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馬の病気:胆石症

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胆石症(Cholelithiasis)について。

胆石症は、胆管(Bile duct)および胆嚢(Gallbladder:馬には無い)に生じた結石によって胆汁うっ滞(Cholestasis)を起こす疾患を指し、総胆管(Common bile duct)に結石を生じる総胆管結石症(Choledocholithiasis)と、左右肝管(Left/Right hepatic duct)よりも上流の肝内胆管(Intrahepatic bile duct)に結石を生じる肝結石症(Hepatolithiasis)に分類されます。馬においては総胆管結石症の病態が多く見られ、病因としては、胆汁濃縮(Bile aggregation)、回虫症(Ascariasis)、上行性胆管感染(Ascending biliary infection)、異物侵入(Foreign body migration)などが挙げられています。

胆石症の症状としては、回帰性疝痛(Recurrent colic)、発熱(Pyrexia)、黄疸(Icterus)等が認められ、慢性の体重減少(Chronic weight loss)、高アンモニア性の肝性脳症(Hyperammonemic hepatic encephalopathy)などが見られる症例もあります。また、光過敏症(Photo-sensitization)、点状出血(Petechial hemorrhage)、下痢症(Diarrhea)等の、肝不全を示す他の症状を併発する事もあり、時には、サイズの大きい胆石によって、十二指腸閉塞(Duodenal obstruction)を続発する可能性も示唆されています。

胆石症の診断では、血液検査において、GGT、ALP、AST、LDH等の酵素活性の亢進、総ビリルビン(Total bilirubin)および胆汁酸(Bile acid)の濃度上昇などが示されます。この際には、総ビリルビンの25~30%を直接ビリルビン(Direct bilirubin)が占める所見によって、胆汁うっ滞の発生が疑われ、細菌性&中毒性&血清性肝炎(Bacterial/Toxic/Serum hepatitis)等との鑑別診断が行われます。肝臓の超音波検査(Ultrasonography)では、肝腫大(Hepatomegaly)、胆管拡張(Bile duct dilation)、肝臓実質のエコー輝度上昇(Increased echogenicity of hepatic parenchyma)、拡張した肝内胆管が並走する肝内門脈枝と共に平行線状に描出される所見(いわゆるParallel channel sign)などが認められます。また、胆石自体が高反響性腫瘤(Hyperechoic mass)とその後方の音響性シャドー(Acoustic shadow)として探知される場合もあり、胆石は右側第六~第八肋間(Right sixth to eighth intercostals space)からの超音波像において観察される頭腹側右葉(Cranioventral right lobe)に最も多く発見されることが報告されています。一方、肝生検(Liver biopsy)において見られる門脈周囲線維化(Periportal fibrosis)や胆管のうっ滞および過形成(Biliary stasis and hyperplasia)は、胆石症に特異的な所見ではありませんが、慢性活性型肝炎(Chronic active hepatitis)や巨大細胞性肝症(Megalocytic hepatopathy)を除外診断(Rule-out)できる症例もあります。

胆石症の治療では、DMSOの投与によって胆石溶解(Cholelith dissolution)を促す治療指針が示唆されており、晶質の経静脈投与(Intravenous crystalloid)によって胆汁分泌を減少させる療法が併用される場合もあります。また、全身性抗生物質療法(Systemic anti-microbial therapy)および非ステロイド系抗炎症剤(Non-steroidal anti-inflammatory drugs)の投与によって上行性胆管感染の改善を試みます。顕著な肝性脳症が認められた症例においては、継続性のブドウ糖および電解質溶液の静脈内投与(Continuous intravenous administration of dextrose and electrolyte solution)や、ネオマイシン、ラクツロース、ミネラルオイル等の投与による消化管でのアンモニアの生成や吸収の減少(Decreased ammonia production and absorption)などが施されます。重篤な肝繊維症(Hepatic fibrosis)を併発した症例を除いては、低蛋白および高炭水化物の給餌(Low protein and high carbohydrate diet)を指針とする飼料管理法(Dietary management)によって肝実質再生を促進させる療法も有効です。総胆管結石症の病態において、胆石のサイズが大きかったり難治性の胆汁うっ滞を示し、胆石の外科的除去が必要であると判断された症例に対しては、総胆管結石破砕術(Choledocholithotripsy)、総胆管切開術(Choledochotomy)、胆管のマッサージによって十二指腸へと胆石を押し出す術式などが報告されています。

胆石症の予後は、肝線維化の範囲や肝萎縮(Hepatic atrophy)の重篤度に左右されますが、胆管の再疎通後に線維化の改善が見られる場合もあることから、広範囲にわたる肝線維化の存在が致死的(Lethal)であるという判断にはつながらないと提唱されています。しかし、胆石の除去のため総胆管切開術を要する場合には、胆汁性腹膜炎(Choleperitoneum)の危険を伴うことから、予後不良(Guarded prognosis)を呈する症例が多いと考えられています。

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