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馬の眼瞼の局所麻酔法

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眼瞼の無痛化(Eyelid analgesia)について

眼科検査および眼周囲の外科手術においては、一般的に眼瞼の無痛化(Analgesia)と無動化(Akinesia)の両方が必要とされ、このうち眼瞼の無痛化は、感覚神経の局所麻酔(Regional block of sensory nerve)によって達成されます。眼瞼の感覚は、三叉神経(Trigeminal nerve)の眼分枝(Ophthalmic branch)および上顎分枝(Maxillary branch)によって支配され、三叉神経の眼分枝からは前頭神経(Frontal nerve)、涙腺神経(Lacrimal nerve)、滑車下神経(Infratrochlear nerve)の三本が分岐し、三叉神経の上顎分枝からは頬骨神経(Zygomatic nerve)が分岐しています。

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前頭神経は上眼瞼の中央部三分の二(Central two thirds of upper eyelid)の感覚支配を担っており(最上図)、前頭神経の局所麻酔はこの神経が前頭骨(Frontal bone)の眼窩上孔(Supraorbital foramen)から出現する部位で行われます。この際には、親指と中指で眼窩上突起(Supraorbital process)の頭側および尾側縁を触知し、二本の指を内側へと滑らせて眼窩上突起が拡大し始める部位で止め、人差し指で親指と中指の中間点を押さえた位置において、眼窩上孔が骨表面の凹みとして触診されます(上記写真)。前頭神経の局所麻酔では、この眼窩上孔の内部もしくはすぐ近辺に25G-5/8inchの針を挿入し、1~2mLの麻酔薬を注射します(下記写真)。

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涙腺神経は外側上眼瞼(Lateral upper eyelid)の感覚支配を担っており(最上図)、涙腺神経の局所麻酔は眼窩縁の外側三分の一(Lateral one third of orbital rim)における線状麻酔(Line block)によって行われます(下記写真)。

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滑車下神経は内側眼角(Medial canthus)の感覚支配を担っており(最上図)、滑車下神経の局所麻酔は眼窩縁の背側部位(Dorsal orbital rim)より内側において、この神経が滑車溝(Trochlear notch)の表面を走行する部位において行われます(下記写真)。

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頬骨神経は外側下眼瞼の大部分(Most of Lateral lower eyelid)の感覚支配を担っており(最上図)、頬骨神経の局所麻酔は眼窩縁の腹外側部位(Ventrolateral orbital rim)における線状麻酔(Line block)によって行われます(下記写真)。

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眼瞼の無動化(Eyelid akinesia)について

眼科検査および眼周囲の外科手術においては、一般的に眼瞼の無痛化(Analgesia)と無動化(Akinesia)の両方が必要とされ、このうち眼瞼の無動化は、運動神経の局所麻酔(Regional block of motor nerve)によって達成されます。眼瞼の運動は、耳介眼瞼神経(Auriculopalpebral nerve)によって支配されており、眼瞼の無動化では耳介眼瞼神経そのもの、もしくは耳介眼瞼神経の眼瞼分枝(Palpebral branch)の神経麻酔が行われます。

耳介眼瞼神経の局所麻酔は、耳根部のすぐ頭側の陥没部位(Depression just anterior to the base of ear)において、下顎鉤状突起の尾側縁(Caudal border of mandible coronoid process)と側頭骨の頬骨突起(Zygomatic process of temporal bone)が交差する部位で行われます(最上記写真の青矢印)。

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眼瞼分枝の局所麻酔は、尾側頬骨弓の最上点のすぐ外側部位(Just lateral to the highest point of caudal zygomatic arch)で行われます(最上記写真の赤矢印)。この位置では、頬骨弓背側縁を走行する神経を、指先で弾くように触知できます(上図)。

また、眼瞼分枝の局所麻酔は、前頭骨突起の尾側(Caudal to the bony process of frontal bone)において、この神経が頬骨弓の表面を走行する部位で行うこともできます(最上記写真の黒矢印)。

Photo courtesy of Gilger BC, Equine Ophthalmology, 2005, Elsevier Saunders, St Louis, Missouri (ISBN: 978-0-7261-0522-7).

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