馬の文献:蹄葉炎(Wylie et al. 2013)
文献 - 2015年11月17日 (火)
「2009~2011年の英国での蹄葉炎のコーホート研究:577症例の推定発症頻度と臨床症状」
Wylie CE, Collins SN, Verheyen KL, Newton JR. A cohort study of equine laminitis in Great Britain 2009-2011: estimation of disease frequency and description of clinical signs in 577 cases. Equine Vet J. 2013; 45(6): 681-687.
この症例論文では、馬の蹄葉炎(Laminitis)の発症頻度(Disease frequency)と臨床症状を解明するため、活動期の蹄葉炎(Active laminitis)の診断が下された577頭の馬症例における、2009~2011年にかけての経過を観察する前向きコーホート研究(Prospective cohort study)が行われました。
結果としては、獣医師が訪問した症例郡(Veterinary-attended population)における蹄葉炎の発症頻度は0.47%で、また、獣医師が担当している馬郡(Veterinary-registered population)における蹄葉炎の発症頻度は0.49%であったことが示されました。つまり、蹄葉炎の発症は、獣医師の往診200頭ごとに一頭、および、担当馬200頭ごとに一頭ほどであった事が分かりました。また、獣医師が活動期の蹄葉炎を診断する確率(Incidence of veterinary-diagnosed active laminitis)は、一年当たり100頭ごとに0.5頭(0.5 cases per 100 horse-years)でした。この症例では、同じ馬が蹄葉炎による跛行を慢性的に呈して、発症数が二重カウントされるのを防ぐため、前回の蹄葉炎による跛行が14日以内に健常な歩様に戻った場合のみ、次の蹄葉炎による跛行を新たな発症と定義しており、発症頻度を正確に評価する試みがなされたと考察されています。
この研究では、蹄葉炎の過半数(53.5%)が前肢に両側性に罹患しており(Affected the forelimbs bilaterally)、後肢よりも前肢のほうがより重篤であったことが報告されています。また、最も多く見られた臨床症状としては、指動脈拍動の亢進(Increased digital pulses)、回転が難しくなる仕草(Difficulty turning)、常歩において歩幅が狭く堅苦しい歩様(Short and stilted gait at walk)などが挙げられました。しかし、この研究のデータでは、速歩での歩様検査が行われたのは約半数の症例にとどまっており、速歩においても堅苦しい歩様が確認された症例は、全体の25%以下にとどまっていました。
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この研究では、蹄葉炎の過半数(53.5%)が前肢に両側性に罹患しており(Affected the forelimbs bilaterally)、後肢よりも前肢のほうがより重篤であったことが報告されています。また、最も多く見られた臨床症状としては、指動脈拍動の亢進(Increased digital pulses)、回転が難しくなる仕草(Difficulty turning)、常歩において歩幅が狭く堅苦しい歩様(Short and stilted gait at walk)などが挙げられました。しかし、この研究のデータでは、速歩での歩様検査が行われたのは約半数の症例にとどまっており、速歩においても堅苦しい歩様が確認された症例は、全体の25%以下にとどまっていました。
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