fc2ブログ
RSS

馬の眼科検査6:眼底鏡検査

20220801_Blog_Clinic146_OpthExam06_Pict1.jpg

眼底鏡検査(Ophthalmoscopy)について。

眼底鏡を介して、硝子体(Vitreous)、網膜(Retina)、視神経(Optic nerve)などの眼底(Fundus)にある組織の視診を行う診断法で、直接眼底鏡検査(Direct ophthalmoscopy)と間接眼底鏡検査(Indirect ophthalmoscopy)の二つの手法が用いられます。眼底鏡検査は、散瞳薬(Mydriasis)を点眼投与を要するため、威嚇反射試験(Menace response examination)や瞳孔反射試験(Pupillary response examination)などの終了後に行われることが一般的です。

直接眼底鏡検査(上記写真)の利点としては、簡易かつ素早い検査が出来ること、正立像(Upright image)での眼底の視診が可能であること、高い拡大率(Magnification)が使用できること、屈折度数(Dioptric power)の調節が出来ること、などが挙げられます。直接眼底鏡検査の欠点としては、作動距離(Working distance)が短いため馬の頭部に接近しなくてはならないこと、検査視野が狭いこと、立体視(Stereopsis)が出来ないこと、眼底周囲部(Peripheral fundus)の視診が難しいこと、視軸(Visual axis)が不明瞭な場合に像の歪み(Image distortion)を生じやすいこと、などが挙げられます。

20220801_Blog_Clinic146_OpthExam06_Pict2.jpg

間接眼底鏡検査(上記写真)は、検査眼のすぐ前にレンズを保持し、術者の頭部に設置した光源を介して眼底の視診を行う手法で、その利点としては、検査視野が広いこと、作動距離が長いため馬の頭部から安全な距離を取って検査が出来ること、両眼性検査器(Binocular indirect ophthalmoscopy)を使用することで立体視が可能であること(下記写真)、眼底周囲部の視診が容易であること、などが挙げられます。間接眼底鏡検査の欠点としては、検査機器が高価であること(特に両眼性検査器)、反転および逆転像(Inverted and reversed image)での検査であるため術者の充分な経験を要すること、などが挙げられます。

20220801_Blog_Clinic146_OpthExam06_Pict3.jpg

硝子体の異常所見と示唆される病態:
(1)黄~橙色の濁り(Yellow to orange haze)= 慢性の馬回帰性ブドウ膜炎(Equine recurrent uveitis)。
(2)腫瘤(Mass)= 眼内腫瘍(Intraocular neoplasia)(かなり稀な病態)。
(3)灰色鎖状組織(Grey strand tissue within vitreous)= 牽引性網膜剥離(Traction retinal detachment)の病因となる牽引帯(Traction band)。

20220801_Blog_Clinic146_OpthExam06_Pict4.jpg

網膜の異常所見と示唆される病態:
(1)にごった灰色の網膜病変(Hazy grey retinal lesion)= 部分網膜剥離(Partial retinal detachment)。多くが慢性の馬回帰性ブドウ膜炎や鈍性外傷(Blunt trauma)に起因。
(2)垂れ幕状の網膜組織が硝子体内部へ伸展している所見(Floating veil of retinal tissue extending into vitreous)= 完全網膜剥離(Complete retinal detachment)。多くが慢性の馬回帰性ブドウ膜炎や鈍性外傷に起因。
(3)多巣性色素脱失(Mutifocal depigmentation)(上記写真)= 馬回帰性ブドウ膜炎、寄生虫迷入(Parasite migration)、緑内障(Glaucoma)。
(4)乳頭周囲色素脱失(Peripapillary depigmentation)(いわゆる蝶様病巣:Butterfly-like lesion)= 馬回帰性ブドウ膜炎、緑内障。
(5)広汎性色素脱失(Diffuse depigmentation)= 脈絡網膜炎(Chorioretinitis)、網膜剥離。

20220801_Blog_Clinic146_OpthExam06_Pict5.jpg

視神経の異常所見と示唆される病態:
(1)視神経の白~灰色化= 視神経萎縮(Optic nerve atrophy)。
(2)視神経の肥大化(Optic nerve enlargement)= 視神経炎(Optic neuritis)。
(3)限局性腫瘤(Focal mass)= 進行性視神経症(Progressive optic neuropathy)。
(4)視神経全体の腫瘤(Mass in entire optic nerve)= 滲出性視神経症(Exudative optic neuropathy)、視神乳頭浮腫(Pupillary edema)、視神経炎。

20220801_Blog_Clinic146_OpthExam06_Pict6.jpg

Photo courtesy of Gilger BC, Equine Ophthalmology, 2005, Elsevier Saunders, St Louis, Missouri (ISBN: 978-0-7261-0522-7).



関連記事
このエントリーのタグ: 検査

プロフィール

Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: 40代
住所: 茨城県
職業: 獣医師・獣医学博士
叩けよ、さらば開かれん!

取り上げて欲しいトピックがあれば下記まで
E-mail: rowdyponies@gmail.com

最新記事

ブログメニュー

サイト内タグ一覧

推薦図書

FC2カウンター

関連サイト

リンク

カレンダー

01 | 2023/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 - - - -

馬獣医療機器

月別アーカイブ

お断わり

20130414_Blog_Message_Pict1.jpg
このサイトに掲載されているイラスト、画像、文章は、すべて管理主自身が作成したもの、もしくは、著作権フリーの素材リンクから転載したものです。

カテゴリ

ホースケア用品

全記事表示リンク

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
学問・文化・芸術
88位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
自然科学
10位
アクセスランキングを見る>>

FC2ブログランキング

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

検索フォーム

関連サイト

QRコード

QR