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馬の文献:離断性骨軟骨炎(Dabareiner et al. 1993)

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「九頭の若齢馬の膝蓋大腿関節における骨軟骨症の進行:臨床的、X線的、関節鏡的所見」
Dabareiner RM, Sullins KE, White NA 2nd. Progression of femoropatellar osteochondrosis in nine young horses. Clinical, radiographic and arthroscopic findings. Vet Surg. 1993 Nov-Dec;22(6):515-23.

この症例論文では、馬の後膝の骨軟骨症における病態進行の傾向を評価するため、膝蓋大腿関節の骨軟骨病変を生じた九頭の若齢馬(一歳未満)の医療記録、臨床所見、X線学的所見、および、関節鏡での病巣所見を評価しました。なお、九頭の症例馬のうち、サラブレッドが六頭を占めており(残りはスタンダードブレッド、クォーターホース、ウォームブラッドが一頭ずつ)、また、平均年齢は6.5ヶ月齢(範囲5〜12ヶ月齢)となっていました。

結果としては、九頭の症例馬が症状(関節包膨満や跛行)を示した段階では、X線画像で病変が認められなかったのは四頭で、残りの五頭も軽度の異常所見に留まっていました。しかし、4〜24週間後のX線では、病変が容易に視認できるレベルまで進行していたため、その時点で、膝蓋大腿関節の関節鏡による病巣掻爬が実施されました。手術では、外側滑車近位部の軟骨剥離(フラップ様病変)が見られ、術前のX線画像で認められたよりもサイズが大きかったことが報告されています。

この研究では、膝蓋大腿関節の骨軟骨症に対して関節鏡が実施された九頭のうち、八頭は意図した用途に使役されましたが(三頭が競走、三頭が競走の調教、二頭が乗馬)、残りの一頭は、反対側の後膝にも骨軟骨症を続発して、二度目の関節鏡が実施されましたが、難治性の後肢跛行を呈して廃用となりました。このため、一歳以下の若齢馬における後膝の骨軟骨症では、病変は数ヶ月で急激に進行することから、早期の外科的掻爬術を実施することが推奨されています。

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