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馬の文献:運動誘発性肺出血(Birks et al. 2002)

「運動誘発性肺出血:スタンダードブレッドおよびサラブレッドの競走後における内視鏡検査」
Birks EK, Shuler KM, Soma LR, Martin BB, Marconato L, Del Piero F, Teleis DC, Schar D, Hessinger AE, Uboh CE. EIPH: postrace endoscopic evaluation of Standardbreds and Thoroughbreds. Equine Vet J Suppl. 2002; (34): 375-378.

この研究では、馬の運動誘発性肺出血(Exercise-induced pulmonary haemorrhage)の病態把握のため、258頭のサラブレッドおよび296頭のスタンダードブレッドにおける、競走後の内視鏡検査(Post-race endoscopic evaluation)が行われました。

結果としては、実施された全ての内視鏡検査のうち、73.8%において運動誘発性肺出血が認められ、一回のみ検査された馬のうちでも、72.6%において運動誘発性肺出血が認められました。このうち、運動誘発性肺出血の発症率および重篤度グレードは、フロセマイドの投与の有無、および、品種の違いに対して、有意な相関は示されませんでした。また、スタンダードブレッドおよびサラブレッドのいずれにおいても、運動誘発性肺出血の発症率および重篤度グレードと、各レースの着順のあいだには、有意な相関は確認されませんでした。

このため、今回の研究では、競走馬における運動誘発性肺出血という病気が、発症率の高い重要な疾患である事が再確認されましたが、品種や歩様の違い(Difference in breed or gait)が発症素因(Predisposing factor)となったり(スタンダードブレッド v.s. サラブレッド、襲歩 v.s. 速歩)、その発症が競走能力(Racing performance)に影響を及えるというデータは示されませんでした。また、レース前のフロセマイド投与が、運動誘発性肺出血の発症を予防したり、病態の重篤度を減退させるという証拠も認められませんでした。

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