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馬の文献:屈曲性肢変形症(Yiannikouris et al. 2011)

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「馬の前肢での深屈腱副靭帯切断術:二歳以上の24症例」
Yiannikouris S, Schneider RK, Sampson SN, Roberts G. Desmotomy of the accessory ligament of the deep digital flexor tendon in the forelimb of 24 horses 2 years and older. Vet Surg. 2011 Apr;40(3):272-6.

この症例論文では、子馬以外の馬における、蹄関節での屈曲性肢変形症(いわゆるクラブフット)に対する外科的療法の治療効果を検証するため、深屈腱副靭帯(遠位支持靭帯)の切断術が実施された24頭の馬(二歳以上)における、医療記録の回顧的解析が行なわれました。なお、今回の適応症には、クラブフット(15頭)のほかに、遠位支持靭帯炎(9頭)も含まれました。

結果としては、長期的な経過追跡ができた22頭のうち、意図した用途に飼養できていた馬は82%に及んでおり、術後の休養期間は平均12ヶ月(範囲:6〜24ヶ月)となっていました。このため、深屈腱の副靭帯の切断術は、二歳以上の馬に対しても十分な治療効果が期待され、良好な予後を示す症例も多いことが示唆されました。なお、治療成功率は、クラブフット(86%)よりも遠位支持靭帯炎(75%)のほうが、やや低い傾向にありました。

この研究では、深屈腱の副靭帯を切断した箇所に、過剰肥厚の症状を示した馬が50%に及んでいました。この要因は、明確には結論付けられていませんが、子馬に比較して、二歳以上の馬における、治癒力の低さや体重負荷の大きさが影響したと推測されます。一方、通例的には、蹄骨の回転を起こしていた場合には予後が悪くなると考えられていましたが、今回の研究では、軽度の蹄骨回転を呈した症例のうち、80%が意図した用途に飼養できたことが報告されています。

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