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ホースマンの怪我の発生状況(米国)

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ホースマンの怪我は、馬に乗っている時と馬を曳いている時で、どちらが多いのかが調査されています。

この研究では、米国のケンタッキー大学病院の外傷科において、2003~2007年にかけて、馬に関連した外傷を負った284人の患者における、医療記録の回顧的解析が行なわれました。

参考文献:
Carmichael SP 2nd, Davenport DL, Kearney PA, Bernard AC. On and off the horse: mechanisms and patterns of injury in mounted and unmounted equestrians. Injury. 2014 Sep;45(9):1479-83.

結果としては、ホースマンの怪我としては、馬を曳いているときの怪我(26%)に比べて、馬に乗っているときの怪我(74%)のほうが三倍近く多いことが分かりました。具体的な事象としては、落馬する(54%)が最も多く、次いで、蹴られる(22%)、落馬して激突する(15%)、圧し潰される(4%)、落馬して引きずられる(2%)などが含まれました。

一方、ホースマンが死亡したのは3件で、いずれも馬を曳いているときの事故でした(死亡率:1%)。具体的な事象を見ると、胸を蹴られた(1件)、頭を蹴られた(1件)、馬運車に馬を載せる際に転落した(1件)、などが含まれました。一方で、怪我の重篤度スコアを見ると、馬に乗っていたときの怪我(11.5)と、馬を曳いていたときの怪我(10.2)で有意差はありませんでした。

また、ホースマンが怪我した箇所を見ると、手足の骨折(33%)が最も多く、次いで、頭の怪我(27%)となっていました。そして、馬に乗っているときには、胸や足の怪我が有意に多かったのに対して、馬を曳いているときには、顔やお腹の怪我が有意に多かったことが示されています。一方で、頭部の怪我に関しては、馬に乗っている時と曳いている時で有意差は無かったことが報告されています。

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ホースマンの怪我のうち、手術を要したものは42%に及んでおり、最も多かった手術は、手足の骨折の内固定でした。このうち、手術を要するほどの骨折の発生率は、馬を曳いているとき(39%)よりも、馬に乗っているとき(51%)のほうが高いことが分かりました。また、手術を要した骨盤骨折の発生率についても、馬を曳いているとき(0%)よりも、馬に乗っているとき(20%)のほうが高くなっていました。

以上の結果から、ホースマンの死亡事故は、馬を曳いているときに起こることが多く、また、頭部の怪我は、馬に乗っているときと同じくらい多いことが示されました。このため、気性の難しい馬を取り扱う際などには、たとえ騎乗していないときでも、ヘルメット等の防護対策を講じることの重要性を再認識させられるデータであると言えます。

一方、馬に乗っているときの怪我では、死亡例こそ無かったものの、全体の発生率は曳いているときよりも高く、また、怪我の重篤度は曳いているときと同程度になっていました。そして、落馬から骨折に至ると、手術を要するような重症例や、骨盤骨折などの深刻な事象も多くなることが報告されており、馬に騎乗するときに、安全対策を徹底することの大切さを再確認させる結果が示されました。

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この研究では、趣味で乗馬をする人と(アマチュア)、仕事で馬を取り扱っている人(プロ)とを比較した場合、アマチュアのほうが怪我をする確率は高くなっていました。しかし、馬に乗っているときの怪我では、プロはそのうちの8%に過ぎなかったのに対して(アマチュアが92%)、馬を曳いているときの怪我では、プロでもそのうちの32%を占めていました(アマチュアが68%)。

なお、この研究では、飲酒して馬に乗ったり取り扱ったりした結果、怪我を負ったという事例は、全体の2%に留まりました。しかし、米国での過去の文献(下記リンク)では、ホースマンの怪我のうち、飲酒していたケースが33%を占めたという報告もあることから、当然ではありますが、“飲酒騎乗”は厳に慎むべきであるという考察が成されています。

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参考文献:
Centers for Disease Control (CDC). Alcohol use and horseback-riding-associated fatalities--North Carolina, 1979-1989. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 1992 May 15;41(19):335, 341-2.

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