ポニーの結腸でのエコー所見

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話題 - 2022年11月29日 (火)

馬の腹部エコー検査は、非侵襲性で簡易に実施できる消化管の画像診断法ですが、ポニーやミニチュアホースにおけるエコー所見については、あまり詳しく調査されていません。

ここでは、小型馬の右背側結腸のエコー所見を調査した知見を紹介します。この研究では、ポニー13頭とミニチュアホース10頭における、右腹壁のエコー検査において、右背側結腸の厚み測定が行なわれました。

参考文献：
Siwinska N, Zak A, Baron M, Cylna M, Borowicz H. Right dorsal colon ultrasonography in normal adult ponies and miniature horses. PLoS One. 2017 Oct 24;12(10):e0186825.

この研究では、右背側結腸のエコー画像のため、上図の領域を検査しました。背腹側域の境界は、肩端と寛結節（腰角）を結んだ線（上図①）と、肘関節と膝関節を結んだ線（上図②）のあいだで、頭尾側域の境界は、第9肋間（上図③）と第15肋間（上図④）のあいだとしていました。この領域内では、右背側結腸（A）、肝臓（B）、右腹側結腸（C）のエコー検査が可能となります。

結果としては、小型種の馬（ポニーおよびミニチュアホース）における右背側結腸の腸壁の厚みは、第10～14肋間の順で、2.7±0.3、2.7±0.2、2.8±0.2、2.7±0.2、2.8±0.2（平均±SD）となっていました。一方、対照となるサラブレッド種では、右背側結腸の腸壁の厚みは、第10～14肋間の順で、3.7±0.3、3.7±0.4、3.5±0.2、3.7±0.3、3.7±0.3でした。この結果、全ての肋間において、サラブレッドよりも小型種の馬のほうが、右腹側結腸の厚みが有意に薄いことが分かりました。

上写真は、健常なポニーにおける右腹壁の第12肋間でのエコー画像で（画像の左側が背側）、右背側結腸の腸壁が、高エコー輝度の半円状のライン（A）として確認できます。右背側結腸の背側には、肝臓が認められ（B）、右背側結腸と肝臓とのあいだに、十二指腸（C）が視認できることもあります。なお、この画像の右背側結腸壁は厚み0.25で、正常範囲内となっていました。

一般的に、馬の右背側結腸炎は、非ステロイド系抗炎症剤の長期投与による副作用として好発し、下痢、食欲不振、発熱などの症状が見られます。通常、ポニーやミニチュアホースでは、右背側結腸を直腸検査で触診することが難しいため、腹部エコー検査で、右背側結腸の腸壁肥厚を確認する検査法が有用です。この際、エコー画像上での厚みと正常範囲とを比較することに併せて、腸壁の厚みを右背側結腸と右腹側結腸で比較して、前者が後者の二倍を超える場合には、右背側結腸炎が疑われるという報告もあります（下記リンク）。