 - 2022/11/10

    馬の仙腸関節部の疼痛は、後躯跛行の原因になることが知られており、原因疾患としては、仙腸関節の不安定症、仙腸靭帯炎、背最長筋腱炎、骨盤の疲労骨折などが含まれます。馬の仙腸関節は、X線検査での評価が難しいため(全身麻酔下での背臥位であれば撮影可能)、診断麻酔による疼痛限局を除けば、エコー検査が数少ない診断方法になります(海外ではシンチグラフィー検査が有用)。ここでは、馬の仙腸関節部の解剖学的構造とエコ...

  • 馬の蹄踵部のエコー検査

    話題 - 2022/11/10

    馬の蹄踵痛を起こす病態の多くは、X線画像では発見できない事から、近年、欧米諸国では、高磁場MRI検査によって診断されています。しかし、日本では、蹄病の画像診断に応用できる高磁場MRI機器は殆どないのが現状です。ここでは、蹄踵痛の病変における、高磁場MRI検査とエコー検査を比較した知見を紹介します。この研究では、ベルギーのリエージュ大学の馬病院において、2016~2019年にかけて、蹄踵痛の診断と治療のために来院した...

  • 馬の腸間膜脈管のエコー検査

    話題 - 2022/11/09

    馬の獣医療におけるエコー検査は、非侵襲性で、迅速かつ簡易に実施できる画像診断法として、多様な疾患での病態精査のために有用であると言えます。ここでは、馬の消化器疾患の診断法として、腸間膜の脈管組織のエコー検査を評価した知見を紹介します。この研究では、英国とスペインの馬病院において、2013~2017年にかけて、大腸または小腸の疾患を呈した疝痛馬54頭における、エコー検査所見の回顧的調査が行なわれました。参考文...

  • 馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Reuss et al. 2009)

    文献 - 2022/11/09

    「子馬のロドコッカスエクイ菌感染による肺以外の病変:1987~2007年の150症例」Reuss SM, Chaffin MK, Cohen ND. Extrapulmonary disorders associated with Rhodococcus equi infection in foals: 150 cases (1987-2007). J Am Vet Med Assoc. 2009; 235(7): 855-863.この研究では、子馬のロドコッカスエクイ感染(Rhodococcus equi infection)における肺以外の疾患(Extrapulmonary disorders)の病態把握のため、1987~2007年...

  • 馬の深屈腱の“半切断術”

    話題 - 2022/11/08

    馬の蹄葉炎の外科的治療では、深屈腱の切断術(切腱術)が行なわれますが、腱の機能が完全に損失することで、運動能力低下や蹄関節不安定性などの副作用があります。ここでは、切腱術の変法として、深屈腱の“半切断術”(Hemitenotomy)をしたときの効果を評価した知見を紹介します。この研究では、屠体肢を用いた実験によって(15対の深屈腱、16対の前肢)、深屈腱を二箇所で半切断(背側半分と掌側半分を切断、3cm間隔)または完...

  • 馬の切腱術の予後

    診療 - 2022/11/08

    馬の慢性蹄葉炎に対する外科的治療としては、深屈腱の切断術(切腱術)が挙げられますが、ここでは、切腱術のあとの予後に関する知見を紹介します。参考文献:Bras RJ. Life After Deep Digital Flexor Tenotomies: How to manage hoof lameness II. Proc AAEP, 2020(66), 398-403.一般的に、馬の慢性蹄葉炎において、蹄骨の変位が進行してしまい、適切な装蹄療法を施しているにも関わらず、十分な蹄壁伸長が認められない症例に対...

  • 馬の切腱術の術式

    診療 - 2022/11/07

    馬の深屈腱の切断術(切腱術)についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。馬の切腱術は、管部中央部または繋部での施術が可能で、どちらの手法でも、深屈腱から蹄骨に掛かる緊張力を緩和する効果が期待されます。しかし、通常は、管部中央部での切腱術が選択される場合が多く、その要因としては、手技が簡易であること、立位での施術が可能であること、腱鞘組織への侵襲...

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    診療 - 2022/11/07

    蹄葉炎の馬において、いつ切腱術を実施するかは迷い処なのかもしれません。ここでは、馬の切腱術を実施するタイミングについての知見を紹介します。参考資料:Christa Leste-Lasserre, MA. Well-Timed Tenotomy Can Save Laminitic Horses’ Lives. The Horse, Topics, AAEP Convention 2020, Article, Hoof Care, Hoof Problems, Horse Care, Lameness, Laminitis (Founder), Lower Limb, Vet and Professional: Jan13, 2021.馬の...

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Author:Rowdy Pony
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