馬の病気:鼻疽
馬の感染症 - 2015年11月02日 (月)

鼻疽(Glanders)について。
鼻疽は、馬に特有な細菌性伝染病で、原因菌は鼻疽菌(Burkholderia mallei)で、罹患馬の鼻汁を介した直接感染によって伝播します。現在、鼻疽の発生は、東欧、南米、中東などで見られ、日本は清浄国です。日本では、人畜共通感染症(Zoonotic infection)として、家畜伝染病(法定伝染病)に指定されており、罹患馬は安楽処置(Euthanasia)されます。
鼻疽の症状としては、急性型では、41度以上の発熱(Fever)と、血様膿性鼻汁の排出が認められ、体中に病巣が形成されます(鼻孔粘膜、気管粘膜、肺、脾臓、肝臓、皮膚)。また、体中のリンパ節(顔面、四肢、肩部、胸部、下腹部)に沿って念珠状索腫が形成されて、重症例に移行すると、栄養不良から悪液質に陥って死亡します。そして、常在地等で慢性化した症例では、顕著な症状を呈することなく、回帰熱(Recurrent fever)、発咳(Coughing)、呼吸困難(Respiratory distress)などを時おり見せるだけの場合もあります。
鼻疽の診断では、結節や潰瘍部からの検体を用いた細菌培養(Bacterial culture)が行われます。また、免疫学的診断法(Immunological diagnostic method)としてはマレイン反応が用いられ、鼻疽菌由来タンパクを眼結膜嚢内に滴下して充血や目ヤニを観察したり、頚部に皮下注射して局所反応を観察する方法があります。さらに、補体結合反応(Complement binding reaction)や赤血球凝集反応(Hemagglutination reaction)による血清診断(Serodiagnosis)も試みられています。
鼻疽には、有効な治療法や予防法はなく、汚染地からの馬に輸入の際に、慎重な検査をおこなうことが重要です。
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