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馬の病気:細菌性毛包炎

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細菌性毛包炎(Bacterial folliculitis)について。

毛包(Hair follicles)への細菌感染(Bacterial infection)に起因して皮膚炎を起こす疾患で、病原菌としてはスタフィロコッカス属菌(Staphylococcus spp: S.aureus, S.intermedius, etc)が最も多く分離されます。また、毛包壁を自壊して排膿を起こした病態を癰腫症(Furunculosis)(いわゆる“Boil”)と呼び、角層下膿疱(Subcorneal pustules)を生じた病態を膿痂疹(Impetigo)と呼びます。

細菌性毛包炎は鞍跡や鬐甲部(Saddle and lumber regions)に好発し、症状としては痂皮形成(Crust formation)、表皮性鱗屑(Epidermal collarettes)、包皮性丘疹(Encrusted papules)などが認められます。細菌性毛包炎の診断では、病巣検体を用いての細菌培養(Bacterial culture)、および、抗生物質感受性試験(Antibiotics susceptibility test)が行われます。また、病変部位はデルマトフィルス症(Dermatophilosis)、皮膚糸状菌症(Dermatophytosis)、毛包虫症(Demodicosis)などに類似するため、皮膚生検(Skin biopsy)を介しての病理組織学的検査(Histopathologic examination)による鑑別診断を要する症例もあります。

細菌性毛包炎の治療では、1~3週間にわたる全身性抗生物質療法(Systemic anti-microbial therapy)が行われ、病変部位から病原菌が分離されない場合も多いため、スタフィロコッカス属菌に良好な効能を有し経口投与の可能なTrimethoprim-sulfamethoxazoleが選択されることが一般的です。感受性試験によってTrimethoprim-sulfamethoxazoleへの耐性が確認された症例に対しては、Doxycycline(副作用:疝痛)やEnrofloxacin(副作用:若馬における関節軟骨損傷)が選択される場合もあります。また、痂皮病変部位に対する局所療法としては、ムピロシン軟膏(Mupirocin ointment)、スルファジアジン銀クリーム(Silver sulfadiazine cream)、乳酸エチルシャンプー(Ethyl lactate shampoo)等が用いられます。

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