馬の文献:息労(Bertin et al. 2011)
文献 - 2022年10月10日 (月)
「回帰性気道閉塞の罹患馬に対する二種類の保持式投与器具による噴霧化アルブテロールの効能の比較」
Bertin FR, Ivester KM, Couetil LL. Comparative efficacy of inhaled albuterol between two hand-held delivery devices in horses with recurrent airway obstruction. Equine Vet J. 2011; 43(4): 393-398.
この研究では、馬の回帰性気道閉塞(Recurrent airway obstruction)(息労:Heaves)に有用な治療法を検討するため、十頭の回帰性気道閉塞の罹患馬を用いて、カビた乾草(Moldy hay)の給餌および藁敷料に曝露することで呼吸器症状を誘発(Induction of respiratory signs)してから、二種類の保持式投与器具(Hand-held delivery device)による噴霧化アルブテロール(Inhaled albuterol)の吸引投与を行った後、肺機能(Pulmonary function)の評価が行われました。
結果としては、いずれの投与器具による噴霧化アルブテロール投与においても、肺内外圧差(Transpulmonary pressure)および肺抵抗(Pulmonary resistance)の減退を呈する、気管支拡張(Bronchodilation)が達成され、これらの肺機能の指標には、二種類の投与器具のあいだで、有意差は認められませんでした。このため、回帰性気道閉塞の罹患馬に対しては、保持式投与器具によるアルブテロールの吸引療法(Inhalation therapy)によって、良好な肺機能の向上が期待できることが示唆されました。
この研究では、噴霧化アルブテロールの吸引投与に際して、AeroHippusという細い筒状の容器を持つ器具と、Equine Halerという楕円形をした瓶型の容器を持つ器具が比較されており、肺抵抗の改善度合いを見ると、AeroHippusのほうがEquine Halerに比べて、やや優れている傾向(Tendency)が認められました(P値は0.07)。しかし、このような効能の差異が生じた理由については、この論文内では明瞭には結論付けられていませんでした。
一般的に、馬の回帰性気道閉塞の治療では、管理法改善(Management improvement)によってアレルギー抗原への曝露を最小限に減らすことを、最優先の治療指針にするべきであると提唱されています。そして、今回の論文の考察でも、アルブテロールなどの気管支拡張剤は、呼吸器症状がどうしても制御できない場合の“レスキュー薬”(Rescue medication)として使用するべきであり、またその時には、コルチコステロイド等の抗炎症剤と併用することが強く推奨されています。
Copyright (C) nairegift.com/freephoto/, freedigitalphotos.net/, ashinari.com/ All Rights Reserved.
Copyright (C) Akikazu Ishihara All Rights Reserved.
関連記事:
馬の病気:息労
Bertin FR, Ivester KM, Couetil LL. Comparative efficacy of inhaled albuterol between two hand-held delivery devices in horses with recurrent airway obstruction. Equine Vet J. 2011; 43(4): 393-398.
この研究では、馬の回帰性気道閉塞(Recurrent airway obstruction)(息労:Heaves)に有用な治療法を検討するため、十頭の回帰性気道閉塞の罹患馬を用いて、カビた乾草(Moldy hay)の給餌および藁敷料に曝露することで呼吸器症状を誘発(Induction of respiratory signs)してから、二種類の保持式投与器具(Hand-held delivery device)による噴霧化アルブテロール(Inhaled albuterol)の吸引投与を行った後、肺機能(Pulmonary function)の評価が行われました。
結果としては、いずれの投与器具による噴霧化アルブテロール投与においても、肺内外圧差(Transpulmonary pressure)および肺抵抗(Pulmonary resistance)の減退を呈する、気管支拡張(Bronchodilation)が達成され、これらの肺機能の指標には、二種類の投与器具のあいだで、有意差は認められませんでした。このため、回帰性気道閉塞の罹患馬に対しては、保持式投与器具によるアルブテロールの吸引療法(Inhalation therapy)によって、良好な肺機能の向上が期待できることが示唆されました。
この研究では、噴霧化アルブテロールの吸引投与に際して、AeroHippusという細い筒状の容器を持つ器具と、Equine Halerという楕円形をした瓶型の容器を持つ器具が比較されており、肺抵抗の改善度合いを見ると、AeroHippusのほうがEquine Halerに比べて、やや優れている傾向(Tendency)が認められました(P値は0.07)。しかし、このような効能の差異が生じた理由については、この論文内では明瞭には結論付けられていませんでした。
一般的に、馬の回帰性気道閉塞の治療では、管理法改善(Management improvement)によってアレルギー抗原への曝露を最小限に減らすことを、最優先の治療指針にするべきであると提唱されています。そして、今回の論文の考察でも、アルブテロールなどの気管支拡張剤は、呼吸器症状がどうしても制御できない場合の“レスキュー薬”(Rescue medication)として使用するべきであり、またその時には、コルチコステロイド等の抗炎症剤と併用することが強く推奨されています。
Copyright (C) nairegift.com/freephoto/, freedigitalphotos.net/, ashinari.com/ All Rights Reserved.
Copyright (C) Akikazu Ishihara All Rights Reserved.
関連記事:
馬の病気:息労