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馬の病気:出血性紫斑病

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出血性紫斑病(Purpura hemorrhagica)について。

免疫複合体(Immune complexes)が血管壁(Blood vessel wall)に沈着することによって、浮腫(Edema)および斑状出血(Ecchymotic hemorrhage)をともなう壊死性脈管炎(Necrotizing vasculitis)を起こす疾患で、広範囲にわたる筋肉の虚血や壊死(Muscle ischemia and necrosis)を呈する病態を、梗塞性出血性紫斑病(Infarctive purpura hemorrhagica)と呼びます。多くの症例において、グラム陽性ベータ溶血性菌であるストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equi)の感染、もしくは、ワクチン投与によって発症し、腺疫(Strangles)の症状発現の3~4週間後に出血性紫斑病を示すことが一般的です。S.equiの感染にくわえて、高濃度の既存性血清抗体(Preexisting high serum antibody titer)やサルモネラ菌の同時感染などが、重篤な出血性紫斑病を生じる素因であることが示唆されています。

出血性紫斑病の症状としては、点状出血(Petechia)、口腔粘膜の梗塞様潰瘍(Oral infarctions resembling ulcers)、四肢や腹部の浮腫(Limb and ventral edema)、筋強直(Muscle stiffness)などが認められ、病状の進行にともなって限局性の筋内硬化腫脹(Focal firm intramuscular swelling)を呈します。また、一次性疾患である腺疫に起因する、発熱(Fever)、咳嗽(Coughing)、粘液膿性の鼻汁排出(Mucopurulent nasal discharge)、顎下リンパ節(Submandibular lymph node)や咽頭後リンパ節(Retropharyngeal lymph node)の腫脹、等の呼吸器症状の有無を確かめることも重要です。

出血性紫斑病の診断は、特徴的臨床症状(Pathognomonic clinical signs)と病歴(数週間~一ヶ月以前の腺疫症状)にあわせて、ELISA法で血清抗体価の異常亢進を確認したり、羅患部の生検(Biopsy)によって、白血球核破砕性血管炎(Leukocytoclastic vasculitis)や広汎性凝固性壊死(Diffuse coagulative necrosis)を確かめる手法が有効です。血液検査では、好中球増加性白血球増加症(Neutrophilic leukocytosis)、CKおよびAST濃度の上昇、高フィブリノーゲン血症(Hyperfibrinogenemia)、低アルブミン血症(Hypoalbuminemia)などが見られます。また、原発疾患である腺疫の確定診断(Definitive diagnosis)は、鼻粘膜拭取り検体(Nasal swab)または膿瘍吸引物(Abscess aspirates)を用いての細菌培養(Bacterial culture)によって下されます。

出血性紫斑病の治療では、積極的な抗生物質療法(Aggressive anti-microbial therapy)に併行して、非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)およびコルチコステロイドの投与が行われます。また、S.equi感染が減退するまでのあいだ、4~6週間にわたるステロイド療法を要する症例も多いことが報告されています。さらに、重度の浮腫に対しては、冷水療法(Cold hydrotherapy)や圧迫肢巻(Pressure bandage)が応用される場合もあります。

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