馬の病気:馬伝染性貧血
馬の感染症 - 2015年10月30日 (金)

馬伝染性貧血(Equine infectious anemia)について。
馬伝染性貧血の原因ウイルスは、レトロウイルス科、レンチウイルス属に分類され、吸血昆虫(Hematophagous insect)によってウイルスを含む血液が媒介されて伝播するほか、妊娠母馬から子馬への垂直感染(Vertical transmission)も起こることが知られています。
馬伝染性貧血の症状としては、まず、40度以上の発熱(Fever)や貧血(Anemia)、白血球減少症(Leukopenia)、黄疸(Icterus)などを起こして、衰弱や起立不能となって死亡する場合を急性型と呼びます。また、数日で解熱した後、回帰性の発熱(Recurrent hyperthermia)が見られる場合を亜急性型と呼び、その後に平熱となって外見上は健常馬と変わらない病勢を示す場合を慢性型と呼びます。
馬伝染性貧血の診断は、組織培養によってウイルス分離するのは一般的ではなく、寒天ゲル内沈降反応(Agar gel precipitation reaction)によって血中の抗体を検知する手法が用いられています。また、短時間で結果を得られるELISA法(Enzyme-linked immune-sorbent assay)も応用されています。
馬伝染性貧血の治療法はなく、一度感染すると他馬への感染源となることから、罹患馬は発見されしだい淘汰されます。この結果、日本は世界で最も清浄化(Sanctification)が進んだ国となっており、1984年以降は散発的な症例(Sporadic cases)を除いて、感染馬は殆ど発見されていません。
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