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馬の文献:中節骨骨折(Rose et al. 1997)

「馬の中節骨の粉砕骨折におけるCTスキャン検査」
Rose PL, Seeherman H, O'Callaghan M. Computed tomographic evaluation of comminuted middle phalangeal fractures in the horse. Vet Radiol Ultrasound. 1997; 38(6): 424-429.

この研究論文では、馬の中節骨の粉砕骨折(Comminuted fracture of middle phalanx)におけるCTスキャン検査(Computed tomographic evaluation)の有用性を評価するため、中節骨の粉砕骨折を呈した六頭の患馬の医療記録(Medical records)の解析が行われました。六頭の中節骨粉砕骨折の患馬のうち、三頭は全身麻酔下(Under general anesthesia)でCTスキャン検査が行われ、残りの三頭はレントゲン検査を介して中節骨の粉砕骨折の確定診断(Definitive diagnosis)が下され、安楽死(Euthanasia)の後に骨折箇所のCTスキャン検査が行われました。

結果としては、六頭の中節骨粉砕骨折において、CTスキャン像によって骨折部位の立体構造(Fracture configuration)、骨折片の数、骨折面の走行などがより正確に確認でき、このため、術前により信頼的な螺子挿入角度(Angle of lag screw insertion)の予測が可能であったことが報告されています。このため、馬の中節骨の粉砕骨折においては、CTスキャン検査の使用によって、骨折病態の正確な把握が可能となり、適切な外科療法の選択や、より信頼性の高い予後判定(Prognostication)が達成できることが示唆されました。

この研究では、中節骨の粉砕骨折部位のCTスキャン検査に要する時間は30~45分に抑えられることが報告されており、断層像(Cross-sectional image)を用いて骨折面に対する螺子挿入の角度を決定できることから、結果的には手術時間の短縮につながる場合が多い、という考察がなされています。また、骨折部位の重篤度や、球関節(Fetlock joint)と冠関節(Pastern joint)を連絡している支柱骨節片(Intact strut)の有無を即座に判断できることから、内固定術(Internal fixation)による治療か、ギプス装着などの外固定法(External fixation)による治療かの、治療法の選択をより信頼的に行えるという利点があると考えられました。

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