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馬の文献:冠関節固定術(Read et al. 2005)

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「馬の冠関節固定術:二本の5.5mm皮質骨螺子と三本の5.5mm皮質骨螺子の生体力学的比較」
Read EK, Chandler D, Wilson DG. Arthrodesis of the equine proximal interphalangeal joint: a mechanical comparison of 2 parallel 5.5 mm cortical screws and 3 parallel 5.5 mm cortical screws. Vet Surg. 2005; 34(2): 142-147.

この研究論文では、馬の冠関節固定術(Pastern arthrodesis)における、より強度の高い術式を評価するため、20本の屍体肢(Cadaveric limb)を用いて、三本の5.5mm皮質骨螺子(Cortical screws)もしくは二本の5.5mm皮質骨螺子による、冠関節固定術の生体力学的比較(Biomechanical comparison)が行われました。

結果としては、冠関節固定部の三点屈曲性生体力学検査(Three-point bending biomechanical testing)では、最大曲げモーメント(Maximum bending moment)や多層硬度(Composite stiffness)などの測定値において、二つの術式のあいだに有意差は認められませんでした。このため、二本の5.5mm皮質骨螺子を用いた術式のほうが、手技的にも簡易で、手術時間を短縮できると考えられ、螺子の数を三本に増やしても、物理的強度の向上にはつながらないことが示唆されました。

この研究では、三本の5.5mm皮質骨螺子による冠関節固定術が行われた肢では、40%(12/30本)の螺子が破損したのに対して、二本の5.5mm皮質骨螺子による冠関節固定術が行われた肢では、35%(7/20本)の螺子が破損したことが報告されており、二つの術式のあいだに顕著な違いは見られませんでした。また、生体力学検査の終了点には、その八割において基節骨が折れることで、冠関節固定術部位の破損に至っていました。

この研究で用いられた術式においては、三本の5.5mm皮質骨螺子の慣性モーメント面積(Moment of inertia)は34.2mm4で、二本の5.5mm皮質骨螺子の慣性モーメント面積である22.8mm4よりも顕著に大きかったものの、冠関節固定部の強度そのものには反映してしませんでした。このため、馬の冠関節固定術においては、関節固定箇所の強度は、螺子が挿入されている箇所の骨の強さによって決定され、螺子自体の強度は直接的な因子ではない、という考察がなされています。

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