競走馬の事故情報の公表
未分類 - 2015年08月09日 (日)

米国のニューヨーク州は、競走馬事故における検索可能なデータベースを公表しました。
このオンラインでのデータベースでは、十箇所以上もあるニューヨーク州の競馬場で起こったサラブレッド競走馬の事故を、レース中だけでなく厩舎内での事故まで、全て検索できるようになっています。検索項目は、それぞれの年度ごとに、「全ての事故」および「死亡事故」に分かれており、事故に遭った馬、調教師、騎手の実名だけでなく、事故の起こった正確な場所や日時、そして、事故の種類(診断名、病名)まで公表されています。このような、競馬における情報開示は、他の州でも既に始められていますが、オンラインでの完全な検索システムは、初めての試みであるようです。
競走馬の事故に関するデータでは、競馬の公正性確保の兼ね合いから、その情報開示の程度やタイミングの判断が難しい面もあるような気がします。しかし、ニューヨーク競馬会議長はその談話の中で、「民衆には競馬場で何が起こっているのかを、正確に知る権利がある。このデータベースには、それぞれの事故が誰の責任であるのかに関する情報を、遮断するものは何も無い。“日光が最善の消毒剤である”(Sunlight is the best disinfectant)という格言があるように。」と述べています。
馬の福祉の観点から言っても、安楽死される馬の名前や死因が公表されていくことで、サラブレッド競走馬における事故防止対策が、さらに強化されるようになることを願って止みません。また、競馬は税金を使った公営競技であることを考えると、競馬の公正性を損なわない範囲内で、出来る限りの内部情報の開示を行う努力によって、事業の透明化が更に進めてられていき、馬産業全体の発展につながっていくのかもしれない、と考えさせられました。
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関連リンク:
Equine Breakdown, Death, Injury and Incident Database. New York State Racing & Wagering Board.
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