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馬の文献:運動誘発性肺出血(Manohar et al. 1997)

「劇的運動しているサラブレッドにおける様々な濃度のフロセマイド投与後の肺脈管圧」
Manohar M, Goetz TE, Sullivan E, Griffin R. Pulmonary vascular pressures of strenuously exercising Thoroughbreds after administration of varying doses of frusemide. Equine Vet J. 1997; 29(4): 298-304.

この研究では、馬の運動誘発性肺出血(Exercise-induced pulmonary haemorrhage)に有用な予防法を検討するため、七頭の健常なサラブレッドを用いて、様々な濃度のフロセマイド投与から四時間後のトレッドミル上での劇的運動(Strenuous exercise)における、肺脈管圧(Pulmonary vascular pressure)の測定および内視鏡検査(Endoscopy)が行われました。

結果としては、無治療での劇的運動時には、全頭が運動誘発性肺出血を発症しており、また、フロセマイド投与後の劇的運動時には、肺脈管圧の有意な調整効果(Attenuation effect)が認められましたが、濃度の違いによる有意差は無く、この際にも、運動誘発性肺出血の発症自体はやはり全頭に認められました。このため、馬に対するフロセマイドの投与による、肺毛細血管の高血圧(Pulmonary capillary hypertension)を調整する作用が、直線的な濃度依存性効果(Linear dose-dependent effect)であるという証拠は確認されず、また、それによって、運動誘発性肺出血の発症そのものを予防する効能は期待できない事が示唆されました。

この研究において、フロセマイドによる肺脈管圧調整が濃度依存性ではなかった理由としては、フロセマイド投与による血漿量の急性減退(Acute reduction of plasma volume)は投与後の15~30分で終わってしまう事が挙げられています。つまり、高濃度のフロセマイド投与郡において、投与直後に間質液区画および細胞内液区画の移行(Fluid shifts from the interstitial fluid and intracellular compartment)によって生じた血漿量減退が、フロセマイドの投与から四時間後の劇的運動時には、胃腸管からの水分および電解質の吸収(Absorption of water and electrolytes from the gastrointestinal tract)を介して回帰していた、という考察がなされています。

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