fc2ブログ
RSS

馬の会陰尿道切開術

20221013_Blog_Clinic229_PernlUrethrtmy_Pict1.jpg

馬の会陰尿道切開術についてまとめてみます。あくまで概要解説ですので、詳細な手技については成書や論文を確認して下さい。

オス馬における、尿道の坐骨湾曲部の会陰尿道切開術は、膀胱結石の摘出、血尿症の治療、および、尿道結石や陰茎腫瘍による尿路閉塞の整復のために実施されます。通常は、起立位で施術され、鎮静と硬膜外麻酔(会陰皮膚の浸潤麻酔を要することも)のあと、術部の剃毛と消毒を実施します。

そして、会陰縫線上で肛門から2~3cm下方に皮膚切開層を設け(約6~8cm長)、陰茎後引筋、球海綿体筋、尿道海綿体を切開することで尿道にアプローチして、尿道粘膜を切開します。個体によっては、尿道が深部を走行していたり、正中線上に無いこともあるため、術前に尿道カテーテルを挿入しておくことで、術中に尿道の位置を特定するのが容易になります。正中から離れた箇所を深部切開する際には、外陰部動脈の分枝を傷付けないよう注意します。

20221013_Blog_Clinic229_PernlUrethrtmy_Pict2.jpg

尿道に到達した後は、会陰切開創の上下の長さを、尿道粘膜の切開創よりも長くしておき、尿の排出路を漏斗状にしておくことで、皮下識に尿が貯留してしまうのを予防できます。もし、結石の摘出や血尿の治療の目的で、一過性の排尿処置のみを要する症例では、尿道切開部は開放創として、二次性癒合を促します。通常は、術後の二週間で、創部の癒合閉鎖が見られます。

もし、陰茎腫瘍による尿路閉塞の目的で、持続的な排尿処置を要する症例では、切開した尿道粘膜を反転させて、皮膚と縫合することで、永続的な排尿路を形成します。術後は、尿道切開創が肉芽形成によって拘縮・閉鎖しないように、フォーレーカテーテルを留置します。術後には、カテーテルによる膀胱炎を起こすケースが多いため、一日二回はカテーテルを通して生食を注入して、膀胱洗浄を施すことが有用です。

20221013_Blog_Clinic229_PernlUrethrtmy_Pict3.jpg

Copyright (C) nairegift.com/freephoto/, freedigitalphotos.net/, pakutaso.com/, picjumbo.com/, pexels.com/ja-jp/ All Rights Reserved.
Copyright (C) Akikazu Ishihara All Rights Reserved.

参考文献:
Kilcoyne I, Dechant JE. Complications associated with perineal urethrotomy in 27 equids. Vet Surg. 2014 Aug;43(6):691-6.

関連記事
このエントリーのタグ: 手術

プロフィール

Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: アラフィフ
住所: 北関東
職業: 獣医師・獣医学博士
叩けよ、さらば開かれん!

質問、御意見、記事の要望等は下記まで
E-mail: rowdyponies@gmail.com

最新記事

ブログメニュー

サイト内タグ一覧

推薦図書

FC2カウンター

関連サイト

リンク

カレンダー

09 | 2023/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

馬獣医療機器

月別アーカイブ

お断わり

20130414_Blog_Message_Pict1.jpg
このサイトに掲載されているイラスト、画像、文章は、すべて管理主自身が作成したもの、もしくは、著作権フリーの素材リンクから転載したものです。

カテゴリ

ホースケア用品

全記事表示リンク

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
46位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
7位
アクセスランキングを見る>>

FC2ブログランキング

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

検索フォーム

関連サイト

QRコード

QR