馬の病気:休止期脱毛
馬の皮膚病 - 2015年09月01日 (火)

休止期脱毛(Telogen defluxion)について。
ストレス性環境(Stressful circumstance)に置かれた馬において、急性早発性の体毛発育停止(Abrupt and premature cessation of hair growth)(=発毛の休止期)に起因して脱毛を起こす疾患で、入院(Hospitalization)、手術(Surgery)、麻酔(Anesthesia)、高熱(High fever)、妊娠(Pregnancy)、重篤な全身疾患(Severe systemic illness)などが病因として挙げられています。
休止期脱毛の罹患馬では、ストレスによる体毛発育停止から1~3ヶ月以内に脱毛が始まることが一般的です。脱毛病巣は局所性(Regional)、多巣性(Multifocal)、汎発性(Generalized)、両側性(Bilateral)などの病態を示しますが、脱毛部位に露出した皮膚には異常は見られません。
休止期脱毛の診断では、病歴、視診、触診によって推定診断が下されることが一般的ですが、抜け落ちた体毛の鏡検では、毛の太さが一定で(Uniform shaft diameter)、毛根鞘を欠く無色素性の毛根(Nonpigmented hair root lacking root sheath)が見られます。皮膚生検(Skin biopsy)では、皮膚および毛包(Hair follicle)に異常は認められません。
休止期脱毛に対する有効な治療法は報告されていませんが、通常は退院や原発疾患からの回復によるストレス性環境の改善にともなって、脱毛部位の自然治癒(Spontaneous resolution)が見られます。
Copyright (C) Akikazu Ishihara All Rights Reserved.