馬の文献:球節破片骨折(Houttu. 1991)
文献 - 2016年02月29日 (月)
「関節鏡手術による馬の掌側または底側球節の骨軟骨片摘出」
Houttu J. Arthroscopic removal of osteochondral fragments of the palmar/plantar aspect of the metacarpo/metatarsophalangeal joints. Equine Vet J. 1991; 23(3): 163-165.
この症例論文では、馬の球節(Meta-carpo/tarso-phalangeal joint: Fetlock joint)の掌側または底側部位(Palmar/plantar aspect)における、骨軟骨骨折(Osteochondral fracture)に対する関節鏡手術(Arthroscopic surgery)の治療効果を評価するため、掌側&底側球節の破片骨折(Palmar/plantar fetlock chip fracture)の関節鏡手術が実施された、45頭の患馬の医療記録(Medical records)の解析が行われました。
結果としては、45頭の患馬のうち、51%(23/45頭)の馬が術後の三ヶ月以内に調教に復帰し、91%(41/45頭)の馬が術後の六ヶ月以内に調教に復帰したことが示されました。また、100%(45/45頭)の馬は手術翌日には跛行消失を示し、98%(44/45頭)の馬は術後一ヶ月以内に球節の腫脹(Fetlock joint swelling)が消失して、健常肢の球節との見分けができないほどまで治癒したことが報告されています。このため、掌側&底側球節の破片骨折の罹患馬では、関節鏡手術によって良好な予後が期待され、早期に調教&競争への復帰を果たす馬の割合が多いことが示唆されました。
この研究では、骨軟骨片の種類を他の文献(Fortier et al. Proc AAEP. 1987)に基づいて分類しており、その殆ど(44/45頭)がタイプ1(=近位部基節骨の正軸溝の外内側に生じた骨軟骨片:Osteochondral fragments originating from proximal palmar/plantar aspect of proximal phalanx just medial/lateral to sagittal groove)であったことが報告されています(残りの一頭はタイプ3)。このため、更なる症例数の蓄積によって、タイプ2(=近位部基節骨の掌側&底側突起に生じた骨軟骨片:Osteochondral fragments originating from proximal palmar/plantar aspect of the wing of proximal phalanx)もしくはタイプ3(=種子骨の底部に生じた骨軟骨片:Osteochondral fragments originating from the base of sesamoid bone)の病態における、関節鏡手術の治療効果を評価する必要があると考えられました。
一般的に、掌側&底側球節における骨軟骨片は、破片骨折もしくは離断性骨軟骨炎(Osteochondritis dissecans: OCD)に起因して生じると考えられており、健常な若齢馬のレントゲン検査で偶発的に発見(Incidental finding)されることも多く、この場合には、その骨軟骨片を直ちに外科的摘出するべきか否かに関して論議(Controversy)があります。しかし、これらの掌側&底側球節の骨軟骨片は、調教を続けるうちに変性関節疾患(Degenerative joint disease)の原因となり、数年後に跛行を呈する症例もあることから、レントゲン像上で見つかり次第、できるだけ早く全ての骨片を除去することが推奨されています。
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Houttu J. Arthroscopic removal of osteochondral fragments of the palmar/plantar aspect of the metacarpo/metatarsophalangeal joints. Equine Vet J. 1991; 23(3): 163-165.
この症例論文では、馬の球節(Meta-carpo/tarso-phalangeal joint: Fetlock joint)の掌側または底側部位(Palmar/plantar aspect)における、骨軟骨骨折(Osteochondral fracture)に対する関節鏡手術(Arthroscopic surgery)の治療効果を評価するため、掌側&底側球節の破片骨折(Palmar/plantar fetlock chip fracture)の関節鏡手術が実施された、45頭の患馬の医療記録(Medical records)の解析が行われました。
結果としては、45頭の患馬のうち、51%(23/45頭)の馬が術後の三ヶ月以内に調教に復帰し、91%(41/45頭)の馬が術後の六ヶ月以内に調教に復帰したことが示されました。また、100%(45/45頭)の馬は手術翌日には跛行消失を示し、98%(44/45頭)の馬は術後一ヶ月以内に球節の腫脹(Fetlock joint swelling)が消失して、健常肢の球節との見分けができないほどまで治癒したことが報告されています。このため、掌側&底側球節の破片骨折の罹患馬では、関節鏡手術によって良好な予後が期待され、早期に調教&競争への復帰を果たす馬の割合が多いことが示唆されました。
この研究では、骨軟骨片の種類を他の文献(Fortier et al. Proc AAEP. 1987)に基づいて分類しており、その殆ど(44/45頭)がタイプ1(=近位部基節骨の正軸溝の外内側に生じた骨軟骨片:Osteochondral fragments originating from proximal palmar/plantar aspect of proximal phalanx just medial/lateral to sagittal groove)であったことが報告されています(残りの一頭はタイプ3)。このため、更なる症例数の蓄積によって、タイプ2(=近位部基節骨の掌側&底側突起に生じた骨軟骨片:Osteochondral fragments originating from proximal palmar/plantar aspect of the wing of proximal phalanx)もしくはタイプ3(=種子骨の底部に生じた骨軟骨片:Osteochondral fragments originating from the base of sesamoid bone)の病態における、関節鏡手術の治療効果を評価する必要があると考えられました。
一般的に、掌側&底側球節における骨軟骨片は、破片骨折もしくは離断性骨軟骨炎(Osteochondritis dissecans: OCD)に起因して生じると考えられており、健常な若齢馬のレントゲン検査で偶発的に発見(Incidental finding)されることも多く、この場合には、その骨軟骨片を直ちに外科的摘出するべきか否かに関して論議(Controversy)があります。しかし、これらの掌側&底側球節の骨軟骨片は、調教を続けるうちに変性関節疾患(Degenerative joint disease)の原因となり、数年後に跛行を呈する症例もあることから、レントゲン像上で見つかり次第、できるだけ早く全ての骨片を除去することが推奨されています。
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