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馬の文献:繋靭帯炎(Hinnigan et al. 2014)

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「馬の外側底側神経深部肢の麻酔は近位中足部疼痛を特異的に診断できるか?」
Hinnigan G, Milner P, Talbot A, Singer E. Is anaesthesia of the deep branch of the lateral plantar nerve specific for the diagnosis of proximal metatarsal pain in the horse? Vet Comp Orthop Traumatol. 2014;27(5):351-7.

この研究論文では、馬の繋靭帯における診断法の信頼性を検証するため、後肢跛行を呈した20頭の症例馬に対して、外側底側神経深部肢(Deep branch of the lateral plantar nerve: DB-LPN)の診断麻酔が実施され、その後の30分間において、圧迫負荷計測器を用いて、検査肢の六箇所での機械的な痛覚閾値が測定されました。また、体外実験として、10本の馬の屠体肢に対して、DB-LPNの周囲に染色液が注射され、その浸潤・拡散領域が剖検で評価されました。

結果としては、DB-LPNの診断麻酔を行なった後、蹄球(上図のP1)、蹄冠(P2)、種子骨(P3)、遠位管骨(P4)、深屈腱(P5)(いずれも肢の外側面)、および、注射箇所(P6)において、痛覚閾値の有意な減少が認められました(麻酔の15分後よりも30分後で、痛覚減少のエリアは拡大していた)。また、屠体肢での実験では、DB-LPNの周囲に注射された染色液は、注射箇所から平均70.4mmの位置まで浸潤・拡散して、外側底側神経の周囲域まで及んでいたことが報告されています。なお、今回の実験では、検査肢を挙上・屈曲させて屈腱を内側にズラしてから、第四中足骨頭から1.5cm遠位の位置で、皮膚に対して垂直に注射針(22G/23G, 2.5mm長)を穿刺して、2.5mLのメピバカインを注入することで、DB-LPNの診断麻酔が実施されました。

解剖学的に言うと、DB-LPNを特異的に麻酔しても、遠位管骨より下方での痛覚減少は起こらないと推測されますが、今回の実験では、球節や蹄部まで痛覚減少のエリアが及んでいました。このため、馬の近位繋靭帯の診断において、DB-LPNの診断麻酔を行なった場合には、誤って外側底側神経にも麻酔作用が及んで、その支配領域を痛覚減少させてしまうことが示唆されました(つまり誤診に繋がる危険性がある)。ただ、通常の診断麻酔の手順では、低四点/高四点神経麻酔を先に実施して、跛行良化しないことを確認した上で、DB-LPNの診断麻酔を行なうため、球節~繋ぎ~蹄部が痛覚減少してしまうことの弊害は限定的であると推測されます。

一般的に、近位繋靭帯の部位に疼痛を限局化するためには、DB-LPNの診断麻酔の他にも、繋靭帯起始部を直接的に浸潤麻酔する手法もあり、外側底側神経を誤って麻酔してしまう可能性は低いものの、足根中足間関節のほうを麻酔してしまうケースがあることから(関節嚢が近位繋靭帯の付近まで伸びてきているため)、関節腔の汚染や、関節疾患との誤診に繋がるリスクがあります。このため、近位繋靭帯炎をより正確に診断するためには、飛節の関節麻酔を先に実施したり、DB-LPNの麻酔と繋靭帯起始部の浸潤麻酔の両方を、別日に実施することで、疼痛の出処をより精密に特定する手法が有用だと言えます。なお、DB-LPNの診断麻酔は、神経痛の存在を確認するには有益だと考えられます(肥厚した繋靭帯から圧迫を受けている病態)。

Photo courtesy of Vet Comp Orthop Traumatol. 2014;27(5):351-7.

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