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アルファルファに関する4つの誤解

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馬の飼料としてのアルファルファには、栄養学的なメリットが多いのですが、一方で、幾つかの誤解も持たれているようです。ここでは、アルファルファ乾草に関して、よく耳にする4つの誤解を紹介します。

参考資料:
Heather Smith Thomas. Four Misconceptions About Alfalfa. The Horse, Topics, Article, COPD, Heaves & RAO, Cushing's Disease, Hay, Kidney Problems, Laminitis (Founder), Metabolic Syndrome, Nutrition, Nutrition Basics, Other Respiratory Problems, Pasture and Forages, Polysaccharide Storage Myopathy (PSSM), Sports Medicine, Sports Nutrition: Jan 25, 2021.



誤解1:馬にアルファルファを給餌すると腎不全になる

一般的に、腎不全の病態を持つ馬では、蛋白質の多給は好ましくありません。一方で、マメ科牧草であるアルファルファは、チモシーなどのイネ科牧草に比較して、蛋白質の含有量が多いことが知られているため、腎臓に悪いのではないかという認識が生まれています。しかし、ケンタッキー大学の牧草の専門家であるスミス・レイ博士によると、健常な馬であれば、たとえ、アルファルファ給餌によって、蛋白質の摂取量が、一日の必要量を上回ったとしても、その蛋白質を代謝および排出するのに問題はないと述べています(重度の脱水症状を起こしていない限りは)。このため、既に腎不全を患っている馬に対しては、アルファルファの給餌を控える事はありますが、アルファルファを摂取すること自体が腎不全の原因になることはないと言われています。



誤解2:アルファルファは馬を短気にする

アルファルファは、他の乾草よりもエネルギー含有量が高い傾向にあるため、アルファルファを給餌することで、馬の気性が短気で怒りっぽくなるという見解もあるようです。しかし、ミネソタ大学動物学部のクリショナ・マーティンソン博士は、この見解を裏付ける科学的なエビデンスは無いと述べており、もし、アルファルファを必要以上の多量を給餌してしまった場合には、摂取カロリー量が過剰になり、なおかつ、運動量が不足している場合には、そのような気性の変化が起こり得るかもしれないと提唱しています。一方、マーティンソン博士は、運動不足の馬にアルファルファを多給した際には、過肥になることがより重大な問題だという警鐘を鳴らしています。

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誤解3:アルファルファは非構造炭水化物を多く含む

一般的に、馬が代謝性疾患を患っていたり(馬メタボ症候群、蹄葉炎、クッシング病、多糖類貯蔵性筋症)、肥満である場合には、非構造炭水化物(Nonstructural carbohydrate)を多く含んでいる飼料を給餌するのは好ましくないと言われています。しかし、マーティンソン博士によると、アルファルファよりも寒地型牧草(チモシーやオーチャードグラス等)のほうが、非構造炭水化物の含有量が高いことも多いと述べており、代謝性疾患の持病がある馬に対しては、むしろ、濃厚飼料や寒地型牧草を減らして、アルファルファの給餌量を増やすのが好ましいケースもある(各牧草の栄養組成は土壌や気候によって多様性がある)と提唱しています。



誤解4:アルファルファは息労馬の呼吸器症状を悪化させる

馬の息労とは、下部気道のアレルギー反応によって、ヒトの喘息に類似した、気道浸出液の増量や呼吸困難を呈する疾患です。そして、息労馬にアルファルファを給餌すると、咳をする徴候が増えることもあるため、アルファルファは呼吸器病態を悪化させるという認識を持たれてきたようです。しかし、そのような発咳症状は、アルファルファそのものではなく、アルファルファが出るホコリやカビ胞子に起因すると考えられています。なぜなら、アルファルファは他の乾草に比べて、乾燥しすぎると細片になり易く、その結果、細かい牧草ダストの量が増えるからです。一方で、アルファルファは乾きにくいという特徴もあり、もし保存状態が悪くて湿り気を帯びてしまった際には、それが完全に乾燥するまでの時間は、他の乾草より12~24時間も長いことが知られており、そのような湿潤環境がカビの増殖を促して、アルファルファに含まれるカビ胞子の量を増加させることも懸念されています。つまり、アルファルファ自体が息労を悪化させたり、上部気道に悪影響を及ぼす訳ではなく、適切に保存および管理されているアルファルファであれば、息労馬に給餌しても問題ないと提唱されています。

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このエントリーのタグ: 飼料 飼養管理 行動学 蹄葉炎

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