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馬の病気:馬鼻肺炎

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馬鼻肺炎(Equine rhinopneumonitis)について。

馬鼻肺炎は、馬ヘルペスウイルス(Equine herpesvirus: EHV)の1型および4型の感染(EHV-1/4 infection)によって、呼吸器症状(Respiratory signs)、流産(Abortion)、神経症状(Neurologic signs)などを起こす疾患です。日本の競走馬においては、発熱を呈した馬の約18%において、馬鼻肺炎が原因であったことが報告されています。EHVは、鼻汁を介した飛沫感染(Droplet infection)、および、ヒトの手や馬具を介した接触感染によって伝播するほか、流産症例の場合には、胎盤(Placenta)、羊水(Amniotic fluid)、流産胎子(Aborted fetus)を介しての接触感染も重要であると考えられています。

馬鼻肺炎の症状としては、発熱(Fever)、食欲低下(Poor appetite)、鼻汁排出(Nasal discharge:水様性から膿様性に変化する)、下顎リンパ節の腫脹(Swelling of mandibular lymph node)などが認められます。また、流産は妊娠九ヶ月以降に好発し、前駆症状(Prodrome)のないまま突然流産することが多く、妊娠後期における感染では、死産(Stillbirth)するか、生後数日で死亡する場合が殆どです。そして、神経症状を呈する症例では、後駆麻痺(Rear paralysis)による歩様異常(Gait impairment)および起立不能を示し、尿失禁(Urinary incontinence)や顔面神経麻痺(Facial nerve paralysis)が認められる事もあります。

馬鼻肺炎の診断においては、鼻汁や血液から細胞培養を用いてウイルスを分離して、PCR法または蛍光染色法(Fluorescent stain)によってEHV-1/4の同定を行います。また、血清診断(Serodiagnosis)としては、寒天ゲル内沈降反応(Agar gel precipitation reaction)やELISA(Enzyme-linked immune-sorbent assay)などが応用されています。

馬鼻肺炎の治療は対症療法(Symptomatic treatment)のみで、全身性抗生物質療法(Systemic anti-microbial therapy)によって二次細菌感染(Secondary bacterial infection)および肺炎(Pneumonia)を防ぐことが大切です。馬鼻肺炎による流産に対しては、不活化ワクチンによる予防が重要で、流産が多発する時期には一ヶ月毎の補強接種(Reinforcement vaccination)を行うことが推奨されています。

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Rowdy Pony

Author:Rowdy Pony
名前: 石原章和
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年齢: 40代
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