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ポニーのダイエット方法

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一般的に、馬の品種のなかでも、ポニーは肥満を起こし易いことで知られており、また、肥満による蹄葉炎や高脂血症などの健康障害を続発しやすいと言われています。ここでは、体格の小さいポニーのダイエット方法に関する知見を紹介します。

参考資料:
Fat Horse Slim. A practical guide for managing weight loss in horses: Blue Cross.
Five Tips To Help A Smaller Pony Lose Weight. ILoveHorses, Horse Care: Oct15, 2016.
Jones E. Vets’ top tips for vital winter weight loss. Horse & Hound, Features: Jan19, 2021.
Susie W. The Biggest Loser: Horse Weight Loss Guide for Beginners. Horse Rookie.



ダイエット方法1:正確な飼料計算をする

ポニーのダイエット方法を考える場合、まず、そのポニーが肥満であるか否かを判断する必要があり、そのためには、既定の基準に則ってボディコンディションスコアを算出します。このスコアシステムでは、腹部や背部の体脂肪の付き方などに基づいて、此処のスコアが定義づけされています。そして、ボディコンディションスコアが、9段階中の7以上であれば、ダイエットが必要であると考えられます(スコアが4~6が健常範囲内)。

次に、正しいダイエットを行なうためには、正しい量と内容の飼料を給餌する必要があり、それを計算するためには、できるだけ正確な体重を計測する必要があります。一般的に、馬の体重は、体長と胸囲を計測して、それを既定の公式に当てはめて算出します。そして、算出された体重の1.5%を一日の総給餌量とすることが一般的ですが、既に蹄葉炎を発症しているポニーの場合には、体重の1.3%を総給餌量とします。なお、体高(地面からキ甲までの高さ)から理想体重を予測して、それに基づいて給餌量を算出する方針もありますが、その場合、特に重度の過肥状態の個体では、摂取カロリー量が基礎代謝量を下回ってしまい、代謝系に悪影響を及ぼすリスクがあるため、現体重を基に飼料計算する方針が推奨されます。

飼料内容に関しては、騎乗運動をしない愛玩ポニーであれば、総給餌量の全量を粗飼料としても問題ありませんが、週二回以上、騎乗使役されるポニーであれば、総給餌量の1/3まで(体重の0.5%まで)を、穀物やペレットなどの濃厚飼料とすることが一般的です。粗飼料は、チモシーやスーダングラス等のイネ科の乾草を主体とし、マメ科の乾草(アルファルファ)やヘイキューブは、粗飼料全体の1/4までとすることが推奨されます。また、粗飼料の1/3までを藁に置き換えることで、更に摂取カロリー量を抑える指針もありますが、消化管のガス産生が増加する危険があるため(風気疝のリスク増)、徐々に飼料変更していくことが大切です。そして、おやつの給与は厳重に制限して、飼料計算以上のカロリー摂取が起きないよう留意します。

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ダイエット方法2:給餌方法を工夫する

ダイエット中のポニーに対しては、給餌回数を増やして、飼い付けごとの飼料給餌量を少なくすることが推奨されています。この際、スローフィーダーを使って給餌することで、完食するまでに時間が掛かるようにする方策もあります(下記リンク)。また、乾草を床に置くときに、一箇所ではなく、馬房の四隅に置くだけでも、摂食に時間を掛けさせることが可能です。そして、もし可能であれば、乾草は半日(12時間)ほど水に浸してから給餌することで(浸した水は捨てること)、糖質を溶かし出して、給与エネルギー量を更に抑えることが出来ます。





ダイエット方法3:十分に運動させる

肥満のポニーをダイエットさせるには、食餌制限だけでなく、運動を十分に課すことが必須となります。このため、騎乗しない日であっても(もしくは騎乗できないサイズのポニーであっても)、調馬索による運動を規則正しく実施するようにします。また、運動負荷によって馬体の筋肉量を増やすことで、基礎代謝量を増加させ、ポニーに好発するメタボリック症候群を予防する効果も期待できます。そして、放牧をおこなう際には、複数のポニーを一緒に放牧したり、放牧場での遊具を与えるなどして、出来る限り運動量を増やす工夫をしましょう。

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ダイエット方法4:厚着を避ける

一般的に、草食動物である馬は、消化器での発酵による発熱作用が大きいため、寒冷な気候に強いという特徴があります。このため、秋季から冬季にかけても、馬着やブランケットを厚着させるのは避け、体温恒常性のためのカロリー消費機構を維持するようにします。通常、最低気温が4℃を下回らない限り、馬着の装着は不要であると言われています。同様な理由で、冬毛と夏毛の刈毛も必ず実施することで、常に熱産生によるカロリー消費が起こるように努めます。また、年間を通して、体毛を短く保つことで、ボディコンディションスコアの評価が容易となるというメリットもあります。

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ダイエット方法5:牧草摂食に留意する

年間を通して牧草地に放牧するポニーにおいては、牧草の摂食によるカロリー摂取を考慮したうえで総給餌量を調節する必要があります。特に、晩冬から初春にかけての牧草では、糖質の含有量が驚くほど増加するうえ、新芽の増勢により馬の嗜好性も増すことが知られています。対策としては、一日当たりの放牧時間を制限したり、放牧用の口カゴ(Grazing muzzle)を装着させて、牧草を少量しか摂食できないように工夫する方法もあります(下記リンク)。また、日光に当らない時間帯の牧草は、糖質の含有量が減少することから、夜間のみ放牧をする飼養管理法も提案されています。





ポニーのダイエットにおいては、正確な飼料計算によって、適切な飼養管理に努めることに加えて、放牧や調馬索運動を介して、カロリー消費量を維持することも重要になってきます。ダイエットの目的として、体重の減少だけではなく、健康な馬体をつくっていく事にも留意することが重要だと言えます。

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