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馬のキャスト固定での蹄葉炎

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馬のキャスト固定は、外固定法の一つで、骨折の保存療法のほか、肢軸異常の矯正や重度皮膚欠損を治療する目的で、比較的頻繁に実施されますが、合併症も一定確率で起こり得ることが知られています。

ここでは、馬の四肢に用いられる半肢/全肢キャストおよびピンキャストにおける、負重性蹄葉炎の発生状況を調査した知見を紹介します。この研究では、米国のコロラド州立大学の馬病院において、2000~2009年にかけて、半肢ギプス、全肢ギプス、もしくは、経固定具ピンギプスを用いての治療を受けた113頭の症例馬における、医療記録の回顧的調査、および、オッズ比(OR)の算出による危険因子の解析が行われました。

参考文献:
Virgin JE, Goodrich LR, Baxter GM, Rao S. Incidence of support limb laminitis in horses treated with half limb, full limb or transfixation pin casts: a retrospective study of 113 horses (2000-2009). Equine Vet J Suppl. 2011 Nov;(40):7-11.

結果としては、キャスト装着された症例のうち、負重性蹄葉炎の発症率は12%(14/113頭)にのぼりました。そして、ギプスの装着期間が一週間長引くごとに、負重性蹄葉炎を発症する可能性が18%増加し(一週間ごとのOR=1.18)、また、患馬の体重が1kg増すごとに、負重性蹄葉炎を発症する可能性が1%増加すること(体重1kgごとのOR=1.01)が示されました。このため、馬のギプス装着では、負重性蹄葉炎が深刻な術後合併症になりうることが示唆され、ギプスの装着期間が増加したり、患馬の体重が重い場合には、経時的なX線検査によるモニタリングや、負重性蹄葉炎の積極的な予防処置(蹄叉支持具の装着など)を講じることが推奨されました。

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この研究では、半肢ギプスに比べて、全肢ギプスが装着された場合には負重性蹄葉炎を発症する可能性が五倍近く増加し(OR=4.96)、経固定具ピンギプスが装着された場合には負重性蹄葉炎を発症する可能性が四倍以上も増加すること(OR=4.63)が示されました。これは、手根部および足根部よりも近位側まで達する全肢ギプスでは、罹患肢の動きが不自由になったり、褥瘡を続発しやすくなり、対側肢への負担が増加したためと推測されています。一方で、経固定具ピンギプスを要するような重度の運動器疾患では、原発疾患やピン挿入箇所に起因する疼痛を呈して、罹患肢への早期かつ十分な体重負荷が達成できなかったケースが多かったと推測されており、つまり、この研究のデータのみから、経固定具ピンギプスの治療効果を過小評価する必要はないと考えられました。

この研究では、不負重性跛行の有無、骨折の有無、前肢と後肢の違い、品種の違いなどは、負重性蹄葉炎の危険性には有意には影響していませんでした。しかし、不負重性跛行を呈した患馬における負重性蹄葉炎の発症率は23%におよび、それ以外の患馬(罹患肢への体重負荷ができた馬)における負重性蹄葉炎の発症率11%よりも顕著に高く、臨床的に有意な危険因子と見なされると考察されています。また、骨折症例における負重性蹄葉炎の発症率は18%に及び、負重性蹄葉炎の罹患馬のうち50%は骨折症例であったことが示されました。

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一般的に、重度跛行に起因する負重性蹄葉炎は、内毒素血症などに起因する通常のタイプの蹄葉炎とは異なった病因で発症すると推測されていますが、罹患肢への荷重量の増加そのものは、直接的な原因ではないと推測されています。馬の蹄内の血液循環は、体重の負荷および非負荷の繰り返しによるポンプ作用によって維持されていることが知られており(いわゆる蹄機作用)、罹患肢への荷重が出来なくなり、対側肢における十分な頻度の非負荷が妨げられることが、負重性蹄葉炎の発症につながるという病因論が仮説されています。

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