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馬の文献:ロドコッカスエクイ肺炎(Ainsworth et al. 1998)

「子馬のロドコッカスエクイ感染における臨床症状、検査結果、レントゲン所見と、治療成績およびその後の競走能力との関係:1984~1992年の115症例」
Ainsworth DM, Eicker SW, Yeagar AE, Sweeney CR, Viel L, Tesarowski D, Lavoie JP, Hoffman A, Paradis MR, Reed SM, Erb HN, Davidow E, Nalevanko M. Associations between physical examination, laboratory, and radiographic findings and outcome and subsequent racing performance of foals with Rhodococcus equi infection: 115 cases (1984-1992). J Am Vet Med Assoc. 1998; 213(4): 510-515.

この研究では、子馬のロドコッカスエクイ感染(Rhodococcus equi infection)における予後判定方針を検討するため、1984~1992年にかけて、ロドコッカスエクイ感染を呈した115頭の子馬の、臨床症状、検査結果、レントゲン所見(Physical examination, laboratory, and radiographic findings)と、治療成績(Outcome)およびその後の競走能力(Subsequent racing performance)との関係が評価されました。

結果としては、115頭の患馬のうち、安楽死(Euthanasia)となったのは32頭で、生存率(Survival rate)は72%(83/115頭)であった事が示されました。そして、生存馬のうちレース出走を果たしたのは54%(45/83頭)に留まりましたが(健常な子馬でレース出走するのは約65%)、初診時の検査所見と競走デビューの有無とのあいだには、有意な相関は認められませんでした。さらに、レース出走を果たした馬の競走能力は(レース使役された年数、総獲得賞金、年平均の獲得賞金、etc)、競走馬人口の全体におけるそれと、有意な差はありませんでした。このため、ロドコッカスエクイ感染を起こした子馬では、その予後は中程度(約七割の生存率)で、回復後にもレース出走を達成する確率が低下する(約五割の競走デビュー率)というデータが示されましたが、レース出走した馬に限って言えば、競走能力の低下にはつながらない事が示唆されました。

この研究では、非生存馬は生存馬に比べて、頻脈(Tachycardia: >100bpm)、呼吸困難(Respiratory distress)、レントゲン像上での重度異常(Severe radiographic abnormalities)などを示している割合が有意に高かったものの、両群のあいだで、血液検査の結果には有意差は認められませんでした。一方、子馬のロドコッカスエクイ感染に関する他の文献では、白血球数(White blood cell count)、血小板数(Platelet count)、フィブリノーゲン濃度(Fibrinogen concentration)などの検査値が、予後の良し悪しと有意に相関(Significant correlation)して、予後判定の指標(Prognostic parameter)になりうるという知見も示されています(Falcon et al. JAVMA. 1985;186:593)。

この研究では、ロドコッカスエクイ感染を呈した子馬における斃死率は28%でしたが、1960~1980年代に発表された論文では、この斃死率は80%近く(生存率が二割程度)に達していました(Bain. Aust Vet J. 1963;39:116, Elissalde et al. Comp Immunol Microbiol Infect Dis. 1980;3:433)。これは、獣医学の進歩に伴って、効力の高い抗生物質の使用や(エリスロマイシンとリファンピンの併用投与、etc)、初乳(Colostrum)を確実に与えることで移行免疫不全(Failure of passive transfer)の予防に努めるなど、様々な治療および予防法が確立された事に起因すると考えられました。

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