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馬の病気:拡張型心筋症

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拡張型心筋症(Dilated cardiomyopathy)について。

心室壁の希薄化(Thinning ventricular walls)と心室拡張(Ventricular dilation)に起因して、心収縮機能の減退(Decreased cardiac systolic function)を呈する疾患です。病因としては、心筋炎(Myocarditis)が最も一般に挙げられていますが、幼馬におけるビタミンEとセレニウムの欠乏症(Vitamin E and selenium deficiency)に併発する病態も報告されています。

拡張型心筋症の臨床症状は、心筋炎のそれに類似し、発熱(Fever)、頻脈(Tachycardia)、末梢浮腫(Peripheral edema)、筋痛症(Myalgia)、運動不耐性(Exercise intolerance)などが見られます。ビタミンEおよびセレニウム欠乏症に起因する幼馬症例では、虚弱(Weakness)、起立不能(Recumbency)、呼吸困難(Respiratory distress)、頻脈などを呈します。

拡張型心筋症の診断では、心エコー検査(Echocardiography)において、巨心症(Cardiomegaly)、両房性または両室性心拡張(Biatrial/Biventricular cardiac dilation)などが示されます。また、Mモード像では、左心室内径短縮率の低下(Decreased left ventricular shortening fraction)を特徴とする収縮力減退(Decreased contractility)が確認されます。血液検査では、CK、LDH、心筋トロポニンI(Cardiac troponin I: cTnI)等の増加が見られます。多量の心漏出液(Cardiac transudate)を生じた場合には、胸水貯留(Pleural effusion)を起こす事もあります。

拡張型心筋症の治療としては、ジゴキシン療法による心拍出量の改善と、利尿剤(Diuretics)や血管拡張剤(Vasodilators)などの投与、および、胸水の吸引除去が試みられますが、3~12ヶ月で予後不良となって、安楽死(Euthanasia)が選択される場合もあります。幼馬症例では、ビタミンEおよびセレニウムの給与療法(Vitamin E and selenium supplemental therapy)によって病状改善が試みられますが、心筋異常が広範囲にわたる症例では、強運動後に突然死(Sudden death)を起こす危険もあるため、競走または競技用馬としての使役は難しい事もあります。

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Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
性別: 男性
年齢: 40代
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職業: 獣医師・獣医学博士
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