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馬の蹄関節での関節鏡の長期的予後

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関節鏡手術は、馬の無菌手術のなかで、最も頻繁に実施されるものの一つで、OCDや小片骨折の摘出の他にも、多様な関節疾患の治療に適応されています。

ここでは、馬の蹄関節での関節鏡手術における、病態の傾向と長期的予後を評価した知見を紹介します。この研究では、米国のテキサス州の馬病院にて、2012~2017年にかけて、蹄関節の変性関節疾患の治療のために、関節鏡手術が実施された10頭の跛行馬における医療記録の回顧的解析が行なわれました。

参考文献:
Warnock WR, Marsh CA, Hand DR. Outcome of arthroscopic debridement of cartilage injury in the equine distal interphalangeal joint. Can Vet J. 2019 Jul;60(7):731-736.

結果としては、蹄関節の軟骨病変を関節鏡で掻把した後、正常歩様に戻ったのは40%(4/10頭)でしたが、術後一年以上の騎乗使役に復帰できたのは20%のみでした。このうち、軟骨病変が蹄骨外側翼や中節骨などに及んで、関節鏡でアクセス不可であった三頭では、正常歩様に戻っていませんでした。このため、蹄関節の軟骨病変は、関節鏡での病巣掻把を実施した場合でも、予後は中程度から不良となり、正常歩様まで回復できないケースも多いことが示唆されました。

この研究では、術前の診断麻酔やMRI検査によって、跛行の主因が蹄関節の軟骨病変であるという推定診断が下されていましたが、正常歩様に戻らなかった六頭では、全頭で蹄関節以外の病変が認められ(舟状骨変性や舟嚢炎など)、半数で掌側指神経切断術を要したことから、持続的な蹄踵痛を起こす他の疾患によって、予後が悪化した症例も多かったと推測されます。また、術前の跛行期間やX線での異常所見は、予後とは相関しないことも報告されています。

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この研究では、蹄骨の関節軟骨のうち、関節鏡でアクセスできるのは、中心部1/3で背側1/2の領域に限られることが示され、主要な軟骨病変は背側部に位置していたことが報告されています。過去の文献では、関節鏡での掌側アプローチ[1]および内外側アプローチ[2]などの術式も報告されていますが、いずれもアクセス可能な関節面は限定的であり、今回の研究で認められた病変の掻把術が可能であったかは不明でした(中節骨の掌側関節面はアクセス可)。

この研究では、関節鏡での掻把術で経過良好であったのは、急性で外傷性の軟骨病変であったと述べられており、慢性的な軟骨の変性や糜爛では予後が芳しくない傾向が認められました。このため、進行した変性関節疾患の徴候を術前に精査することで、関節鏡の適応を判断することが推奨されています。一方、殆どの症例で(9/10頭)、術前の蹄関節麻酔で跛行改善が確認されていたことから、この陽性反応が、必ずしも関節鏡後の治療成功の指標にはなっていませんでした。この理由としては、蹄関節から周囲組織へと麻酔薬が浸潤して、舟状骨、舟嚢、他の靭帯組織も無痛化させてしまうことが挙げられています。

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Photo courtesy of Diagnostic and Surgical Arthroscopy in the Horse: C Wayne McIlwraith and Ian Wright; 4th Eds, 2014, Mosby (ISBN: ‎ 0723436932)

参考文献:
[1] Vacek JR, Welch RD, Honnas CM. Arthroscopic approach and intra-articular anatomy of the palmaroproximal or plantaroproximal aspect of distal interphalangeal joints. Vet Surg. 1992 Jul-Aug;21(4):257-60.
[2] Fowlie JG, O'Neill HD, Bladon BM, O'Meara B, Prange T, Caron JP. Comparison of conventional and alternative arthroscopic approaches to the palmar/plantar pouch of the equine distal interphalangeal joint. Equine Vet J. 2011 May;43(3):265-9.

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