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馬の文献:屈曲性肢変形症(Stick et al. 1992)

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「23頭のスタンダードブレッドに対する深屈腱副靭帯の切断術での長期的影響」
Stick JA, Nickels FA, Williams MA. Long-term effects of desmotomy of the accessory ligament of the deep digital flexor muscle in standardbreds: 23 cases (1979-1989). J Am Vet Med Assoc. 1992 Apr 15;200(8):1131-2.

この症例論文では、馬の蹄関節での屈曲性肢変形症(いわゆるクラブフット)に対する外科的療法の長期的な影響を検証するため、1979〜1989年にかけて、米国のミシガン州立大学獣医病院にて、クラブフットの治療のため、深屈腱副靭帯(遠位支持靭帯)の切断術、または、保存療法が実施された23頭のスタンダードブレッドにおける、医療記録の回顧的解析が行なわれました。

結果としては、深屈腱副靭帯の切断術を受けた馬では、治療の成功率は55%(6/11頭)に達していたのに対して、保存療法を受けた馬での治療成功率は0%(0/12頭)であったことが分かりました(六回以上のレース出走を果たしたり、無跛行で調教されているのを治療成功と定義した場合)。なお、スタンダードブレッドの競走馬の全体としては、レース出走を果たす馬の割合は約六割であることが報告されています。また、この研究では、八ヶ月齢以上で手術を受けた馬での治療成功率は0%(0/4頭)、五ヶ月以上で手術を受けた馬での治療成功率は20%(1/5頭)となっていました。

このため、馬の蹄関節での屈曲性肢変形症に対しては、深屈腱副靭帯の切断術によって中程度の予後が期待できることが示唆されましたが、半年齢以下の若齢期に施術することで、治療成績を向上できると考察されています。この研究は、90年代初頭の報告であり、適応症例数が少ないことに加えて、長期的な評価は出走できたか否かに留まり、競走パフォーマンスに対する影響等については検証されていませんでした。

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