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馬の病気:レプトスピラ症

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レプトスピラ症(Leptospirosis)について。

レプトスピラ菌のうち、病原性をもつLeptospira interrogans sensu latoの感染によって起こる疾患で、人畜共通感染症(Zoonotic infection)に分類されます。レプトスピラ症は、野生動物や他の家畜と直接的または間接的に接触することで感染が成立し、その発生は世界的に広く存在しますが、日本では散発的な発生(Sporadic incidence)のみにとどまっています。

レプトスピラ症の罹患馬は、発熱(Fever)と食欲不振(Poor appetite)のみで耐過する場合が一般的ですが、重度になった症例では、貧血(Anemia)、黄疸(Icterus)、血色素尿(Hemoglobinuria)、脳膜炎(Meningitis)、筋肉の衰弱(Muscle weakness)などを伴い、妊娠後期の繁殖雌馬では流産(Abortion)が起こります。また、慢性化した症例では、削痩(Weight loss)、衰弱(Debilitation)、回帰熱(Relapsing fever)にあわせて、黄疸や頻脈などが見られ、馬回帰性ブドウ膜炎(Equine recurrent uveitis:いわゆる月盲)もレプトスピラ症の一症状と考えられています。

レプトスピラ症の診断においては、血液の直接鏡検では感度が高くないため(菌数が少ない場合)、血液や脳脊髄液(Cerebrospinal fluid)を用いた培養分離が行われ、この際、PCR法が併用される事もあります。また、顕微鏡下での凝集反応法(Microscopic agglutination test)による血清診断法(Serodiagnosis)も有用ですが、実施できる施設が限られることから、共通抗原を用いたELISA法(Enzyme-linked immunoSorbent assay)の研究も進められています。

レプトスピラ症の治療としては、全身性の抗生物質療法(Systemic anti-microbial therapy)が行われますが、予防のためのワクチンはありません。このため、感染および流行の防止にためには、保菌動物である齧歯類との接触を防ぎ、汚染環境の消毒を徹底することが重要になります。

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