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馬の病気:クロストリディウム筋壊死症

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クロストリディウム筋壊死症(Clostridial myonecrosis)について。

クロストリディウム属菌(Clostridium spp)の感染と、壊死毒素(Necrotizing toxin: Lecithinase, etc)および溶血毒素(Hemolyzing toxin: Hemolysin, etc)に起因して、筋組織の壊死(Muscle tissue necrosis)を起こす疾患で、原因菌としては、C.chauvoei、C.septicum、C.sordelli、C.novyi、C.perfringens、C.carnis等が分離されています。クロストリディウム属菌は環境下に広範囲に分布する常在菌で、馬においては穿孔性外傷(Penetrating wound)や薬剤の筋肉注射(Intramuscular injection)などが病因(Etiology)であると考えられています。

クロストリディウム属菌に起因する筋壊死症の臨床症状としては、抑鬱(Depression)、発熱(Fever)、頻呼吸(Tachypnea)、食欲不振(Anorexia)、跛行(Lameness)などが挙げられ、病状の進行にともなって羅患部位(多くの場合に臀部や大腿部)における皮膚脱落(Skin sloughing)を呈します。殆どの患馬において、急激な進行性(Rapid progression)の症状を示し、致死率(Mortality rate)は100%近いと言われています。羅患馬は、一般的に12~24時間で死に至ることが多いと報告されていますが、C.perfringens感染に起因する場合には、やや予後が良いことが示唆されています。

クロストリディウム筋壊死症の治療では、積極的な抗生物質療法(Aggressive anti-microbial therapy)が施され、数時間おきのペニシリン投与が行われ、病態経過が安定後、メチルニダゾールの投与も併行して実施されます。外科的療法としては、循環毒素を軽減させるため、羅患部の筋肉郡の筋膜切開術(Fasciotomy)、病巣清掃(Debridement)、羅患部位の遠位側への排液孔(Drainage tract)の形成が有効です。初期病状においては、全身性ショックを改善するため、短期間作用性のコルチコステロイド(Short-acting corticosteroids: Dexamethasone, Prednisolone, Hydrocortisone, etc)などが用いられる場合もあります。

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